え!?恩返しが結婚!?エルフの掟では普通なんですか!?   作:hapihapi

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 エルフは恐ろしい種族だと常々亡くなった父は言っていた。エルフという種族は弓と魔法の扱いに長け、寿命も長く、男女とも見目麗しい姿をしているが、彼らは自分たち以外の他種族を忌み嫌っており、自分達のテリトリーに多種族の者が入ろうものならば、その者はエルフ達の手によって八つ裂きにされ、森の獣達の食糧となるそうだ。

 

 だから、そんな話を小さい頃から聞いていた私はこの街の近くを流れる川の向こうのエルフ達が住んでいると言い伝えられている大森林には絶対近付くことはしなかったし、近づこうとも思わなかった。しかし、人生何が起こるか分からないもので……

 

 

「こ、これって……エルフよね……?」

 

 

 そう呟く私の目の前には特徴的な長い耳をした、銀糸の様な艶やな髪をした見目麗しい青年?エルフの男が荒い息を吐きながら地面に倒れていた。

 

 しかもよくエルフを見れば腕から赤い血が滲んでおり、腕を怪我している事が分かる。どうしてこんなエルフ達が住む大森林から離れた場所にエルフがいるのか分からなかった。が、このエルフが倒れている場所が自宅へと続く狭い路上の真ん中だと言う事もあり、放っておくわけにも逃げるわけにも行かず、八つ裂きにされるかも知れないという恐怖に震えながら恐る恐るエルフに向かって声を掛けてみた。

 

 

「あ、あの……大丈夫ですか?」

 

「……」

 

「あ、あのー……聞こえてますか?」

 

「……」

 

「あの、エルフさん?」

 

 

 何度も声を掛けるが、エルフは荒い息を吐くだけでそれ以上の反応は返って来なかった。どう見ても大丈夫そうじゃないエルフの姿にどうしようと迷って、オロオロし……そうして迷うこと十分。

 

 

「こ、怖いけど……とりあえずこのままにしておけないよね……」

 

 

 勿論、他種族を嫌っており、他種族を八つ裂きにすることを厭わない種族であるエルフに対して怖いという感情はあった。が、そんな怖い種族であっても、こんな酷い怪我をしてる人を放置することなんて出来ないと思った私はとりあえず手当だけでも……と、倒れているエルフを背中に背負い、自宅に向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

「ふう……お父さんの服を捨てずに取っておいて良かったわ」

 

 

 額に滲んだ汗を拭い、私は呟く。目の前には先程のエルフの男がすうすうと穏やかな息を吐きながらベッドの上で寝ている。あのあと自宅に戻った私はすぐにエルフをベッドの上に寝かせて傷の手当をした。服にはかなりの量の血はついていたものの、心配していた傷口からの出血は殆ど無く、簡単な手当を施し、血に汚れた服の代わりに亡き父の服を着せた。しかし、そうした処置を施している間もエルフは目を覚ますことはなかった。

 

 

(とりあえず出来ることはしたけど……大丈夫かな……)

 

 

 まるで美術品のような端正な横顔を見つめながら私は思う。先程に比べて、吐く息は穏やかなものとなったが、その顔色は未だに悪い。恐らく多くの血を流した事による貧血だろうと思うが……

 

 

「い、一応……お医者様を呼んだ方がいいかしら……?」

 

 

 その病人の様に真っ白な顔色に急に不安になった私がそう呟いた瞬間。

 

 

「ウッ……」

 

 

 

 

 

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