人類の敵として生まれた俺はどうやら女の子になって人類を救うようです 作:ふともも辺りに絡みつく触手
『サージェント』を倒したら『川』になってたヤツらはどんどん逃げ出していきそしてこっちが確認できる部分では自分たち以外のエイリアンは居なくなった
《オオムラ閉鎖都市》の救出作戦は成功した。人類側はどう見るかはわからんけど
というワケでススノキさん達を伴って突撃!人類の砦!!したいと思います!!
できるかな?出来ねー気がすっけど?いや普通に考えて『あなた達を助けたエイリアンですでへへー』って言って入れてくれるわけないやろ常識的に考えて今までずっと敵対的生物やった生き物やぞこちとら
まぁなんだ
どうにでもなーれ☆
えぇ……普通に入れてくれたなんでぇ……人間なんでぇ……ふえぇ人間のこと全然よくわかんないよぉ……(元男の現桃色髪少女)
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時間はA168達が《オオムラ閉鎖都市》に向かっている最中に遡る
「ここまでか……」
都市総合指令室の中、メガネをかけ長い黒髪を後ろで結んだ妙齢の美女がそんなことを呟く
彼女の名はヒイラギ
この《オオムラ閉鎖都市》の都市長、いわゆるこの都市のトップである
人間普通に生きてるだけで問題が出てくるのに《閉鎖都市》はギリギリの人類が作った最後の砦なのだ。問題はいくらでも湧いて出てくる
そんな場所を瓦解することなく運営してたのが彼女であり間違いなく才能にありふれた女性であった
そんな彼女だが絶望にどんどん覆われていくメインモニターを見つめながら都市長席に深く沈み込むしかなかった
エイリアンと戦ったら人間は必ず負け、そして死ぬ
それはエイリアンと戦ってこの方ずっと人類が教え込まれ続けたことである
足止めは出来ても倒せない。いくら爆発で吹き飛ばそうがいくら谷に突き落とそうがそれは変わらない事実である
もし向こうがこちらを殺す気なら人間が使えるありとあらゆる手を使ってどこまで逃げてもどこまでも追いかけてきて殺される
それほどエイリアンと人間の差があったのだ
そしてその学びから分かっている
『洪水』に呑まれた都市は、エイリアンに目を付けられた人間は、もう助からないのだと
「都市の全部に通達しなさい『あらゆる命令は解除、各自自分の判断で生きるように』と。皆今までありがとう、あとはあなた達も残りは好きにしなさい」
黒に覆いつくされたモニターを目の前に都市の長である彼女はそう命令した。それはもうどうしようもない絶望に覆われた人間が最期に出来ることだった
総合指令室から出ていくもの、それでも自分の使命を全うするもの、啜り泣きながら手持ちの銃に銃弾を入れるもの、どこからか酒を持ち出してきて晩酌をするもの
様々な様相を呈しているが全員が理解している
もう我々は終わりなのだと
それほどまでに人類は負け、心が折れ、諦観し、そして絶望している
この場所の状態は人類側ではどこでも当たり前の光景なのだ
「ススノキ、アナタにもう一度会いたかった……」
そして都市をまとめ上げていた彼女もそう終わりの言葉を呟く
かつて愛し合い、そして地位と家の問題で別れ、そしてもう会うことが出来なくなったかつての恋人
都市をまとめ上げてた女傑はただの女に戻り、そう未練の言葉を吐き、そして銃を手に取った
女性が片手で撃てる程度の拳銃。そのせいでエイリアンの足止めすら出来てないほどのひ弱な武器
今の時代エイリアンに効かないそれはただただ自決するためだけに存在していた
それをこめかみに当て、引き金に指をかける
そして
『こちらオオムラ拠点編軍 第21拠点臨時拠点長ススノキ!!オオムラ閉鎖都市応答願う!!』
突然外部からの通信に引き金から指を離した
それは『川』に呑まれ死んだと思われていた人間からの通信だった
一度は愛し合い、そして二度と聞くことはできないと思っていた声
「ススノキ……!!」
今がどれだけ絶望的でもその声を違えることはない
最期に奇跡が起きたんだと涙しそして
『今からそちらの『球天装甲』部分に《友軍》を撃ちだす!!誤射しても構わんが機嫌だけは損ねるなよ!!!!』
訳の分からない通信をしてきたかと思うとダムのある方向から無数の砲弾が打ち上げられた
「何を考えてるススノキ!!もうこっちは呑まれてるんだ!!逃げろ!!そんなことに意味なんて!!」
そう叫び声をあげる。向こうに届かないのは分かっているが彼女はそう声を上げざるを得なかった
事実『洪水』に呑まれたら『閉鎖都市』に籠ろうが人類はただただ『踏みつぶされる』だけなのだ
モニターに映された緑色の軌跡を描く砲弾はそのまま『球天装甲』部分に着弾しそして……
