え!?恩返しが結婚!?エルフの掟では普通なんですか!? 作:hapihapi
「助けた時に何がエルフさんの逆鱗に触れたのか分かりませんが、私決してエルフさんの逆鱗に触れるつもりなんかなくてただ傷の手当をしただけなんです!だから許して下さい!」
「……おい、お前はさっきから一体何を言っている?確かに通常なら許可なく我の体に触れてさらに服を脱がすなど許さぬが、あれはそうせざる負えない状況だったと理解している」
「う、嘘です!だ、だって……普通なら求婚した相手を足枷を付けたりしないですもん!!」
「………おい、待て。人間はまさか……結婚前に奉仕をしないのか?」
「え?奉仕……?」
「ああ、そうだ。結婚相手をわざと不自由な状態にして食事から入浴、着替え、マッサージ、睡眠の補助などの奉仕を十年間行い、自分の甲斐性と愛情を示すエルフの伝統的な文化なのだが……だからこの部屋だってお前が過ごしやすい様にお前が住んでいた部屋に似せて拵えたんだ」
「え……」
そう言われて改めて部屋を見れば確かに家具から天井のシミまで寸分違わず自分の部屋とそっくりだった。ああ、だから起きた時自分の部屋と勘違いしちゃったんだ。と手作りのクマのぬいぐるみまで模倣してある部屋を見て納得すると同時に目の前のエルフの逆鱗に触れたわけではないと言う事を理解した私は「良かった…八つ裂きにはされないんだ」とホッと安堵の息を吐いた。瞬間。
ぐう~
安心したせいだろうか。腹が大きく鳴った。その音にハッと慌てて腹を抑える私にエルフはハアと息を吐き、
「……何はともあれまずは腹拵えだな。少し待っていろ」
と、言い私を置いて部屋を出ていく。……そして数分後。戻ってきたエルフの手には一人分の食事が乗せられた盆が握られていた。
「待たせたな。エルフの里で採れる食材を使った粥だ。一応人間でも食べられるように魔素抜きして作ったらしいが……」
そう言いながらトン…と私の前に置かれたのは粥だった。ほかほかと上がる白い湯気と香草類の爽やかな香りが食欲を唆り、思わずゴクリと喉が鳴った。
「お、美味しそう……」
「……当たり前だ。我が家に数百年仕えている料理人が作ったんだからな。ほら、口を開けろ」
「はい!……えっ、口を?」
「……お前、我の話を聞いてなかったのか?先ほど言ったであろう。エルフは自分の甲斐性と愛情を示す為に伴侶に十年間奉仕する、と。さっさと口を開けぬか」
「奉仕ってそういう……!?ま、待って下さい!私一人でご飯食べれますし別にアーンして貰わなくても……!それに子供じゃないのにアーンして貰うの恥ずかしいというか何というか……!」
「……我は気にしない。まあ、尤も食べたく無いのなら無理強いするつもりはないがな」
そう言ってせっかく持ってきた盆をエルフは下げようとするので私は慌てて
「わ、分かりました!食べます!食べますから!だから下げないで良いですからね!?」
「……フン、初めからそう言えば良いものの……まあいい。我は寛容だからな。ほら早く食え」
「は、はい……」(奉仕って言う割には圧が強いわ……)
そう思いながら私はエルフが差し出したスプーンに乗せられたお粥を恐る恐るとパクリと口に含んだ。