アンケートの締め切りは今日の18時ちょうどにします。
準決勝へ向けた最後の二回戦が進む中、フィールドでは次々と試合が繰り広げられていた。
常闇と飯田の一戦。開幕から常闇は冷静に相手の動きを読み、ダークシャドウを駆使して攻撃をかわす。飯田も食らいつくが、常闇の冷静な戦術眼が上回る。最後の一瞬、氷影のように静かに動いた常闇の打撃が決まり、ギリギリで勝利を掴み取った。
一方、切島と鉄哲は引き分けだったため、次の戦いは、驚くほど単純明快だった。腕相撲による勝負――力勝負の一瞬。互いの握力が火花を散らすようにぶつかり合う中、最後に切島が一気に押し切り、三回戦への切符を手にする。
続く切島の相手は爆豪。烈火の如き爆破を駆使し、突進する切島に対して爆豪は回避と反撃を正確に繰り返す。圧倒的な攻撃精度の前に切島は耐えきれず、力尽きた。
観客席の熱気は最高潮に達していた。
準決勝――時崎狂三 vs 轟焦凍。
セメントスが整えた広大なフィールドに二人が立つ。片や、時間を操る個性の魔弾使い。
片や、炎と氷をその身に宿す二面性の天才。
「……ここまで勝ち進めば、さすがに強者ばかりですわね」
狂三は優雅に微笑み、影から銃を顕現させる。
「……勝つ」
轟は言葉少なに構えた。
『キタァァァァァ!!準決勝のカードは反則クラスだぁ!!首席入学者 時崎狂三vs 推薦入学者轟焦凍!!勝つのはどっちだァァァ!?』
プレゼントマイクの声に、観客が総立ちになる。
ミッドナイトが腕を振り下ろす。
「――始め!!」
直後、轟が放ったのは広範囲を凍り付かせる氷の奔流。観客の歓声と共に、フィールドの温度が一気に下がった。
しかし、その猛威を前にしても時崎狂三の微笑みは崩れない。
「【
放たれた弾丸が氷の奔流を撃ち抜く。次の瞬間、轟の氷は確かに迫っているのに、僅かに“遅れ”を孕んでいた。その隙を縫い、狂三は軽やかに距離を取る。
「くっ……逃げる気か」
轟は眉を寄せる。
観客席には、ただ防戦一方に見えた。だが実際は違った。狂三は未来を見通す【
その最中、狂三は銃を――放った。
「……またか」
観客席の爆豪と物間が同時に顔をしかめる。これで三度目。相手に銃を投げ捨てる奇妙な行為。しかし、その裏には必ず意図があるはずだ。
轟は警戒する。
(単なるブラフか?それとも分身を囮に?)
迷った刹那、想定より早く一体の分身が銃を掴み、引き金を引いた。轟の肩に衝撃が走る。痛みはあるが致命傷ではない。すぐに氷で反撃に転じるが、その刹那、狂三本体が正面から射撃を浴びせた。
「そんな手、何度も効くかよ……!」
弾道を読み、辛うじて回避する。轟が勝ち誇るように吐き捨てたその瞬間――。
『本当にそうでして?』
背後。二人の時崎が微笑んでいた。直後、轟の背を撃つ銃弾の衝撃が連続して走る。
『なんと!時崎が投げた銃はブラフ!本命は後ろからの待ち伏せだったァ!!』
プレゼントマイクの解説に、観客席がどよめく。
(銃を投げたのは、後ろの分身に気づかせないため……!)
