TRPGしてたら自キャラになった・・・特化ビルドの一発屋で。 作:水道館
読みやすい方を教えてくださると助かります。
もし空けた方がいいなら時間のある時に他の話数でも開けておきます。
お手数ですがご協力お願いします。
「その拉致監禁やり放題な宗教『竜信教』の現教祖が《糸》で操られてるんじゃないかって事かい?」
「確証はない…が、明らかに様子がおかしかった」
「私が何度もニンジャさんに頼み込んでたみたいな感じですか?」
「いやどちらかと言うと…攻撃的と言うか…自分の意思で動いてそうではあった」
「なら違うんじゃないかい?僕たちは全員自分の意思とは裏腹に行動させられてたけど…」
「《糸》の効果を俺たちは完全に分かってる訳じゃないが…操るのが出来るなら、思考を変える事も出来るだろう」
わざわざ操らずに思考を変えておく、これは恐らく俺対策だ。
奴らは俺の周りでは《糸》の効果が薄いと言うのを知っている。
なら俺が居ない間に《糸》で思考を書き換えて、望む方向に変える事も出来るだろう。
それなら俺の効果を受けないし、操るよりは不確かだが望みの方向には持っていける。
「ひとまずローブを被った緑髪の竜人族の子供には警戒してくれ、かなりやばい」
「どのくらいやばいんだい?」
「カマキリなんざ比じゃないくらいだな」
「警戒しても無駄に聞こえるんですけど…」
「それ相手が本気になったら私達お陀仏じゃありませんか!」
そんな事言ったって仕方ない。
現状リルラールの目的も分からないし『竜信教』の目的である竜神復活もどう言うメカニズムで復活するのかも不明だ。
シナリオに書いてないのがダメ。
そう言うとこだぞ公式。
「そう言えばカロルの方はどうだった?」
「…いい武器が手に入ったよ」
「そうか、それは良かった」
何も情報は取れなかったようだ。
まぁ仕方ない、《糸》の事知ってる奴なんて正直居ないだろ。
情報あればいいなぐらいで構えといた方がいい。
「突然申し訳ございません、お客様にお会いしたいと申す者が…」
部屋の外から女将の声がした。
俺たちに会いたい?
「誰か心当たりあるか?」
「いや…」
「特にないね」
「何も頼んでいませんわ!」
じゃあ誰だよ。
まぁ放置してるのも悪いし会ってくるか…。
「ありがとう、今行きます」
「分かりました、宿の前で待っているので…」
そう言って女将は下がっていった。
「少し会ってくる、待っててくれ」
「はい、分かりました」
部屋から出て宿の入り口まで移動する。
扉が見えるあたりまで来ると知っている顔が居た。
「リューグ、君か」
「どうも〜いい宿泊まってますね、羨ましい〜」
「君がスった金があれば全然泊まれるぞ」
「ちょっとなにいってるかわかんない」
「こいつ…」
都合の悪い事になったら記憶が飛ぶとは何と便利か。
ろくでなしに拍車をかけてるだけだが。
「それで、何か用だろうか?」
「そうなんです、ちょっと皆さんとお話ししたいって言う人がいるんですよ」
「話?誰だ?」
「島長です、ドラクル島のトップ」
なんで?接点ゼロだろここのトップとなんて。
「何の話だ?教えて欲しい」
「………」 スッ
リューグは無言で紙を手渡してきた。
受け取って読むと『竜信教の件』と書いてある。
「これは…」
「ここだとまずいんです、なのでちょっと来て欲しいんですけど…」
「…皆にも伝えてくる、少し待っててくれ」
「分かりました、多分長くなるのでそのつもりで」
「分かった」
◇
島のトップから話があると言う事で指定された家まで来たのですが…。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁあくまたん!あくまたん!」
「落ち着いてください島長!正気を失ってはいけません!」
「また壊れちゃった…師匠、水持ってきます?」
「バケツで持って来い!」
「接点ゼロだと思ったらバリバリ直近で会ってたな…」
なんか私の顔見た瞬間、島長さんが怯え出しちゃいました…。
この人昨日チェスした人…だよね?
連勝を潰したのは少し申し訳ないと思うけど…そんなにかな…?
数分後、島長さんは落ち着きを取り戻した。
床は水でびしょびしょだけど…。
「失礼、取り乱した」
「ホントにな」
「さて、君たちを呼んだのは他でもない。儂らに協力して欲しいのだ」
「協力…『竜信教』をどうにかすると言う事だろうか」
「そう、今『竜信教』は非常に活発に活動して、この島の上層部にも食い込んできておる」
「既に1/3もの人達が『竜信教』側なんですよ…」
「1/3って…多過ぎますわ!」
「流石に寝返り過ぎな気もするね…もっと早く気づけなかったのかい?」
「それがここ最近になっていきなりなのだ…それこそ教祖が変わった時から」
「教祖の娘、リルラールか」
「ある日突然彼女が自分が教祖だと言い始めたのだ、そして元教祖は殺害したと。信者達は既に彼女に従っておる」
「従っている…と言う事は教祖が殺される所を目撃しているからだろうな」
「力を示されたからって事ですか?」
「だろうな、恐怖から来るものもあるだろうが…」
私の問いにニンジャさんが答えてくれた後に、リューグさんが机に紙を広げる。
名簿と間取り図…かな?
