緋弾のアリア~呼吸の剣士~ (仮)   作:ライズの鏡

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第五話 お貴族様の要求

 

 

 

Qあなたが世界で一番常識が無いと思う人物は誰ですか?

 

俺がそう問われた場合、未来永劫その答えは変わることはないだろう。

 

「——キンジ。あんた、あたしのドレイになりなさい!」

 

A神崎・H・アリアです。

 

出会って一日も経たない人間に、自分のドレイになれと言える人物はアリア以外には存在しないだろう。いや、もしかしたらアリアが住んでいた地域ではこれが常識だったのかもしれない。

 

「いきなり部屋に押し掛けてきて、何言っ——」

 

「ほら、さっさと飲み物ぐらい出しなさいよ!無礼なやつね!」

 

………………

 

ガシッ!

 

俺は反射的にアリアを殴りそうになった右手を、左手で押さえつける。

本音を言うと、もの凄く殴りたい。だが、ここで感情的になっては駄目だ。

 

今朝、学校の女子どもが噂話しているのを、こっそりと聞いた話によるとアリアはイギリスのお偉いさん、つまり中世風に言うとお貴族様らしい。

そんなお貴族様であるアリアを怪我させたなんて知られたら、俺がイギリスに恨まれてしまう。

 

イギリスなんて行くつもりはないが、恨まれないに越したことはない。

 

俺がそう内なる怒りを収めていると、そんな俺の様子にもお構いなしのアリアは——

 

「コーヒー!エスプレッソ・ルンゴ・ドッピオ!砂糖はカンナ!一分以内!」

 

俺の怒りの炎に燃料を足してくる。

こいつを殴ることで犯罪になるなら、それは世界の方が間違っているのではないだろうか!

 

っていうか、何だよ今の魔法の詠唱みたいな言葉は!

コーヒーやエスプレッソまでは分かったが、それ以外のルンゴ、とか、ドッピオとかは一切聞き覚えがないぞ!

 

 

 

 

 

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そこまでコーヒー好きという訳ではない俺が、先程のアリアの魔法の詠唱のような言葉を理解出来るはずもない。だがしかし、これ以上騒がれても俺とご近所さんに迷惑なので、キッチンでインスタントコーヒーを——自分の分を含めて——二つ入れた。

 

コーヒーの入ったカップを二つ持ち、リビングに戻り、片方をソファーに座っているアリアの目の前の机に置く。

 

「……これを飲んだらさっさと帰れよ」

 

そう言う俺を無視して、アリアは机に置かれたコーヒー入りのカップを手に取り、スンスンと匂いを嗅ぐ。

すると、思っていた香りと違っていたのか、頭上に?を浮かべながら首を傾げながら口を開く。

 

「これホントにコーヒー?」

 

アリアは俺に対して、そんな失礼なことを言ってきた。

こいつインスタントコーヒーを知らないのか?

 

まぁ、アリアって一応イギリスの貴族らしいし、知らないのも無理はないか。

そんなどうでもいいことを考えながら、俺は反論するために口を開いた。

 

「文句があるなら、飲まなければいいだろ」

 

「誰も飲まないなんて言ってないじゃない!」

 

そう言ってアリアは恐らく人生初のインスタントコーヒーを飲む。

 

「ずず……ヘンな味。ギリシャコーヒーにちょっと似てる……んーでも違う」

 

「飲めれば何でもいいだろ味なんて……ていうかそれよりも——」

 

そうだ、コーヒーの話なんか今はどうでもいい、危うくアリアのペースに乗せられて、本題を忘れるところだった。

 

「今朝助けてくれた事には感謝しているし、その後、お前に少し失礼なことを言ったことをについても謝る。だが、わざわざ男子寮に押し掛けるようなことじゃないだろ」

 

俺が不機嫌そうな声でそう言うと、アリアは少し予想外だったのか、キョトンとした顔をして、赤い眼をこちらに向ける。

 

「わからないの?」

 