轟の額に冷や汗が伝う。読み切ったつもりが、逆に読み切られていた。
そして本体の狂三が間合いを詰める。
不意打ちの蹴りが轟の腹を抉り、反射的に身体が折れる。その隙を逃さず、額へ一発。乾いた銃声が響き渡った。
観客席が一斉にざわめきに包まれる。
『なんとぉ!!射撃オンリーだった時崎が、まさかの近接戦闘を仕掛けたぁぁ!?」
轟の頭に冷や汗が伝った。それでも彼は諦めず、氷と炎を駆使して応戦する。だが時崎は決して正面からは仕掛けない。分身で翻弄し、死角となるところから攻める。
やがて轟の呼吸が荒くなる。氷結の連発、炎の不慣れな制御。その両方を無理に振るい続けた結果、体力はじわじわと削られていった。
「……まさか」
観客席で緑谷が呟く。
「時崎さん、持久戦に持ち込んでる……!?」
轟の弱点。氷で試合を即終わらせることはできても、長期戦は不得手。炎を封じてきた過去の影響で、体温の調整も未完成。その穴を、時崎は見抜いていた。
そして、追い詰められた轟は、ついに炎を大きく灯す。
「これで……押し切る!」
轟が渾身の炎を纏わせ、最後の突撃を放とうとした瞬間、時崎の分身たちがその周囲に現れた。その数は軽く六体を超える。
「これを見て本当に押し切れると思いまして?」
分身たちが同時に囁く。瞬間、観客席からどよめきが上がる。
『なんと!時崎の分身が増えたぁぁ! まさに個性の応用無限大だ!!』
轟は眉をひそめ、一歩も引かずに攻撃を繰り出すが、分身の連続射撃が容赦なく彼を削る。肘、膝、頬、腕――全身に赤い線が走る。
周囲を氷や炎で守ろうとするも、銃弾はその壁を容赦なく貫く。そしてついに、轟の頭の周囲に、時崎本体と分身たちの銃口が円形に揃った。わずかな動きも許されない状況。
「どういたしますか、轟さん?」
冷静に響く声に、轟の胸の鼓動が早まる。炎を振るって反撃する間もなく、彼は静かに、しかし確実に呟いた。
「……参った」
一言、降参の宣言。
ミッドナイトの声がフィールドに響く。
「勝者――時崎狂三ッ!!!」
観客席は歓声と驚愕の入り混じった熱気に包まれる。静かに微笑む時崎は、その瞳にわずかの油断も残さず、完全な勝利を手にしていた。
ミッドナイトの宣言に、会場が割れるような歓声をあげた。
『オオオオーーッ!!見たかァ!?轟の圧倒的な力を、頭脳と分身で転がしやがったァ!!知略勝ちだァ!!』
プレゼントマイクの絶叫が響く。轟は膝をつき、歯を食いしばる。炎を全力で使い切る前に終わった悔しさが胸を焼いた。時崎はただ優雅に一礼する。
「力ではなく、策で勝つのも戦いの一つですわ」
その微笑みは、観客にとって鮮烈に映った。こうして時は――決勝戦へ駒を進めたのであった。
決勝戦を前にした控室。時崎は椅子に腰を下ろし、静かに目を閉じていた。呼吸を整え、頭の中で幾度もシミュレーションを繰り返す。
(爆豪さんには、目立った弱点があまりありませんわね……)
常闇を破った爆豪の勝ち方は、まさに圧倒だった。相性に恵まれた面もあるが、それを差し引いても実力の高さは疑いようがない。
彼女の戦法は、相手の隙や弱点を突くことに長けている。だが、爆豪勝己という男は防御の穴を埋めるように攻撃を重ね、強引に戦況をねじ伏せていく。彼女にとっては戦いにくい相手といえるだろう。
(……いざとなったら【切り札】を使うしかありませんわね)
そう決意を固めかけたその時だった。ガチャという音かなり、勢いよくドアが開かれ、爆豪本人が現れる。
「あ?なんでてめぇがここに……控室……ここ2の方か!クソが!」
乱暴な声とともに、眉間に皺を寄せる爆豪。
