元E級のTS探索者は大金持ちになりたい   作:早乙女らいか

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第15話 どうやらやばいらしい

「凄い……」

 

 言われるがまま着替えてみた俺だったが、結果として滅茶苦茶似合っていた。

 

 一言で言うならちょっとセクシーな秘書?

 今でも十分美人だったのに、ちゃんとした服と軽いメイクだけでさらに魅力的になった。

 

 まるで魔法みたいだ……凄い。 

 

(スカートの中を空気が通り抜ける……慣れないな)

 

 ただスカートは慣れない。

 

 履いているのに履いていないような不思議な感覚。

 隠しているのに下が開いているという心もとない構造。

 

 ドキドキする。

 似合っているのはわかっているけど、恥ずかしくて足を開くことができない。

 

(自分で自分に見惚れそう……)

 

 大きな鏡に映る自分の姿。

 俺はナルシストにでもなったのか?

 

 だけど想像してしまう。

 俺がもし他の服を着たら、一体どのように見えるのかを……

 

「綺麗だね」

「わわっ、びっくりした……」

「楽しくなってきたでしょ? これが女の子の魅力」

 

 マリーに後ろからギュッと抱きしめられる。

 

「これからもっと自分を大好きになろうね。れーいっ♡」

 

 マリーの圧が凄い。

 微笑んでいるんだけど、深い欲望のようなものを感じる。

 正直、そこまで絶賛されるのかと俺自身も驚いたのだが。

 

「そういうマリーも可愛いじゃん」

「えへへ」

 

 一方のマリーはピンクをベースにしたフリルの衣装。

 天使で美少女のマリーがTHE・女の子って服を着たら最強だって今実感した。

 というかめっちゃ可愛い。

 

 確か量産型とか地雷系って言うんだっけ?

 ファッションには詳しくないからざっくりとしかわかんないけど。

 

「おぉ~二人共お似合いだねぇ。私の見立ては完璧だった」

「ありがとう星崎さん……少し落ち着かないけど」

「ご希望ならマリーくんと同じ服を用意するよ?」

「……今はいい」

 

 流石に女の子すぎる服は恥ずかしい。

 今でも少し不思議な感覚だってのに。

 

「さてさてお嬢様方。ここが我がケイゼルコーポレーションの本社だ」

「「おおー……」」

 

 車から出た俺達を待っていたのは、圧倒的存在感のあるデカい建物。

 広い敷地内にいくつものビルが建設されており、多くの従業員が行き来している。

 

 会社としての規模がケタ違いだ。

 もう少しこう、こじんまりしたイメージを持っていたんだが。

 

 すげぇ緊張する。

 

「怜、歩く時はあまり足を開かない方がいいよ」

「そうなのか?」

「少しの仕草で見栄えが変わる。これ、先輩のアドバイス」

「先輩?」

 

 なんの先輩だろう……

 まぁ色々教えてくれるという事はマリーもダンジョン配信者に対してかなり本気だという証拠。

 慣れないけど少しずつ頑張ってみるか。

 

「着いたぞ、ここがウチの職場だ」

「え?」

 

 そして案内された場所はビルが並ぶ場所から少し離れた建物。

 工房らしき空間が併設されており、作業場っぽい雰囲気を感じた。

 

「宣伝部は環境が特殊で騒音に繋がりやすいからな。セクシーな格好でお願いしたら新しく作ってくれたよ」

「ハニトラって社会で通じるんだ……」

「ナイスバディに感謝しなくてはな!! はっはっはっ!!」

 

 わざとらしく胸をぷるんと揺らす星崎の後に続いて建物へと入っていく。

 

「あっ、りぃだぁ!! どこに行ってたんですかぁ!!」

「お出迎えありがとう一条くん。ちょうど新チャンネルの人材を連れてきた所だよ」

「えぇええええええ!? あの拘りと癖だらけのりぃだぁの認める人が遂にぃ!?」

 

 やたら騒がしい巨乳のお姉さんが身体をぶんぶん動かしている。

 この人はこの人で凄いな……

 トップが濃いと下も濃くなるという法則でもありそう。

 

「あっ、申し訳ないですぅ!! 私は一条奈乃葉っていいます!! ここで色んな事をしています!!」

「門梨怜です……随分ざっくりとした説明だな」

「一条くんは本当に色んな事をしているからね。彼女がいないと宣伝部は成り立たないのさ!!」

 

 マネージャーという事だろうか?