「こっちが裏切り者の名簿、こっちが連中の本拠地です」
「…名簿もだがよく本拠地に入り込めたな」
「こっちも一応スパイ入れてるんで、まぁ相手側と違って1人ですけど…」
「そもそもの話、『竜信教』は何を目的にしているんだい?ニンジャから聞いた話だと竜神を復活させるって聞いたけど…」
カルロさんの疑問は私達全員も思ってた。
そもそも竜神ってなんだろう。
「竜神とは奴らが今保有している宝玉に封印されている竜、『ファントムドラゴン』の事だ」
「『ファントムドラゴン』…確か魔力が意志を持って竜の形を取っている魔物だったな」
「うむ、封印されている個体はその中でも更に厄介な奴でな…空気中にある魔力だけでなく、生物が持っている生命力も吸収できるのだ」
「それの何が不味いんだい?」
「『ファントムドラゴン』はどこまでも巨大化しようとする性質がある、本来ならある程度の大きさになったら自身が耐えきれず霧散するんだが…わざわざ封印すると言う事は」
「…過去に島を半壊させた事がある。奴を倒せず、特殊な宝玉に封印したのだ、300年前に儂がな」
「そ、そんなのを神だの言ってるんですの!?」
全然神じゃない。
それどこか島を滅ぼす化け物…。
どこまでも巨大になるならドラクル島の後は…。
「…その封印はもしかして生物の生命力で解けるのか?」
「正確には、抑えきれなくなるのだ。言ってしまえば今の封印はコップに8割ほど入った水だと思って欲しい。コップが封印だな。そこに水を更に注ぎ続けると…」
「溢れ出すと言う事だね…」
「本来『ファントムドラゴン』は災害一歩手前の魔物だ。封印出来てるだけ御の字だろうが…封印していても、周囲の魔力と生命力を吸い続けているのか」
「…その宝玉って…」
「盗まれちゃって今は『竜信教』の手にありますね」
「それやばすぎません?」
「このままだと連中、拉致った人達を生贄として宝玉に突っ込むぞ…!」
生き物は死ぬ瞬間、体の中の魔力を世界に返す。
宝玉の近くで死んじゃったらその魔力は・・・。
その人の持っていた生命力と共に一気に・・・。
「その為にも、宝玉を取り返さないといけないのだ」
「…最優先事項が、情報を漏らさない為にスパイの捕縛か」
「名前が分かるなら片っ端から捕まえてしまえばよろしいのでは?」
「それで1人逃れてしまえば、こちらが動き出したとバレるのだ、そうしない為にも全員同時に捕まえる必要がある」
「拉致された人達は無事なのか?」
「今はまだ全員大丈夫だそうだ、大部屋に閉じ込められている」
・・・全員?
誰もまだ犠牲になっていない?
「あの・・・それ変じゃないですか?」
「何が変なんだい?」
「だって生贄にするんですよね、だったら捕まえたらすぐに生贄にした方が負担減りません?」
「・・・確かに。わざわざ生かして捕らえている必要がないな」
「宝玉を大部屋に置いて餓死させて生贄にする・・・無さそうですわ」
「食事は出ている様だ」
「猶更意味が分からないな、行動がちぐはぐだ」
生贄にするために捕まえている。
でも生かし続けている。
わざわざ食事まで出して。
「・・・ここに今議論している時間は無い、まずは無事なのを喜ぼう」
「そうですね・・・この人達を助けないと!」
「今更だがよいのか?危険が伴うぞ」
「そもそもこれを何とかしないと私たちも危ないしな、こちらも確かめたいことがある」
「そうか・・・分かった、よろしく頼む!」
「旅行に来たのにまさかカルト宗教と戦うことになるなんて・・・」
「ははは・・・でも見捨てる訳にもいかないし、何とかした後に観光しようよ」
「そうだな、危ない要素は取っ払った方が安心して祭りを楽しめるだろう」
「やらないとは言ってません!こーなったら助けまくってやりますわ!」
「流石は冒険者!素晴らしい心意気!そのまま私に投資しませんか?」
「今度は何をしたんだ」
「帯電ポーション買うために師匠の財布借りました!」
「ご老人、早く破門にした方いいぞ」
「破門にしても帰ってくるからどうしようもないのじゃ・・・」
か、かわいそう・・・。
リューグさん、もう少しお師匠さん大事にした方が・・・。
「それで裏切り者の捕縛か、どうしたものか・・・」
「島長権限で一か所に呼んでしまえばいいですわ!」
「いや、奴らは呼ばれたのが自分達裏切り者だけと気づけばすぐに逃げるだろう。そうなれば捕らえるのは不可能だ」
「呼ぶなら上層部全員じゃないと怪しまれて終わりだろうね」
「それならちょうど降竜祭の成功を願う決起会が今夜あるが・・・」
「こちらの戦力は私達を含めてどのくらいだ?」
「大体すぐに動かせる手勢は50程だろうか」
「裏切者は・・・軽く見ただけで40は居るな」