「相変わらず爆豪さんはお口が悪いですわね」
狂三は目を細め、挑発するように微笑む。
「少し改善したほうがよろしいのではなくて?仮にもプロヒーローになるのでしょう?」
「うっせえ、時崎!」
爆豪は吐き捨てるように返す。
「お前、今までの試合じゃ相手に降参させてきたが……俺はそんなことする気はねぇ!本気でかかってこい!それで上からねじ伏せる!手ェ抜いたらぶっ殺すぞ‼︎」
吐き捨てるように宣言し、踵を返そうとする爆豪。だが時崎はわずかに笑みを深め、言葉を投げかけた。
「爆豪さんが良いのならそうしますわ……。ただ後ろから撃たれて負ける...なんてことになっても、恨まないでくださいまし」
挑発にも似た一言。爆豪は振り返らず、舌打ちひとつ。扉を乱暴に閉め、その場を後にした。
残された控室に、狂三はひとり。
(……やはり面白い方ですわね)
小さく笑い、再び静かに呼吸を整えた。
そして、いよいよその時はやってくる。雄英体育祭、最後にして最大の戦い。
観客席から巻き起こる大歓声が、校庭全体を震わせていた。
『さあ、遂に来た来た来たァァァァッ!! 盛り上がれテメェらァァァ!!』
プレゼントマイクの絶叫に、観客の興奮はさらに高まる。
『トーナメントの決勝だぁぁぁぁ!!』
『ヒーロー科A組――爆豪勝己ッ!!VS同じくA組――時崎狂三ッ!!』
ここまで勝ち残った二人。爆豪は爆破による圧倒的な突破力と、鋭い観察眼で相手の弱点を嗅ぎ分ける実戦的な強者。対する時崎は、時間を操り、二手三手先を見越す策略家。知略と支配の戦い方で相手を追い詰めてきた。
戦い方も、生き様もまるで正反対の二人が――今、同じ舞台で激突しようとしていた。
ミッドナイトの号令と同時に、爆豪が爆ぜた。轟や常闇を叩き伏せてきた爆発の推進力が、一気に時崎へと襲いかかる。
閃光と轟音。視界が焼け、観客席は悲鳴と歓声に包まれた。
「おらァァァッ!!」
怒涛の連撃。地面を爆破し、空を爆破し、爆風で無理やり死角を潰す。その嵐を前にしても、時崎の微笑みは崩れなかった。
「……やはり真正面からでは、難しい相手ですわね」
かすめる熱気を紙一重でかわす。だが観客からは、防戦一方にしか見えない。プレゼントマイクが絶叫する。
『押されてるッ!爆豪の猛攻が止まらねぇぇぇ!!』
しかし、時崎とてただ逃げていたわけではない。最小限の動きで爆破をいなしながら――爆豪の攻撃パターンを冷静に読み取っていた。
「てめぇの個性は結局銃頼りで、当たんなきゃ意味ねぇんだよ!!」
爆豪が吠える。解説席の相澤は、思わず頷いた。銃弾が当たらなければ通常攻撃や《刻々帝》の効果がない。爆豪の指摘は正しい。
だが次の瞬間、爆豪の言葉を否定するかのように、時崎は懐へ潜り込もうとする爆豪の顎へ鋭い蹴り上げを放ち額に一発弾丸を当てる。
「ガッ!」
爆豪の頭が仰け反る。時崎は優雅に笑った。
「わたくしとて、そのぐらい考えておりますわ」
2人は距離を取り、やがて時崎は、両手の銃を爆豪に向けて放り投げた。
「またか!」
爆豪が舌打ちし、爆風で一気に踏み込む。
散々見せられた手口だ。同じ罠にはかからない。
「んなもん、何度も効くかよ!!」
爆音と共に拳を振り抜く。銃など無視、本体ただひとりを叩き潰すために。さらに爆破で小刻みに軌道を変え、空から叩き落とす算段――。
だが、その瞬間。
『きひひひひ』
不快な笑い声が背後から響き、爆豪の背筋が粟立った。一瞬振り返ると、二人の時崎が、先ほど投げ捨てられた銃を握りながら妖しく微笑んでいる。しかし、撃ってはこない。
(……撃たねぇ?)
