時は20XX年
場所は東京
ある男は語った。
「この世界は一見普通だが、行動を起こせば世界は変わる』
そんな世界へ、ようこそ。
…………タ……!
『……て…』
……タッ…!
『……て…!』
…ザッ…!
『待て…!』
ザッ!
警官『待てェェェ!!』
東京都のどこか、細い路地裏で彼は追われ、彼は追いかけていた。
??『っ……!しつこいな……!』ザザ!
警官『盗ったもん返しやがれ!逃げるなぁ!』ザンッ!ザンッ!
??『だから盗んでないって…の…!』グンッ!ガサ!
泥棒?の彼は路地裏のゴミ箱を警官に投げた。
警官『…ぁ…!』ゴロ…!ズルン!
ドサァ!
??『あしまった…!やりすぎたか…すいません!』ダッ!
警官が倒れた隙に、泥棒兼公務執行妨害人間の彼は路地裏の更に奥へと消えた。
警官『…っそ……本部!応援要請!応援要請!奴が逃げた!』ガチャ
警官『神影(みかげ)が捜索途中の路地裏から消えた!』ツー
―――
ーー
―
東京都のどこか、路地裏にある年季の入った昔ながらの一軒家に彼、神影はいた。
ガララ……
神影『ただいまぁ…ハァ……疲れたもー……最近のおまわりさん体力ありすぎだろ……』トサ…
神影は玄関に盗品?と思われる物を入れた袋を置き、畳の部屋へと四つん這いで行く。部屋には古いテレビ、畳、タンス等々、そして仏壇があった。
神影『じいちゃん……帰れたよぉ……』
仏壇には遺影があり、神影の祖父らしき方が写っていた。
神影『ハァ…じいちゃん、蘇ってくれよぉ……俺心細いよぉ…』
チーン…………
神影『ハァ……とりあえず「返す」前に、飯でも食うか
『な』 パリーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!
窓が割れる。
「……フゥ……」
大きく、トカゲみたいで、牙がある。
とても人間とは思えない、まるで怪物が吐息を漏らしながら立つ。
『へ』サッ
神影、無意識に動き、玄関飛び出し、路地裏向かう。
「……ハァァ……オォオオオォオオォォォオオオ!!!!!!!!」
怪物、追走開始。
1話 【始める】
―――
ーー
―
タッ!!ザン!
神影『死ぬッ…ァ…!』ザッ!!
ダン!ダン!ダン!ダン!ガシャン!ダン!ダン!ドン!ダン!ダン!
「ァァアアァアアァァァァアァ!!!!!!!!」ドンダンドン!
怪物は路地裏のなにもかもをなぎ倒しながら、神影に接近する。
神影『はっ…!や……!』ザザァ!!
ヒュン!!
ドン!!!!
神影『ぐあ!?!』ドサ!
「アアアオァァアオオ!!!!!!!」グン!!
怪物が持つ異様に鋭い爪で、神影は捕らえられてしまった。
「アァ!!」ヒュッ!
怪物が爪を振り上げる。
神影『あ……』
ダァン!!
「ガァァ…!」シュウウ……
神影『……!』
音の正体は拳銃だった。それも、さっきの警官の。
警官『お、おいィ!そこでなにしてやがるぅ!』キイイイン……
神影『…ッあ、おい!逃げろ!!死ぬぞ!!』グ…
警官『ほ、ほんぶ!オブジェ……オブジェクティブだぁ……!』ガタガタガタガタ
神影『おいっ!!早
……え』
神影が怪物に視点を動かすと、怪物はなんと発射された弾丸を見ていた。
「ガァアアァァアア……!アアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」
そして、まるで逆鱗に触れたかのように、怒った。
バンッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!
そして、飛び上がった。
警官『あ……!?』
そして、そして
ザ ン
ドチャ!!!!
警官は、死んだ。
神影『……ぁ…!』
ザン……
「ァアアアアァァアアァ……!!アアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」
自分も死ぬ、そう思った刹那。
「アア!!!!」ブン!!
怪物はなんと「透明」になり、どこかへと消えてしまった。
神影『…………助かった…のか……?』
―――
ーー
―
〔東京都 警視庁本部〕
『なるほど、既に1名死亡と……』
ワイシャツ姿の筋骨隆々男、背は高く、少しテイストを変えればヤ〇ザにもなり得る風貌の持ち主。
彼は五十嵐 吾郎(いがらし ごろう)、警視庁特別事案捜査部隊異形怪物抑止部門隊長だ。
五十嵐『んで、そいつが最後に残してくれたメッセージからオブジェクティブの存在が、ってわけか』
『えぇ、そうです』
白衣にメガネ姿でパソコンを打つ、正しく研究っ娘のような可愛らしい人。
彼女は宮間 奏(みやま かなで)、警視庁特別事案捜査部隊異形怪物抑止部門専門調査員だ。
宮間『しかもその警官さんは、直前まで例の神影を追いかけていたので、恐らくなにかしらの関係も含めての出現情報ってことです』カタ…
五十嵐『その神影はどこにいるんだ?』
宮間『今は不明ですね。監視カメラから、事前にオブジェクティブに追われていたのは分かってるんですが…その後がどーうも不自然に追えないんですよ』
五十嵐『…しゃーねえ、一課に声かけてもらって、神影捜索は任せるか……』
宮間『えーっ、珍しい!』ガタ……!
