仮面ライダーアウトサイダーズ the other 〜永遠のヴァルハラ〜   作:大島海峡

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4.新たに加わる者

 そして、クロトーの出る番となった。

「来たか」

 鬱蒼とした森林地帯に続く、そこに続く道沿いの枯木にもたれかかり、例の不敵な笑みと共に、大道克己は彼女を出迎えた。

 

 一度ジロリとそちらを睨み上げた彼女だったが、克己の眼前をそのまま素通りした。

「先回りして待ち構えておいて、『来たか』もないだろう。相方なら他を当たれ」

 呆れ気味に毒づきながら。

 

「私は他の奴らの嗤う通りの、負け犬だ」

 その風体に似合わない、卑屈な物言いで締めた彼女に、克己は「ほう?」と軽く嘆を放つ。

 ますます興味が湧いたかのような様子で、その後をゆったりとした足取りで追う。

 

「こんなゲームに、真っ向から抗うような奴のセリフとも思えんな」

「……買い被りだ。ただ逃げ回っているだけに過ぎん」

 俯きがちになりながらクロトーは、足を止めて奥歯を噛み締めながら呟いた。

 

「もううんざりだ。誰かの思惑に踊らされるのは」

 

 かつて彼女は、力を求めて動き続けた。

 いや、力の求めるままに動かされ続けた。

 それが身も心も、人ならざる魔性の者たちに利用されたことだと知らず。

 

 結果、本当に大事だったもの、その力を以て守りたかった何もかもが、頑なに握り固めた拳からすり抜けていった。

 

「貴様……たしかエターナルとか呼ばれてたな? 永遠が名の由来か」

「あぁ。永遠を求める心、それが俺とエターナルメモリとを引き合わせた」

 自身のアイテムらしいその短冊状の魔道具を引き出し、大道克己は薄笑いを浮かべた。

「……貴様も同じか」

「は?」

「形ばかりの永遠。己一人だけの理想郷。そんなものに、何の意味がある?」

 

 黄金世界エルドラド。

 クロトーの旧主もまた、不死性、永久性を追い求め、理想の世界を築かんとした。その過程に何が犠牲になっても、一向に顧みることなく、一片の感情さえも傾けることもなく。

 

「……確かにな」

 と、目を細めたまま克己は言った。

 そして何かを悟り得たように一瞬その歩みを止めた彼は、肩を揺すって声に出して笑い出した。

 狂ったのか、それとも元より狂っていたのか。眉をひそめたクロトーに、克己は言った。

 

「――あぁ、そうだな。俺としたことが、長い間にすっかり忘れちまってたよ。俺の求める永遠は、ただ死なないことじゃない。そんなものはゾンビと変わらん……俺が求めたのは、肉体ではなく、その存在を永遠のものにすること。世界に、俺が生きた証を残すことだった」

 

 そう自らを省みたような物言いをした彼は、再び意識と目を、クロトーに向けた。

 

「だから俺は、あの神様気取りの連中にも俺という存在を焼きつけてやるのさ。お前も、むざむざ殺され続ける状況を良しとはしていまい? 使いどころの分からん命なら、俺に賭けろ」

 

 だが何処から来るかもしれないその自負と、断固たる意志の強さは、身内を裏切り、また逆に裏切られて全てを失った挙げ句、生死を繰り返すクロトーには、無いものだった。ゆえにこそ、羨む。善悪定かならぬ、一筋の光明に見える。

 

 彼女が口を開きかけた時、

「待ってくれー!」

 と、伸びてきた。

 

 一人の男が、彼女たちに向けて小走りに近寄ってきている。

 声は甲高く若々しいが、ずいぶん物々しい様相だった。当世の――たしかパンクロックとかいう装いだったか。鎖を頚から掛け、黒革の上着を羽織っている。そして顔の中心には斜めがけに、大きな傷痕が生々しく残っている顔はしかし、それ以外は童顔である。

 

 ロビーで見覚えがある面、この狂宴の参加者の一人であるライダーだった。

 

 臨戦の構えをとる二人に対して両手を掲げ、交戦の意思がないことを見せた彼は、

「俺も仲間に加えてくれっ」

 と早口で願い出た。

 

「……は?」

 ドスの利いた声で問い返すクロトーに、一瞬怯む様子を見せつつも、

「いや、実は俺もお前らと一緒で、こんなバカげた戦いを終わらせたいと思ってたんだ。だから、協力させてくれよ」

 と、食い下がる。

 

「行くぞ」

 克己はそれを無視して、踵を返した。

「命令するな。まだ組むとは言っていない」

 こういう手合いは無視するに限る。クロトーもまた、その点については克己と同意見だった。

 

「まっ、待ってくれよ!」

 何か急いた様子でせかせかと進路に回り込んで来た男は、

「この先に、抜け道があるっ。きっとそこからなら、外に出られるはずだ!」

 と声を裏返して言った。

 

 克己は足を止め、胡乱気に男を見返した。一応は耳を傾ける気になったらしい彼に安堵したような表情を浮かべる彼は、歯を見せながら手を差し出した。

 

 

 

影山(かげやま)(しゅん)だ。よろしくな」

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