「?……何がだよ」

 

「あんたならとっくに分かってると思ったのに。んー……でも、そのうち思い当たるでしょ。まぁいいわ」

 

いや、俺にとっては全く良くないんだが、勝手に一人で納得しないで欲しい。

 

「おなかすいた」

 

アリアはそう話題を変えつつ、ソファーの手すりにしなだれかけさせた。

こいつ、どもまで自由人なんだ。

 

俺はアリアのその態度に対して、最早呆れを通り越して尊敬の念を抱いてしまう。

 

「なんか食べ物ないの?」

 

「ねーよ、てかあってもお前にはやらねぇ」

 

「なによ、ドレイの癖に生意気ね」

「まぁ、いいわ、じゃあ付いて来なさい」

 

「は?…一体どこに?」

 

「あんた察しが悪いわね、それでもほんとに武偵なの?」

 

「余計なお世話だ!」

 

駄目だ、こいつと話していても埒が明かない。

軽くこいつの要求をいくつか呑んで、満足にさせてさっさと帰って貰おう。

 

「はぁ、分かった、何処に行くんだ?」

 

「あら急に素直になったじゃない」

 

「何でもいいだろ、それよりさっさと行くぞ」

 

俺はそう言うと強制的に会話を終わらせ、アリアを外に連れ出し、アリアの目的の物があるコンビニへと向かった。

 

 

 

 

 

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コンビニでももまん——桃の形をした皮の中に餡子が入っただけで、味はただのあんまん——を7つ(・・)も購入し、ウキウキな気分で歩いているアリアの隣を、コンビニで買った弁当が入った袋を手に提げ、歩いて学園寮の部屋に帰ってきた俺は、コンビニに行ってきただけなの、何故か戦闘を行った後よりも(精神的な)疲労がきついので、ソファーにももたれかかかる様に倒れる。

 

そんな俺を無視して、アリアは早速先ほど買ってきたももまんを爆食いしている。

その食べる速さは、驚異的なもので、食べ始めてまだ一分も経っていないのに、もう5つも食べ終わっている。

 

一体あの小さな体のどこに、あんな数のももまんが入るのだろう。

というか今のアリアを見ていると、何故かカービィを彷彿とさせる。まぁ、髪色もピンク色だしなアリアは。

 

「それ食ったらさっさと帰れよ」

 

「……だったら交換条件よ、襲撃科(アサルト)で私のパーティーに入りなさい。そこで一緒に武偵活動するの」

 

「無理を言うなよ、なんであんな危険な所に態々帰らないといけないんだよ」

 

こいつ、こっちが下手に出ていたら調子に乗りやがって!

というか何でアリアを帰らすために、俺が言うことを聞くことになるんだ。

 

そんな俺の返答に少しイラっとした様子のアリアは、

 

「あたしにはキライな言葉が3つあるわ」

 

「なんだよ、急に」

 

「『ムリ』『疲れた』『面倒くさい』。この3つは、人間の持つ無限の可能性を自ら押し留める良くない言葉。あたしの前では二度と言わないこと。いいわね?」

 

いや、普通に無理だろ。

面倒くさいは分からんでもないが。

 

まずそもそもとして、人間には限界というものが存在する。

そしてその限界を意識的に感じた際に出てくる言葉が、『ムリ』と『疲れた』の二つだ。もし、この二つの言葉が出てきたのにも関わらず、それを無視した場合、人間という存在はいともたやすく壊れてしまう。

 

人間はアリアが思っているよりも脆い存在なのだから。

 

だが、そんなことを口にすると風穴を開けてこようとするので、絶対に口にはしないが。

 

「キンジのポジションは——そうね、あたしと一緒にフロントがいいわ」

 

「いや、まだお前のパーティに入るなんて言ってないだろ」

 

「子供みたいに我儘言わないで」

 

心身共に子供のお前が言うなよ、その言葉を何とか押し留める。

 

