チビな3年生がティーパーティーに飼われる話 作:T-h208
なお、石はない模様
どーもどーも。最近お肌ツヤツヤな私です。いやぁ、セイアちゃん様と一緒に寝るようになってからお肌のツヤが凄い。今まで以上に爆睡できるし。もしかしたらセイアちゃん様って一種の危ない薬では?と最近思ってる。膝枕もやばかったし…。
さて、今私は何処にいるでしょーか!こっこでーす!ここ、ここー!先生ラブな黒服さんの前にいまっーす!何故?それはね、黒服さんから話があるらしいのでご尊顔拝見のついでに…って感じです。ですが今は、黒服さんから会いに来てくれるなんて嬉しいなぁ。なんて思ってた自分を殺したいです。
「ようこそいらっしゃいました。佐藤リセさん」
「こんにちはー」
「今回の話というのは以前からあなたの観察をしていたのですが」
「え」
「観察を通してあなたが外の世界からやってきたこと。……少し申し上げにくいのですが退行がどんどん酷くなっていることがわかりました。退行はあなたの神秘が原因だと思います」
「え、ま?……もしかして中身がその、元大人ってバレてます?」
黒服さんの無言の頷きで全てを察した。あぁ、終った。マジか、確かにティーパーティーの皆様にすっっごく甘えてたような気はしていたけど……。それが退行……私の場合は幼児退行か。前世の記憶あるし。前世の記憶が無ければ退行ですんだかもしれないのに。うぅ、よくよく考えてみれば今までの私の行動は、お母さんに甘える幼女のそれだった。…もう、みんなに会わせる顔がない。
「人生終ったみたいな顔をしているあなたへ、1つ提案を」
「記憶、全部消せるやつならやります」
「……記憶は消えませんが、提案を受け入れてくれるのならそれに見合った物を差し上げましょう」
スッと黒服さんが机の上に白い紙?を置いた。……なんかのやべーやつとかじゃないよね?例えば前世で厨二病のときに書いてた痛いあれやこれとか。さすがにそれがでてきたら死ぬ。あれはヒドイ。本当にヒドイ。
恐る恐る謎の白い紙を手に取り裏返してみる。
「っ!」
こ、これはっ!私が目にしたのはホシノの写真(盗撮)であった。過去おじから最新までいろんなホシノの写真が今、私の手の上にある。黒服さん!黒服さんっ!!あなた、最高ですよっ!!ふと、近くにあった窓に目を向けるとそこには完全犯罪者顔の幼女がいた。……私だ。ゲームの世界特有の美少女フィルターでまだ、見ても大丈夫な顔になっているが、たとえフィルターがついていてもダメだろう。その顔は。……落ち着け、私。一旦落ち着くのだ。ほら、素数でも数えてさ?ゆでダコはまだ許される。ゆでダコなら……?ゆでダコの時ってどんな顔してるのだろうか。アウトな顔じゃなければいいんだけど。よし、落ち着いてきた。素数は数えてないけど。
「はしゃいでいると思ったら急に落ち着く……。やはり、あなたは面白い。さて、それは喜んでいただけたでしょうか?」
「バカにしてるんですか?やります」
「随分と決断が速いようで。まだ提案内容は言っていないのですが」
「神秘の話を最初にしてたし、それ関係の提案かなぁと思って。ホシノの写真が貰えるならなんでもいいかな。右腕飛んでも化け物になっても……いや、それは嫌かも」
「提案内容はこの紙に書いてあります。あとはここに名前を書いていただければ、契約成立です」
「うーん、なるほど?えっと、佐藤リセっと」
黒服さんがくれた紙にぱぱっと目を通して、ぱぱっと名前を書く。提案内容は思っていた通り、神秘に関する研究の実験体になることらしい。月に10回、ここに来て大人しく実験体になればいいとのこと。……月に10回ってちょっと多くないか?週に2回は来ないといけないじゃん。あ、ちゃんと命の保証はしてくれるらしい。
「あれ、そういえばなんで黒服さんは私がホシノラブなこと知ってるの?」
「普段から小鳥遊ホシノさんの名前を呼ばれていたので」
「そんなところまで見てたのか……」
じゃあ、もう本編始まってるって知ったとき、ホシノをユメパイ先輩と一緒に幸せにするって誓ったのにって泣いてるところを見られたってことか。普通に恥ずかしい。
「ま、まぁ、その、今後長い付き合いになると思うのでよろしくお願いします」
「はい、こちらこそよろしくお願いします。佐藤リセさん」
