「ふぅ……久しぶりに自転車に乗るが、風が気持ちいいな」
バスに乗れなかった俺はあの後、男子寮の下にある駐輪場に停めてある、自分の自転車に乗って、学校へ登校している。
走った方が圧倒的に速いが、走るのは面倒なので、俺的にはゆっくりな速度(時速25㎞)で自転車を漕いでいる。
軽くペダルを漕ぎながら、横目で店員が忙しそうに開店の準備をしている飲食店や本屋、雑貨屋などを見て、「大変そうだな」と、他人事のように思っていると——
「ソノ、チャリニハ、バクダンガ、シカケテ、アリ、ヤガリマス」
片言の機械声でそんなどこかおかしい日本語が聞こえたため、後方に顔ごと視線を向けると。
一体どういう状況だ、と考えていると無人セグウェイは更なる忠告を、その機械声で告げてくる。
「チャリヲオリヤガッタリ、ゲンソクを、サセヤガルト、バクハツ、シ、ヤガリマス」
「おいおい、爆弾やら、爆発やら、一体誰の悪戯だよ」
そう言いつつも片手で——自転車に乗っている俺の唯一の死角である——サドルの裏を触ってみると。
(ま、マジかよ!?)
四角い物体がサドルの裏側には取り付けられていた、無人セグウェイの言っている事が本当なのであれば、この四角い物体は爆弾ということになる。
だが、触っただけでは、実際に爆弾かどうかは、分からない、視覚的にも見えないサドルの裏なので常人であれば確実に判断することは不可能だっただろうが。
俺は五感が異常に優れているから、意識した今なら分かる、本来するはずのない匂いがサドルの下から微かに漂ってきているのが、その匂いの正体は——
(火薬の匂い……!!)
元
どうする!!
そう俺がこの状況をどう対処しようか考えていると。
ピンクブロンドのツインテールにした女の子が落ちてくるのが見えた。
「親方、空から女の子が!!」
こんな状況であるにも関わらず、俺は昨晩テレビで放送されていたアニメ映画のセリフを思わず叫んでいた。
そんな馬鹿な行動をしている俺の頭上を、パラグライダーを開いて通りすぎたピンク髪の少女は、無人セグウェイの背後を取り、パラグライダーを巧みに操り、身体を反転させて俺に話し掛けてくる。
「意味分かんないこと言っている、そこのアンタ、さっさと頭下げなさいよ!!」
そう言われた、というか怒鳴られた俺はピンク髪の少女の言う通りに、頭を下げると、少女はスカートの内側から取り出した白と黒の
その双銃から発砲された合計15発の銃弾は、三台の無人セグウェイに全て命中し、転倒させて破壊した。
いきなりの状況に自転車を漕ぎながらも呆然としていた俺は、爆弾のことを思い出し、ハッとした。
俺は大丈夫なので、とりあえずピンク髪の少女を自転車から離れさせなければ。
「この自転車には、停まれば爆発する爆弾が付けられている、離れないと巻き込まれるぞ!!」
いつの間にかパラグライダーを操り、また、俺の前方に移動していたピンク髪の少女は、
パラグライダーで逆さ吊りの状態になり、真正面からこちらに接近してくる。
すれ違いざまに俺を
「武偵憲章1条!!『仲間を信じ、仲間と助けよ。』!!……行くわよ!!」
両手を広げたピンク髪の少女と衝突するような勢いでぶつかり、痛みはないが、脳を揺らしたことで脳震盪が起こりつつも、何とか少女に捕まり自転車から離脱した。
だが、その直後に爆弾が起動し、俺たちは爆風で吹っ飛ばされた。
異常に優れた五感で少女が気絶していることが分かり、このままでは少女の方から先に地面にぶつかると分かった俺は、少女ごと空中で身体を捻り、自分が先にぶつかる体勢に変えた。
その次の瞬間、俺の頭は何かにぶつかり、その強い衝撃から意識を落としてしまう。
「……っう、ここは……?」
気絶してから、俺はものの数秒で意識を取り戻す事に成功した。
頭から落ちたのだが、奇跡的に頭に傷は無かった。
だが、まだ完全に目覚めた訳ではないのか、頭がボーっとしている。
そんな状態でとりあえず周囲の状況と、助けてくれたピンク髪の少女に怪我は無いかを、確認しようと、視線を周囲に向けると。
そんな不完全な目覚めな脳を、完全に目覚めさせる、少し刺激的な光景が広がっていた。
「……っぶ!」
俺の目の前には、目を瞑った——恐らくまだ意識を取り戻していないのだろう——ピンク髪の少女の服が何故か捲り上がっているため、白色に様々な色のトランプのハートやスペードなどの模様が入った下着が丸見えだった。
