え!?恩返しが結婚!?エルフの掟では普通なんですか!? 作:hapihapi
「……アラル、クゥル」
「え?ええっと……エルフ語はよくわからないけどたぶん「ごちそうさま」って言っているのかな?ふふ。お口にあったようで良かったです。あっ、そうだ。もしよかったらおかわりとかどうですか?まだ残っているので……」
「ドウ」
「えっと……お皿出しているからたぶん「はい」かな?ふふ、分かりました。じゃあ、今すぐお代わりを持ってきますね!」
そう言って差し出された皿を受け取った私はいそいそと再び台所に向かい鍋からさっきより多くのスープを皿に取り分けて、そしてスープを持ってエルフの元に戻ろうと振り返った時……ようやく私は気付いた。
「……あれ?エルフさん……?」
先程までベッドの上にいた筈のエルフの姿はなく、私はキョロキョロと部屋を見渡したが、やはりその姿を見付けることは出来なかった。
「もしかしてトイレに行ったのかな……?」
そう首を傾げて私は呟くが……結局その日いくら待ってもエルフが戻ってくる事は無かったのである。
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それから一ヶ月後。
「はあ……疲れたあー……」
今日も早朝から夕方まで働いていた私は自宅へ続く狭い路地をとぼとぼと歩きながら呟いた。ここ最近毎日こんな調子で、ずっと働き詰めでろくに休暇も摂れていない。
「……でも仕方ないよね」
と、私は小さく呟く。何故なら今働いている食堂の店主は数年前に父を流行り病で亡くし、天涯孤独の身となった私を従業員として雇ってくれてさらに住む家まで紹介してくれたまるで女神様のような優しい店主だからだ。だから人がいなくて困っていると言われてしまえば頷くしかない。それにしても……
「……あのエルフさんどこにいっちゃったんだろう?」
そう呟いて私は思う。あれから一ヶ月が経ったが、あれ以来エルフの姿を見ていない。近所の人間や街の人間にエルフの行方を聞いても誰も知らず、挙句「夢でも見たんじゃないの?」「ハハっ!エルフが人間の街にいる筈ないだろ?」と馬鹿にされて笑われる始末だった。でも自宅に置いてある怪我の手当をする際に脱がせたエルフの着ていた服があれは夢ではなくて現実だったと物語っていて……
(でも、あんな怪我で誰にも気付かれずどうやって……)
そんな事を考えながら歩いていると……突然、私の前に一つの人影が現れて危うくぶつかりそうになった。
「あっ、すみません!」
と、私は慌てて謝るが……その人影……黒いフードを深く被った人物は私の言葉に反応せず、ただじっと私を見つめていた。そして、
「……お前……我の事を忘れたのか?」