ブルアカ世界に狂信者を入れてみた   作:カニバルキャンディー

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不明


【過去編】明日を選べるものは今日を生き抜いたもの

「キキキ、なに?ゲヘナとシスターフッドの歴史か?」

「うん!イブキ今昔のこと勉強中で…けど不自然に雷帝さんの歴史が見つからなくて…」

「なるほど…それなら当事者に聞いた方が…マコト様の口からは…」

「マコト先輩も当事者なんですから教えてあげたらいいのに」

「マコト様が嫌われたらどうするんだ!?」

 

 万魔殿での一幕、イブキが学校で気になったのかここ最近の歴史を気になり始めていた

だがマコトはふざけた口調で語りたくないと駄々をこねる

これが万魔殿の議長の姿か…これが?

 

大きく巨大な扉を開けて白いモフモフとした小さな少女ヒナと横乳がはみ出ているスタイルのいい美女アコが書類の束を持って万魔殿に入ってくる

「マコトこれ風紀員の仕事じゃない書類が混じってたんだけど、顔面に叩き付けられるか机に叩き付けられるかどっちがいい?」

「随分物騒なこと言うようになったな…机に叩き付けてくれ…」

「あ!ヒナ先輩!良いところに!」

 

可愛らしい擬音を立てながらヒナに近づくイブキ少しだけ困ったように首を傾げてヒナは無駄に豪華な椅子に座る

 

「マコト様の椅子に勝手に座るな!まさか万魔殿のトップを取ってやるぞという意思か!?」

「要らないわよこんなめんどくさいところ…友達と喧嘩も出来なくなるじゃない…それでイブキ私に何か用かしら?」

「あのね!雷帝さんの歴史が知りたいの!ヒナ先輩はシスターフッドの怖い人と友達なんでしょ?だったらトリニティからの視点とかも知ってたりしない?」

「ちょっと刺激が強いかしれないけど良いわよ?アコ珈琲を入れて頂戴、マコト確かケーキあったでしょ」

 

マコトが舌打ちしてアコが嬉しそうにそれぞれキッチンに向かう

ゲヘナの先輩による少しだけ血塗られた歴史の授業が始まる

 

────────────────────────

その日は極めて普通の日だった、ゲヘナの馬鹿達もあまり暴れてないし

シスターフッドの狂人たちも戦闘を開始していない。

 

「暇ね…もう一度アンが襲ってきてくれないかしら」

欠伸をしながらビルの屋上で足をぶらぶらさせながらタンブラーに入れた珈琲を飲んでいた

 

 ヒナは情報部から風紀委員会に転部して戦いの経験を積んでいた。

その高い実力のおかげか単独行動を許されている、そもそも部下を連れてたら本気で暴れられないし邪魔だというのが本音だろうが

 

「あら…アレは…え?」

 

レッドウィンターとトリニティのほぼ中間地点にそれは現れた

真っ黒の団子のような巨大な生物?丸い球体が3個歪に取り付けられ、そのどれもに巨体に合うような巨大な人間の歯と口内が再現されている

その周りにはお面のような仮面をつけた人間が整列して歩いている、恐ろしく統一された動きで機械のように正確に

 

「トリニティはあり得ないわね…作った人間をアンが殺すわ…レッドウィンターはそんな技術力ないとして…あぁ、雷帝かしら?そういえば逃げだされたとか言ってたわよね」

 

 即座にトリニティ側から砲撃が雨のようにその化け物に放たれる。

次々と砲撃が着弾し地形が変わるほど爆発を起こし周囲が更地に代わる、流石の化け物もダメージがあるのかよろよろと立ち上がるのか見える範囲ではボコボコと泡立つように修復されていく

 

「けど駄目ね…彼女が到着している…私も狙撃とかで手伝った方がいいかしら?」

 

