バカは怖いもの知らずとよく聞くが、このバカは常軌を逸している   作:狂骨

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変な奴が来た

 

皆さんは妖怪という存在を知っているだろうか?身近にいて身近にいない超常的な存在である。古くから書物よりその存在は明かされてはきてはいるものの、目にしたことがない者が殆どである。

 

 

故に世間一般的にそんな者は存在しないとされていた。

 

 

だが、妖怪というものはそういう人達の前に現れるのだ。時には幸福を与えるが、時に不幸も与える。そんな妖怪を祓う人々もいた。

 

 

そして、中にはそんな妖怪を恐れず素手で殴り飛ばしたり、“斬り飛ばす”規格外もいたのだ。

 

○◇○◇○◇○◇

 

童守小学校5年3組

 

ホームルーム前では、クラスはざわめいていた。

 

「なぁなぁ!今日、転校生が来るらしいぜ!?」

 

「え?そうなの!?知らなかった〜……え?新しい先生も来て転校生…なんでこのクラスだけ?」

 

黒くやや長い髪を持つ背の高い少年『克也』の言葉に緑色のおかっぱな髪を持つ『細川美樹』は驚きの声を上げる。

 

彼女らだけではない。他のクラスメイト達も、“新しい担任の教師”の赴任に続き新たな転校生にワクワクが止まらず、その話題で持ちきりであった。

 

「転校生か〜。かっこいい子がいいなぁ〜」

 

「は!馬鹿だなぁ。こんな時は可愛い子だってのが相場だろ!」

 

「克也はいつもそうなのだ…この前だってスマホでそういう変なサイ___」

 

「うぉおおおい!!やめろまことぉおお!!」

 

 

すると

 

ガラガラ

 

「よぉし皆!席につけ!ホームルーム始めるぞ!」

 

扉が開かれ、背の高く体格の良い黒い髪の青年が出席簿を持ちながら入室してきた。

 

彼の名は『鵺野鳴介』この5年3組の教師である。最近になって赴任してきたばかりであるため、ある一名を除いてクラス全員とはまだ関係は築けてはいないが、多くの生徒達からはぬ〜べ〜と呼ばれ親しまれているのだ。

 

そんなぬ〜べ〜は教卓につき、全員が席についたことを確認すると切り出した。

 

「さて、皆も知っているとは思うが、このクラスに転校生がくる!長野県から引っ越してきたばかりで此方にも慣れていないらしいから、仲良くしてあげてくれ!」

 

そう言いぬ〜べ〜はドアに向けて声を掛ける。

 

「よし!入ってきて良いぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん?」

 

呼びかけても返ってこない事にぬ〜べ〜は首を傾げ、廊下に繋がる前扉を開けるが、そこには肝心な転校生の姿が無かった。

 

「どうしたの?ぬ〜べ〜。転校生は?」

 

「いや、さっきまで一緒にいたんだが…」

 

クラスの中で一番、付き合いのある少女『稲葉郷子』に答えながらぬ〜べ〜がもう一度、廊下に目を向けようとした。

 

 

 

 

その時であった。

 

 

ドドドドドドドドド

 

「ん?」

 

 

廊下から何やらものすごい音が聞こえてきた。その音は次第に近づいてくる。

 

そして___

 

___ドシャァアアアン!!!

 

クラスの目前まで近づいてきた途端、急なブレーキ音が響き渡り、クラス全員の目線が廊下方面のドアへと注目する。

 

 

そこに立っていたのは____

 

「失礼!!大腸との戦いで遅れてしまいました!!」

 

____黒い短髪の小柄で筋肉質な男子生徒だった。

いや、小柄どころか、その背丈はクラス一の小柄なまことと比較しても彼より少し高い程度だ。

 

「ここが5年3組ですか」

 

すると、その男子生徒はいきなりクラスにズカズカと入ってくると、ツインテールの少女に近づき頭を下げる。

 

「先生!!おはようございます!!ギリギリセーフですか!?」

 

「えぇ!?」

 

突如として話しかけられた上に頭を下げられた稲葉はアタフタし始めるも、即座に訂正する。

 

「いや私先生じゃないからね!?先生はあっち!!」

 

「なぬ…!?」

 

 

すると

 

ボスっ

 

少年の頭の上にぬ〜べ〜が出席簿を置いた。

 

