緋弾のアリア~呼吸の剣士~ (仮)   作:ライズの鏡

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第四話 力の正体とドレイ

 

 

 

どこからどうみても小学生にしか見えないピンク髪の風穴開けるわよ少女、アリアから逃げきった俺は、ぎりぎり学校に間に合い、教室までの階段や廊下を歩く。

 

俺はヒステリアモードが使えない、だがその代わりに、俺の身体にはそれに代わり特殊体質()が備わっていた。

医者に見せた事は無いので——解剖やら実験やらされたら嫌だし——体質名は特に無いが、その力とは俺が生み出した特殊な呼吸法——俺は全集中の呼吸と呼んでいる——を使用することで、身体能力を強化し、そこから主に刀を使用し、様々な型の技を繰り出すものだ。

全集中の呼吸は五種類も存在する、先程UZIの弾丸を斬ったのは水の呼吸で、超高速で動いてUZIを真っ二つに斬ったのは雷の呼吸だ、それ以外にも炎の呼吸や風の呼吸、岩の呼吸なんてもんがある。

まぁ、呼吸なんて使わなくても、昔から身体を鍛え続けたおかげか、超人的な身体能力を持っているのだが。

 

そんな誰に言っているのか分からない説明をした俺は、教室の前に辿り着き、ドアを開けて中に入る。

すると数少ない友人である、俺よりも高い身長を持つ——恐らく190cm前後——ツンツン頭が特徴的な大男——武藤剛気(むとうごうき)と、ムカつく程の爽やかなイケイケフェイスを持つクラス一のモテ男——不知火亮(しらぬいりょう)が近寄ってくる。

 

「ようキンジ、朝から死にそうな顔してるな」

 

「おはよう遠山君、武藤君も言っているけど、顔色が悪いけど何かあったのかい」

 

「ああ、おはよう二人とも、何かあったかと言われると、あったな超弩級にめんどくさい事が」

 

二人に挨拶を返しつつ、聞かれたことについて、先程遭った最悪と言っていい出来事を思い出しため息を吐きつつ俺は、深掘りされてもめんどうなので端的に返しつつ、席に着き顔を伏せた。

二人はそんな俺の様子に呆れて苦笑を浮かべている。

 

「武藤、悪いが先生が来たら起こしてくれ」

 

「あぁ、いいぜ気にすんな」

 

「さんきゅーな」

 

自分の席である、俺の前の席に座った武藤にそう言って、俺の意識は闇の中に落ちた。

HR(ホームルーム)が一生始まらないことを祈って。

 

 

 

 

 

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「お……き……」

 

そんな声が聞こえて俺は少しだけ意識を覚醒させた。

そんな俺が意識を半覚醒させた状態で、起き上がれずにいると、次の瞬間、額に痛みが迸る。

 

「いたっ!」、と思わずそう言って顔を上げると、武藤がこちらを見ていた。

どうやら先ほどの痛みは、中々起きない俺に業を煮やした武藤が、俺の額にデコピンでもしたのだろう。

 

起きない俺も悪いが流石にもう少し違う起こし方もあるだろう、そう考えた俺の思考が顔にも出ていたのか。

 

「中々起きないお前が悪いんだぞ」

 

「そうだな、悪かったよ」

 

まぁ、今回は起きなかった俺が悪いので素直に謝罪しておくとしよう。つぎ逆の立場になったら俺も少し強めにやるとしよう。

そう俺が考えている間も、俺が寝ている間に来ていた担任のゆとり先生は話している。

 

そして、話は転校生の事についてに移っている。

最悪だ、もう来るぞ、あいつが。

俺がその事に絶望していることには誰も気づかず、俺以外は今から入ってくる転入生に夢中だ。

 

「じゃあ、入ってきても貰いますね、入ってきてください神崎さん」

 

「はい」

 

ついに入ってきた、アリアが……!

俺はアリアにバレないように、前の席に座る俺よりデカい武藤の背に隠れるように、息を殺してバレない様に神に祈る。

 

だが、こんな狭い教室でバレないはずもなく、アリアの様子を確認しようと、武藤の背から目元だけを出して見ると、ばっちり目が合ったよ、くそ!

一瞬だけ睨まれたが、その後すぐに視線は外された。

 

「神崎・H・アリアよ、よろしく」

 

そんな淡白な自己紹介をして、こちらに指を指し、言い放った。

 

「あたし、あいつの隣がいいわ」

 

クラスメイトの視線が一斉に俺に集まる。

陰キャな俺はその視線だけで、死にそうになるが何とか耐える。

 

だが、しかし、残念だったなアリアよ、既に俺の隣は昨日やった今回の席決めあみだくじで、武藤と名前を忘れた男子生徒に決まっているんだ!

俺がそう心の中でアリアを嘲笑していると、どうやら天は俺の味方をしなかったらしい。

 

俺の目の前に座る武藤がこちらをニヤニヤした視線を向けたまま、口を開く。

何か嫌な予感がするのは俺だけですか?

