バカは怖いもの知らずとよく聞くが、このバカは常軌を逸している 作:狂骨
翌日。クラスはぬ〜べ〜ではなく、完全に転校生の話題で持ちきりとなっており、克也、まこと、美樹、広、郷子の5人は集まって昨日の転校生について話していた。
「いやぁ…それにしても昨日の転校生は凄かったな〜」
「ねぇ〜」
「授業中は静かだったけど、答える時なんか原理や豆知識まで言ってたし」
「しかもランドセルの中に“おもちゃの日本刀”入れてたのだ!!」
克也の言葉に美樹、郷子、まことの3人は続けて頷いていく。
「そういえば、確か席って広の隣だよね?どう?だったの?」
「いや?特に何も」
その時であった。
カン、カン、カン、
「え?下駄の音…?」
何やら廊下から下駄の音が聞こえ、その音を耳にした皆や広達は話を止めて廊下に目を向ける。そこには___
「おはよう諸君」
「「「「「「!?」」」」」」
___なんと血だらけの鯛を担いだ翔一郎が立っていた。
「「「「「(なんか担いできたぁああああ!?)」」」」」
ピチピチピチピチ
「さて、ぬ〜べ〜先生がりっちゃん先生(律子先生)にシバかれてショックを受けたから遅れるとの事で、今朝のホームルームはこの私が請け負う事となった」
「「「「(いやその前にその鯛はなんだ…!?)」」」」
ピチピチピチピチピチピチ
「さぁ皆!ホームルームを始めるぞ!!」
「「「「(無視!?生徒にやらせるか!?それも昨日転校してきたやつに!!)」」」」
ピチピチピチピチピチピチピチピチピチピチ
「そんなわけで、出席を___
ピチピチピチピチピチピチピチピチピチピチピチピチピチピチピチピチピチピチピチピチ
____ピチピチ鬱陶しい!!!!」
バリィイイン
「「「「「えええええ!?」」」」」
鯛を窓の外に投げ飛ばすと、翔一郎は出席をとり始めた。因みに外から律子先生の叫び声が聞こえてきたが、無視しよう。
因みに、全ての生徒の名前を間違えたことも流す。
ーーーーーーー
ーーーーー
ーーー
ー
「なぁ!なぁ!お前凄いな!転校初日から!!」
「む…?」
その後、ボコボコにされたぬ〜べ〜が来たことで授業が始まり、その休み時間では、もう我慢できず、克也が翔一郎へと話しかけてしまった。
話しかけられた翔一郎は克也に目を向ける、
「貴方は…愚地克己…!!」
「いや克也だよ!?克也!!よろしくな!そんでコイツは『まこと』と『美樹』だ!」
「よろしくなのだ!」
「成る程……ぬぬぬぬ…」
すると、翔一郎は2人に向けて手を伸ばすと、転校初日と同様の所作を取る。それを美樹は興味津々に見つめた。
「おぉ?私みたいにまた名前を奪うのかな?どんな名前なんだろうね〜」
「ぬぬぬ………ヌッ!!」
決まったのか、翔一郎は2人に向けた手を同時に握り締めると答えた。
「今から貴方は『かっちゃん』君は『マッサン』だ」
「か…かっちゃん!?それにマッサンって!!前者はともかく後者は今時の子は絶対に分からんだろ!?」
「マッサン?なんなのだそれは〜?」
「ほら!まことの奴、理解してねぇだろ!?」
「ふん。泣き言は聞きたく無いねぇ」
「泣いてねぇよ!?というかお前どんだけジブリ好きなんだよ!?」
「アッハッハ!!面白!!なにこの子!」
克也とのやりとりに爆笑の声を上げた美樹は郷子と広にも目を向ける。
「ねぇねぇ!じゃああの2人はどうなるの〜!?」
「のわ!?俺達を巻き込むなよ!?」
「ふむ………ヌッ!!!」
逃がさないかのように美樹が2人を巻き込むや否や、2人を視界にいれた翔一郎は再びぬぬぬ…と唸ると、手を握り締めた。
「今から2人の名前は『ヒロちゃん』と『キョロちゃん』だ」
「広は分かるけど何で私だけマスコットキャラなの!?普通、キョウちゃんとかでしょ!?____いやキョウちゃんでもおかしいからね!?」
「嫌味か貴様ッ!!!」
「なにが!?」
○◇○◇○◇
その少年は何者なのか?
場所は変わり、放課後の学長室にて、ぬ〜べ〜は考えていた。
数日前に顔合わせとして彼と会ったが、一目見て分かったのが、彼が人間でありながらとてつもない妖気を纏っている事だ。普段生活していれば決して気づかない程度の微かなものであったが、何故かあの日、会った際にまるで左腕と呼応するかのように、彼から妖気を感じたのだ。
「校長先生…彼は何者なのでしょうか…?本来、律子先生のクラスの子になるはずだったあの子を、急遽、私のクラスに変更したのも、何か理由があるのでは…?」
「ふむ…話すのが遅れて申し訳ないね…」
ぬ〜べ〜から尋ねられた校長は振り向くと答えた。
「彼の両親によると…黒田くんはね」
校長からその話を耳にしたぬ〜べ〜は衝撃を覚えるのであった。
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ーーーーー
ーーー
ー
斬り足りん…次の獲物はまだか…?
『いや、まだだよ。もうちょい待っててよ』
前回から何週目だ!?早く我は暴れたいのだッ!!
『だから待ってって。こっちだって色々とあるんだからさ。それに、前みたいな事があったら、俺はアンタを捨てる』
くっ…分かった!分かったわ!!気が合うと思っておったのに…ならば次の獲物を早く見つけろ!!
『へいへ〜い』
〜〜〜〜
〜〜〜〜
〜〜〜〜
「んん…」
太陽が指す部屋の中で、背伸びをしながら翔一郎はゆっくりと目を覚ます。
「まったく…うるさいなぁ。斬りたい斬りたいって…」
そのままベッドから降りると、教科書と共に“玩具の日本刀”を握り締めた。
「どうせ獲物なんて向こうから寄ってくるんだから待ってれば良いのに」
黒田翔一郎
小学生にして、その身に宿すは剣の鬼。その名も____
_____鬼童丸