違和感に気づいた刹那、爆豪の意識は無意識に背後へ逸れていた。いや、轟の試合を見てからずっと背後から何かが来ると思い込んでしまっていた。
「ッ……!」
その一瞬の隙。本物の時崎は分身を足場に軽やかに跳躍し、爆豪の頭上を取っていた。同時に周囲の分身たちが一斉に銃口を向け、火花のように銃声が連続して走る。
観客席がどよめき、プレゼントマイクの絶叫が響き渡った。
『出たァァァ!!また分身だァ!!だが今回はただの囮じゃねぇ!銃投げで“慣れ”を作り出し、爆豪の意識を後ろに縛りつけ、その隙を突いて真上から撃ち下ろしたァァァッ!!』
爆豪は奥歯を噛み締め、額に汗を滲ませる。
(あの銃投げ、全部……この瞬間のための布石かよ……!クソがッ‼︎)
苛立ちが爆ぜるように胸の内で燃え上がる。
しかし、眼下で舞う時崎は相変わらず涼やかな微笑を浮かべていた。
時崎の微笑みが、爆豪の胸をかき乱す。まるで自分の手のひらの上で転がされているような感覚――爆豪が何より嫌うものだ。
「……テメェ……」
低く噛み殺した声。
次の瞬間、爆豪の周囲で爆炎が膨れ上がった。
「ナメんじゃねぇぞッ!!!」
轟音。閃光。彼女の視界が白に塗り潰される。
先ほどまでとは明らかに違う。爆豪の爆破は荒々しく、しかしその爆風は推進力に変換され、弾丸どころか砲弾のように加速していた。
『おおっとォォ!!爆豪の出力が跳ね上がったァァァ!!これまでの爆破とは比べ物にならねぇスピードだッ!!』
プレゼントマイクの声が震える。
爆豪は汗を蒸発させながら、喉が裂けんばかりに叫んだ。
「全部だ!!全部ブッ潰して上に立つんだよ!!」
理性を飛ばし、怒りを燃料に、さらなる爆発で狂三を追い詰める。空気が焼け、観客の頬にまで熱が届く。
(……やはり、こう来ましたのね)
時崎は額にかすかな汗を浮かべながらも、なお笑みを崩さなかった。
「死ねぇェェェ!!」
爆豪の咆哮と共に、競技場が爆炎に呑まれた。
轟音。閃光。灼熱。視界の全てが炎に塗り潰され、観客席さえ熱気に晒される。
『な、なんだこの光景はァァ!観客席まで熱が伝わってきやがるぞ!!』
プレゼントマイクの声は半ば悲鳴にも似ていた。
それでも、時崎は崩れなかった。靴音を静かに刻み、分身を呼び出し、【
「クソがァッ!!」
爆豪は顔を歪めながらも冷静に思考を巡らせた。
このまま遠距離で撃ち合えば、持久戦に持ち込まれ削られる――。脳裏に閃いた答えはひとつ。
(中途半端に距離を取って爆破しても意味がねぇ……!なら、銃を振り回せねぇ至近距離で、一気に叩き込む!!)