 さっきの作業場もそうだけど、室内には資料や機材で溢れかえっていたし、ここでは色んな才能が必要なのかもしれない。

 

「ウチはマリー。気軽にマーちゃんって呼んで」

「はいっ!! マーちゃんよろしくねっ♪」

 

 女子同士はもう仲良くなってるし。

 すげぇな。

 

「しかし、りぃだぁが新チャンネルの人材を見つけるとは……ふむふむ」

「あ、あのー?」

「なるほど、そういうことですねぇ」

 

 全身をくまなく観察される。

 途中、腰とか尻とかを触られたので軽く手で跳ねのけると、妙に嬉しそうな顔で一条は語りだす。

 

「二人共、りぃだぁの好みなんですねぇ!!」

「「え?」」

 

 どういうこと?

 

「おっきくてクールな女の子、小さくてキュートな女の子、これはりぃだぁの好みと一致してるのです!! もぉ、口説くのならもう少しわかりやすく言わないとダメですよぉ?」

「くど……え、マジで?」

「あの人にそんな趣味が?」

 

 才能があったからとかじゃないのか!?

 まさか自分の好みに刺さったから採用したとは……

 

 いやいや、そんな事はない。

 いくら星崎さんがぶっ飛んでいるとはいえ、そんな不純な理由で人を雇う訳が……

 

「な、なななななな何を言っているのかなぁ!? 私は才能を見たのだよ!! 決して、私利私欲とか顔がいいからとか、少しいい事できたらいいなーとかそういうのでは……」

「私を雇った時だってわかりやすくはしゃいでましたよぉ? りぃだぁは顔に出やすいのです」

「見抜いてるつもりになるなぁ!! そんなっ……そんなのではなぁい!!」

 

 マジだった。

 わかりやすく顔を赤くして照れてるしこりゃ確定だね。

 

「とっ、とにかく!! ダンジョン配信者の説明をするから今すぐ準備をしなければっ!! 行くぞ一条くん!!」

「はぁ~い♪」

 

 そして星崎は誤魔化すように奥の方へと行ってしまった。

 

「ウチも怜も可愛いからね。仕方ない」

「まぁ……え、俺も?」

 

 俺も可愛い判定されるの?

 いいや……とりあえず星崎の所に行こう。

 

 ◇◇◇

 

「さぁて、まずはダンジョン配信者として君達の仕事を紹介しよう」

 

 すっかり落ち着きを取り戻したリーダー改め星崎の説明から話は再開。

 奥の部屋にある電子モニターにいくつもの文字や表が表示され、星崎が指先でスワイプするとその中の一つが拡大されてピックアップされる。 

 

「ざっくりまとめると二つ、武器の宣伝とダンジョンの攻略だ」

「意外とシンプルだな」

「最初は少ない方が丁度いい。集中的にコンテンツを成長させるのが最優先だからね」

 

 配信のことはよくわからない……が、物事に取り組む時は、一個一個に集中してやった方がいいとどこかで聞いたことがある。

 多分そういうことだろう。

 

「まずは武器の宣伝だ。と、言ってもやる事はケイゼル製の武器や道具を持って戦うだけだけどね」

「スポンサーみたいなもの?」

「そんな感じだ!! 後、君達の服もダンジョンで使用できるよう私が改造した!!」

 

 え、これもダンジョン用装備なのか?

 着心地も含めて普通の服なんだけど……一体なんの素材を使ってるんだろう。

 

「君達にはケイゼルや私が試作した武器のテスト、そして最終試験段階に達した武器を実際のダンジョン攻略で試してもらいたい」

「それで宣伝に?」

「なるとも!! 実戦ほど素晴らしい売り文句はないからね!!」

「SNSのステマみたいなものだね」

 

 マリーはどこで情報を知ったんだろう……

 俺たちにそこまでの宣伝力があるのか?

 まぁ、実戦でケイゼル製の武器を活躍させることができたらリスナーも買いたくなる……ハズ。

 

 そんな甘い世界ではないと思うが。

 

「そしてもう一つのダンジョン攻略だが……これが一番重要だ」

 

 再びモニターをスワイプさせ一つのページをピックアップする。

 

「え?」

「これは一体?」

 

 そこに表示されたのはあちこちに赤い点が付けられた日本中の地図。

 何の印だ? モンスターがいっぱい出るポイントとか?

 

「この赤い印全てがダンジョンブレイク寸前の場所だ」

「全部!?」

 

 多すぎだろ!!

 なんでこんな状態に……

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