わたくしのヒーローアカデミアですわ   作:レゾリューション

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な、なんとか、書き上げた...


林間合宿-①

林間合宿当日がやってきた。

 

集合場所に集まったA組の面々に、早速絡んできたのはB組の物間だった。

 

「え?A組補修居るの?つまり赤点取った人がいるってこと!?ええ!?おかしくない!?おかしくない!?A組はB組よりずっと優秀なハズなのに!?あれれれぇ!?」

 

大仰なジェスチャーを交えながら、いつもの調子で煽り散らかす。

 

しかしその首に軽い手刀が振り下ろされ、物間は糸の切れた人形のようにその場に崩れ落ちた。

 

「ごめんな」

 

申し訳なさそうに頭を下げるのは、同じB組の拳藤。

 

「物間怖」

 

呆れた声が上がるが、B組の生徒たちは慣れた様子で誰一人驚かない。

 

(B組の皆さんが慣れている辺り、いつもの光景なのでしょうか?)

 

時崎は静かに首を傾げた。

 

空気を和ませるように、別の女子が声をかけてくる。

 

「体育祭じゃなんやかんやあったけど、まぁよろしくね、A組」

 

A組も素直に応じ、交流の場は自然に和んでいく。

 

その和やかさをぶち壊すように、峰田が下心全開でぼそりと呟いた。

 

「よりどりみどりかよ……!」

 

「おまえダメだぞ、そろそろ」

 

隣の切島から突っ込まれるが、すでに遅い。背後から冷たい声音が飛ぶ。

 

「峰田さん、それ以上粗相をするのであれば、あなたがどうなっても知りませんわよ?」

 

振り返ることもできず、峰田は今までにない速度で首を縦に振り続けた。

 

 

 

 

 

 

バスに揺られて一時間。ようやく休憩だと降ろされた場所は、ただの広い空き地だった。

 

「つか何ここ、パーキングじゃなくね?」

 

「ねえアレ?B組は?」  

 

「お……おしっこ……」

 

落ち着きのない声が上がる中、相澤が冷静に告げる。

 

「何の目的もなくでは意味が薄いからな」

 

その時――。

 

「よーーーう、イレイザー!」

 

「ご無沙汰してます」

 

派手な掛け声と共に、鮮やかなポーズを決める四人組の姿が現れる。

 

「煌めく眼でロックオン!キュートにキャットにスティンガー!ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!」

 

現れたのは、プロヒーロー・プッシーキャッツだった。

 

「ここら一帯は私らの所有地なんだけどね。あんたらの宿泊施設はあの山のふもとね」

 

その説明に、全員の視線が遠くの山へ向けられる。

 

『『『『遠っ!』』』』

 

(この展開は、まさか……) 

 

時崎の胸に嫌な予感が走る。

 

「今は9時30分、早ければぁ……12時前後かしらん」

 

「12時半までに辿り着けなかったキティはお昼抜きね」

 

相澤は淡々と告げた。

 

「悪いね諸君。合宿はもう始まっている」

 

次の瞬間、プッシーキャッツの一人が地面を操り、A組とB組をまとめて崖下へと落とす。

 

『『『『ぎゃああああぁぁぁ!!!』』』』

 

「私有地につき個性の使用は自由だよ!今から3時間!自分の足で施設までおいでませ!この、魔獣の森を抜けて!」

 

響き渡る声。その直後、不気味な影が木々の間から姿を現した。

 

「魔獣?」

 

時崎が思わず呟いた次の瞬間、唸り声と共に土でできた異形の獣が迫りくる。

 

『『『『マジュウだーー!?』』』』

 

クラス全員が悲鳴をあげる。

 

時崎は一歩前に出て、銃を顕現し弾丸の威力を高めて撃つと魔獣は弾け飛ぶように砕け散る。

 

(どうやら、この魔獣は土で出来ておりますわね)

 

彼女の分析した後、近くに現れた魔獣を緑谷、轟、爆豪、飯田がそれぞれの個性で粉砕していった。

 

こうして合宿の試練は、波乱の幕開けを迎えたのだった。

 

 

 

飯田の的確な指揮の下、A組は宿泊施設を目指して森を進んでいた。だが歩みを進めるたびに土製の魔獣が姿を現し、次から次へと行く手を阻む。

 

「はぁっ!」

 

「どけッ!」

 

それぞれが個性を繰り出し、バラバラに砕いていくものの、キリがない。

 

時崎は迫り来る魔獣の群れを二挺の古銃で迎撃していたが、撃ち続けながらふと閃いた。

 

(……【時喰みの城】を展開すれば、魔獣の時間そのものを奪えるのでは...)

