TRPGしてたら自キャラになった・・・特化ビルドの一発屋で。   作:水道館

15 / 37
必須タグに性転換を追加しました。
この話に出てきますので苦手な方はブラウザバックをお願いします。


一緒

「よし・・・これで補充終わり」

 

前の戦いで消費したポーションの分を作り終えて、一息つく。

 

「ふぅ・・・結構時間かかっちゃったな・・・」

 

昼頃に始めたのにもう夕方だ。

使うのは一瞬なのに、作るのは時間がかかる。

効率で言ったら悪いんだろうな。

 

「ミレッラさんに感謝しないと」

 

材料やら何やらのお金を出してくれたのはミレッラさんだ。

「金ならありますわ~!」と言ってどんどん渡してくるから困った。

お家のお金ではと言ったらどうもミレッラさんも個人でお金を稼いでるらしく問題ないらしい。

 

「でもギャンブルだからなぁ・・・」

 

内容は王都に行ってカジノで全勝ちだから何とも言えない。

一度も負けたことないとか言ってたけど、本当なのかな。

金銭面は全部出すと言われてしまい、金欠が一瞬で解決してしまった。

 

「ニンジャさん達は・・・まだ帰ってきてないか」

 

一昨日、カマキリと戦った後からだろうか。

少しニンジャさんの雰囲気が変わった。

別に性格が変わったとかじゃない。

ただ少しだけ、気を張っている。

今もカロルさんと模擬戦すると言って出て行ったきりだ。

 

「・・・帰るつもりだったんだ」

 

あの時言った言葉、『帰るとか考えていたが』・・・。

帰るって故郷だろうか。

でも【糸】に操られた人を助けると言っていた目に嘘は無かったと思う。

じゃあどこに?

 

「ニンジャさんって・・・どこ出身なんだろ」

 

少なくともファストウ周辺では無いのは確かだ。

だったら帰るとか言わないし。

なら王都?黄金都市?それとも海を渡ったドラクル島?

 

「私・・・ニンジャさんの事何も知らないや」

 

まだ会って数日と言えばそうだけど。

それでも、流石に知ら無過ぎだろうか。

でも─。

 

「ニンジャさん、自分の事話したがらないんだよね・・・」

 

ニンジャさんは自分の事を聞かれると思いっきりしどろもどろになる。

私もカロルさんも聞くたびに狼狽えられても困るから聞かなくなったのだ。

・・・ミレッラさんはずっと聞いてるけど。

 

「・・・話してくれる日は来るのかな」

 

これからこのPTで冒険者をやっていくとして、それはいつ頃だろうか。

一か月後?半年後?一年後?それとももっと先?

それを聞くまでに、ニンジャさんは帰ったりしない・・・?

 

「・・・ずっと一緒に居たいなぁ」

 

20歳にもなって子供のような願い。

でも仕方ないと思う。

ずっと地獄に居た時に助けに来てくれた人を好きにならないのは難しい。

 

「【糸】の件が終わったら・・・告白しようかなぁ」

 

今言ったところで断られるのが目に見えている。

実際それどころでは無いし。

まだ私達みたいに苦しめられて、それをあざ笑われている。

自分も当事者だったから、苦しみは痛いほどわかる。

助けてあげたい、本心だ。

 

「全部終わったら・・・伝えよう!」

 

うん、そうしよう。

今はニンジャさんは大変なんだ。

迷惑になるから後にしよう。

これは決して後回しにした訳では無い。

状況を考えて、空気を読んでいるだけなのだ。

 

「・・・あ!ギルドカードの更新忘れてた!」

 

そういえばカマキリを倒してレベルが上がったのか、カードに更新の催促をされていたのだ。

多分、ニンジャさん達も忘れているだろう。

 

「後で教えて、みんなで行かないと」

 

更新は大事だ。

自分の使えるスキルは把握していないと、いざと言う時に出来るはずの事が出来ないと勘違いしてしまう。

ちょっと不便だなぁと思いつつも、みんなやっていることだから仕方ない。

 

「・・・折角だし、屋台でご飯とかいいかも」

 

