TRPGしてたら自キャラになった・・・特化ビルドの一発屋で。 作:水道館
リハビリしながらですが投稿していきます
TRPG
TRPG。
テーブルトーク・ロールプレイング・ゲームの略であるこれはプレイヤー同士で会話をしながらルールブックを参考に物語を進めていくゲームだ。
自分は初心者に「TRPGってどんなゲーム?」と聞かれたとき、「ルールのあるごっこ遊び」と教えている。
乱暴な言い方だなと自分でも思うが、大体こんなもんである。
参加者で自分で作ったキャラを持ち合い、GM(ゲームマスター)に進行して貰いながらひとつの物語を作る。
その際に起きる会話、ダイスによる運要素で起きる一喜一憂。終わった後の雑談。
その全てが大好きだ。仲のいい相手とやるTRPGより楽しいものなんて思いつかないほど。
俺はTRPGが大好きなのだ。
そう、大好きなのだが・・・。
「ど、どうしたんですか?ニンジャさん、立ち止まって・・・」
「い、いや何でもない・・・早く行こう」
「は、はい!行きましょう!」
TRPGの世界に入りたいなんて言ってねぇ・・・。
「(てかTRPGの世界に入ったらもうそれテーブルトークじゃねぇだろ!!!)」
半ば俺、塩屋幸次はキレていた。
◇
「じゃあ判定よろしく」
「これ避けれなかったらやばくね?」
「だいぶしんどいな。次の手番回復に回らないといけないから・・・」
「でもボスの火力的に次のターン全滅は無いから・・・まだいけるまだいける」
「そもそも避ければいいしな!」
「MP使いたくないし避けて~」
コロコロ・・・
「えー・・・1ゾロ」
「やる気ある?」
「は?」
「ピンチ演出お上手です事」
「しょうがねーだろ運なんだから!」
「今日で何回目だよ1ゾロ」
「4回目っすね・・・」
「今日はダメな日だな」
「くっそー・・・いやでもまだある!」
まだHPは15点もある。このターンさえ耐えれば・・・
「じゃあボスのスキル発動。<連続攻撃>。攻撃が命中した相手にもう一度攻撃が可能」
「「「あ」」」
「じゃあ回避よろしく」
「よろしくおねがいしまーーーー・・・・」コロコロ
「4、失敗。戦闘不能だな」
「ほな・・・あとよろしく・・・」
「塩麴さん、今日一度も攻撃当ててないけど・・・」
「クソガンモ!」
HP0・・・戦闘脱落だ…終わるまで暇になってしまった。
「蘇生ってもう無いっけ」
「無いねー。使い果たした」
「じゃあしょうがねぇか・・・」
「まぁゆっくりやってもろて・・・」
「はは・・・じゃあ塩さん、NPCの操作やってくんない?操作大変でさ」
「いいの!?GMの優しさが身に染みるわ・・・」
「いいよいいよ、せっかくのキャンペーン最後の戦闘だし待機は悲しいじゃん?」
「GMの鏡ゾイ!」
俺たちはいつものようにTRPGをやっていた。
今日はキャンペーンシナリオの最終話、クライマックス真っ只中だった。
皆でシナリオをやってきたキャラでラスボスを倒す・・・はずだったんだけどなぁ。
「はぁ~最後の最後で床ペロかぁ」
「まぁピーキーすぎたんだよそのキャラ、装甲ぺらいのに回避に振らない前衛とか流石に紙過ぎるって」
「火力だけはいっちょ前だよな。火力だけは」
「受けたダメージを攻撃に上乗せするビルドだからなぁ。装甲低くないとダメージ出ないんだよね・・・」
「ちょっとボスの火力高すぎたかな・・・ごめん」
「いやいや!俺のキャラが悪いだけ!適正も適正よ!」
無事ボスを倒して卓が終わって感想戦という名の雑談タイム。
やっぱTRPGのあとはこれが無いとなぁ。
「てか塩さんの一発芸キャラ何体目よ今回で」
「えーっと・・・15体目」
「多いよ」
「しかもそれの内半分は1回しか使ってない使い捨てキャラだしな」
「これがやりたかっただけだろが多すぎる!」
「名前も終わってるしな」
なんだと!聞き捨てならないぞ流石に!
「俺のキャラの名前のどこが終わってるんや!」
「今回のキャラの名前言ってみなよ」
「ニンジャ・カウンター」
「前のセッションのキャラは?」
「デストロイ炎崎」
「その前は?」
「門番さん」
「終わってるだろ何もかも」
「GMも許すなこんな名前!」
「いやおもろいから・・・」
…確かに並べてみるとだいぶ酷いかもしれない。
そういや実家の犬の名前も付けさせてもらえなかったな・・・。
つまりはそういうことなのか・・・?
