一護兄さんは自慢の兄さんである。
体術ができて、呪霊を操るのは下手っぴだけど、頭も良くて。
そんな自慢の兄さんにビシバシ鍛えられて、私はそれなりに強くなったと思う。
兄さんは優秀な人なんだと思ってたけど、日本の平和を担うヒーローみたいな人になるとは思っていなかった。
大変な事だと思う。私も微力ながら手伝いたい。
ドキドキしながら学校に着いた。
ここが、これから私の通う……魔窟……!
「俺、五条 悟。兄弟で呪霊操術なんだってな。すげーレアじゃん」
白髪のサングラスの少年が挨拶をくれる。
「やあ。私は夏油 傑。君のことは兄から少しだけ聞いているよ。すごく強くて全てを見通す六眼を持っているんだってね」
「全部ってわけじゃねーよ」
「私、強くなるのが目標なんだ。一緒に頑張ろう」
目指せ、打倒宿儺ってね。
その後、硝子とも挨拶を交わし、仲良くなれるように頑張った。
2人とも凄く良い子だから、友達になるのは簡単だった。
悟は凄くいい子だし、メロンパンに与することはないと思う。
私の役目は、このまま真っ直ぐ強くなる事、妨害に負けないこと。
一歩ずつ頑張ると共に、兄の勘違いであることを祈りながら勉強した。
少なくとも、天元様についてはもうすぐ同化しないといけないのは本当らしい。
結界術について勉強するか、訓練に力を注ぐか、悟達と遊ぶか悩む。
遊ぶのだって大事な仕事だ。だって派閥を作るのは大事だ。
ということで、2人を巻き込んで隙間時間に結界術の勉強をしつつ、訓練に力を入れた。結界術に興味があると言えば、勉強を手伝ってくれた。2人とも優しい。
驚いたのは、あんなに凄そうな兄さんが2級だということ。
あっという間に追い越せてしまった。
でも呪霊操術は確かに下手っぴだったよね、兄さん。
呪霊も使えそうなのは私に譲ってくれたし、操れる数に限りがありそうだったし……。仕方ないのかもしれない。お腹もよく壊しているのを私は知っている。
となると、将来、兄さんが後方で援護で私や悟が最前線ということもありうるのか。というかそうなるな。なおさら頑張らなくちゃ。
そして、一年が過ぎて、後輩が入ってきた。
「灰原 雄です! よろしくお願いします!」
「七海 建人です」
「月桜 十六夜よ!」
元気のいい男の子と、金髪の男の子、そして黒髪のツインテールの女の子。
「綺麗な名前だね、十六夜」
「当たり前でしょ、お兄ちゃんがつけてくれた名前だもの!」
「ええ、ご両親じゃないの? 変わってるね。歳の離れたお兄さんがいるのかな? 私もだよ」
「え? 夏油 傑にお兄さんなんていたっけ? 聞いてないわ」
「? 普通にいるけど」
「ふーん。まあいいわ。私は最強になりに来たの。五条悟と夏油傑を倒せば最強なんでしょ? 覚悟しなさいよ」
「うっわ、生意気言うじゃん。いいぜ、表出ろよ」
「2人一緒に掛かって来ていいわよ」
「は? 調子乗り過ぎでしょ」
「面白いじゃないか。よっぽど自信があるんだね」
そんなわけで、十六夜と手合わせした。
十六夜は私達ほどではないにしろ、かなり強かった。
「貴方! その武術はどこで!?」
「兄さんに教えてもらったんだ」
「そのお兄さん、お名前は? どんな人なの?」
勢い込んで聞いてくる。
「一護兄さんだけど?」
「はああああああああああ!?? 一護お兄ちゃんは私のお兄ちゃんでしょ!?」
「は?」
「あ、ああああああ、貴方! 私のお兄ちゃんを取ったの!? 酷い!! 私が先に妹だったのに!」
「意味がわからないよ。君のお兄ちゃんと同じ名前なの? すごい偶然だね」
「保科流剣術を使える一護お兄ちゃんがあっちこっちにいるわけないでしょ! ねぇ、卍解! って言ってふざけて遊んでなかった?」
「ええ、なんでそれを?」
「じゃあ私のお兄ちゃんよ、それ! 返して!!!」
「返してって言われても……。私の兄さんだし。住民票見る?」
「憎々しいお兄ちゃんマウント! 許せない!」