 マコトから奪ってきた唯我独尊のスコープを覗くと聖書が辺りに散らばりアンとその仲間であろうシスターたちが化け物に斬りかかっていた

ものの数分で化け物とその周りにいた人間たちが欠片も残らず消滅

一瞬アンがヒナの方を見て口パクで何かを伝える

その返答として弾丸をアンに撃ち込みその場から離れる

 

「トリニティでも何か起こってるみたいね…ゲヘナまで来ないといいのだけど…個人的には暴れてくれると楽しいけど」

 

ビルの屋上から飛び降りながらそんなことを考えている

そしてその考えは当たる

 

 ゲヘナの噴水の真ん中に一般的なレコードが置かれた、もちろん面白いことが大好きなゲヘナ生徒

なんの躊躇もなくそのレコードをかける

その音楽の名前は『全ての救われ得ぬ人々へ』

 

阿鼻叫喚、異様な情報が音楽を聴いた生徒たちが嘔吐を引き起こし倒れ込む

本質的にはそのレベルではないが情報過敏で全員が嘔吐した数秒後に気絶し意識が飛ぶ

 

そのレコードは通りがかったヒナが撃ち壊した

 

「50人だ!50人死んだ!!トリニティとの戦争で死ぬのはいい!だが校内で死んでいるんだぞ!?幸い万魔殿内で死体は回収したから表には漏れていない…だが時間の問題だ…!」

「部屋で大きな声出さないで欲しいんだけど…」

 

万魔殿内でマコトが叫びカヨコが迷惑そうに使ってたPCから顔を上げる

偶々遊びに来ていたヒナも少しだけ顔をしかめてスマホから顔を上げる

 

「原因はわかっている!雷帝だ!あの頭のネジが無い科学者が!いよいよゲヘナ全体を実験場にしている!あのマッドサイエンティストを早く見つけ出さなければ!」

「でしょうね?この間トリニティの方にも似たようなものが襲い掛かってたわよ、あっちはもろに化け物だったけど」

「キキキ…どうにか手を打たなければ…将来マコト様の席になるはずの議長の椅子が無くなってしまう!物理的に無くなる可能性があるのは流石に予想外だぞ!」

 

机をひっくり返しながらマコトが叫ぶ

その様子をこれまためんどくさそうに眺めてるヒナとカヨコ

「それに…この事情は終わらんぞ…雷帝はまだまだおもちゃ箱をひっくり返して遊ぶ」

 

苦虫を嚙み潰したような顔でマコトがつぶやき、そしておそらくその予感は当たる

────────────────────────

「ほぇ?雷帝先輩がいろいろやってるのは習ったけど…トリニティでもやってたの?」

「キキキ!雷帝はおもちゃで遊ぶだけの子供だからな、見境などない!人間性で言えばイブキの足元にも及ばない!」

 

わーい!と無邪気に喜ぶイブキの頭を撫でまわすマコト

そんな様子をゲヘナモップシスターズは眺めていた

 

「実際どうでした?」

「人間性としては子供の精神に天災の頭脳入れた感じよ…つまり物凄くめんどくさい」

 

ケーキを食べながらアコ特性不味いブレンド珈琲で喉を潤す

イブキがもっと話して欲しいと急かすのでヒナがまた懐かしそうに話を続ける

 

────────────────────────────────

ゲヘナから変わってトリニティ

こちらでも地獄が広がっていた、ゲヘナと違うのは異常事態が実力者にしか来ないという点だろうか。

だがトリニティはそれなりに実力者が多いせいかそこそこの数のおもちゃを送り込まれている。

 

 

 アンがチケットを手に持ちながら荒野で待っている、場所が場所なら絵になる構図だが彼女の格好が問題だ

珍しく仕舞わずに銃剣を地面に突き立て爆薬を懐に仕舞いこむ、ヒナと正面から戦えるような完全武装。どこかに戦争を仕掛けに行くといった有様

 

「さて…そろそろか…」

 

 そう呟くと同時に高らかな警笛音がどこからともなく鳴り響く

頭蓋骨と石でできたような駅の窓口が何処からともなく現れその向こう側から巨大な眼球が付いた6両列車がアンに向かって突っ込んでくるッ!