今朝の俺の二の舞には絶対になりたくない。

 

というかこいつさっきから分かってはいたが、会話が全く通じない。

俺の考えも言葉も全て無視して、自分の要求だけを突き付けてくる。

 

貴族であるアリアは、今までもそんな態度で色んな要求を周囲に呑ませてこられたから勘違いしているのだろう、赤の他人である俺に対してもそれが通用すると。

 

俺はそんな態度が気に入らないので、今までは——遠山家の教えもあったため——出来る限り優しく接してあげていたが、それももう出来ず、態度を少し横柄なものへと変わり、少し言葉遣いも荒くなる。

 

「いいからさっさと帰れよ、ここはお前の部屋じゃねぇだろ」

 

「まあ、そのうちね」

 

「そのうちっていつだよ」

 

「キンジがあたしのパーティーに入るって言うまで」

 

「一生来ねぇよそんなとき」

 

「そう……でも、なにがなんでも入ってもらうは、私には時間がないの。うんと言わないなら——」

 

言わないならなんだよ、暴力にでもでるか?その時は一生逆らえないくらいボコボコにしてやる。遠山家の教え?……今は知らん。

 

そう俺が考えていると、アリアは——

 

「——言わないなら、泊まってくから」

 

「…………………は?」

 

数秒程度、アリアが言った事が理解出来なかった、というかしたくなかった俺の口からそんな素っ頓狂な声が出る。

 

こいつ、今なんて言った?泊る?今、泊るって言ったか?

 

「………ぜっっっっっったいダメだ!」

 

俺は別にアリアのような幼児体型が居ても、うるさいだけでそれ以外はどうでもいい。

だが、俺以外、特に白雪にバレたらまずいなんてもんじゃない!

 

最悪アリアを殺す可能性もある。なんならその可能性が一番高いぞ!

 

そしてそれに巻き込まれえるのは俺だ。苦手だがアリアが殺されるのは嫌だし、幼馴染に殺人をさせるのも嫌だし、それに俺が巻き込まれるのも嫌だ!

 

それが嫌なことだらけだと気づいた俺は、とにかくアリアを帰らそうと、声を上げようとしたが、

 

「うるさい!泊まってくったら泊まってくから!長期戦になる事態も想定済みよ!」

 

ビシッと、俺が中に運んだトランクに、指を指しながら。キレ口調でアリアはそう言った。

 

くそっ、あれ、宿泊セットだったのかよ!やっぱりマンションから落としとけばよかった!

 

っていうかこいつ、俺をそこまでして強襲科(アサルト)に戻したい程の目的って何なんだよ。

 

「出てけ!」

 

いや、それ俺のセリフだから!何でお前がここの部屋主みたいになってんだよ!

 

「なんで俺が出ていかなきゃならねぇんだよ!ここは俺の部屋だぞ!」

 

「うるさいわね!分からず屋にはお仕置きよ!頭が冷えるまで帰って来るな!」

 

今にもスカートの中にある拳銃を取り出して、発砲しそうなアリアの様子に俺は、無闇矢鱈に銃を撃たれて、教室の時の様に部屋に風穴を開けたくないので、泣く泣く部屋を出た。

 

その後はアリアが居る部屋に戻るのも億劫だったので、友人の武藤の部屋に頼んで泊めて貰った。

 

あ、さっそくアリアが言っていた、億劫(めんどうくさい)を使ってしまった。

まぁ、いいか俺はあいつのドレイではないんだし、強制される謂れはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今の俺は翌朝、武藤の部屋で起きてこの時の選択を後悔すること、まだ知る由もなかった。

 

 

 

 




どうもライズの鏡です。

特に書くこともないので挨拶だけで終わります。後書きを毎話に書いてる人ってホントにすごいですよね。

誤字脱字あったら報告くれると嬉しいです!

評価、感想、お気に入り登録して貰えると執筆のやる気に繋がるので何卒お願いします。

ではまた次回でお会いしましょう、Goot night!
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