そのまま喧嘩になってしまった。
後で、担任の先生に確認したら、彼女の本当の名前は月桜 麗(うらら)って言うらしい。一人っ子だそうだ。こわ……。
恐る恐る聞くと、特徴が一致するのでどこかで麗を助けたのだろうか。
同じ武術を使うのは確かだし……。
「兄さんとはいつ会ったの?」
十六夜はモニュモニュとした後、プイッと顔を背けた。
「知らない!」
「ええ……」
「それより、お兄ちゃんに会わせなさいよ! 護衛手伝ってあげるから!」
「護衛?」
そこで、十六夜はまたプイッとした。
「知らないわ。それより、絶対に護衛依頼は呼びなさいよ。とりあえず高専到着時間は教えなさい」
兄さんに聞いてみようかな。十六夜って誰って。でも兄さん、大変そうだから連絡するのも迷惑かもだしな。緊急事態でもないみたいだし。何より、兄さんに紹介するのなんか嫌だ。
そして、しばらくして。
「お前達2人には、これから護衛任務をしてもらう!」
「護衛任務ってこれ?」
「あー」
まじか。
私は向かいつつも兄さんに電話した。
『手のものを向かわせるから、到着時間だけ教えてくれ。傑は悟と2人で生き延びる事だけを考えろ。最悪、天内理子が殺されてもプラン2に移行すればいいだけだ』
「それは駄目だよ、兄さん。理子ちゃんを同化させるか、無事で同化しないかの2択だ。同化も出来ずにただ殺されるなんて」
『だが傑』
「ところで、十六夜って妹知ってる?」
『なんで知ってるんだ!? 十六夜がいるのか!?』
なんとなく腹がたった私は電話を切った。
「傑。機密なんじゃねーの。電話して大丈夫なわけ?」
「情報ならとっくに漏れてるよ。なんか、術師殺しって凄腕の暗殺者が理子ちゃんを狙ってるんだって。一年前から聞いてたし」
「はぁ!?」
「ねぇ、悟。悟は日本を守るのと上の命令、どっちが大事?」
「は? それが矛盾することなんかないだろ」
「いいから。上が宿儺を復活させて日本人を一つの呪霊にするって言ったら従う?」
「秒で吹っ飛ばすわ、上層部を。え、待てよどう言うこと? そういう計画があるのか?」
「そうだよ。天元様の同化を阻止すると、天元様が進化する。10年ぐらいで、呪霊操術で操れるようになるんだって。そしたら、私か兄さんの体を奪って、ある呪霊を捉えて、術式を使えばあら不思議。天元様の結界と抽出した呪霊の術式を使って、非術師を術師にしたり、大規模儀式を行うことで日本人を一つの呪霊に出来たりするんだって。それとは別に、宿儺を顕現させる器も今育てられてて、10年後に復活するんだって」
「はああああああああああああああ!??」
私は驚く悟にいい気分になりながら言った。気分は名乗りを上げるヒーロー。
「私と兄さんは、多分十六夜も、その阻止の為に動いてるんだ」
「なんだよ、それ」
悟が戸惑っている。私は続けた。
「ただ、宿儺は悟でも倒すのが難しいほど強くて、術師を増やす為に相手の一つの呪霊計画をあえて途中まで進めるか、ここで同化を成功させて、一つの呪霊計画だけ先に阻止して宿儺を倒すのは少数精鋭で頑張るか、ってのはまだ決まってないんだけど。理子ちゃんには悪いけど、結界術の代替がまだ見つかっていない以上、同化を成功させるしかないかなって感じでさ。失敗したらなし崩しにプラン2なんだけど、ひとまずは同化目指して頑張ろう! どうかな?」
「傑、なんでそれ報告しなかった」
「上はもう大分侵食されてるんだって。後10年で浄化完了なんだってさ。今はさて、過半数越えしてるからな? してないかな? 相手は天元様と同じくらい時を生きる呪詛師だからね。内緒だよ」
「なんだよ、それ」
「君は信じられるからね。まあ、君の監視は凄いらしいし、私達が出来るのは今は殺されないように頑張って強くなるぐらいだけど。あ、同化失敗すれば相手の計画にリーチが掛かるから、攻撃激化するだろうって」
悟が無言になる。
そして、駆けつけたら理子ちゃんが落下している最中だった。早く助けないと!!