「・・・ネーミングセンスってどうやればよくなるんだ?」
「これに関しては個人の感性だから・・・」
「まぁ無難な名前とか探してつければいいんじゃない?」
「名前メーカーとか検索すればあるしそれでもいいと思うよ」
「でもやっぱ自キャラならオリジナリティある名前の方が・・・」
「料理できない奴ってレシピ通り作らないよな」
「自分だけのアレンジって言って余計なもの足すよね」
「まぁ・・・レシピ通りじゃ満足できないんだろうね・・・」
「・・・次は名前メーカー使ってみるわ・・・」
「「「それはよかった」」」
「ハモるのやめてね」
そうこう話しているうちにあっと言う間に午前2時を回ってしまった。
「あーもう2時か。流石に寝るわ」
「明日はどうする?」
「流石にシナリオ無いから無理かなぁ」
「しょうがないね」
「じゃあお疲れ~」
「乙」
「お疲れ様」
「はーい乙乙」
通話が切れる。キャンペーンも終わったし区切りがいい。
次は俺がGMやろうかな、回してもらったし・・・。
「…行けると思ったんだけどなぁ」
自分の今回使ったキャラシを見る。種族は人間、ステータスは火力に振りつつ残りHP。
受けたダメージを自身の攻撃に乗せる火力ビルドだ。
脳筋忍者キャラのつもりで作ったはいいものの・・・流石に厳しかったか。
「碌に活躍できなかったもんなぁ」
今回のキャンペーンなんて他の二人がガチ構成で来てくれてたからなんとかなったが、俺のキャラは完全に足を引っ張っていた。
一応探索系に二人が取れていないスキルを取っていたから完全なお荷物というわけでは無かったが・・・。
やはりノーガードで殴り合う構成なんだからダメージが落ちても装甲の高い種族にするべきだった。
「次のキャラはガチ構成にしとくか・・・」
遊びが無くてガチ構成はそんなに好きではないが負けてシナリオが進まない方がよくない。
それにたまにはガチ構成でエネミーとやりあうのも楽しいだろう。
「・・・ごめんなぁ」
今回使ったキャラ、ニンジャ・カウンターのキャラシに謝る。
いくらネタキャラとはいえ、作ったのも操作したのも俺だ。
活躍させれなかった事に申し訳なさが出る。
「なんか別のシナリオで使うときは頑張って活躍させるか!」
そう思い、パソコンの電源を落とす。
明日・・・もう今日だけど、日曜日だ。
月曜からまた仕事だし・・・ゆっくり休もう。
風呂も歯も磨いていたのでそのままベッドに寝転ぶ。
深夜まで数時間ぶっ続けでやっていたのですぐに眠気がやってくる。
それに抵抗することなく身を委ねて─そのまま俺は眠りについた。
◇
「・・・・い、・・・・い!」
心地よいまどろみの中、誰かが俺の身体を揺さぶる。
眠り足りないのに無理やり覚醒させられて非常に不愉快だ。
いったい誰だよと思った瞬間、一気に冷静になる。
「(いや俺一人暮らしやん)」
それに気づいた瞬間、頭が一気に冴える。
そのまま体を起こし目を開ける。
そこには─。
「おい!さっさと起きな!いつまで寝てんだい!」
「うおおおおおおおお!?す、すまない!」
「全く・・・もうチェックアウトの時間だよ、早く荷物纏めて部屋から出ておくれ。もうこの部屋の予約が入っているんだから」
「わ、分かった。重ね重ね申し訳ない」
「分かればいいんだよ・・・。朝食は寄せてあるから、食べてから出ていきな」
「感謝する・・・」
いかにも宿屋のおばちゃんみたいな見た目の人が部屋から出ていった。
急いで自分の荷物と思わしき物を持って部屋から出る。
食堂の方に行くと宿屋の主人だろうか、こちらに気付いたのか、テーブルに置いてある食事を指でちょいちょいと指す。
どうやらあれが俺の朝食らしい。
「おお・・・」
俺が寝てたせいで少し冷めてしまっているが、パンとサラダに大きめのベーコンと目玉焼きが置いてある。
これ以上冷めてしまったらよくないので椅子に座り、早速食べ始める。
「うま・・・」
パンは小麦の甘味がしっかり分かるし硬すぎず柔らかすぎずの丁度よさ。
塩気の強いベーコンを目玉焼きの黄身がまろやかにして、くどくなった口の中をサラダでさっぱりとさせる。
朝食と言ったらこれ!のようなテンプレだが、とても美味しい。
何より自分ではない人が自分のために作ってくれたご飯というのが久しぶりすぎて心も満たされる。
「(実家にも帰れてないもんなぁ・・・)」
仕事が忙しいというのは簡単だが、それでも少しは顔を出すべきだろう。
なんだかんだスマホで連絡は取り合っているが・・・。
「(たまにはご飯でも奢ろう)」
親が元気なうちに出来る限り親孝行しないと親不孝者になってしまう。
今度の連休にでも帰省するか・・・。
「ごちそうさまでした」
しっかり完食して立ち上がる。
食器を寄せようとしたら宿屋の主人が「いらんいらん」と首を横に振る。
「お世話になりました」
ならせめてと思い主人に頭を下げてお礼を言う。
主人はなぜか目を見開いて驚くもその後。
「・・・またのご利用、お待ちしています」
少しだけ笑ってくれた。
いい気分になりながら宿屋の扉を開いて外に出る。
天気は快晴。良いことだ。
「いやどこだここぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
3話までは一括投稿で、その後は最低1週間1話投稿目指します。
目標は無理しないです