爆豪は足場を焦がし、爆風を推進力へと変え、弾丸の雨を正面突破するように突進する。ただし頭をよぎった懸念が一つ。
時崎が爆豪の顎を蹴ったときの近接戦闘、あれを再び仕掛けられたら、こちらも一瞬の隙を突かれかねない。
それでも爆豪は迷わない。一直線に踏み込み、爆破の光で銃弾を弾き飛ばす。
「甘めぇんだよッ!!」
至近に迫った刹那、時崎が短銃を構え、引き金を絞った。銃口から放たれた閃光――その瞬間に爆豪は爆破で跳躍し、軌道をずらして時崎の背後を取る。
「死ねぇぇッ!!」
だが――
ノールックで狂三の銃口が背後へ向けられ、撃ち放たれた一発が爆豪の腕を掠めた。焦げた体操服が舞い、爆豪の動きがわずかに鈍る。
「ッ……!」
爆豪の目が見開かれる。振り返りもせずに背後を撃ち抜く精密さ。まるで全てを見透かしていたかのような時崎の所作に、観客席が一斉にどよめいた。
「……近づけば有利と考えるのは悪くありませんが、それでわたくしを倒せると思わないでくださいまし」
時崎の微笑みが、燃え盛る爆炎の中でなお冷ややかに浮かび上がった。
轟音と共に、爆豪が吠えた。
「ぶっ潰すッ!!」
「あらあら、怖いですわぁ」
時崎が煽るようにいうと凄まじい爆破が大地を抉り、黒煙が立ち上る。その一撃で時崎の分身たちはまとめて吹き飛ばされ、虚像のように霧散していった。観客席から悲鳴と歓声が入り混じる。
『おおっとォ!爆豪の爆破が分身ごと薙ぎ払ったァ!!』
爆炎をまとった爆豪は、そのまま地面を蹴り、再び爆破で跳び上がる。推進力を爆風に変え、空へ――。眼下に残る狂三を見下ろし、牙のように笑った。
「もう逃げ場はねぇぞ!」
空中からの爆撃。地を揺るがすほどの爆風が雨のように降り注ぐ。だが、狂三は臆することなく、またしても涼しげに口元を歪めた。
「……空を制するのは、あなたひとりではありませんわ」
刹那、彼女の影が滲むように揺らぎ、分身が次々と出現した。本体と分身が互いを踏み台に跳躍し、銃声を轟かせながら空へ舞い上がる。
爆豪の爆破と時崎の銃撃が、空中で激突する。
『な、なんとォ!?時崎が分身を足場にして……まるで擬似空中戦だァァァ!!』
観客席は総立ちとなり、歓声が嵐のように競技場を包んだ。
爆風が弾丸を弾き、弾丸が爆風をかいくぐる。
至近距離で爆豪が拳を叩き込もうとすれば、その影から銃口が突きつけられ、逆に彼女が撃ち込もうとすれば爆豪の爆破が火線を遮る。
「ちょこまかしやがってェッ!!」
「あなたが言えたことではありませんわね」
爆炎と銃声が空で交錯する。互いの持ち味を極限まで引き出した、まさに死闘。
空中戦の最中、先に床へと足をつけたのは時崎だった。黒い靴音が乾いた音を響かせ、その瞬間、爆豪は頭上から轟音を叩きつけるように爆破を放ち、彼女は分身と銃撃で迎え撃つ。
爆炎と弾丸が交差する。轟音と閃光が会場を支配し、「激しい」という言葉すら生ぬるく感じられる死闘が展開されていた。
観客席のA組の生徒たちは、その光景にただ目を奪われるしかなかった。
「うわー……すごいね!もう目がチカチカしてきた!」
葉隠が思わず声を上げる。語彙力が追いつかないのも無理はなかった。二人の戦いは、もはや言葉で表現できる領域を越えていたのだから。
「セメントス先生、大変そうね」
蛙吹が静かに呟く。実際、崩壊し続ける床をセメントスは必死に修復し、息を荒げながら汗を浮かべていた。
そんな中、上鳴が羨望の混じった声で言う。
「時崎の個性、やっぱ強えな。時間操れるなんてよ……」
だがその言葉を、八百万がきっぱりと否定した。
「いいえ、上鳴さん。それは誤解ですわ」
彼女の冷静な声に、周囲は一瞬疑問の視線を向ける。八百万は姿勢を正し、淡々と説明を続けた。
「確かに時崎さんの《刻々帝》は状況をひっくり返せる個性ですが、時崎さんが持つ銃の威力は普通より少し高い程度に過ぎません。爆豪さんや轟さんのように、一撃で圧倒する力は持っていないのですわ」
生徒たちは息を呑んだ。
「だからこそ……彼女は戦いの中で頭脳を研ぎ澄まし、策を巡らせて戦っている。時崎さんの強さは、個性そのものよりも、その使い方にありますわね」
一同が再び競技場に目を向ける。そこには、爆豪の苛烈な爆破を真正面から浴びながらもそれを躱し笑みを浮かべて迎え撃つ時崎の姿が映っていた。
明日からこの時間帯に投稿しますのでよろしくお願いします。