 

彼女が影を広げた瞬間、触れた魔獣たちが力なく崩れ、ただの土塊へと還っていく。

 

(なるほど……その場で作られた存在に、そう長い時間を宿すことはできませんのね。しかし作られた時間も短いのであまり長く奪えませんわね)

 

とはいえ広範囲を一掃できたのは事実だった。飯田はすぐさま判断を下す。

 

「みんな、時崎さんを軸に動くんだ!彼女の範囲を活かせば突破できる!」

 

その号令で隊列が整い、A組は連携して森を切り抜けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後。太陽は傾き、ようやく宿泊施設が姿を現した。

 

「……3時間?誰だそんなこと言ったの……」

 

「腹減った……死ぬ……」

 

生徒たちはすっかりボロボロである。

 

出迎えたのは相澤とプッシーキャッツ。

 

「やーーーっと来たにゃん。……お昼は抜くまでもなかったねぇ」

 

「悪いね。『3時間』ってのは、あくまで私たち基準さ」

 

さらりと言い放つプッシーキャッツ達に、生徒一同が力なく崩れ落ちた。

 

(意地が悪いですわね……)

 

時崎はため息をこぼす。

 

そんな中、プッシーキャッツのマンダレイが楽しげに言った。

 

「でも正直、もっと時間かかると思ってたわ。私の土魔獣をあっさり攻略しちゃったじゃない。特にそこの5人」

 

彼女は指で時崎、轟、緑谷、飯田、爆豪を指す。

 

「三年後が楽しみ!ツバつけとこー!」

 

そう言うなり、時崎以外の、4人に唾をかけた。 

 

「ぶっ……!?」

 

「なにすんだテメェ!」

 

「マンダレイ……あの人、あんなキャラでしたっけ」

 

「彼女、焦ってるの。……適齢期的な意味で」

 

「適齢期と言えば――」

 

緑谷が口にした瞬間、凄まじい速さでマンダレイが詰め寄り、その続きを言わせなかった。

 

「と言えば、て!!」

 

「い、言っちゃいけない質問でしたね……!」

 

 

 

 

緑谷が誤解をとき、傍らの少年に視線を向けた。

 

「ずっと気になってたんですが……その子はどなたかのお子さんですか?」

 

「この子は私の従甥だよ。洸汰!ほら、挨拶しな。一週間一緒に過ごすんだから」

 

「あ、えっと……僕、雄英高校ヒーロー科の緑谷。よろしくね」

 

ぺこりと頭を下げた直後――。

 

ボスッ。

 

洸汰の拳が緑谷の股間を直撃した。

 

「きゅぅ....」

 

(……なかなか、良いパンチですわね)

 

時崎が妙に冷静に分析している横で、飯田が叫ぶ。

 

「緑谷くん!おのれ従甥!なぜ緑谷くんの陰嚢を!」

 

「ヒーローになりたいなんて連中とつるむ気はねぇよ」

 

洸汰はそっけなく言い放った。

 

「つるむ!?いくつだ君は!」

 

「マセガキ」

 

爆豪が鼻で笑うと、隣の轟が呟いた。

 

「……おまえに似てねえか?」

 

「あ!?似てねぇよ!!」

 

即座に噛みつく爆豪。だが時崎が冷静に訂正する。

 

「そうですわ、轟さん。洸汰さんはきっと……爆豪さんの歳の離れた弟なのでしょう。弟は兄の背中を見て育つと聞いたことがありますわ」

 

明らかに冗談めかした口ぶりだった。だが、轟は微塵も疑う様子を見せず、真剣な顔のまま小さくうなずく。

 

「そうなのか」

 

その真顔の反応に、周囲の数名が思わず吹き出しそうになり、爆豪の怒気がさらに燃え上がった。

 

「違うわ!!さっき従甥つってただろうが!!なに信じてんだよ天然野郎!!時崎、テメェは適当な嘘吹き込んでじゃねぇ!」

 

「違いますの?」

 

「違ぇっつってんだろ!!クソが!!」

 

爆豪の怒声が、夕暮れの空に虚しく響き渡った。

 

 

 

 

 

夕食を終えた生徒たちは、心地よい疲労感に包まれながら温泉へと向かった。相澤の言葉どおり、今日だけは用意された食事だったが、明日からは自炊が待っていると聞かされ、皆一様にため息をつく。