「どこ行ったかと思えばトイレか?勝手にいなくなるのは感心しないぞ。『黒田 翔一郎』くん」

 

「ぬ!?これは失礼いたしました…」

 

○◇○◇○◇○◇

 

その後、突如として現れた生徒をぬ〜べ〜は教団の前に立たせて黒板に名前を書いて紹介する。

 

「今日から皆と同じクラスになる『黒田 翔一郎』くんだ。仲良くするように。君も何か自己紹介とかしてみるか?」

 

「えぇ。では」

 

ぬ〜べ〜の提案に翔一郎は頷くと、前に立つと_____

 

 

 

___腰を低くしながら右手を差し出した。

 

その瞬間

 

「…ヌン!!!」

 

鋭い瞳が皆を捉える。

 

 

__ババン

 

「お控えなすって!!」

 

「「「「「…ん!?」」」」」

 

「拙者…生まれは長野…育ちも長野…この度は父の転職に伴い、こちらへ引っ越してまいりました。黒田家長男『黒田翔一郎』と申します。以後、お見知り置きを!!!」

 

 

ババンッ!!!

 

なんと言って良いのやら。マイペースすぎるその自己紹介に始まり、何故か決まっているポーズにどこから吹いているか知らない花吹雪。皆は勿論、ぬ〜べ〜までも、もうどうしたら良いのか分からず固まってしまっていた。

 

「なるほど。いい生徒達じゃないですか。先生」

 

「いやお前も生徒だから…と言うか何その感想!?今お前の自己紹介に固まってるんだよ!?」

 

「失敬な。私の自己紹介のどこにそんな部分が?」

 

「全部!!全部だよ!?」

 

そんな中であった。

 

「えっと…ちょっといいかな?」

 

自己紹介から一連の動きに引いていた美樹が恐る恐る手を挙げると、その少年へと尋ねる。

 

「黒田くんってまさか…その筋の人…?」

 

その言葉に皆も固唾を飲みながら少年に目を向けると、少年は首を横に振る。

 

「いえいえ滅相もない。母も父も会社員の普通の家庭です」

 

「あ…そうなんだ!良かった〜!喋り方がそういう系だったから不安だったよ〜」

 

美樹に続いて、その言葉を耳にしたクラスの皆も胸を撫で下ろす。

 

そんな中、少年の目が美樹へと向けられる。

 

「ところでお嬢さん。貴方のお名前は…?」

 

「お…お嬢さんだなんて〜!上手い事言うな〜♪」

 

「じゃあおばさ_____」

 

「それ以上言ったらぶっ飛ばすよ?私は細川美樹!よろしくね!」

 

「なるほど……ぬぬぬぬ………」

 

名前を耳にすると、またもや少年は少女に向けて手を翳す不可解な行動へと出る。

 

 

そして

 

「ヌッ!!!」

 

力強く握り締めるとこう告げた。

 

「今から貴方の名前は『みっちゃん』だ」

 

「「「「「は…?」」」」」

 

「いいかい?みっちゃんだよ?分かったら返事をしなさい!ほら!!みっちゃん!!」

 

「湯婆婆!?いきなり湯婆婆!?元より明らかに増えてるし!!というかそれやりたかったから名前聞いたの!?」

 

 

すると

 

「コラ。出会って早々、名前を奪うな」

 

「アウチ」

 

ぬ〜べ〜の出席簿が再び翔一郎の頭に置かれた。

 

「もう授業始めるぞ。席は一番後ろだからな」

 

「合点承知の助にございます」

 

その後、なんやかんやあったが、無事に自己紹介が終わるのだが、皆は確信する。___

 

 

「「「「「「ヤベェ奴が来た……」」」」」」」

 

 

_______コイツは“疲れるし面倒くさい奴”だと。

 

 

 




黒田 翔一郎

身長 135センチ

黒い短髪に筋肉質な少年。白いタンクトップに長ズボンというジブリアニメの○んたのような服装だが、それ以外は特に何の変哲もない外見だが、言動、趣味、行動、何もかもが常識の範疇から外れた『ヤバい奴』
話しかけてきた人にあだ名をつける癖があり、その際は必ず手を掲げてギュッと握り締める。
それによって、美樹を“みっちゃん”と呼ぶようになった。
また、鍛えているためか、筋肉質である。

特技:武術と剣術(趣味といじめ対策)

日本刀を家に飾ってあるけど、絶対に握らない
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