 

「良かったなキンジぃ、なんか知らんがおまえにも春が来たらしいぞ」

 

「い、いや、ちょっと待てむと——」

 

「せんせぇ、俺あみだくじでキンジの隣の予定だったけど、転入生さんに譲りまーす!」

 

裏切ったな!武藤お前っ!!

いやだが、落ち着け俺、俺たちの担任のゆとり先生は学校一と言っても良い程の人格者だ、きっと俺の意思も尊重してくれるはずだ。

そうですよね!ゆとり先生!。

 

「あらそう、じゃあ遠山君の隣は神崎さんってことで」

 

「え?はっ?え?」

 

ゆ、ゆとり先生?俺も一応当事者なんですけど、決定権はないんですか?

終わった、終わったよ俺の学校生活、あいつの隣で碌な学校生活が送れるはずがない。

 

そんな今後の学校生活を想像し、絶望している俺を無視して、神崎はこちらに歩み寄って来る。

その手には先ほど俺が渡したベルトを持っている。

 

なーんか、凄く嫌な予感がするんですけど、流石に今ここで渡さねぇよな?そうだよな?

そんな俺の期待をアリアは当然のように裏切って来る。

 

「これ、さっきのベルト」

 

「おい!今渡したら!」

 

アリアは俺にベルトを投げ渡してくる。

 

今の俺たちを何も知らない周囲から見たら、何故かアリアが俺のベルトを持っているということだ、そんなことがおかしい事には俺だって流石にわかる。

当然そんな遣り取りをしていると突っかかって来る奴が出てくるわけで。

 

「理子分かった!分かっちゃった!——これフラグばっきばきに立ってるよ!」

 

俺のクラスメイトの一人である迷探偵の峰理子(みねりこ)はそう言って、ガタンっと音を立てて席から立ち上がる。

 

(最悪だ!クソっ——いや、ここから巻き返す方法は、きっとあるはずだ、探せ!)

 

俺がそんな必死に考えても、時間は残酷にも進み、理子は再度口を開いた。

 

「キーくん、ベルトしてない!そしてそのベルトを持ったツインテールさんが持ってた!これってつまりさぁ!」

 

理子はこちらをイラつかせる口調でゆっくりと喋る。そして一度溜めを作る。

 

駄目だ、その先を言わせたら!クラスが崩壊してしまう、主に風穴ピンク髪少女の手によって!

 

そう思い、今更になって動き出した俺を、運命様は嘲笑ったのだろう、見事に俺は理子のその先の発言を止めることが出来なかった。

 

ちなみにキーくんというのは俺のあだ名のようなものだ、理子以外に呼ばれたことは無いけどな。

 

「キーくんは彼女の前でベルトを取るような何らかの行為をした!そして彼女の部屋にベルトを忘れてきた!つまり二人は——熱い熱い、恋愛の真っ最中なんだよ!」

 

ツーサイドアップに結った髪をぴょんぴょんさせながら、迷探偵の理子はそんな馬鹿推理をドヤ顔で披露する。

 

恐々とアリアの方を見ると、顔を下に向けて、身体を小刻みに揺らし、両手はスカートの中に隠されている双銃にゆっくりと向かっている。

 

そんなアリアの様子に気付くことなく、基本的に偏差値の低い俺のクラスメイトである武偵校生の皆さんは、野次を飛ばしてアリアの怒りの炎に燃料を足していく。

 

「お、おいお前ら……」

 

俺は興奮しているクラスメイト達を宥めて、少しでもアリアによる被害を少なくしようとしたが、時すでに遅し。

 

ずきゅぎゅん!

 

教室に二発の銃声が響き、クラスの馬鹿どもは一瞬で凍り付いた。

 

怒りと羞恥心で顔を真っ赤にしたアリアが双銃を引き抜き、誰も居ない方向に二連発したのだ。

 

拳銃から排出された空薬莢が床に落ちた音が静まり返った教室内に響く中、もうどうにでもなれ、と思った俺は机に突っ伏した。

 

「れ、恋愛なんてくだらない!全員憶えておきなさい!そういうバカなことを言うヤツは……」

 

憤怒に染めた顔でそう言ったアリアは、一度大きく溜めを作ってから言う。

 

俺がこの先長い人生で聞き飽きる程に聞くことになる、その決めセリフを……。

 

「——風穴あけるわよ!!」

 

これが物騒な武偵校でも前代未聞になるであろう、『神崎・H・アリア』の新学期の挨拶になるのだった。

 

 

 

 

 

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学校が終わり、寮の部屋に戻ってこれた俺は、窓の外に広がる赤く染まった夕方の空を見ながらリビングのソファーに座り一息吐く。

誰も居ない部屋なので、誰の目も気にすることなく寛げるのは、この部屋の大きな利点だろう。

 

まぁ、この部屋とも来年の四月にはおさらばすることになるんだがな。

そう考えると、そこまで長い期間この部屋に住んでいた訳ではないが、どこか少し感慨深いものがある。

 

