Fate/True Hope   作:tetu1006

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2話 運命を変える為の一歩

レイフィスが日本に着いたのは大体昼頃だった。

日本に着いてすぐにパスポートの提示を求められる。当然今まで城の外に出なかったレイフィスはそんな物を用意する時間などなかったため、適当な手帳を見せながら暗示をかけることで手帳をパスポートと思い込ませる事にした。

そうして空港を出ると今まで通りにタクシーの運転手に暗示をかけて冬木市に向かった。

 

冬木に着いてからまずレイフィスがする事は拠点の確保である。彼はパスポートを手帳と暗示で誤魔化す辺り入国までは考えて居たがその後の事は全く無計画だったのだ。

何処かの不動産で暗示を使い拠点を買う事も出来なくはないが、すでにパスポートなしで不法入国をしている身、これ以上罪は重ねたくない。今までの行いに罪悪感を感じているレイフィスにそんなことは出来なかった。

どうしたものかと考えていると、

「おい、知ってるか?町外れにある古い廃墟の事。」

「ああ、あの50年前からあるって言う洋館の事だろ。」

二人の青年の話が聞こえてきた。

「なんでもあの洋館、人が住んでたのはほんの数週間だけだったから洋館の化け物に食われたんじゃないか、て噂だぜ。」

「お前そんな幼稚なオカルト話好きだな。あるわけないだろそんな事。」

そんな話声が通りすぎるとレイフィスはすぐにその洋館の場所を調べあげそこに向かった。

 

洋館に着くと確かにあんな噂が流れるような不気味さを感じたが、魔術師のレイフィスにはその正体がすぐに分かった。

「かなり効力が薄くなっているけど間違いない。結界が張ってある。」

結界が張ってある。それは、この洋館が魔術師に縁のある場所だと意味する。

幸いにも、結界は人を寄せ付けないようにする為だけの物だったので無視して入る事が出来た。

中には魔術を思わせる痕跡はほとんどなく魔導書も、あっても大したことは何一つかかれていなかった。ただ一つの名を除いて。

“ユグドミレニア”

ユグドミレニアとは魔術師の一族の一つである。そして、この洋館は50年前からあり、その時は丁度第三次聖杯戦争があった。この名前とその事実から分かるのは一つ。

「ここは第三次の時のダーニック·プレストーン·ユグドミレニアの拠点か。」

ダーニック·プレストーン·ユグドミレニア。それはユグドミレニア一族の長で前回の聖杯戦争でマスターとして参戦した魔術師である。

これ以上拠点にするのに持ってこいの場所はない。なにしろ一度拠点として使われているため魔術的処置はすでにされている。多少手を加えれば十分機能するだろう。さらに、あくまでもプレストーン家の術式なのでアインツベルンの者が拠点にしているとは思われない。

すぐにレイフィスは此処を拠点にするために作業に取り掛かった。

 

深夜、彼はサーヴァント召喚の準備をしていた。自分の用意した聖遺物が何かも調べがついた。

この布の切れ端は、フランスの百年戦争において前線で兵を鼓舞し続けた指揮官が振るった旗の一部。これから召喚される英霊をレイフィスは一人しか知らない。

<オルレアンの乙女>と呼ばれた聖女、ジャンヌ·ダルク。

彼女を呼び何のクラスにするかはもう決めた。クラスはルーラー、他のサーヴァントに対して十分有利に立てるクラスだ。当然ルール違反は承知の上、それでもレイフィスは聖杯を、穢れた呪いの塊を誰にも渡す訳にはいかない。

出来ない事もない。なにしろアインツベルンは此処とは別の並行世界でルーラーのサーヴァントを召喚している。その為に付け加える詠唱も考えてきた。

レイフィスは水銀で描いた魔法陣に間違いがないのを確認して聖遺物をその中心においた。

深呼吸をして詠唱を始める。詠唱を唱えるごとに大量の魔力が魔術回路に流れる。今までレイフィスは魔術を修練しているのがバレないように少しの魔力しか回路に流したことがない。その為、僅かな魔力を効率良く運用することは上手くなったが、こんな大量の魔力は今まで感じたことがないのだ。

それでも、遠くなる意識を繋ぎ止めながら詠唱を続ける。

 

「――――告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 

「誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷く者。

汝、平等にこの戦いを裁定する者。我は汝と共に裁定の力を振るうもの」

 

「汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

詠唱を唱えきると、辺りは光に包まれた。

その光が晴れると、魔法陣の中央に月のような金色の髪をしてその服の所々に甲冑を着けた少女が真っ直ぐこちらを見つめていた。

 

「問おう、貴方が私のマスターですか。」

 

今、運命を変える為の一歩をレイフィスは踏み出した。




2話の投稿もなんとか終わりました。
自分で書いててレイフィスのキャラがよく分からなくなりました。
暗示で色々やることに罪悪感感じて不法侵入、あげく勝手に住み着こうとする事はさも当然のようにやるなんて。
でもここは変えません。この事は、レイフィスがどこか人よりずれていると思って納得してください。
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