元E級のTS探索者は大金持ちになりたい   作:早乙女らいか

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第4話 因果応報とはこのこと

「アハハハ!! 調子いいじゃないかい!!」

「おかげさまで稼ぎも倍々!! 人気だって急上昇じゃないですか!!」

「当然だろう? なんたって私が主役なんだからね!!」 

 

 私は下野加奈。

 歴がそこそこのAランク探索者だ。

 

 実力も仲間も十分揃ってきたが、やっぱり安定した稼ぎ場というのが少ない。

 殆ど大手に取られちゃったからね。

 

 だから、最近流行りのダンジョン攻略を配信する通称”ダンジョン配信”を始めた所、人気が爆上がり!!

 おかげで安定した収入が入って最高だよ。

 

 ~コメント~

 

・加奈様キター!!

・加奈様マジで綺麗

・加奈様のおかげで毎日が楽しいです!!

 

「ふふふ……」

 

 更に騙せそうな無能が湧いて来たしね。

 私を様付けで呼ぶなんてほんっっっとうにわかってる。

 こんなの今まで考えられなかったのに。

 

(また怜みたいなアホを連れて宝物の欲地に向かおうかね?)

 

 あれから半年くらい経ったけどなーんにも問題はない。

 むしろ順調すぎるくらいだ。

 宝物の欲地でのパターンも完全につかんだし、後はいいデコイを見つければいいだけ。

 

 誰がいいか……あぁ、多すぎて選びきれないよ。

 

「このままコラボとかいっちゃいましょう!! コラボとか!!」

「コラボォ?」

 

 そういえば聞いた事がある。

 ダンジョン配信者同士で探索をするコラボ配信。

 

 私はあまりやった事がないけど、コラボをすれば更に知名度が上がってお金が稼げる。

 ふふふ、伸びている今がチャンスじゃないかい?

 

「コラボするならどこがいいですかね?」

「んー、やっぱり同じ個人の子とか……」

「ミラスターズだね」

「「えっ!?」」

 

 私が出した事務所の名前にカナフロンティアの面々が驚く。

 

「ミ、ミラスタと言えば超大手っすよ!? Sランクだって数人いるやべぇ所!!」

「しかもアイドルと探索者を両立するとんでもねぇ相手じゃないですか……」

「だからだよ。今の私にはぴったりだろう?」

 

 やるからにはでっかいところと。

 そしてド派手に。

 

 じゃないとお金は稼げない。

 

 無能を利用するのだってそうさ。

 リスクなしに事は動かないし、それを背負っているからこそ私は成り上がれた。

 

 ま、一番リスクを背負うのは無能なんだけどね。

 

「早速メールでコラボの依頼だよ!! 早くしな!!」

「「あいあいまむ!!」」

 

 クククッ、待ってなミラスターズ。

 アイドルなんてキラキラした世界に閉じこもってるアンタ達に、格の差ってやつを見せてやるよ。

 

 アーッハッハッハ!!

 

 ◇◇◇

 

「断られたってどういうことだい!?」

「いえ、その……丁寧な文章でしっかりと……」

 

 翌日、メールボックスに入っていた返信内容に私は激怒した。

 

『コラボの申し出ありがとうございます。誠に申し訳ございませんが、ミラスターズのスケジュールの都合上、お受けすることが難しい状況です。また機会などがございましたら……』

 

「ああああああああっ!!」

「下野さん!?」

 

 イライラするねぇ!!

 私を誰だと思ってるんだい!?

 

 個人活動で登録者二十万人を達成した期待のダンジョン探索者だよ!?

 それを定型文で返すだなんて……わかってないね!!

 

「行くよ!!」

「まさかミラスタの事務所に!?」

「私の価値をわからせてやる!! 女性配信者なんだから丁重に扱って貰えるだろうよ!!」

 

 女性ダンジョン配信者はかなり優遇される。

 

 手厚いサポートだって受けられるし、勝手に慕ってくれるリスナーがダンジョン内で私を守ってくれる。

 それにダンジョン配信者も女性が圧倒的に人気でその影響力は社会的な立場にまで影響していた。

 

 つまり私はそれなりのゴリ押しができるってこと。

 ククッ、女に生まれてよかったねぇ。

 

 ◇◇◇

 

「ちょっと受付さん? 私はミラスタの子とお話がしたいのだけど?」

「えぇと、そういうのはアポを取ってもらわないと……」

 

 勢いのままにミラスターズの事務所へ突撃した。

 相手になったのはミラスタのメンバーではなく、初々しい受付嬢でかなりイライラさせる。

 

 もう少しゴリ押しするしかないか?