(いや、それよりも今はあいつのことだ)

 

『神崎・H・アリア』

あいつと関わると碌なことにならないと、俺の第六感が大警報を鳴らしている。

俺の第六感は嫌なことに関しては、的中率がほぼ100%だからな。

 

その危機を避けるためには、まず敵を知る必要がある。

俺はアリアに関しては戦闘能力が高いこと以外には、何も知らないからな。

そんな訳で、アリアの情報を入手するためにも、知り合いの探偵科(インケスタ)に依頼を出した。

そいつの武偵ランクはAランクのため、必ずアリアの情報を俺に持ってきてくれるだろう。

 

ん?お前も探偵科(インケスタ)なんだから、お前が自分で調べればいいだろうがって?

馬鹿かお前は、こういう調査は基本的に自分ではやらずに、誰かに依頼するのが定石(セオリー)なんだよ。

 

まぁ、流石のアリアも男子寮の部屋である、此処までは来ないだろう。

 

「コーヒーでも飲むか……」

 

そう言ってソファーから立ち上がろうとすると

 

ピンポーン

 

玄関のチャイムの音が部屋に響く。

一体誰だ?

もしかして……いや、流石にそれは無いか、どうせ白雪辺りだろう。

 

ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン

 

う、うるせえ!

そんなにチャイムを連打するんじゃねえよ、壊れるだろうが!

 

俺はチャイム連打野郎に一発ぎゃふんと言わせてやろうと、玄関に早歩きで向かい、玄関のドアを開けた。

少し強めに怒鳴ってやろうと思っていたのだが。

 

俺は少しキレていたため、気づかなかった。ドアの向こうから漂ってくる匂いがあいつの物と同じだっていうことに。

 

「遅い!あたしがチャイムを押したら5秒以内に出ること!」

 

アニメ声でそんな理不尽なことを言ってくるのは——

 

(なんでアリアがここに!?)

 

両手を腰において、両目をぎんっと吊り上げているアリアだった。

 

ここって基本的には女子禁制の男子寮だよな?マジで何で居るんだよ!?

フラグ回収するの早過ぎだろ!?

 

「神崎、お前、ここは男子寮だぞ!分かってるのか!?」

 

「アリアでいいわよ」

 

俺の言葉を無視し、一方的に告げて、俺を押しのけるようにして、俺の部屋に侵入してきた。

これ住居侵入罪で訴えれば勝てるよな、俺。

 

「トランクを部屋の中に運んどきなさい!ねぇ、トイレどこ?」

 

アリアは召使いに命令するように、俺に命令してからトイレへと小走りで駆け込んでいった。

あぶねえ、遠山家の教えに『女は守るもの』なんて物がなければ、今頃軽くだが、一発入れてたかもしれない。

 

「てか、トランクって……?」

 

俺はアリアが無理やり入ってきたことで、開きっぱなしなっている玄関ドアの向こうに視線をやると。

アリアの物であろう、一目見ただけで女物と分かる小洒落(こじゃれ)たトランクが置かれていた。

 

何度も言うがここは男子寮だ、そんな所に女物のトランクが置かれていたら一体どうなるか、面倒ごとになることは、火を見るより明らかだ。

それにもし、タイミング悪く白雪が来たら、想像しただけで身体が震えるぜ。

 

「くそっ、なんで俺がこんなことを……!」

 

そんな文句を言いつつも俺は、トランクを部屋の中に入れた。

マンションから落としてやろうかとも思ったが、その後が大変なので止めておいた俺を誰か褒めてほしい。

 

「あんたここ、一人部屋なの?」

 

トイレから出て手を洗ったアリアは、持ち上げるのが面倒なため、引き摺って少し重いトランクをリビングに運んでいる俺には目もくれず、部屋の様子を窺っている

そして、リビング奥の窓の近くまで侵入している。

 

「まあいいわ」

 

何がいいのか全く以て分からない、というか分かりたくもないが、アリアはそう言って。

 

くるっ、と。

 

その身体を夕日に染め、アリアは俺の方に振り返った。

長いツインテールもその動きを追いかけて、優美な曲線を描く。

漫画やラノベとかにありそうな、どこか神秘的な光景だ。

 

 

 

「——キンジ。あんた、あたしのドレイになりなさい!」

 

 

 

そんな神秘的な光景とは裏腹に、頭が痛くなる様な宣言をアリアは告げてくる。

 

 

 

 




どうも貯めていたストックを全て使って焦っているライズの鏡です。

一応自分は受験生なんで、執筆する時間が全然取れないんですよねぇ、まぁそれでも頑張って執筆するんですけどね!

頑張って今後も投稿していこうと思うので、応援をよろしくお願いします!

誤字脱字あったら報告くれると嬉しいです!

感想、評価、お気に入りが貰えると執筆のやる気に繋がるので、貰えるとありがたいです!

ではまた次回お会いしましょう、See you again.
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