「無策だと絶対逃げられるじゃろうな」
「うーむ・・・どうしたものか・・・」
皆いい作戦が無いか考えだしてしまった。
自分はこういう作戦とかは苦手だからいつも頼り切りだ。
私達のPTはリーダーがニンジャさんだからそれでいいと言えばそうかもだけど・・・。
やれることが無いのでせめて役に立つものが無いかと鞄をあさる。
「あっ」
ついうっかり入れていた薬草を落としてしまった。
昨日ニンジャさんに買ってもらった物だ。
粗末に扱っちゃいけない。
早くしまって─。
「ミロネ、その薬草は確か─」
「は、はい。昨日買ってもらった物です、落としてすいません・・・」
「・・・いい作戦、思いついたぞ、奴らを一網打尽にするいい案が」
「本当かい?!」
「してその策とは!?」
皆がニンジャさんに注目する中でニンジャさんは私に近づいて。
「ミロネ、君の力が必要だ」
力強く、そして少しドヤ顔で私の肩に手を置いた。
◇
降竜祭の決起会。
島の上層部が集まり、酒を飲みながら語り合う場。
だがそこには悪意に満ちた者達が居た。
「(ククク・・・馬鹿な連中だ。そろそろ死ぬとも気づかずに)」
この男の竜人族は【竜信教】と手を組み、情報を渡す代わりに金品を受け取っていた。
勿論、竜神復活の後は【竜信教】に命の保証を貰っている。
この男だけでは無い、実に1/3・・・既に島を裏切った者達がこの場には居た。
「(突然教祖が変わってどうなるかと思ったが・・・特に変わらないのであれば私の安全は確保された物!)」
男は内心油断しているように見えるが、裏切り者の中でも一番警戒心が高い。
飲食物を口に入れる際、必ず解毒作用のあるポーションを隠れて飲んでから食べているのだ。
「(超高級ポーションだ・・・どんな毒にも効く故、しびれ薬やら睡眠薬にはうってつけよ!)」
絶対に捕まらない、捕まってたまるか。
ひたすらいい思いをしたい、それだけの為に教祖が変わる前から裏切っていたのだ。
「おまたせしました、こちら追加のワインです」
「おお、置いておけ」
金髪の見慣れないボーイが置いていったワインを開けて香りをかぐ。
特に混ぜ物の匂いはしなかった。
「(さてさて、適当に飲んだら定期報告にでも行くか)」
時間も時間だ、【竜信教】に上層部の動きを教えなければ、貰えるものも貰えない。
ワインをグラスに注いで一気飲みした。
喉にすっきりとした味わいが駆け抜けた後に。
「ソレ」は来た。
「(な、なんだこれは・・・)」
久しく忘れていた感覚に男は戸惑いを隠せない。
何か入っていた?匂いは問題ないしポーションも飲んでいたのに。
考えている間も体は反応し続ける。
そう、彼は─。
「(は、はらがくだっている・・・!!!)」
そう、襲い来るのはトイレへの渇望。
すぐに行きたい。
楽になりたい。
あれだけ保身を考えて慎重に行動していた男は、何も考えられなかった。
今だけは【竜信教】なんてどうでもよかった。
会場から出てすぐにトイレに向かう。
すると─。
「(な、なんだこのにんずうは・・・・!)」
トイレは大勢で混雑していた。
しかも最悪な事に全員個室待ち。
男は列の最後尾だった。
「は、はやくおわれ!」
「おい押すな!やめろ!」
「なんでこの一室しかないんだ!」
「他が故障中なんだ!仕方ないだろう!」
醜い言い争い。
ここに居るのが全員【竜信教】の内通者と言う事実に彼らは気づけない。
だってそれどころじゃないから。
早く終われ早く終われと念じていると個室の扉が開いた。
希望が目の前に現れて喜ぶ彼らの前には─。
「よく来たな、裏切り者共」
現役時代のフル装備で刀を持ったブチギレた島長が居た。
即座に最後尾に居た男は逃げようと振り向く。
「覚悟は出来ておるから裏切ったのじゃろう?」
後ろには島長の懐刀、島の道場の師範が手勢を連れて仁王立ちしていた。
この瞬間、男は思った。
終わったと。
その後、宴会場に響くほどの悲鳴が響き渡る。
作戦の立案者とその仲間は会場の出入り口に待機していたが出番は無かった。
「上手く行ったみたいだな」
「ボーイの服、さまになっていますわカロル様!」
「ははは・・・配膳なんて初めてだったからおっかなびっくりだったよ」
「まさか昨日買った便秘薬の薬草がいきなり役に立つなんてな・・・」
「あの薬草の効果って毒じゃないので解毒剤効かないんですよね、本当は抽出した液一滴で十分なんですけど・・・」
「ビンまるまる入れてたよねニンジャ」
「効かないと困るからな、ミロネの話を覚えておいてよかった、抽出もミロネがやったしな」
「そう言えばこの作戦名前ありましたよね、なんでしたっけ」
「ああ、トンパのジュース作戦だ」
「トンパってなんですの?」