元E級のTS探索者は大金持ちになりたい   作:早乙女らいか

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第6話 とんでもスキルに目覚めたらしい

「……なんとなくわかった」

 

 進化した”身体強化”……改め”破竜強化”の効果。

 それを一つ一つ検証していた。

 

 とにかく効果が盛られている。

 

 ”血塊錬成”は血を使って武器を錬成するというシンプルで汎用性の高いスキル。

 魔法に繋がる……というよりは魔法に使える武器を錬成するといった感じ。

 ダンジョン産の素材を使っ武器じゃないと魔法は付与できない為、自身のスキルで生み出した武器を魔法で強化できるのは非常にありがたい。

 

 で、問題の”破竜強化”だ。

 

〜〜〜

 

【破竜強化】

常時、スキル保有者の身体能力と魔力を破竜の力で大幅に向上させ、炎魔法と闇魔法が使用可能になる。

また、”空中歩行”が可能になり、”危険察知”が自動的に付与される。

ダメージを負った場合”再生”が発動し、スキル保有者の体力と肉体を自動的に回復させる。

一定以上のダメージを”再生”によって回復した場合、”破竜状態”に移行。

”破竜状態”になると消費魔力と消費体力が増加するが、被ダメージが減少し、身体能力とスキル保有者が与える全ての攻撃を大幅に強化する。

状態異常無効。  

 

〜〜〜

 

「長い!!」

 

 色々書きすぎだろ!!

 せめて一個ずつ別のスキルにまとめたらいいじゃん!!

 

 とりあえず俺の身体は”破竜強化”によってバケモノレベルにまで強化されたらしい。

 傷だらけだった身体が治っていたのも、”破竜強化”の効果の一つである”再生”が発動したからだろう。

 

 そういえば壁に叩きつけられたのに何ともないな。

 これも”破竜強化”のおかげ?

 

 あぁ、クソッ……どれがスキルの効果なのかこんがらがってきた。

 

「まずは”空中歩行”を……おおっ!?」

 

 軽くジャンプして足踏みをした時、身体が足を延ばした方向と真逆に飛んでいった。

 すげぇ!? 本当に空中を歩いている!?

 歩くというか飛んでいるに近いけど、まぁいい。

 

「あ、でも結構疲れるな……これだけで上に行くのは無理か」

 

 それでも色んな所に行けて便利じゃないか? 

 元々の跳躍力が増してる上に、空中での移動範囲がグッと上がっている。

 疲れやすいというデメリットはあるが、それを上回るメリットは確かにあった。

 

 ぷるんっ

 

「っ」

 

 それと動く度に妙なものが視界に入る。

 

 俺の膨らんだ胸だ。

 動けば動くほどゆさゆさ揺れて、たまに動く胸に引っ張られて身体のバランスを崩しそうになる。

 

 後、元が男子だからか自分の身体にも妙な考えをしてしまう。

 思考まで完全に女の子になったワケじゃないか……

 

 安心したというか、なんというか。

 

「なんだあれ?」

 

 天井に作られたような穴。

 さっきの巨大蜘蛛が作った巣か?

  

 とりあえず行ってみるか。

 

「暗いな……”ファイア”」

 

 習得した炎魔法で辺りを照らす。 

 

 ジメジメしているな。

 蜘蛛の糸は見当たらないから……別のモンスターの巣か?

 

 ”危険察知”があるとはいえ油断はできない。

 最大限警戒しながら前に進もう。

 

「後、一番気になるのが”破竜状態”ってヤツなんだけど……」

 

 歩きながら”破竜強化”に書かれていた謎の効果、”破竜状態”について考察する。

 

 一定以上のダメージを再生したら移行する。

 文章だけ読んでも理解ができない。

 

 少なくとも巨大蜘蛛に叩きつけられた時は身体に大きな変化はなかったし、何か大きなダメージを喰らう必要があるのか?

 

 ……嫌だなぁ。

 

 痛いのは勿論だけど、大ダメージをトリガーに発動するスキルってなんか使いづらそう。

 発動したら強いのは説明文でわかるけど、その為に死にかけるリスクを背負うのはなんだかなぁ。

 

 まあ本当にピンチの時の最後の手段として考えた方がいいか。

 

「後は最後のスキルを……?」

 

 まだ詳しく読んでいなかったスキルの詳細を開こうとした時、再び殺気を感じた。

 しかも二つ。

 

「っ!!」

 

 瞬間、俺の正面と後方から高速で何かが突撃してきた。

 

 いきなり来るか!!

 俺は正面の攻撃を前に飛び込んで回避し、後ろの攻撃は先程”血塊錬成”で錬成した剣で防いだ。

 

「ピョオオッ……」

「ウサギ?」

 

 そこには何とウサギの姿が。

 短い足を使って蹴りを放ち、受け止めた俺の剣をカタカタと揺らす。

 

 小さいのに結構パワーあるじゃねえか。

 俺は剣を逸らす事でウサギの攻撃を受け流し、体勢を建て直した。

 

「ピョオオオッ!!」

「っ!? こいつら速すぎるだろ!!」

 

 前にいたウサギがもう後ろに!?

 あまりの速さに驚きつつも、俺は腕を使ってウサギが狙った首元をガードする。

 

「ぐぁああああああっ!!」

 

 が、不安定な防御で防げるワケもなく、そのまま壁に向かって蹴り飛ばされた。

 

「ゲホッ」

 

 血を吐き出す。

 蹴りと岩への激突という重い衝撃のサンドイッチに身体が悲鳴をあげている。

 

「くっ……!!」

 

 感情の変化に再び涙が出始める。

 いちいち忙しいな!!

