爆炎と弾丸が飛び交う中、場違いとも言える背の高いシスターが右手に持った銃剣を太陽の光を反射させながらゆっくりと歩く、ここはD.U地区
かつては連邦生徒会長が納めるこのキヴォトスでは珍しく治安がいい場所だった
だが生徒会長が失踪し地獄と化した、まぁ、この街では普通のことだが
左手には聖書を持ち布教活動でもしに行くのではないかと思ってしまうほど優しい足取りで弾丸や爆弾を避ける
ここはシャーレのビルにほど近く。先生が訪れると情報を得て先んじて迎えに行こうとしたらまったくこのざまだ!
情報とは漏れるもの、連邦生徒会長の不在と矯正からの大量脱獄、それにこのネバーランドに現れたフック船長をからかいに行こう!チクタクワニに腕を食べさそう!
って考えのピーターパンのせいで辺りは見違えるような戦場と同じような有様。
つまりいつも通りってこと
耳元の無線からシスター・サクラコ様の声が聞こえる
【シスター・アン、シスターフッドの長としての命令です
主の敵となるものをすべて打ち倒し滅ぼしなさい】
「Amenッ!」
聖書を閉じ懐に仕舞いこみ、いつものルーティーンとして首の骨を鳴らしてすでに銃撃で穴だらけの道を歩く、何人かがこちらを向いて、ぎょっとした表情をしながらサブマシンガンやアサルトライフルで乱射
その中をゆっくり歩き腰から愛銃を引き抜き近くにいたスケ番にぶっ放すッ!
おもしろいように弾丸がスケバンの眉間に突き刺さり後ろに吹き飛び、目の良い何人かはそれを無意識にでも追ってしまう!
それが致命的な隙を作ってしまった。
瞬き程の時間でスケ番達が遮蔽物にしていた車を横垂直に蹴り飛ばすッ!幾ら撃たれても平気なキヴォトス人であろうと車の質量が突然自身のもとに衝撃としてくらったなら意識ぐらい簡単に吹き飛ぶッ!
瞬間殺気と嫌な予感を感じ目線をそちらに向け、聖書を一ページ神秘の力で燃やす
次の瞬間狙い通りに眉間と口辺りに弾丸が突き刺さる
「ペっ…いい狙いだァ!だが正確すぎる!」
カランコロンと眉間から潰れた弾丸と噛み潰して受け止めた弾丸を吐き出す。
こんなものは私たちにとっては挨拶みたいなものだろう?神秘も爆薬も入ってないただの弾丸だ
私の部隊ですら致命傷にすらならん、普通のキヴォトス人ですら気絶ですむ
さらに飛んでくる
間違いなく絶技だが仮にもこの暴力が支配する街でシスターフッドの戦闘隊長をやっているのだこれぐらい出てて当然ッ!
視線だけで狙撃の主を探すだが見つからん…どこだ?
「この狙撃の精度…便利屋か…いや?アイツらが居ればこんなに静かなものか…爆音が鳴り響いてるだろう…だとしたら畜生狐かァ!いいだろうもう一度豚箱に叩き込んでやろうッ!」
効かないがウザい狙撃を防ぐために一ヶ所に止まらないように全力で走り時に銃剣で弾を斬り伏せ
ときどきすれ違うスケバンを打ち抜いたり弾避け代わりに受け止める。
「数が多いなァ!?えぇ!?部隊を連れてくるべきだったか?」
廃車になった車にもたれ掛かりシリンダーの中を確認…後2発か
「お前!なにもん!?」
立ち上がった瞬間近くにいたガタイのいいスケ番を即座にファスト・ドローで眉間と喉をぶち抜く。
ついでに隣にいたスケ番の腹に銃剣を突き刺し蹴り飛ばすッ!奥にいた数人を串刺しにして車に張り付かせ狙撃を交わす
これでシリンダーの中はゼロ、中途半端に残ってると気持ち悪いな、弾数は余裕あるけど気分的に耐えられん
銃剣の予備もまだまだ余っているぐらいだ…さて
しばらく走り交差点の真ん中で廃車を弾避けにして座る、その間にも煩いほど弾丸が車体に撃ち込まれるけど…くはは!こいつら安い弾使っているッ!車すら抜けていないッ!
まだ出てきたばかりの敗残兵と言った具合か
もう一度薬莢を排出して地面に転がし、袖の銃剣を手の中に入れる…だいたいシャーレまで6ブロックといったところだな…
近すぎて笑ってしまいそうだッ!
呼吸を1つ…そして頬を吊り上がる、あぁ愉しい楽しいッ!合法的に主の敵を倒せることがこんなに楽しいものとはッ!
さて行くかッ!まだまだ倒そう、我が主が満足するまでッ!
廃車を蹴り上げ銃剣でぶった切るッ!真っ二つに割れた車の中から現れたシスター、周りを囲んでいたスケ番、不良、半グレが全員が数歩恐れおののき足を後ろに下げてしまうッ!
爆笑しながら近くにいた奴に向けて飛び蹴りを一発!向けてくるARのハンドガードを掴み上に持ち上げ銃口を強制的に逸らして掌底をぶちかます!