エイリアン達を消し飛ばした
文字通り、倒すことのできないハズのエイリアンを消し飛ばしたのだ
「…………は?」
その場を見てた誰もが言葉を失う
そしてアリ型のエイリアン達を吹き飛ばしたその中心に
桃色の髪をした少女型のエイリアンを確認した
「何!!?」
総合指令室に恐怖が走る
当たり前である。ただの最下位のエイリアン《ソルジャー》ですら討伐は不可能であるのに人型のエイリアン《エリート》なぞ恐怖そのものである
絶望と恐怖が入り交じり指令室は阿鼻叫喚になった
何をススノキ達はしたのだと混乱の極みに陥ったのだ
しかしその少女型のエイリアンは近くの人間を見た後、アリ型のエイリアン達を薙ぎ倒し始めた
人間が居たら人間に当たらないように
人間が襲われていたらかばうように
まるで人間を助けているような動きをしながら薙ぎ倒していった
「一体何が……」
その画面を見た者たちが一様に混乱していると多数の爆発音が響く
「ダム方向からの砲弾が『球天装甲』部分に着弾!!砲弾の中から人型のエイリアンが出現しています!!」
そんなそら恐ろしい報告がされるそして
「人型のエイリアンが……人を助けてます……!!」
そんな、あり得ない報告がなされた
「どういうことだ!!!」
ヒイラギの声でメインモニターが変わる
そこには
『動くな。そこでしゃがんでろ』
『これで大丈夫のハズだ。腕はあまり動かすなよ』
迫ってくるアリ型エイリアンを迎撃して人を助けつつ人の言葉を話す少女型のエイリアンと何かしらの方法で血まみれの人間を治しているこれまた人の言葉をしゃべる少女型のエイリアンが映っていた
「どういう……ことだ……?」
本当にワケが分からない
総合指令室はその空気一色に染まっていた
突然全員幻覚を見だした方がまだ理解できる光景だった
「都市長……!!」
1人が声をあげる
「どうした……?」
ヒイラギはこれ以上の何かがあるのかと恐れおののきながら次の言葉を聞く
「第21拠点の者達が……人間が……エイリアンを倒してます!!」
それは本当にワケの分からない、あるいは人類にはあり得ない報告だった
「……何?」
モニターがまた切り替わる
そこには少女型のエイリアンと大型の人型の機械のエイリアンと一緒に銃を撃ち、アリ型のエイリアンを銃で倒していく第21拠点編軍の人間が映し出されていた
そう、人類がエイリアンを倒したのだ
今まで人類が為し得なかったことをなしているのだ
「アリ型エイリアンを倒していってます……!!」
ここに至りさっきの言葉が蘇る
「これが……ススノキの言ってた友軍……」
人を助け、エイリアンを倒していく少女型のエイリアン達
そしてそんなモノたちと一緒にエイリアンを撃つ、エイリアンを倒せる銃を持つ第21拠点編軍
この二つが結びつかないわけがなく、あり得ない推測が立つ
「……はは」
それゆえに思わず笑みがこぼれてしまうのも無理がないだろう
今までの人類が味わった経験上、ここでその推測を信じるのは頭がおかしい人間しかいない
「でも現実はこうなっているのだからその推測を信じなければこんな奇跡起こるわけない」
そしてモニターは最初に砲弾と共に現れた桃色の少女がアリ型の司令官を倒しているところが映し出され
「人型の《エイリアンエリート》がアリ型の《サージェント》の討伐を確認。『洪水』が……無くなりました」
そしてその報告
メインモニターを見ればまだ点々とアリ型のエイリアンは残っているがそれも少女型のエイリアンにどんどん駆逐されていっていた
今まで『洪水』に呑まれた都市は例外なく踏みつぶされていった
人も、物も、全部全てエイリアン達に均され無くなっていたのだ
それが今は逆にエイリアン側が均されいなくなっていた
「都市長……」
指令室の全員の目がヒイラギに集まる
「我々は生き残った……人類史上初めて『洪水』したエイリアンから生き残ったのだ……!!」
重く、とても重くその言葉を吐く
瞬間、指令室が沸いた。
外に行った者たちを呼び戻すもの、被害状況の確認の為あちらこちらに通信をするもの、銃を床に落とし泣き叫ぶもの、生存祝いだと最期の晩酌を祝い酒にするもの
さっきとは真逆の意味で様々な様相を呈している
そう、ただ終わるはずだった。
ただただエイリアン達に踏みつぶされ死ぬだけだった
それが何の奇跡か、生き残っているのだ
「さて」
ヒイラギは座っていた椅子から立ち上がる
やることは山積みである
被害状況の確認であったり、人員の確認であったり、破られた各種壁や装甲板の修理であったり
そしてなにより
「人語を話し人を助けるエイリアン。彼女たちと話さなければ」
降って湧いたありえない奇跡
それを逃がすまいと行動に移すのだった