 最悪、スキルを使ってでも……

 

「し、下野さん……やっぱマズいですって……」

「Sランクに目ぇ付けられたらどうするんですか?」

「付けられたら返り討ちにすればいいのさ。カナフロンティアを舐めるんじゃないよ」

 

 何がSランクだ。

 宝物の欲地でSランクモンスターの相手には慣れている。

 

 それにミラスタのメンバーは私よりも戦闘経験が少ない。

 ランクでは上かもしれないが、歴ならこっちの方が上なんだよ。

 

 さて、手荒な真似と行こうか……

 

「お引き取り願おうか」

「ん?」

 

 受付嬢に手を出そうとした時、エレベーターの方から圧倒的なオーラを出す黒髪ポニーテールの女が現れた。

 

「り、凛華ちゃんだ!! すげー、本物だ……」

「凛華? あぁ、ミラスタの三期生かい」

「Sランクに到達した探索者アイドルですね。ミラスタの次世代を担う子に出会えるとは……」

 

 葉道凛華。

 

 ミラスタの三期生で、その中でも圧倒的ナンバーワン人気を誇る探索者アイドル。

 しかもランクは最高のS。

 クールな美貌と話し方から、男性だけでなく女性からも人気が高いと聞いている。

 

 ふぅん、実際に見ると中々迫力があるねぇ。

 

「コラボの申し出は嬉しい。しかし、我々にも立場がある」

「立場?」

「ブランドイメージやスポンサーとの取引。その他諸々に配慮するために、軽はずみなコラボを受ける訳にはいかない」

「へぇ……軽はずみ、ねぇ?」

 

 言ってくれるじゃないか?

 私らをその程度だと言ってのける態度。

 

 装備も付けてるし腰には剣も差している。

 

 場合によっては……ということだね?

 

「このまま話してもスッキリしないだろう? ちょっとダンジョンに行かないかい?」

「「「っ!?」」」

 

 私の案に葉道凛華を除いた全員が凍りついた。

 

「ま、まさか下野さん……凛華ちゃんを……」

「殺しはしないよ。私らの立場が危ういからね」

「よかったぁ……」

 

 探索者にはこんなルールがある。

 

 探索者同士の揉め事は外に出すな。

 揉めるならダンジョン内で、そして相手を”殺しててでも”解決しろと。

 

 探索者協会が出したかなりクレーバーなルールだが、案が出た当時の総理大臣がこれを素晴らしいと言ってしまったが為に、事実上政府公認のルールとなっている。

 アタシも色々と都合が良くて気に入っているしね。

 

「いいだろう」

「葉道さん!? いくら何でも危険ですよ……!!」

「大丈夫さ。ダンジョンで全てを終わらせれば、何も問題は無い」

 

「は、はいぃ……」

 

 微笑むだけで同性を虜にする。

 強さと美しさ。

 その両方を兼ね備えた人物と私達はやり合う。

 

「ククッ、楽しませておくれよ?」

 

 その幻想を壊してあげるよ。

 覚悟しな?

 

 ◇◇◇

 

「ガハッ……アアッ……」

 

 何が起きた? 

 

 私は武器を出しただけ。

 スキルも一切使っていない。

 

 ほんの数秒動いただけだ。

 

 なのに、なのに私はなんで倒れている!?

 この一瞬で一体何が!?

 

「この程度か……二度とミラスタには関わらないと約束してくれ」

「ふ、ふざけんじゃないよ……!! ズルなんかして……!!」

「ズルだと?」

 

 瞬きをした瞬間、私の顔に剣が向けられる。

 

「敗者に語る資格はない。現実を見ろ」

 

「っ!!」

 

 敗者だって?

 現実だって?

 

 それを教えるのは私の役割だろう?

 何でこんな小娘にわからされなきゃいけないんだい!?

 

 クソッ!!

 クソッ!! クソォッ!!

 

「チッ……豚みたいに弄んでやろうと思ったのに……」

「っ!!」

 

 ズォオオオオオオオオッ!!

 つい愚痴を吐いた瞬間、目にも止まらぬ速さで剣が振り落とされる。

 

「黙れ……」

 

 壁に巨大な斬撃の跡。

 風圧で辺りの地面にもヒビが入っている。

 

「な、んだい今のは……」  

「壁が真っ二つに!?」

「これがSランクか……」

 

 たった一振でここまで地形を!?

 

 強いなんて言葉じゃ表せない。

 格が違いすぎるんだ。

 AとSではここまで差があるのかい?

 

 何でずっとAのままなのかイライラしていたけど、最悪の形で答えがわかってしまった。

 

「今のも全てカメラに収めている。無駄なあがきはしない方が得だ」

「っ!! おのれ……おのれぇ……!!」

 

 残された私にできたのは、敗者らしく叫び続けるだけだった。

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