飛び出してくるスケ番を的当てのように正確無比な射撃で顔面を撃ち抜きアンは笑う
シスター服の裾を翻し、左手には銃剣、右手には拳銃を持ち悲鳴と怒声が鳴り響く戦場を走るッ!
前にッ!!
────────────────
至る所に銃剣で壁や車に物理的に縫い付けられた生徒たち、このキヴォトスでも珍しい武器
そして異様な光景、誰もかれもがご丁寧に辛うじて生きているだけというありさまだ
二年生は困惑しながらも緊張した趣で銃を構える
三年生のハスミだけは懐かしい景色に頬が緩む
ゲヘナの生徒である1年のチナツは1人ピンと来てしまった…銃剣、容赦のない戦闘
「ま、まさか彼女ですか!?シスターフッドはそこまで本気を…!?戦争になりますよ!?」
「
現在地シャーレのビル、高層階に位置する場所、普通なら権限が無いと辿りつけない場所だ
喧嘩を売ってきた戦車を粉砕してやっと目的地に辿りついた
「先生!危険です下がってください!騒動の中心人物を発見!後シスターもいます!」
巨大な黒いカラスのような羽と墨を溶かして作ったかのような美しい黒髪、そして男ならむしゃぶりつきたくなるような
グラマスな体型、そして短いスカートが欲情を誘う、正義実行委員会3年羽川ハスミ
「あれってまさか…シスターフッド!?」
腰ほどの長い薄紫の髪にキッチリとしたミレニアムの制服を纏い、スタイルも均等で見惚れてしまう
セミナー所属2年早瀬ユウカ
「…彼女ですか、なぜここに居るんでしょうか?まさかサクラコさんが要請を」
天使のような銀髪、それに反して意志の強そうな赤く深い瞳。
トリニティ自警団所属2年守月スズミ
そんな彼女たちの前で地獄のような喧嘩をしている2人
片方はボルトアクションの小銃を巧みに使いもう片方は聖書をまき散らし身体能力を上げながらリボルバーで接近戦を挑む
「ふははははッ!どうしたァ!私を倒すんだろ!?その前に毛皮のコォートにしてやろうかァ!」
「シスターの犬がッ!吠えるじゃないですか!ぶっ壊して差し上げますわ!!」
厄災の狐、ワカモと処刑人、アンが大怪獣さながら戦っている。
シャーレーのビル、鉄筋コンクリート製の壁を簡単にぶち抜き壮絶な撃ち合い!
ワカモが呼吸を整え空薬きょうを排出した瞬間辺りに桜の花びらが美しくをまき散らされ目を奪われる。
その美しさとは裏腹に一つ一つが致命傷を与える神秘に満ちているッ!
「はぁッ!そこでお亡くなりになりなさい!」
【乱れ散る花吹雪】
「やぁってみやがれッ!この害獣がァ!」
それを縫うように44マグナム弾とそれに追従する銃剣がワカモを狙うッ!だがそれは桜の花びらを壁にして狂気の弾丸を受け止める!
追従する銃剣は地面を踏み抜き、畳返しの要領で砕けている足場の鉄筋コンクリートを物理的にひっくり返し受け止めるッ!
だが弾と銃剣は受けられても本命のアンが隙間を縫うようにワカモ懐に飛び込み肩に深く銃剣を突き刺し体重をかけ壁に縫い付けるッ!
そのまま首を撃ち抜こうと銃を構えるが
わざと落としたワカモの銃から弾丸飛び出しアンの眉間を抉り吹き飛ばす
一瞬の躊躇もなく銃剣を引き抜き自身の
アンは空中でリロードを完了させこちらも銃を突きつけ嗤う
「力だけは有り余ってますわね!首輪付きがァ!!いつもいつも邪魔ばかりを…ッ!?ってあら…?」
「そういう貴様は鈍ったなァ!!私相手に単独だと!?いつもの雑魚共はどうした!?…ん?」
お互いに銃を向けたまま空いたドアを見るそこに居たのは───────
優男といったような大人の男性、明らかに高級そうなスーツに着られて2人を少し困ったような表情で見つめている。
「"えっと…喧嘩はダメだよ?"」
彼がサクラコが言っていた先生、外からの大人でしょうかね?頭にヘイローも浮かんでいないですし…銃やナイフを持ってる形跡もない…
というかワカモの奴何してるんだ?髪とか服の跳ねとか直して…あ…!?
「おいおい、獣が発情期か!?調子乗ってないでくたばれッ!」
即座にマガジンに残っていた6発を目にもとまらぬ速さでワカモの体と顔面に叩き込むッ!
