え!?恩返しが結婚!?エルフの掟では普通なんですか!? 作:hapihapi
「伴侶?ディル?ディルトハ一体誰ノ事ダ?」
「ん?誰の事だって……この屋敷の持ち主の名前ですけど……」
「? アア、叔母上ノ世話役ノ事ヲ言ッテイルノカ。デモ伴侶ト言ウノハ可笑シイナ」
「え?」
「ダッテ、叔母上ノ世話役……イヤ、アノ人ハ僕ノ叔母上『ソフィア姫』ト恋人同士ダカラナ」
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「ねえ、あの方って……」
「例の人間を連れて帰ってきたという……」
「いくら姫様のためとは言え……」
「何を考えているのかしら」
「人間など悍ましい……」
「……」(くだらん)
ヒソヒソと声を潜めて陰口を言う王城のエルフ達に我は眉を顰める。しかし、彼らの言う事も我は分からなくはなかった。なぜなら自分もほんの少し前までは彼らと同じように『人間』に対して悪感情を抱いていたからだ。しかし、あの日。エルフの医術では治せぬ病に掛かったこの国の王女『ソフィア姫』を助ける為に周囲の反対を押し切り、人間族が住む街へと出向き、苦労の末に薬を手に入れられたは良いものの、帰る道中でエルフに恨みを持つ人間達に襲われ、深手を負い、倒れていたところをあの人間の女に助けられ、そしてそのお陰で我は無事に国に帰る事ができ、敬愛する主『ソフィア姫』を救うことが出来たのだ。だから今も人間に対して何も思わないわけではないが、あの人間…「アンナ」に対しては悪感情は抱いておらず、むしろ小さな口で一生懸命食事を頬張る姿が我の愛鳥ラナがまだ幼鳥だった頃と似ていて中々悪くない気持ちもあり……
「まあ、一か月に一回しか食事を取らないエルフと違って一日二回毎回違う食事を用意しなければいけないのはなかなか大変だがな……」
そう呟きつつ頭の中で今晩人間に食べさせる食事について考えていると、ふと視界の端にある人影が映った。
「あれは……」
それはエルフの女王ローゼリアの孫にしてこの国で鼻つまみ者として扱われている前王位継承者ペール王女の忘れ形見『人間』と『エルフ』の合いの子であるレト王子の姿だった。
「……」(珍しいな……いつもは人目を避けるように人気がない地下の書庫に籠っているというのに……)
珍しい王子の姿に我はそう思い、目立たないようにそっと廊下の壁に沿うように歩いている王子に声を掛けた。
「レト殿下、珍しいな。あなたがこんなところにいるなんて……」
「! ………誰かと思えば叔母上の……僕に何か用ですか?」
「いや、用という用はないのだが、あなたがこんな昼間から王宮の中を歩いているのは珍しいと思ってな」