え!?恩返しが結婚!?エルフの掟では普通なんですか!? 作:hapihapi
「え?」
「いや、こんな装束姿では無理もない……か」
戸惑う私を他所にそう呟いたフードの人物はぱらりとフードを脱いだ。瞬間、現れた顔に私は目を見開く。
「あ、あなたは……!?」
艶やかな銀の髪、宝石の様な緑の瞳。間違いない。そこにいたのは一ヶ月前、忽然と消えたあのエルフだった。突然の再会にびっくりする私にエルフは不機嫌そうに眉間に皺を寄せる。
「なんだその顔は……幽霊でも見たような顔をして……」
「い、いやだって……なにも言わずに突然いなくなったから……」
「突然いなくなっただと?はあ……何を言っている。あの時、ちゃんと我はエルフの里に戻ると伝えた筈だ。」
「え!?あれエルフ語でおかわりって言っていたんじゃなかったんですか!?……って、あれ?」
と、そこで私はある違和感に気付いた。そう。一ヶ月前は何を言っているのか全然分からなかったエルフの言葉が、今はかなり正確に聞き取れているのだ。
「あ、あれ?な、なんで私……エルフさんの言葉が分かって……?」
「……なんだ今さら気付いたのか。フン、当たり前だ。この一ヶ月間、お前を花嫁として迎え入れる為に人間の言葉を覚えてきたんだからな。通じて当然だ」
「ああ、なるほど。私を花嫁として迎えに入れる為に人間の言葉を覚えて来たんですね。それなら納得……って、ええええええ!?は、花嫁ぇえええっ!?!?」
衝撃的な一言に思わず声を上げた私にエルフは迷惑そうな顔を向ける。
「……煩いな」
「だだだだだ、だって……!いきなり私の事をは、ははは花嫁にするだなんて……ま、まさか私に一目惚れして……!?」
「一目惚れなどしていない。むしろお前も含めて人間は嫌いだ。だが……エルフには『他種族に助けられたら娶って恩に報いるべし』という掟があってだな……」
「お、掟……?」
「ああ、そうだ。だから我も本当は人間なんぞ娶りたくないが……エルフの掟は絶対だ。……さあ、無駄話は終わりだ。我と共に来てもらうぞ、人間」
「ちょっ、ま、待って下さい!結婚とかそ、そんなこといきなり言われても心の準備とか色々……!」
「……はあ、仕方ない。少々手荒だが…」
「え?」
「ラナ、捕まえろ」
「え、捕まえろって……きゃああああああ!?」
そう言い終わるが速いかエルフの呼び掛けに答えるように空から巨大な鷲が現れ、大鷲が鉤爪で私の肩をガシリと掴む。そして私が何かを言う前に大鷲は大きく羽ばたき悲鳴を上げる私と共に空高く飛び上がったのであった。