緋弾のアリア~呼吸の剣士~ (仮)   作:ライズの鏡

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すまん、理子、書くの、ムズイ、下手、許して。


第七話 密会

 

 

 

猫探しを終えて無事に0.1単位を取得することができた——その翌日。

 

俺は以前アリアについて調査を依頼した探偵科(インケスタ)の生徒に会うために、その生徒からメールで言われた場所——女子寮前の温室(ビニールハウス)に来ている。

ここは人気が少なく、密会するにはちょうど良い場所なのだ。

 

念のため指定された時間の十五分前に来たのだが、流石に来るのが早かったか?

 

そう俺は考えたのだが——綺麗なバラ園の奥に、少し背が低い長い金髪の少女の後ろ姿を見つけたことで、それは杞憂に終わる。

 

「来たぞ、理子」

 

俺がそう呼ぶと、理子はこちら振り返り、人好きしそうな笑顔を浮かべてこちらに大きく手を振って近づいてくる。

 

「キーくぅーん!」

 

自身の名を呼ぶ、その大きな声に「今日も元気だな」と内心思い苦笑しながら、こちらも軽く手を振る。

 

「だぁいぶ!」

 

そう叫んでいきなりこちらにダイブしてきた理子に俺は驚きながらも、咄嗟に反応し、理子を怪我させない様に優しく抱き留めてやる。

 

念のため怪我をしていないか、理子に聞こうとすると。

 

「えへへ、きぃくぅーん!」

 

そう猫撫で声で言いながら、俺の身体にその柔らかい身体を押し付けてくる。

それによって自身の血流がほんの少しだけ早くなっていることを感じながら、冷静に理子に話し掛ける。

 

「……理子、悪いが本題に入らせてくれ。アリアに見つかって面倒な事になる前に」

 

「えぇー、もう仕方ないなぁ、キーくんは」

 

そう言うと理子は俺の身体からようやく離れてくれた。

 

理子が抱き着いた際にできた制服の崩れなどを急いで直す。

 

ここに来る前、当然のようにアリアに付き纏われた俺は、走って「後で風穴ぁ!」と叫ぶアリアから逃げ、ここに来たのだ。

 

そんなアリアにこの現場を見られてみろ、まず間違いなく俺の全身に風穴を開けてくれるだろう。

 

という訳でこの現場にアリアが——流石に来ないと思うが——来る前にさっさとアリアの情報を入手して、さっさとこの場からおさらばしたい。

 

「アリアの情報は持ってきてくれたか?」

 

「うん!ばっちりだよ!まずは——」

 

それから数分間、俺はアリアの情報を理子から聞いた。

 

99回連続で強襲を成功させ、関わった全ての事件の犯罪者を一人残らず捕まえた事。

武偵ランクはSランクである事。

双剣双銃(カドラ)のアリア』の二つ名を持っている事。

アリアが貴族であることは知っていたが、イギリス貴族の中でも有名な一家だという事。

 

その一家について理子は知っている感じだったが、言いたくなさそうだったので、聞けなかった。

 

「理子が知っているのはこの程度かなぁ、お役に立てた?」

 

「……あぁ、助かったよ」

 

「それならよかったよぉ!」

 

そう言うと理子は再度俺に抱き着いて甘えてくる。

 

「そういえば今回の報酬は何が良いんだ?」

 

「うーんそうだなぁ……今は何も思いつかないし、また今度お願いしようかな!」

 

「……そうか、分かった」

 

「よぉーし!じゃあ用事も済んだことだし、理子はお家に帰るね!」

 

そう言って理子は俺から離れる。

 

「じゃあキーくん!また明日!」

 

「なぁ理子……」

 

踵を返し、去ろうとする理子を俺は呼び止める。

 

これだけは言っておかなければならないと思ったから。

 

俺はこちらに振り返った理子の眼を真剣な眼差しで真っすぐ見つめながら口を開いた。

 

「……何かあったら俺に相談しろよ」

 

俺がそう言うと一瞬だけ理子は驚いたような表情を浮かべたが、(まばた)きをした次の瞬間にはさっきのが気のせいだと誤解してしまうような、いつもの人好きしそうな笑顔に戻っていた。

 

「アハハ!いきなりどうしたのキーくん……まぁでも一応覚えておくね!」

 

そういうと理子は笑顔で「じゃあね!」という言葉を残して温室から去って行った。

 

最後理子は笑っていた。誰が見てもそう思うぐらい綺麗な笑顔を、その顔に浮かべていた。

 

だが俺には、俺だけには分かった。

 

理子から漂ってきた匂いには、俺への好意などの感情とは別に——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

強烈な俺に対する罪悪感と俺とは別の誰か(・・・・)への恐怖心の二つの感情が入っていたことに。

 

「理子……」

 

お前は一体何を抱えているんだ。

 

理子が抱えている事情を知らない俺は、その何かに安易に触れることが出来ず、理子が去って行った方向を見続けることしか出来ない。

 

 

 

 

 

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理子との密会を終えた俺は特に予定がある訳ではないので、さっさと家に帰ってきた。

 

玄関ドアを開け、中に入ると最初に目に入るのは——貴族らしく綺麗に並べられた——女物の靴。

アリアのやつは先に帰っていたらしい。

 