アンが舌打ちをしながらその眼球にぶつかる

 

 車内に飛び込んだアンを待ち受けていたのは気が狂ったとしか思えないありさま、人間の腕が椅子になりその椅子にはグズグズに溶けた化け物が座ってこちらを見ている

「主よ、この醜悪な化け物どもを地獄に送る為にお力をお貸しください…Amenッ!」

 

銃剣を十字にして頬を吊り上げる、それを合図に化け物がガラスをひっかいたような叫び声を上げながらアンに向かって突撃

アンが奇声を上げながら化け物共をぶった切り爆薬で爆発させながら最後尾まで駆け抜け最後のドアを蹴破り外に出る

身体に付いた体液を払いのけながら、懐からチケットを取り出して行き先を見る、そこには『地獄への特急行き』洒落ているのかふざけているのか判断に困る文字が書かれていた

 

「どうなってる…これで5件目だぞ?明らかに人工的に作られたものだ。」

 

 その後ろでは盛大に事故って岩に激突している列車をしり目に

聖書を頭上に投げてトリニティに移動する、目を開けるとサクラコがアンの前に立っていた

大聖堂の廊下を歩き現状を報告。

 

「お疲れ様です、アン…どうでしたか?」

「どうもこうもないな…ミレニアムでもあんな醜悪なものを作らない、ゲヘナはそもそも作る下地が無い…キヴォトス由来のモノじゃないぞ」

 

途中で奪い取ってきた列車の破片を鑑識の生徒に渡してサクラコの後ろを歩く

大聖堂の一室、めったに人が来ないその部屋。

 

「ゲヘナから要請が届いています」

「破り捨てろそんなもの」

 

 

────────────────────────

「ここからやっとトリニティとゲヘナが係わるわね」

「風紀委員長はどうしてそこまで向こうの事情に詳しいんですか?」

「聞きたい?」

「あ…大丈夫です…」

 

ニッコリと普段しないような笑顔を見せてイロハを引かせ

二杯目の珈琲を飲み干して新しいお茶請けのケーキを食べる

マコトが舌打ちしてイブキを抱っこしながらその後頭部に顔を埋める

 

「マコト先輩なにしてるの?イブキ臭い?」

「臭くない!お花の匂いがするぞ!ここから先はマコト様の黒歴史なのだ…」

「あら、私あの時のマコト結構好きよ、それじゃあ話しましょうか」

 

────────────────────────

ブラックマーケットの一室、誰が来ても何をしても自己責任なこの場所

そこにシスターフッド、歌住サクラコ、神塚アンの両名

それに向かい合うのは万魔殿、風紀員、空崎ヒナ、羽沼マコト

 

今にも殺し合いが始まりそうな雰囲気の中会合が始まる

 

「キキキ!まずは来てもらってありがとうと言っておこうか!」

「いえ…こちらもなかなか困っていたところですので…単刀直入に行きましょうか」

 

「あの兵器たちの出所と情報交換を」

「アレは雷帝の玩具だ、奴はこのキヴォトスを巨大なおもちゃ箱としか見ていない…こちらの情報網によると最近ブラックマーケットのヘルメット団が組織ごと消えている

それも1団体だけではなく大量にだ」

「なるほど…人体実験ですか…悪辣なことをやりますね…」

 

「その割には驚いた様子がないようだが?キキキ!シスターフッドでも同じようなことをしていたか?マコト様にも噂は届いているぞ!」

 

 アンとヒナが同時に一歩前に出る、それだけで部屋の温度が数度下がるほどの圧力、次に愚弄したら殺すとそれを邪魔すると一歩踏み出した2人が態度で雄弁に語る

サクラコが懐から取り出した調査書を机の上に置いて、マコトがそれに目を通し顔をしかめる

 

