ブラックマーケットのとある一室に彼女達は居た
窓には分厚い鉄板が打ち付けられ中が見られないように、悪だくみにはぴったりだ
「このマコト様に相談を持ち掛けるとは見る目があるな!」
楽しそうに笑ういつも通りのマコト、唯一違うのが武装もなく完全なる丸腰の状態でこの会合に挑んでいる
「あぁ、我々アリウスがエデン条約の時にミサイルを落とす…ゲヘナが目障りにしていたトリニティもシスターフッドも風紀委員会も
何もかも一纏めに滅菌焼却…我々は復讐をゲヘナは目の上のたんこぶを取り除ける?winwinな取引だと思うが」
資料を机の上に出しマコトを睨むキャップを被り機械的なマスクを口に付けた隙のない女性。
アリウススクワット錠前サオリ、その後ろには護衛のように
ダウナー気味な戒能ミサキにオドオドと少し震えている槌永ヒヨリが控えている
手に持った武器は2人もいつもの銃器ではなく小回りの利くAK47を手に構える
マコトとは正反対の完全武装した姿、その姿を見てマコトは鼻で笑う
この程度の覚悟もないのかと。
「キキキ!足りないな、これはあくまでゲヘナとトリニティの条約…トップであるマコト様が居なかったらまず最初に疑われる…それともマコト様ごとドカン!と言った寸法か?」
「……こちらから飛行船を出そう、条約時には好きな理由をつけてそれに乗ってこればいい…その隙にミサイルを落とす、飛行船のスペックは…これだ」
机の上に出された書類を一枚渡す
そこには今提示された飛行船の詳細なスペック、防弾は前提として左右に5門のガトリング
ゲヘナではとても作れない超高級品の代物、マコトは軽く一瞥するとその書類を机の上に投げ捨てる
「それでどうする?今この場でyesかnoか決めて欲しいのだが、こちらにも予定というものがある」
「キキキッ!余裕がない奴らだな…あの魔境トリニティで迫害されるだけはある…よっぽどだぞ?あそこは虐めは在れど潰すまではなかなかいかないのだがな
怖い怖い処刑人が目を光らせている。」
もう一度キキキ!と楽しそうに笑うマコトにミサキとヒヨリが銃を向ける
お道化たように手を上げまいったのポーズ
「我々を挑発するのは辞めてもらおうか…恩讐を胸にする…我々はそこまで沸点は高くない」
「キキキ!仲良くしたいものだな、オアシスのバンドのようにな!マコト様が
おっと、マコト様の前にドラムが居たのも忘れてたな」
「…?何を言っている…?」
「こういうことだ」
瞬間窓に打ち付けられていた鉄板がはじけ飛び、続けざまに撃たれた外部からの長距離狙撃
反応も出来ず左右に居た2人が撃ち抜かれ意識が一瞬で飛ぶ
「貴様!!これはどういうことだ!?」
「この程度の腹芸もできないとは…ガッカリだトリニティの奴らなら逆にマコト様を殺しに来るぞ」
頬杖を付きながら軽く首を傾げるとマコトの絹のように美しい髪の毛を数本焦がしながらもう一発の弾丸サオリの眉間にぶち当たる
呻き声をあげながら床に倒れ込むサヨリを一瞥すらせず立ち上がる
「80点、訓練の成果が出たな、次はマコト様の髪の毛を焦がさないようにな」
『はっ!ありがとうございます!精進いたします!』
懐から手榴弾を取り出しピンを抜いて机の上に置き、余裕をもって部屋のドアを開ける
背後の爆発音を聞きながらすでに回してあった車に乗り込み、ネクタイを緩める
「しかし…議長よかったのでしょうか…あの提案に乗っていれば邪魔者はすべて排除できたのでは?」
「無理だな、マコト様も含めてミサイルで死ぬような連中はそもそも戦力にならん、マコト様が一番排除したいのは
ミサイルでも死なない連中だ、雑魚がいくら死のうが死なない奴が1人でもいたら簡単に差はひっくり返る」
「そ、そうですか…浅はかな質問申し訳ございません…」
「キキキ!構わん!それにだ…アイツらアリウススクワット、あの目が気に入らん」
「目ですか?私には普通に見えましたが…」
「自分が被害者だと疑っていない負け犬の目だな…キキキ!そもそもおかしいことだらけだ、トリニティもゲヘナも現代の我々が受精卵にすらいない、知識としてすら知らない時代の出来事だぞ?あの負け犬共は自分が被害者だと大声で癇癪を起したいだけだ
つまり誰でもいいのさ、トリニティでもゲヘナでもミレニアムでもアビドスでもレッドウィンターでもな」
溜息をつきながら珈琲を口に含みながら混沌としている愛すべきゲヘナを見る
「ま、ああいう手は否定されようが実行するはずだろうがな、マコト様はそれを利用するだけだ…死なない連中が運よく死んでくれるならマコト様の仕事も楽なのだがな…」
キキキ!と子供のように笑いながら車はゲヘナの混沌に消えていく
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ここは監禁部屋、まぁ…名前だけですけど何不自由ない部屋
テレビもあるし監視されてはいるがパソコンでネットサーフィンすらできる
ベットはふかふかで1日1回メイドがシーツの交換と部屋の掃除に来る、食事も一流とは言わないがお店で出してもおかしくないレベル
まぁ…しいて言うならお仕置き部屋でしょうかね…流石に蹴落とすことが日常のトリニティでもティーパーティーがやらかしたので様子見で簡易的な感じです
「それより私も一緒でよかったんですか?ティーパーティー以前に友達同士ではありませんか?」
「構いませんよ…正直まだ心の整理が済んでいませんので…もしもがあれば止めてもらえれば」
「かしこまりました」
軽く扉をノックして開ける
本から顔をあげてこちらを見るミカさんの姿
「わぁっ!ナギちゃんにアンじゃん!いらっしゃい!」
「…ミカさん…調子はいかがですか?何か不便なことなどは?」
「あはは…不便なことだらけだけどね?とはいえテレビもあるし、地下の牢獄よりはマシだよ」
軽い会話のはずが所々ギクシャクと言った感じでしょうかね?