屋台のご飯って美味しいんだよね。

外で食べるからってのもあるけど、宿と違って割とジャンキーな物が多い。

最近そういうの食べてないし・・・たまにはね。

 

「みんな誘って行こうっと!」

 

そうと決まれば準備を始める。

机の上を片付けながら、大切な仲間と一緒に夕飯を取るのを楽しみにしながら。

夕焼けが辺りを赤く照らし、暗くとも明るい夜が訪れようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一筋の光すら届かない深淵。

闇しか無い場所。

漆黒しか存在しない空間に「ソレ」は居た。

 

 

 

 

 

アイツシネ                

 

 

                   アレノセイデ

 

                                     イトノツイカハ_?

 

 

   モウナイ

 

 

                                       トレルトコナイ                  アシゼンブツカッタ

 

 

 

 

       ドウタイハ?

 

 

              カンショウフカ

 

                                 マモリカタメテル

 

  ウバエナイ

 

                           カマキリジャヨワイ

 

 

ナンデアレニシタ?                              

                                ジャマサレタ

                     

     コイツニジャマサレタ

 

 

                  マダチカラツカエルコイツ              シツコイ

 

 

 

 

      カイニュウサレタ                  サスガニツヨイ

                       

                   デモワレラノモノ

 

 

 

                       モットミタイ

 

      ベツノイトミヨウ

 

 

ソウシヨウ

 

 

 

 

 

幾多の目が闇の中に浮かんでいる。

その中心には、巨大な蜘蛛が黒い鎖で縛り付けられていた。

蜘蛛は脚を全て失い、達磨のまま眼の光を失っていた。

目は蜘蛛に近づいては弾かれるを繰り返している。

 

 

 

ツヅケロ                

 

 

                   ヨコセ

 

                                     モットチカラヲ

 

 

   ジゴクヲツクロウ

 

 

                                       クリカエシクリカエシ                  ゼツボウシテシヌトコロ

 

 

 

 

       コノセカイニ

 

 

              ミチルマデ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、それはダメだよ」

 

 

 

悍ましい声が木霊する中。

ハッキリとした人の声が響く。

足音もなく、銀色の少女は蜘蛛の元まで歩み寄る。

 

 

ドウホウ                

 

 

                   ナニオイッテイル?

 

                                     ナニガダメ

 

 

   イトハマダアル

 

 

                                       ツギハアレヲコロス                  コロシテミル

 

 

 

 

       タノシイシヲ─

 

 

 

 

「うん、だから─」

 

 

【弦月牙】(げんげつが)

 

 

「もうお前達の遊びはダメだよって事」

 

 

銀色の少女が振るった刀はその場に存在していた目を全て切り裂いた。

その瞬間、悍ましい闇は忽ち勢いを失っていく。

 

 

 

アアアアアア                

 

 

                   イタイイタイイタイ!

 

                                     ナゼ?ナゼ?ナゼ!?

 

 

   ナカマヲキッタ!

 

 

                                       オナジソンザイナノニ!                  ドウシテ!ドウシテ!

 

 

 

 

       オマエガオシエタ!

 

 

              コノセカイオシエタ!

 

 

ダカラウワガキシタ!                

 

 

                   ハリツケタ!

 

                                     オオグモノチカラウバッテセカイカエタ!

 

 

   ユカイナリプレイクレタ!

 

 

                                       ドウルイダッタハズ!                  ヒトガゼツボウシテシヌトコロ

 

 

 

 

       スキナンジャナイノカ!?