 何とかならないのかこれ!?

 

「「ピョオオオオッ!!」」

「てっめぇ……!!」

 

 やっぱ普通のダンジョンじゃないな。

 

 一歩間違えたら死ぬ!!

 そんな恐怖をビンビンに感じさせる。

 

 でもなぁ、俺だって大人しくやられるワケにはいかないんだよ!!

 

「”血塊錬成”!!」

 

 手首を斬りつけ、そこから血を出して武器を錬成する。

 作ったのは小型のナイフ、しかも何本もだ。

 

 錬成したナイフに俺は闇魔法を付与し、その全てを空中に浮かせた。

 

「”影走り”」

 

 効触れた無機物を影の力で自由に操れる。

 それが”影走り”の効果。

 

 頭の中に魔法の使い方が入ってたからやってみたけど、これは想像以上だ。

 

 ナイフが羽ばたく鳥のように空中で自由に動いている。

 面白い魔法を得たな、と再び頬をニヤつかせた俺は、ナイフを全てウサギ達に向けて飛ばした。

 

「「ピョォオオオオオッ!?」」

「逃がさねぇよ!!」

 

 ウサギ達は逃げる。

 だけどナイフは追い続ける。

 

 高速に高速が重なり、周囲には土埃と強い衝撃の音が響き渡る。

 

 グサッ!!

 

「ピョォッ!?」

 

 まずは一体。

 ナイフは完全に奥へ入った。

 

「ふぅ……ふぅー……」

 

 不安定な心を落ち着かせる為に深呼吸をする。

 まだ敵はいる。

 残りは……奥か。

 

「逃げ足も速いな……絶対殺してやる」

 

 俺は刺し殺したウサギの死体を拾いながら、奥へと逃げたウサギを追いかける。

 しっかしだいぶ長いな……

 ここにウサギの住処があるのか?

 

 もしかしたら大ボスがいる可能性も……

 

 あらゆる危機を予測しながら、俺はウサギを追いかける。

 そして広けた場所へとたどり着いた。

 

「何もない?」

 

 ただ広いだけの空間。

 周りは岩壁で囲まれていて、それ以外は何もない。

 

 ここがウサギの住処?

 にしてはエサとか巣の跡がどこにもないんだが……

 

 あ、ウサギ発見。

 殺しとくか。

 

 グサァ!!

 

「よし」

 

 これで二体目。

 一応、俺が見たウサギは全員殺した。

 

 それなりに長い道だったと思うが、”破竜強化”で身体能力があがってるからか一瞬だったな。

 

 さて、問題はウサギが二体いたという所だ。

 

 ウサギ達は協力して俺を殺そうとしていた。

 つまり仲間意識が高く群れで暮らしている可能性が高い。

 

 だから大規模な巣の一つや二つあってもおかしくは……

 

「っ!!」

 

 キーンとした感覚。

 ”危険察知”が発動したか。

 

 どこだ、どこにいる?

 今のところ視界には何も映っていない。

 

 ウサギ達が隠れるような穴も、ここに来るまでに通った道以外はない。

 

 だったらどこに……待てよ?

 周りの壁は本当に壁か?

 

「……」

 

 底知れぬ不安を感じてまた泣きそうになる。

 だけど無理やり抑えた。

 

 いちいち泣いていては戦闘の邪魔になる。

 少しずつコントロールする方法を見つけていこう。

 

「行け」

 

 俺は”影走り”で操作したナイフを周囲に向けて発射した。

 ナイフには魔力が付与されており、岩壁くらい簡単に貫通できる。

 

 サクッ、サクッ、サクッ……

 

 見事に突き刺さってるな。

 土埃も出ている。

 

 後は地面だけだが……

 

「は?」

 

 カーン、という異質な音。

 まるで鉄板に当てたような音だ。

 

 見た目は土や岩からできてそうな普通の地面。

 なのにこんな音がするってことは……

 

「っ!? じ、地面が揺れた!?」

 

 グラグラグラァ!!

 ”危険察知”の反応が強くなるのと同時に、俺の周りで地震のような現象が起きた。

 岩壁が崩れ落ち、周囲に岩や土埃をまき散らす。

 

 あっぶねぇな!!

 

 俺はすぐさま”空中歩行”でその場を離れ、落ちて来る岩を避けてやりすごす。

 そして下を見た時、俺は驚いた。

 

「……亀?」

 

 とにかくデカい亀。

 さっきまで地面だったものが、亀の甲羅になっている。

 奥の方では亀の頭が勢いよく上がっているし。

 

 まさか、この亀が地面に擬態していたのか?

 カメレオンみたいな事をしやがって……と思っていると、甲羅の隙間から何かが出てきた。

 

「あのウサギ!?」

 

 一体だけじゃない。

 さっきとは比にならない数のウサギがワラワラでてくる。

 例えるならウサギ軍団と言ったところか。

 

 まさか亀の甲羅に住んでいたのか?

 巣やエサの跡がないのもそれが原因か。

 

「ピョォオ……」

「ォオオオ……」

「おいおい、ウサギと亀って仲悪かったろ?」

 

 ウサギ達と巨大な亀が仲良く俺を睨み付ける姿。

 これは……今まで以上に大変な戦いになりそうだな。 

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