今ではアリアがこの部屋に住んでいることに少し慣れつつあるが、また白雪と鉢合わせて部屋を壊されるのだけは勘弁だ。この件も早くどうにかしないといけないな。

 

そう思いながら俺はリビングへと入った。

 

「ただい——「遅い」

 

日本人としての基本的な帰宅の挨拶を遮り、暴論を吐く手鏡を持つアリア。

 

「というかどうやって入ったんだ?」

 

当然俺はアリアにこの部屋の合鍵(スペアキー)なんて渡していない。

それなのにどうやってアリアはこの部屋に入ったのか。

 

武偵として何となく分かっているが、確認のため一応聞いてみると。

 

「愚問ね、あたしは武偵よ」

 

まぁ、分かってはいた。

やはりアリアはこの部屋のカードキーを偽造したのだろう。

 

つまりアリアは俺の同意なくこの部屋に入ることが今後も可能ということだ。

 

その事実に思わず内心ため息を吐き、寮長に頼みドアの鍵を買い変えようかとも一瞬考えたが、それは金を無駄にするだけだということに気付いた。

苦学生の俺はなるべく無駄な出費を抑えなければならないのだ。

 

どうすることも出来ない現実に顔を背けるように俺は話題を変える。

 

「そういえばお前の事を調べさせてもらったぞ」

 

俺がそう言うと、一瞬驚いた顔をしたアリアは「へえ……」と言ってその顔を何故か嬉しそうな表情へと変えた。

 

「神崎・H・アリア、イギリスの有名な貴族の娘で、武偵ランクはS、付けられた二つ名は『双剣双銃(カドラ)』のアリア、過去に犯罪者をただの一人も逃がしたことがない凄腕の武偵だってな」

 

「へえ、そんなことも調べたんだ。武偵らしくなってきたじゃない。でも——」

 

そう言ってアリアは俺の情報に一つだけ修正を入れる。

 

「——こないだ、一人逃がしたわ。生まれて初めてね」

 

「へえ、凄いなそいつ。……ん?こないだ?」

 

なんか嫌な予感がする。

それにアリアから発せられる匂いや音に、何故か少しばかりの怒りと羞恥心を感じ取れるんだが気のせいか?

 

「あんたよ」

 

「…………人違いです」

 

「分かりきった嘘をつくんじゃないわよ!強猥(きょうわい)したじゃないあたしに!あんなケダモノみたいな真似したくせに!このウジ虫!」

 

流石に言いすぎだろ、こいつ。

確かに不可抗力とは言え、こいつの下着を見たのは事実だ。だがそれで犯罪者扱いされるのは流石に納得できない。だって不可抗力だったんだぞ?

 

「確かにお前の下着を見てしまったのは悪いと思っている。だが、あれは誰がどう見ても不可抗——」

 

「うるさいうるさい!——とにかく!」

 

顔を真っ赤にしたまま俺にビシッ!と指を指した。

 

「あんたなら、あたしのドレイになれるかもしれないの!——「なりたくねぇよ!奴隷なんて!」

 

まずいぞ!

このままだと話は一向に進まない。そうなってくるとアリアが諦めてくれるまで、アリアはここに住むことになる。そんなことを白雪に知られでもしたら……

 

嫌だ!また部屋を破壊されて、寮長にブチ切れられるのだけは嫌だ!あの人普段優しい分怒ると怖いんだぞ!!

 

こうなったら仕方ない……

 

「……はぁ、分かった。そんなに言うならやってやるよ」

 

「嘘じゃないでしょうね?」

 

「ああ、嘘じゃない。ただし一回だけだ」

 

俺のその言葉にアリアは「……一回?」と聞き返してくる。

それに俺は小さく頷き。

 

「一回だけどんな事件でも組んでやる。それと強襲科(アサルト)に転科もしない、あくまで自由履修で強襲科(アサルト)の授業を取る。」

 

「…………」

 

「この条件が飲めないなら俺は絶対にお前とは組まない」

 

俺は何やら考え込んでいるアリアにそう断言した。

これが俺に出来る最大限の譲歩だ。

 

しばらく考え込んでいたアリアは考えが纏ったのか。顔をこちらに上げる。

 

「……いいわ。じゃあ、この部屋から出てってあげる」

 

よし、上手くいったぞ。

 

「ああ、そうだ。一回だけとはいえパーティーを組むなら聞いておきたいことがあった」

 

「なによ?」

 

「お前って超能力か、それに似た力って持っていたりするか?」

 

俺はアリアと出会ってからずっと気になっていたことがあったので、そうアリアに問う。

 

するとアリアは——

 

「持ってないわ」

 

そう即答した。

 

「そうか……」

 

アリアの返答に嘘の匂いや音はしなかった。

ならアリア本人ですら知らないのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出会った頃から常にアリアからする、超能力者が発する特有の匂いとは似て異なる、どこか神秘的な匂い(・・・・・・)の、その正体に。

 




どうもお久しぶりです。

モチベが湧かず、中々投稿できず申し訳ございませんでした。

投稿頻度はゆっくりですが、それでも頑張るので応援してくれると嬉しいです!

誤字脱字あったら報告くれるとありがたいです!

評価、感想、お気に入り登録して貰えると執筆のやる気に繋がるので何卒お願いします。

ではまた次回でお会いしましょう!

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