こうして私は黒服さんとホシノの写真(盗撮)を貰う仲となったのだった。もちろん他の人、特にホシノにバレたらヤバいので写真は紙ではなく結構ちゃんとしたロック付きのデータファイルで貰いました。このことはちゃんと墓まで持っていくつもりです。
黒服さんの提案に同意してから何日かたった頃。私はミカちゃん様にマカロンを口に詰められながら思ったのだった。……セイアちゃん様の襲撃事件、なんか遅くないか?もしかしてエデン条約は起きない感じ?と。だからって油断はしないんだけどね。
「そういえば最近のリセちゃん、よく出掛けるよね」
うーん、うーんと頭を捻らせていると、ミカちゃん様がマカロンを詰めるのをやめてそんなことを言い出した。前よりかは出掛けるようになったけど、まだ2、3回程度だよ?ああ、そっか、前はほぼトリニティ内に引きこもっていたからか。
「そーかな?」
「確かに最近のリセは私に甘えてこなくなった。午前中は」
「ゲホッゴホッ。……それは、関係ないんじゃないか、な」
なんだ「午前中は」とはなんだ!別にやましいことなんてしてないでしょ!……してないよね?セイアちゃん様が変なこと言うから、マカロン変なところに入っちゃったよ。みんなに甘えないように頑張ってるのは事実だけど。だって!黒服さんに「お前、年齢的にJKのはずなのに全然JKじゃないじゃんw幼稚園児じゃんw」って言われたら、(言われてない)気になっちゃうじゃん!
「そうですね。最近、リセさんは私に甘えてくれなくなりました」
「私にも甘えてくれなくなっちゃったよね?」
「な、なんか話、ずれてない?」
「今日だっていつもは私の膝の上でお菓子食べるのに、『え、遠慮するね?』って!ぜっったい、何か隠してると思うの!」
「か、隠してはないよ?うん、その、バイト……そう!アルバイトを始めたの!」
あっっっっっぶね。甘えなくなった理由は言えないし、出掛けてる理由も言えない。うーん、上手く誤魔化せるかなぁ。でも、なんで出掛けてることと甘えなくなったことを結びつけているのだろうか。別にエッなお店にも行ってないし。報酬に写真がついてくるだけのいたって健全なアルバイトなのに。
「へー、どんなバイトなの?」
「えっと、社割がいいバイト?」
「ふーん」
「リセさんはお金に困っているのですか?」
「え?いや、困ってはないけど……その、大切な人のために(アビドスの借金返済に協力したいから)お金はあった方がいいかなって」
言葉にするのはちょっと恥ずかしいね。ユメパイ先輩を助けられなかったから少しでも何か力に……とは思ってたけど、言っちゃったらやるしかないじゃんね☆それにしてもさっきからミカちゃん様が変にニコニコで怖いな。
「?」
ん?何かおかしい。何故かみんな、顔を見合わせて何かを確認したかのように頷いている。……身の危険を感じる。すぐさま扉めがけて走ったのだが手遅れだったようだ。
「は、離して!」
「逃げるほうが悪いじゃんね☆」
ふわっと体が浮く。後ろからミカちゃん様に持ち上げられたようだ。そうか、私がチビだから持ち上げられたら浮くのか……。今度、黒服さんに会うとき身長伸びるようにならないか聞いておこう。
「今回ばかりはリセが悪い」
「私、なにもしてない!冤罪!」
「大切な人のことと出掛けてる理由、教えてくれるまで許さないからね?」
「待って!私、もうお腹いっぱいだからっ!ナギサちゃん様!ロールケーキ持ってこっち来ないで!!!まっ…ングッ!」
ーーー佐藤リセはロールケーキの刑に処された。
あまりにも騒がしかったようで近くを通っていた下江コハルには聞こえてしまったようだった。1年生だと思っていた先輩の無様な悲鳴が。
「何やってんのよ、あの人」
最初はまた何かやらかしたのかと思っていたのだが、やらかしただけではなかったようだった。
「わかった、私が、悪かったから……だから、ヒグッ、もう、ウグッ、やめてぇ」
「!?」
壁に近づき、聞き耳をたてていると先輩のなんというか、その、ちょっとR指定が付きそうな声が聞こえてきたのだ。
「……本当に何やってんのよ、あの人っ」
案の定、下江コハルは勘違いをしたのだった。
「黒服さん、私、人権を買われてしまったので外出できなくなりました……」
「何故?」
あのね、おチビちゃん。隠してないとか言ってるけどね、バイトしてること隠してたでしょ?
黒服さんを登場させたのは、ホシノの写真(盗撮)を貰う仲にしたかっただけです。