 

だが、今はその現実を忘れ、温泉で体を休める時間だ。

 

女子風呂では湯気が立ちこめ、和やかな声が響いていた。

 

「気持ちいいですわね」

 

「そうですわね。お家のお風呂よりは小さいですけれど、いいお湯です」

 

八百万が上品に微笑めば、隣の芦戸が驚いたように声をあげる。

 

「家の風呂でかっ! 流石ヤオモモの家!」

 

笑い声とため息が交じり合い、疲れた体を癒すひとときが流れていた。

 

 

一方、男湯では事情が少々異なっていた。

 

 

「まァまァ……飯とかはどうでもいいんスよ。求められてんのはそこじゃないんスよ……」

 

峰田が湯船に浸かりもせず、じっと男女の仕切り壁を見つめていた。

 

「一人で何言ってんの峰田くん……」

 

緑谷が不安げに声をかける。

 

「ホラ……今日日、男女の入浴時間をズラさないなんて……これはもう事故なんスよ……」

 

妙に神妙な声色で語る峰田に、飯田が立ち上がった。

 

「やめたまえ!峰田くん!君のしていることは己をも女性陣をも貶める、恥ずべき行為だ!!」

 

だが峰田は、どこか優しい声音で答える。

 

「やかましいんスよ……」

 

その異様な響きに場が一瞬固まった。切島が口を開く。

 

「つか峰田さ、あのとき、時崎に後ろから宣告されてただろ?粗相したらどうなってもしらねぇぞって」

 

だが次の瞬間、峰田の体が閃光のように走った。個性を全開にして、壁を駆け上がっていく。

 

「オイラは、あん時壁を超えられなかった! だからこそ、壁とは超えるためにある!! Plus Ultraァァァ!!」

 

「校訓を汚すんじゃない!!」

 

飯田が絶叫する。雄英がなぜこんな人物を合格させたのか、誰もが一瞬疑問に思うほどだった。

 

だがその壁の上、峰田を待ち構えていた小さな影があった。洸汰だ。棘付きの帽子をかぶり、鋭い眼差しで下を見下ろす。

 

「ヒーロー以前に、人としての常識から学び直せ」

 

洸汰の手が鋭く峰田の手をはじき、衝撃で峰田の体は湯船へと叩き落とされた。

 

「くそガキィィィィ!!」

 

悲鳴とも断末魔ともつかない声をあげる峰田。その響きは、もはやヒーロー候補生のものではなく、ヴィランじみた怨嗟に聞こえた。

 

男湯に、呆れと失笑が混じった溜息が広がった。

 

「まだだぁぁぁぁ!!!」

 

湯船で呆然と見守る男子たちを尻目に、彼は再び壁へと挑みかかる。全身を震わせ、湯気と汗と欲望にまみれた姿は、もはや英雄的執念ではなく、ただの業そのものだった。

 

「ま、まさか……もう一度登る気なのか!?」

 

飯田が愕然と声を上げ、緑谷も顔を引きつらせる。しかも、今回は洸汰を警戒してか、ジグザグに移動していた。

 

「策を講じるほどのことか……」

 

轟が呟く。

 

だが、その努力は一瞬で打ち砕かれる。

 

「なら、わたくしは、高い壁となり、あなたを徹底的に妨害いたしますわ。ねぇ、峰田さん

 

女湯側から響いたのは、冷ややかでよく通る時崎の声だった。次の瞬間、洸汰が陣取っていた位置に、彼女の分身が音もなく出現する。

 

姿は見えない。だが、壁を這い上がろうとする峰田の頭上には、確かに無慈悲な銃口が突きつけられていた。

 

「ひっ……ま、待っ」

 

言葉の続きは銃声にかき消された。乾いた音と同時に、峰田の悲鳴が湯気を裂く。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

その小さな体は、支えを失った蛙のように宙を舞い、湯船へと叩き落とされた。派手な水しぶきが立ち、男湯は一瞬の静寂に包まれる。

 

「……やっぱり、あの人容赦ねぇ」

 

切島が肩を竦め、誰ともなく呟いた。

 

沈む峰田を助け起こそうとする者は、一人としていなかった。

 

彼の断末魔じみた悲鳴は、もはや同情を呼ぶことなく、ただ哀れな失笑と共に湯けむりに溶けていった。

 

 




爆豪と時崎の関係

時崎:爆豪のストッパー兼爆豪、煽り係

爆豪:時崎の煽りの被害者兼、時崎のボケにツッコミ入れる係
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