え!?恩返しが結婚!?エルフの掟では普通なんですか!?   作:hapihapi

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「……。……別に昼間から王宮を歩いていてもいいでしょう。用事がないなら失礼します。」

 

「あっ、待っ……やれやれ相変わらず愛想のない子だな」

 

 

 我に背を向けてスタスタと歩いて行くレト王子に思わずそんな言葉が出るが、国のエルフ達の王子に対する扱いを考えれば王子がああいう捻くれた態度を我に取ってしまうのも致し方ないことだろう。だが……

 

 

(しかし、本当に珍しいな。レト王子がこんなエルフがたくさんいる昼間に王宮の中を歩いているなんて。鷲舎の方から歩いてきたからどこか遠出していたのか?)

 

 

 エルフ達が遠出する時の移動手段として使われている大鷲達が飼育されている鷲舎の方から歩いて来ていた王子の姿に我はそう思う。が、しかしすぐに思い直した。

 

 

(……いや、それは有り得ぬか。確かレト王子は幼少の頃、大鷲から振り落とされて湖に落ちた苦い経験から大鷲に乗れなかった筈。……きっと我が主ソフィア姫に出不精を心配されて仕方なく地下書庫の外に出ていたのだろうな)

 

 

 そう一人で納得し「む、今日は魚料理するか」と呟き、我は足早に王宮の外へと向かい歩いて行く。

 

 

 その我の背後で、

 

 

「……さて、叔母上の世話役は僕が蒔いた種にどんな反応をするのかな……」

 

 

 と、レト王子が感情の読み取れない表情で呟き、我の後ろ姿を見つめていることに気付かずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、ディルさんに恋人がいたなんて……」

 

 

 夜が近付き、薄暗くなった部屋に響く私の小さなため息。頭に思い浮かぶのはほんの数刻前までここにいた『レト』と名乗る青年の話。片言ながら語ってくれた青年の話によれば、ディルさんは青年の叔母にあたる『ソフィア』というエルフの女性と恋仲だという事。そしてディルさんとソフィアさんは色々なしがらみがあって結婚はしていないもののエルフの里のなかでは『理想のカップル』と里のエルフ達に言われるくらい仲睦まじい恋人同士である事。それから……

 

 

「『異種族ニ助ケタラレタラ娶ラナケレバイケナイ掟?ソンナ掟聞イタ事無イガ……モシソレガ本当ナラ君ハ叔母上カラ最愛ノ人ヲ奪ッタト言ウ事ニナルナ』……か、はあ……」

 

 

 『そういう訳で自分の叔母と恋人同士である彼が君を伴侶にするなんておかしい。どうしてそう思ったんだ?』と怪訝そうな顔をして聞いて来た青年に反論するようにここに連れてこられた経緯を話した結果、返ってきた言葉を思い出して私はまたため息を吐いた。だって知らなかったとはいえ、ディルさんを恋人から奪っ……否、寝取ってしまったのだから。ため息の一つや二つ出てしまっても仕方ないだろう。

 

 

 

 

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