仮面ライダーアウトサイダーズ the other 〜永遠のヴァルハラ〜 作:大島海峡
分厚く鈍い色味の、灰色の雲。
大きく重く巡る風車の塔。
その上で、二体の戦士が鎬を削っていた。
塔の天辺で待ち構えるは、人々を亡者に換える一歩手前であった、白き兵士。
もう一人――否、二人は、左右非対称の色を持つ、その街の守護者。
自前の飛行ユニットで強襲を仕掛けた後者は、異形化した己の色を組み分けながら、種々、遠近様々な猛攻を畳みかけていく。
その決戦に至るまでは圧倒的な優勢で事を運んできていた不死者は、その勢いと技の豊富さ、何より魂で圧され始めていた。
それに抗うべく、彼の切札を起動させる。
ガイアメモリ、ゾーン。
降下範囲内にある最新型のT2メモリを自らに吸い寄せ、その力を統合させる特性を持つ。
いくつも重なるガイダンスボイス。
――メモリの数が違う……終わりだ!
緑碧の妖炎をみなぎらせた彼は、そう言って足場としている風車を相手ごとに断つ。
巻き込まれた守護者は、そのまま街のシンボルもろとも墜落する。
そう、想われていた矢先だった。
誰ぞが、落ちゆく守護者を呼ぶ。
誰ぞが謳い始めた、その通り名を。
それはかつて彼らに救われた人々を中心に広がっていく。
――負けないで、仮面ライダー……!
無数の祈りが、偶々に吹いた風に乗せて、彼らへと運ばれていく。
――風だ……
――僕たちに、力を!
それを受け取った戦士――仮面ライダーの中枢たる水晶体が、金色に輝く。
そして広げられた翼が大きくうねって彼らを救い、浮上させる。
増していく勢いのままに、天へと向けられた両足が、動揺する不死者の正中を打ち抜いた。
――これが……!? そうか、これが……!
――そう、それが死だ。
――久しぶりだな、死ぬのは……っ
自らの身体を貫く感覚。冷たさ。
死者と自認しながらついぞ忘れていた感覚に、思わず笑いが零れる。
その笑いの中で、彼の『骸』は膨大なエネルギーを受け止め切れず、爆散した。
――その、一連の光景を、一人の男がモニタリングしている。
その痩躯と長い手足に、フィットしたスーツ。だが、地面に擦るほどに裾は長い。
彼にとっては、数多の場所で積み重ねられてきた
「成程、成程」
目尻に溜まった涙をハンカチで拭いながら、彼は軽く何度もうなずいた。
「確かに、これは人気が出る。眼の肥えてきたオーディエンスを満足させるには、こういうカンフル剤も必要ということか」
そう呟きつつ窓へと歩み寄り、外界を見下ろす。
天を覆うは赤黒い雲。
地に満ちるのは、異形の戦士たちによる、果ての無い血みどろの闘争。
それらを繋ぐのは、一筋の糸のようにさえ見える、銀色の塔だった。