裏切った側と裏切られた側ですし
「アリウススクワッドは…」
「アリウスの生徒会長が秘密裏に組織した、特殊部隊聞きたいのはそれだけ?それについては私、尋問の時にも言ったよ?」
「はい…それは私も確認しました」
「それで?じゃあまだ何か隠し事があるんじゃないかって?なら試しに爪でも剝いてみようか?そこにプロが居ることだし」
「え?その程度もやられてないのですか?あぁ…ウチじゃなくてティーパーティー主体で取り調べをやったのでしたね……随分温いですけど…政治的理由ですか?」
まぁ…やって欲しいならやりますけど…私苦手なんですよねぇ…爪剝がすより殴ってyesとしか喋られなくする方があと腐れないですし
道具持ってましたっけ…銃剣ならあるんですけどナイフの方がやりやすいんですよね。
懐を探っていると隣に座っているナギサさんに腕を掴まれる
「アンさん絶対にやらせませんからね?それはかつての聖徒会のやり方でしょう…私の目が白いうちは野蛮な方法は許しません」
「相変わらずシスターフッドは狂ってるね、それに優しい優しいナギちゃんはそういうの苦手だもんね」
「昔よりマシですよ…というか書類見たことあるならわかるでしょうに…」
近くにあった紅茶のセットで入れた紅茶を飲む、ミカさんとナギサさんは警戒して流石に飲みませんか…まぁ別にいいですけど
「…私がさ…こんなこと言うのもなんだけど…もうアリウスの事なんてどうでもよくない?私って言う後ろ盾が無くなったことだし、もうアリウスの兵器も補給も全部途絶えつつあるはず…
スクワッドは残ってるけど…所詮チーム、分校の残りを集めたところでシスターフッドか正義実現委員会が動けば何とかなるし」
「現段階で今のアリウス分校は大した危険要素になりませんが…人間は追い詰められた時が一番怖い、何をやらかすかわからないという意味で…テロぐらいなら可愛いんですが…」
「あはは…
「それはシスターフッドでも確認中ですね…まぁ…大聖堂はカタコンベとかあるので完璧に探せるかと言われると首を傾げないといけませんが…」
ミカさんが冷蔵庫からケーキを取り出して我々に配る、お返しにバックからクッキーを渡してちょっとしたお茶会に
こういう悪だくみは何か食べてないとやってられませんよ!
「自治区の入り口について知りたいならアズサちゃんをちょっと脅して聞いてみたらどう?裏切者とはいえ当事者なんだし、何か知ってるんじゃない?」
「それは…その…やりたいんですが…やれないというか…」
「…?あ~わかったナギちゃんがそんなに歯切れ悪いのってもしかしてアレ?先生に意地悪したからこれ以上シャーレの下に居るアズサちゃんにいろいろ問い合わせるのは気まずいとか?」
「…まぁ…ちょっとやりすぎて反感買いそうなのもありますけど…」
ごにょごにょ言うナギサさんにあははと笑うミカさん…いやぁ…思春期ですね!17歳にして好きな人が出来ました!恋に恋しています!って感じですかね!