五十嵐『しゃーないだろ、これ以上被害を増やすわけにはいかんし……かといって重要参考人っぽい人間を見逃すわけにもいかない』
宮間『それはそうですけど……でも、相手にしてくれますかねえ?我々のこと』
五十嵐『ま、上からの命令、ってことなら出世のために動くだろ!あいつら』タ…
宮間『はは!違いねえですね!』カタ!
五十嵐『あ、それと悪いが、雨下と箱中への連絡、頼めるか?』
宮間『ふふーん、7分前にもうやっといたんで、もうじき着きますよ』
五十嵐『ありがとさん!』タッタッ!
―――
ーー
―
〔再び、神影の家〕
神影は散らばったガラス片の掃除と家の応急処置に追われていた。
神影『ハァ……なんって災難な日だ……』パラ……
神影は仏壇に目をやる。
神影『……じいちゃんなら、こういう状況も楽しめ……!とか言ってくれるんだろうなあ……』ス…
仏壇の引き出しを開ける。
引き出しには、機械のようなものがあった。
ガチャ……
神影『「これ」を使えば……会えるのかなあ、じいちゃん……』
ピンポーン!
神影『…!はーい!』ガチャ!
ガララ!
神影『はい……』
玄関の前に立っていたのは、一人の青年だった。
『…ん?……は?』
神影『ん……?えと、あーと、どうされぇ…ました…?』
『玄関がひとりでに開くって……そんなことあるか…?』
神影『ん…えと、も…!もしもーし!!』
神影が反応しても、一切青年には届いてないようだった。
『ま、いいか……神影さーん、おじゃまするっすねぇー』
神影『え、ちょ!あ!』
スカッ!
神影『!?』
神影が彼に触れようとしたが、まるで透明になったかのようにすり抜けたのだった。
神影『ど、どうなってんだこれ……』
『……これは……!』
神影『あッ!く!!』
神影は急いで家に戻った。
青年はさっきの機械を手に取り、唖然としていた。
『これ……インプリメントドライバー…!!??』
神影『インプ…インプレゾンビ?』
『これは回収しないと……!』
神影『あッやめろ!!』
ガチャ!
青年がそれを回収しようとしたが、神影は咄嗟に防いだ。
『ひ、ひとりでに浮いた!?サーカスかここはぁ!?』
神影『ひとまず物には触れられるわけか…!ヨシ!!』
神影は急いで玄関を飛び出した。
『あ!ちょ待て!!』ピッ!
[もしもし隊長!神影の家にインプリメントドライバーがあったッス!あと家がサーカスっした!]
五十嵐[は?]
―――
ーー
―
神影は市街地に向かって走っていた。
神影『ハァ…ハァ…この「透明化」…恐らくさっきの怪物の仕業か…!てなると、さっきの怪物と接触すればどうにかなるはず……というか、どうにかしたい!このまま透明のままだと、なんかこう嫌だし、いつもの「奪還」も出来なくなる……奴が、行きそうな所……仮に、仮にあいつが…スーパー残虐マシーンの思考回路なら、人を襲うはず…!だったら、ちょうど人が多い……スクランブル交差点ッ!!あそこに行き着いてもおかしくない!!』
ザッ!タタッ!!
『待ぁぁてぇぇぇ!!インプリメントドライバー一式ィー!!』ダッ!!
神影『足早!?もう怪物だろあのよく分からない人―!!』
フ……!
『え!?』
神影『へ……?』
神影は青年の驚愕のリアクションに、つい足を止めた。
『インプリメントドライバーも……消えた…?』
神影『インプリメントドライバー……って、これか…?…待てよ……ということは、これも消えたってこと!?やっば!早くあの怪物を探さねえと!』
ドォォオオォーン!!!!!!!!!!!
神影『!!』
『!??』ブオオオオァァァァァ…!!!!
パリン!!パリィン!!
聞こえてきたのは、街中からの大爆発だった。
[ッ!もしもし隊長!!交差点っす!交差点方面から爆発!]ピッ!
神影『来た…!』
神影はおもむろに走り出した。
―――
ーー
―
〔警察車両 車内〕
五十嵐[……つまり、神影らしき透明人間がドライバーと一緒にどこかに消えたと思ったら、巨大な爆発が聞こえたと?……なるほど分かった、俺たちも今そっちに向かっているから、第一に民間人への避難誘導、第二に神影の抑制を頼めるか?…あぁ、オブジェクティブは後回しで良い、あぁ、ありがとう、頼む]ピッ!