「ゲヘナよりよっぽど悪辣なことやっている…」

「言っておきますけどそれ私たちがやったんじゃなくて雷帝の道具を解析したら出てきたものですからね…」

 

 成分表に人体からしか取れない物や明らかに遺伝子が狂ってるもの、人工的に作られた形跡がある骨までより取り見取り

恐ろしいのが分かる範囲でこれだけだということ、わからない方が多く、今のトリニティの科学力ではイかれてる以外に説明が付かない

 

「こちらからはこれだな…と言ってもそちら程調べはついていないが現物は持ってきた」

 

マコトがスーツケースの中から取り出したのはバラバラになったレコード

アンが聖書を一枚取り出してその上に乗せると燃え上がり聖書が消える

 

「ほう?私の神秘が染みついたモノだ…我々の所だったらこれで浄化できるのだがな」

「キキキ!性質が違うのだろう!トリニティは物理的破壊にゲヘナは神秘、精神に攻撃を与えるという訳だ…ふざけてやがる」

 

 

マコトが笑い、サクラコが微笑む

今までは単純な挨拶とお互いがどれだけ知識があるかの確認

 

「我々は雷帝を最低でも卒業、最高で殺害したい」

「えぇ、我々も同じくそれを望んでいます…ですがなぜ大々的にではなく我々4人だけで…流石のゲヘナとトリニティでも死人が出ていますし、流石に協力するはずです」

 

「だって、アン…貴女私と協力する?」

「殺し合いしたいって言ったか今?」

 

いつの間にか横に並んでいる2人の最強たちが横腹を突きながら茶々を入れる

その様子にマコトとサクラコが溜息を吐く

 

「と言っても、はいそうですか、と我々は協力できないだろうならば簡単に利益をぶら下げよう。

この4人で打ち取ればマコト様は万魔殿議長に、ヒナは風紀委員長に、サクラコはシスターフッドのトップに、アンはシスターフッドの部隊長にそれぞれ就けるだろう」

 

キキキと愉しそうに笑うマコト

彼女の狙いは初めからこれ、本質的にはゲヘナの生徒が100人死のうがトリニティが1000人死のうが興味もない

自身の目的のためならば道化すら演じて見せる

手を大きく広げて目の前のシスターの回答を待つ

 

「あまり権力に興味はありませんが…生徒に被害が出るなら私たちは協力いたします」

感情の読めない微笑みを浮かべて向かい打つ、シスターサクラコ

 

 手を取り合った瞬間ガラスを突き破り2人の間にある机にミサイルが突き突き刺さる

そのミサイルには不機嫌な男の顔が書かれていてこちらを睨みつけているのだ

だがこの場にいる全員が対して気にした様子もなく会話を続ける、護衛であるアンとヒナすら動かない

 

「3日以内にこちらから連絡を入れよう」

「はい、こちらは何を用意しておきましょうか?」

 

ピっピッピっとミサイルから聞きたくない音が聞こえ

男が書かれた顔の反対側にカウントダウンの画面が見える。

 

「録画機器と侵入のための道具にそっちの神塚アンの完全武装、こちらは雷帝の居場所とヒナを出そう」

「それは助かります、では」

 

そう2人が笑った瞬間ミサイルが大爆発

ブラックマーケットの一角を完全なる焦土に変えた

 

 

 

「キキキ!さぁ!これから忙しくなるぞ!3日以内にあの雷帝を見つけ出さねば!やはり陰謀と言うのは楽しいな!」

「私は暴れられるのなら別にいいんだけど、ちゃんとお膳立てしてよね」

 

悪魔たちが荒野を爆笑しながら歩き出し

 

「さて…最高級の録画機器用意しておかないといけませんね。あと大司教の弱みも」

「クハハハ!今回で最後だ、クソ悪魔共と手を組むのは…だが悪魔共と手を組んでも雷帝は存在してはいけない」

 

シスターたちが美しい花畑の真ん中を堂々と歩く

 

 

これは彼女たちの青春の話

 

 




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