女子高の我々にはイケメンで寄り添ってくれる系は弱いのでしょうか?お嬢様たちですからねぇ…恋人ができたら貢ぐ関係になってしまいそう…
来年からは先生にお願いして恋愛関係の授業とかしてもらいましょうかね…社会に出たら確実に詐欺にあいますよこれ…
「どうして…私のヘイローを壊そうとしたのですか…どうしてですか?ゲヘナが憎いからですか?それが理由で…それだけで私のことを…」
「……」
「あの時…セイアさんが死んだと聞いた時、衝撃と恐怖…それと同時に次は私だと思いました私たちの中で最も賢く予知夢という武器まで持ち合わせていたセイアさん…
ティーパーティーでも一等危険な彼女を最初に襲うのはある意味理解できます。ミカさんは政治的に基本馬鹿ですしとなればきっと私だろうなぁ…と」
「…もしかして私今悪口言われてる?」
「事実ですし…貴女貴族的なふるまいはできても政治的には使えないじゃないですか…」
ミカさんが近くにあったクッションを投げて羽で受け止めるナギサさん…埃が舞うから辞めなさい…
「はぁ…私まで倒れてしまう前に…ミカさんが1人になってしまう前に犯人を見つけ出そうと思ったんです、ましてや…ミカさんまで怪我させたくありませんでしたし」
「じゃあ一体誰が?ゲヘナ?連邦生徒会?ビックシスター?レッドウィンターの独裁者?山海径の黒い君主?シスターフッドのボス?毎日毎日イフともしを考えていました」
手に持っていたティーカップを握り潰し紅茶が机の上を濡らす。震えていた背中をそっと撫で落ち着かせる
「ナギちゃん」
「もういいの…これはそんな複雑はお話なんかじゃない。ゲヘナの事が大っ嫌いな私が。そのために幼馴染をも殺そうとしたそれだけの話だよ」
「…な、何かが…何かがあったのではないですか?手違いが…誤解が…私が知らない何か事実が…真実が…」
「真実?あはは!あー!もう!だから私はナギちゃんのことが好きなんだなぁ…きっと、こういう、純粋なナギちゃんのことが
真実なんてものはないよ、私がセイアちゃんをやっつけようとした、その上ナギちゃんのことも、それだけ」
歌うように懺悔するように何かを噛み殺すかのようにミカさんは微笑みすら浮かべてこちらに目を向ける
「ナギちゃんは良く知ってるでしょ?私、好き嫌いが激しいの、ただそれだけだよそこのシスターみたいにどうしてもゲヘナとは仲良くできなかったそれだけの話
あんな奴らと同じ空間にいるなんて耐えられない、ゲヘナとトリニティの条約?舐めてるの?アンはナギちゃんはそうじゃないの?」
「それでアリウスと手を組んだんですか?」
「うん、私は人殺しだよ?気に食わないことがあったらそれくらい当然のことでしょ?セイアちゃんが例え生きてたとして。私があの子を殺そうとしたって事実が消えることはない」
「どうして…貴女はそんなことできる裏が無いはずなのに…」
「裏なんか一ミリも見せたことないのに?」
無言のまま立ち上がるナギサさん、こちらに振り向きすらせずにドアに歩く
「またね…お見送りはしてあげられないけど」
ドアが閉じて心地よくも心を蝕んでくる静寂が部屋の中を埋め尽くす
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「今にも潰れそうな子に辞めてあげてくださいよ…」
「あはは…ごめんねけどナギちゃんは優しいから」
「まぁ…個人的にミカさんがアリウスに騙されてたのか本気で殺したいのか知ったこっちゃありませんけどね」
「随分バッサリ切ってくれるね…いくら私でも傷づくよ?」
机の上に転がっていた鉛筆をミカさんが全力で握りしめる、次に手を開けたときに
キラキラ光る極小の宝石が転がっていた
「大方アリウス達がセイアさんを殺してしまってパニックになったんじゃないですか?それで自分が悪役になってナギサさんを殺さないようにさせるって感じですか?」
「シスターフッドは肉体だけじゃなくて精神の方も拷問するのが得意なんだね、流石宗教の名のもとに異教徒を殺すイかれた組織」
「拷問は精神を削る物ですよ…セイアさんが意識不明の重体に陥るのは事実ですけど…死んではいませんからね…必要なら写真ぐらい持ってきましょうか?寝顔ぐらいなら撮ってこれますよ」
大理石のテーブルの一部が毟り取られる
「…あ~あ…壊しちゃった…アンが煽るからだよ?」
「それは失礼しました…あまり気分がすぐれなさそうなので私はこの辺で…」
軽く頭を下げてナギサさんが出て行った扉を開けて外に出る、少し離れた所で不安そうにこちらを見ているナギサさん
別に戦闘は開始しませんよ
「ミカさん…どうして」
「彼女は…少々世間知らずの子供なのですよ…悪気があったわけではありません、自分の感情をどうやって表に出せばいいかわからないだけです」
ハンカチを渡して薄暗い廊下を歩く2人
大丈夫でしょうか…なるべく助けられるようにしましょうかね
感想高評価お待ちしております
ティーパーティーで一番貴族らしいのはミカだと思うんですよね
しぐさとナチュラルに他人を下に見てる志向とか上に立つものとして育てられた感じがある