 

 

 

 

 

「全然?寧ろ嫌いだけど、一緒にしないでほしいな」

 

 

目達は絶句する。

自分たちと同じ存在で在りながら。

彼女は負の感情を見るのを否定したのだ。

 

「と言うかさぁ・・・僕今怒ってるんだよね。何あの雑なキーパリング、あり得ないよ」

 

少女は苛立ちながら刀を構える。

剣術を習っている者から見れば適当そのものの構えでも、圧倒的な圧がある。

 

「クリアされそうです。思い通りのシーン見れませんでした。だからレベル差離れまくったエネミー出します。

 ・・・・馬鹿なんじゃないの?そんなちゃぶ台返しするなんてGM失格だよ」

 

ナニヲ・・・

 

 

「お前達に取り入ったのはこの世界をアナケンの世界にする為・・・。僕一人じゃ流石に蜘蛛さんどうにもできないからさ、お前達を焚きつけて蜘蛛さんから力奪って、世界を書き換えて貰いたかった」

 

少女は軽薄に笑う。

その笑みは見たものを震え上がらせるほど美しい。

 

「流石に上手く行きすぎて笑いそうだったよ。一番の新参者を信用しすぎじゃない?まぁおかげで簡単にリティアを手に入れる事出来たけどさ、その点はありがとうね」

 

ケラケラとあざ笑う声が響く。

 

「知ってる?白銀のリティアってアナケンに置いて最強・・・無敵って言ってもいいかな。そんなキャラなんだよね、そして今この世界はアナケンの世界・・・つまり」

 

 

 

 

「僕が一番強いって事だよ」

 

 

【壊世斬】(かいせざん)

 

 

追い打ちをかけるように目に追撃が叩き込まれる。

一部の目は既に耐えきれず、存在が消え失せていく。

残った目も、時間の問題だった。

 

 

 

 

 ヤメテ!ヤメテ!

 

 

 

       ケサナイデ!

 

 

              キエタクナイ!

 

 

シニタクナイ!                

 

 

                   マダ!マダ!

 

                                     モットミタイノニ─

 

 

 

 

「もうそれは叶わないよ、言ったでしょ?僕怒っているって」

 

暗闇の中で赤と青の瞳が輝く。

それは目達への─死刑宣告だった。

 

 

「僕の親友にクソシ回すなよ」

 

 

 

 

 

【永遠の世界】

 

 

 

 

 

 

刀をもう一振りした瞬間、あれだけ居た目は一つも残らず消え失せた。

残ったのは銀色の少女と、沈黙している大蜘蛛。

 

「よし、これで準備オッケーだね、ごめんね蜘蛛さん、君には恨みとか無いんだけど…僕どうしてもやりたいことあるからさぁ」

「─────。」

「あ~怒ってる、ごめんね。やめる気は無いけど謝っておくね」

 

でも、と少女は楽しそうに満面の笑みを浮かべる。

 

「やっと!やっと会えた!ずっと待ってた!」

 

「ホントに長かったけど・・・最高の状況だ!」

 

「最初は訳が分からなかったけど・・・ここまで漕ぎつけた!」

 

「今、この世界においてGMは僕だ!」

 

「世界の要の【糸】も僕が操れる!」

 

「あいつらに見つからないように彼を引っ張ってくるのは大変だったけど・・・」

 

「でも!無事に来てくれた!間違いない!彼だ!」

 

「知らないスキルが付いてるみたいだけど・・・蜘蛛さん、君の仕業だね?」

 

「でもいいよ!【糸】が切れるのはシナリオクリア後!つまりシナリオは遊んでもらえる!」

 

「たくさん作ったよ、もうそれこそ山のように!」

 

「君に回したくてずっと作り続けた!」

 

「楽しんでもらえるかなぁ、かっこいいだろうなぁ、君のRPいつもかっこよかったからなぁ」

 

「あいつらみたいな理不尽はしないよ、かなり苦戦はするかもだけど・・・」

 

「まぁ死んでも世界ごと巻き戻せるから大丈夫!」

 

「事故もTRPGの醍醐味だよね!」

 

「彼もアナケンにめちゃくちゃ詳しいみたいだし・・・きっと大丈夫!」

 

「もしかしてプレゼントのルルブ読み込んでくれたのかなぁ・・・えへへ、嬉しいなぁ」

 

くるくるくるくる。

長い髪を靡かせながら回り続ける。

誰に言っている訳でも無い独白が、闇に響く。

その眼に、正気は無かった。

 

 

「だからさ、ずっと遊ぼうね」

 

「ずっとずっとずっーーーーーーーーーーーーーと一緒に!」

 

「楽しもうね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幸次くん」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。