「学校に行くのじゃ!」
「傑のバカが情報隠してたから、裏取りのためにすぐ高専に向かう」
さ、悟が怒ってる……。
「あのさ、傑。10年で制圧完了されんならさ。それを食い止めないといけねーんだよ。わかる? 制圧されてからじゃおせーの。任務の割り振り握ってんの総監部だぞ」
「え、と」
「ちゃんと知ってること全部話せ。上が信じられないってんなら、俺が率いる五条家を信じろ」
そう言われたらグゥの音も出ない。私は、しょぼんとして頷いた。
事情を説明しながら高専に戻る。理子ちゃんにも怒られた。
日本の安否が掛かる事件を個人で握るなと。それはそう。
十六夜と兄さんにも呼び出しを掛ける。
兄さんは来れないようで、手のものを送るそうだ。悟がいいから来いと怒っていた。
高専に着いたら、悟が襲撃される。
即座に十六夜が応戦で蹴りを入れて迎撃する。
十六夜はフィジカルがめちゃくちゃ強いのだ。小さな女の子なのが不思議なほどだ。
「傑はちゃんと天内連れて説明に行け! 俺と十六夜で応戦しとく! プラン1だのプラン2だの、選べる時間は短いんだろ!?」
「う、うん!」
「お前! 術師殺し! お前の依頼主の最終目標、天元を使った人類総呪霊化と宿儺復活らしいけど、いいのかよそれで! お前も日本人だろうが!」
「あ? なんだそれ。どうでもいいわ」
切り結んでいると、突如としてツインテールの男性型の化け物が現れた。
巨大な体躯、中でも脳みそが大きくて、顔に大穴が空いている化け物。
呪霊ではない。嘘だろ呪霊じゃない!
「受肉体!?」
「あ、あああ……」
ボロボロと泣きながら、十六夜が硬直する。
化け物が蜘蛛の巣のようなものを張った。
『悟。降伏してほしい……』
半透明の傑が泣いて懇願する姿が化け物に重なる。
精神操作!? 呪力由来じゃない……!!
「肖像権の侵害だっつーの!」
「全くだ!」
侵入者に光線が向かい、それを侵入者が避ける。
「世界平和の為、引いてもらう、伏黒 甚爾!」
「世界平和って面かよ!」
「嘘だろ、お前、一護の手のものなのかよ! 何者だ傑のにーちゃん!」
傑の兄貴が黒幕側の可能性も考えつつ、戦闘を続ける。
混戦の中、致命傷を受けて必死に足掻いて反転術式を使う。
ついに習得したと思ったら、傷は思ったよりずっと小さな傷だった。
精神操作!?
「よっし、成功。傑にもやらせよっと」
戦闘中に訓練すんなし! ああもう、調子狂うな!
乱戦に次ぐ乱戦。
「伏黒甚爾! お前の息子、伏黒恵は宿儺の器候補が1人! このまま禪院家に売っても、10年後に宿儺の供物にされて終わるぞ! 妻から託されたんじゃなかったのか!?」
「テメェ、なんでそれを知ってやがる!」
「自分の息子を宿儺の餌にして、日本を滅ぼしたい奴だけが天元様の同化の阻止をするがいい!」
「ああもうウッゼェな! 勝手にしろ!」
化け物による侵入者、伏黒甚爾への説得が完了し、化け物は逃げる。
「アホか、逃がすかよ! そもそもなんだお前!」
「逃げてー!」
そこで十六夜が俺の妨害をし始める。
「十六夜、ふざけてんのか!?」
「悪い、十六夜! 後で絶対パフェ奢ってやるから!」
「絶対だからね!!!」
そして、襲撃事件は終わった。
ということで、天内を連れて緊急会議である。
教室に行くと、傑はゲンコツを受けて正座中だった。
残当!
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マシュマロ
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