しかも、下着の端には何やらタグらしき物が付いており、それを見てしまった俺は、幸いその意味を理解出来なかった。
(何だよ65A→Bって……)
嫌な予感がするので、深く考えるのは辞めて視線を逸らそうとすると、服の内側にもう一つ、気になる物が目に入った。
『神崎・H・アリア』
と書かれている。
恐らくだが、この少女の名前なのだろう、それにしてもこの名前、どこかで聞いたことがあるような。
頑張って思い出そうと、名前を凝視していると——
「へっ、へっ、へ、変態!!」
いつの間にか起きていたピンク髪の少女、もといアリアは、そのアニメ声で誰かを罵倒している。
他でもない服の内側に書いてある、名前を凝視している俺を、下着を凝視していると勘違いしたのだろう。
(こいつ失礼だな、俺は小学生に欲情する程、飢えていないぞ)
そんな最低な事を考えている俺の頭をピンク髪の少女は思いっきり叩いてきて、「最低!」と何度も叫んでくる。
別に痛くはないが、変態と言われたり、思いっきり殴られたり、流石の自称温厚な俺でも流石に言い返そうと、声を上げようとしたが。
少女は突然何かに気付いたのかハッとして、前を向き、というか今更気づいたが、俺たちが入っていたのは、跳び箱の中らしい。
ならここは体育倉庫で、学校の近くなのだろう。
そんな呑気なことを考えている、俺に「無視すんじゃねーよ!」とばかりに、複数のUZIの弾丸が俺たちの隠れている跳び箱に当たる。
跳び箱越しに背を付けている俺に衝撃が伝わってくる、この跳び箱が防弾性じゃなかったら、とっくにお陀仏になっているぞ。
聞こえてくる銃声の数から、UZI付き無人セグウェイ君は、
とにかく俺の戦闘スタイル的にも、この体制は戦いづらいので、跳び箱から出ようとすると。
俺の顔にアリアの胸が押さえつけられた。
銃を撃つのに集中しているのか、そのことに全く気付かないアリアに俺は、全くと言っていい程、興奮しなかった、血流も正常だ。
(まぁ、小学生に興奮したら、ただの犯罪者だしな)
そんなまたもや最低な事を考えていた俺に、アリアはそのアニメ声で怒号を上げた。
「十五台もいる。アンタも撃ちなさい、あたしの銃だけじゃ火力負けする!」
そんな事をアリアが言った次の瞬間、銃声が止まった。
聞こえてくる音から大体わかった。
UZI付き無人セグウェイ君たちは、
ならば今が外に出て戦闘態勢を整えるチャンスだろう。
そう思った俺はとりあえず立ち上がるのに邪魔な、胸を押し付けてくる小学生のアリアちゃんをどうにかしよう。
遠山家の理念の『女性には優しく』を則ってね。
「失礼するよ」
「な、なにすんのよ!?」
そうアリアに声を掛けて、アリアを横抱きにするように——簡単に言うとお姫様抱っこ——抱えて立ち上がり、跳び箱の端に足を掛けるような形で飛び上がり、跳び箱から出る。
『男は女を守るもの』という俺自身も共感できる、遠山家の教えに従い、これ以上はアリアに危険な思いはさせない。
突然の事に対応できずなるがままになっているアリアを、申し訳ないが少し硬い体操マットの上に座らせる。
「あ、アンタ一体何するき!?」
「アリアを守る、だからここで見といてくれ」
「にゃっ!?」
赤面するアリアの両手から銃を取り上げ、ホルスターに仕舞う。
片目をウィンクしてから、俺は体育倉庫から出る、するとちょうど
さて、小学生とは言え、女の子が見ているんだし、頑張るとするか。
俺がそう思うと同時に十五台の無人セグウェイのUZIは、俺に向かって弾丸を連射してくる。
「あ、危ない!!」
そんなアリアの叫び声を聞こえながら、俺は、全て俺に向かってくる
常人なら追うことが出来ないであろう、UZIの銃弾——初速は秒速410mに到達する——を、完璧に目で追いながら、腰の日輪刀を鞘から引き抜き構える。
それと同時に呼吸を変える。自身の口から出る「ヒュゥゥゥゥゥ」という呼吸音を聞きつつ俺は、技を放つ。
「全集中 水の呼吸 拾壱ノ型 凪」
俺がそう呟くと、次の瞬間には——
俺に向かってきていた153発の銃弾の雨は、ひとつ残らず真っ二つになり地面に転がっていた。
どうも約一週間ぶりの投稿になりますね、ライズの鏡です。
今後も週一ぐらいの頻度で投稿しようかな~、と思っているので遅いと思った方には申し訳ない。
脱字、誤字がありましたら報告くれるとありがたいです。
感想、評価なんか貰えると投稿頻度がもしかしたら上がるかもしれないので、貰えると嬉しいです。
ではまた次回でお会いしましょう。バイバーイ。