【我が前に敵は無し】
糸が切れたように崩れ落ちる身体に改めて銃剣を投げ四肢の裾を地面に縫い付け動けなくなる
流石に少し疲れたのか乱れた呼吸を整え眉間から出る血を拭う
戦闘に自信がある護衛の2人ですら冷汗が出る、シスターフッド、悪名高きトリニティの生徒の中黒い噂が絶えないシスターフッドの部隊長それが単独でここに居たのだ
悪い噂は数知れず、武力行使の数は星の数
先生を攻撃しろや攫ってこいという命令を受けていないとも言えない
正実のハスミだけは信頼したようにお疲れ様ですと軽く頭を下げる。
「ふぅ…初めまして、そこに居る大人が外から来た先生ですか?」
「"初めまして私が新しくここに来た先生だよ、君は?"」
「失礼したしました…こちらから自己紹介しなければ礼儀に反しますね…」
手を前に組み祈りの体制、そしてゆっくり頭を下げ、先ほどの苛烈な表情などないかのように聖母のように微笑む
「トリニティ総合学園3年の神塚アンです…部活はシスターフッドでシスターをやっています…宗教などに興味がありましたら是非ご連絡を。」
ペコリともう一度頭を下げて誰もが見惚れてしまいそうな表情で笑い
「アンさん…なぜここに居るんですか?シスターフッドは内政不干渉の立場では?貴女に限ってありえないと思いますが…秘密裏に外交でも?」
「シスター・サクラコ様が先生を迎えに行って欲しいとおっしゃられてたもので…どこかの会長が失踪したおかげで最近治安が悪いですからね…下手すると辿り着く前に…なんてことも」
こてんと首をかしげて少しだけ苦笑い、ぶっちゃけ私もハスミさんも使われる側なので上の意向とか興味ないんですよね
部隊長って言う立場ですけど中間管理職みたいな立ち位置ですしお寿司…
私は主の為に信仰の為に戦っていますから、ハスミさんも己の正義という信仰の為に戦っていますからね…というかまだ私たちは子供なのに政治の真似事なんて馬鹿馬鹿しい
そしてそれに宗教を巻き込もうとしている馬鹿共もすべて薙ぎ払いたくなる…ッ!
「"3人ともアンもありがとう、私の為に動いてくれたんだよね、おかげでここまで楽に来れたよ"」
「いえいえ…私としてもお怪我が無くてよかったです、サクラコ様が悲しみますからね…さて、これ以上の敵はいなさそうなので…私は失礼いたします。あ、ハスミさんまた今度ご飯行きましょう、美味しい所見つけました」
「私も楽しみにしてます、アンさんの店選びにはずれはあまりありませんからね」
最後にもう一度頭を下げ懐を触るが…お目当ての聖書が無い…しまったワカモと戦う時に使い過ぎましたか…後で補充しておかないと
あとここで格好つけてしまったので普通に戻るとなんか恥ずかしいですね…それぐらいの羞恥心は持っています!ですから大胆に行きましょう
シャーレの砕けた壁から大空に向けて飛ぶ、驚いたような声が聞こえますが…ちょっといきなり過ぎましたかね?
袖口から取り出した銃剣を両手に持ち、壁にめり込ませながら衝撃を殺し、超高層階からの人力落下
意外とこれやれる人多いんですよ?ヒナとかツルギさんとかマコトもできた気がしますね多分やりませんけど
「よっと…やはり聖書が無いと不便ですね…私の能力的にも…」
パンパンと服に付いた汚れを払いのけサンクトゥムタワーを後にする。
懐からスマホを取り出して殺意を感じ足を止める
「それで?二回戦やりましょうか」
「やめておきますわ…貴女も本調子じゃなさそうですし、それに私…あの人に一目惚れしてしまったかもしれませんわぁ!」
電柱の上で無駄にくねくねしてるワカモ…いつの間に抜け出したんですかコイツ…あ、服ボロボロになってますしコイツ自分で切り裂きましたね…
しまった服じゃなくて四肢に突き刺しておけばよかった気がしますね
「次会ったら殺しますので」
「あら、負け犬が吠えてますね、貴女キツネじゃありませんでした?」
舌打ちをして消えていくワカモを見送る…あれ?そういえば私の銃剣取られてませんか?アレ一本そこそこするので取られると困るんですけど…何気にアレ回収してるんですよね
折れたり欠けたりする方が多いですけど…またミレニアムで貰ってきましょうかね
特注で作ってるんでトリニティで扱ってないんですよねぇ…良くも悪くも研究者気質の鍛冶屋の人がいるところじゃなければ…
おっと電話電話
電話をかけてワンコールで繋がる
【シスターサクラコ様ご命令通り先生をお迎えに上がりました】
【お疲れさまでした。先生の印象はどうでした?貴女の主観でいいので軽く教えてください】
【私とワカモの戦闘を護衛付きとはいえ近くで見ても怯えていなかったです、悪く言えば人間味が少ない。よく言えば肝が据わっているそんな感じでしょうか?】
【わかりました、では帰還してください】
了解しましたと電話を切り近くにあったまだ使えそうなおんぼろのハマーを発見
ちょこちょこっと配線をいじりエンジンをかける…ちょっと拝借させていただきましょうか。
どうせこの車も盗品でしょうし有効活用ですよ
ノリノリの音楽をBGMに発進!
さて帰って明日の授業の準備でもしましょうかね
感想高評価本気でお待ちしております