『…オブジェクティブの始末、後回しにして良かったんです?五十嵐さん』
五十嵐『…あぁ、推定元凶と思われる神影が爆発地点、つまり推定オブジェクティブ現在地点に向かっているのを見るに、直接接触をしてオブジェクティブに指示を与える可能性がある。そうなると、いくらオブジェクティブを倒したところで今後イタチごっこの可能性もある。それに、たとえ敵じゃなかったとしても、ドライバーを持っている以上話を聞く他ない』
『ま、私的に一番良いのは彼も被害者…!って、いうのが理想ですけどねえ』
『……?なんでだ?』
『だってぇ、【長年見つからなかったおせっかい泥棒がオブジェクティブにハマり犯罪!】より、【おせっかい中に被害!】っていう方がかっこよくない?』
『ばか、どっちもダサいだろ』
『えーいいじゃん!今の時代には珍しい慈善活動人間!しかも名前の通り、神隠しのような新進気鋭の存在!』
『おまわりさん見て逃げ出す奴が慈善活動してるか?普通』
『なんか事情あるんだよ!多分!』
五十嵐『はいはい、お喋りは終わりだ、二人とも!着くぞ!』
キィィィィィィーー……!
バタ!!
五十嵐『……ひどいな』スタ…!
現場は騒然としており、スクランブル交差点は火の海となっていた。おおよその半径はテープで覆われていたが、周りは野次馬だらけで警察官も対応に追われていた。
『……』スタ…
『うわぁ、こりゃまたすごいな』スタ……
タッタッ!
『隊長!』
五十嵐『お、来た』
『周辺一帯の一般人の誘導は完了!あの野次馬の距離が最大っす!』
先ほどから色々とアグレッシブなこの青年、いかにも新入社員っぽい風貌なこの青年。
警視庁特別事案捜査部隊異形怪物抑止部門隊員、小芝俊太(こしば しゅんた)。
五十嵐『ありがとさん、お疲れ』
小芝『はい!…ですが、依然として課題が何個かあって……』
五十嵐『何個だ?』
小芝『三個です!一個目に依然として神影の行方が見当たらない!二個目に怪物も見当たらない!そして最後に……』チラ…ス…
小芝は炎上の中心地を指差した。
小芝『あの中心に入れないんです、なぜか』
五十嵐『入れない?』
『…見た感じ、なにもなさそうだけどな』
『え、もしかして透明ドーム的な感じ?』
小芝『あぁその通りっす!見えない壁のようなものがあり、中にも入れず、放水も受け付けない状態っす』
五十嵐『なるほど、ならあの中心にオブジェクティブ本体がいる可能性が高いな』
『なら、俺がやりますよ』ガチャ…!
『私はドライバー調整中だからパス~』
五十嵐『あぁ、とりあえずあのドームを壊してくれれば
グニュウウン……!
!?』
小芝『え、あれって……』
五十嵐『あの顔…!』
見えない、透明ドームのドアをこじ開けたのは
ザ……
神影だった。
『あいつ、なにをする気だ!?』ダッ!
五十嵐『雨下!待て!』ダンッ!!
『ここで止めないと、なにか起きますよこれ!』ダッダッ!スッ!
バチィ!!
『ぐッ!? ドザァ!!
弾かれた!?』バッ!
『大河ァ、突っ走っちゃダメだよ!』タ!
五十嵐『雨下、落ち着け、あいつの手を見てみろ』ダ…
『手…?…!あれ、は、インプリメントドライバー…!』ガチャ!
五十嵐『あぁそうだ、今なにをするべきか?それはあいつがなにをするのか、見極めるべきだ。あのドームに入れたってことは、なにかしらの力が作用しているからな』
『…ですが……』
小芝『そうっすよ!隊長の言う通りっすよ!』
五十嵐『こういう時は冷静になれ。大丈夫、万が一の時は俺もいる』
『……!…分かりました』
〔透明ドーム内〕
神影『よう、怪物』
ボオオォオオォ…!
炎の中には、怪物が体操座りで鎮座していた。
神影『…お前、俺を呼んでいたんだろ?聴覚でも視覚でもない、感覚を通して……この……インプリメントドライバーとやらで』カチャ…
オオオ……
神影『初めて、味わった感覚……感覚どころか、無意識に近かったが……何者なんだ、お前』
ボワッッッッ
怪物「オオオオオオオオオオオオオオオオァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」
怪物は急に立ち上がり、咆哮した。
神影『……分かった、なにかに意識を奪われてるんだな』カチャ……
ス…カシュウウウゥッッカチャン!!
【インプリメントドライバー!】
神影『…ふう……不思議なもんだ、さっきまで怖かったのに……今では勇気が沸く』キィィィン…
神影の手に謎のライトのようなものが出現する。
神影『……じいちゃん、今は…習ったことしか出来ないけどさ、その代わり、習ったことを全力でやるよ……』
カチャ……
神影『おい怪物……お前の意識、奪い返してやる』
ダァン!!
【スティール!】
神影がライトをドライバーにセットすると、神影の背後から光が照らし出される。
神影『……』バ…
神影『変身!』
ガチャン!!
【発行動!】
【スティール!ピクター!】
カチャカチャッ……
【Go】
バシューン!!!!!!
『……そうだ、じいちゃん言ってたな…』タ……
『名前は、仮面ライダー』
ラベィジ『ラベィジ』
1話 終
ばななありがとうございました