TRPGしてたら自キャラになった・・・特化ビルドの一発屋で。   作:水道館

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アンケートは三日くらい開いて集計します。
ひとまず今回も一行空けで。


相性

「ひいふうみい…よし、全員捕まえたの」

 

「悪いがこいつらを牢にぶち込んでくれ、ああこやつは今から尋問するから、置いていっていいぞ」

 

「ハッ!では失礼します!おら!キリキリ歩け!」

 

「待ってくれ!あまり揺らさないでくれぇぇぇ」

 

裏切った上層部の連中が連行されていく。

流石に入れ過ぎたかもしれない。

まぁでもいいか、悪人だし。

命をどうこうしてないのでセーフである。

 

「さて…知ってる情報を吐いてもらおうか」

 

「な、なにもしらん!」

 

「んな訳ねーでしょうよ!早く吐きなさいな!じゃないとオムツを履かせますわよ!」

 

「やめろぉ!尊厳破壊はライン超えとるわ!」

 

「先に超えたのは君達だけどね」

 

最後尾に居た初老の竜人族の男を全員で囲む。

こいつは上層部の中でもかなりの古参らしい。

どれだけの期間裏切り続けていたのだろうか。

 

「言わないなら仕方ない、今から貴様の指を─」

 

「ふん!指を切り落とすか!島長ともあろう者が短絡的な手を─」

 

「儂が使ったトイレの水につける」

 

「分かった!全て吐く!だからそれだけはやめてくれ!お願いします!」

 

「どんだけ嫌なんだよ」

 

確かにかなり嫌な拷問だが。

指切られるよりはマシな気がする。

 

「最近教祖が変わったが何故か、分かるか」

 

「…いや、それに関しては分からん。私達も突然変わったのを聞かされた。その後急にコチラに寝返る者達が増えてな」

 

「増えた理由も分からんと」

 

「ああ、なんでも教祖に心酔したとか言っていたが…本当かどうかは知らん」

 

どうも洗脳に近いものに感じる。

それこそ、《糸》で意識を変えられてるような。

 

「こちらのスパイから拉致被害者は無事と聞いたが本当か?」

 

「実際には前教祖が居た時に攫われた者は既に生贄にされている。だが変わってからは何故か生かしていたな」

 

「…そうか、こちらが把握できてなかっただけで、犠牲者は既に出ていたか」

 

「足が付かんように観光客を狙っていた筈だ、それこそ『竜信教』はずっと昔からあるからな、気づかれないように、一人一人だ」

 

「だが今の教祖になってからは島民も攫うようになったと」

 

「確か…なるたけ外部の者は攫うなと言われてた筈だ、ああ、でも外部の者でも冒険者は許可が出てたな」

「冒険者ピンポイントでか?」

 

「一般人より魔力があるから…かな?」

 

「だがどの道、宝玉の封印を解く為に生贄にするだろう、それはいつだ!」

 

「………」

 

「いつだ!!!」

 

「…今日の深夜だ」

 

「な…!」

 

今の時間は19時前後、深夜は大体0時ごろと考えると…。

 

「もう猶予は2、3時間しか無いぞ!」

 

「こ、このままじゃ…」

 

「すぐに行かないと手遅れですわ!」

 

「島長、少しでもかき集めれるだけ戦力を集めて参ります。リューグ、護衛任務に出てる門下生を呼んできてくれ!」

 

「は、はい!」

 

「…もはや強行突破しか無いか」

 

「島長、奴らの本拠地の場所は?」

 

「潜入してる者からの情報だと繁華街の地下に大掛かりな建築をしているようだ」

 

「間取り図を見ると…複数箇所、出入り口があるな。分けて突入するべきだ、救出班と鎮圧班だな」

 

「救出班は少ないほうがいいと思うな、ただでさえ攫われてる人が多いんだ。いくら奴らのアジトが広くてもごった返しになって逃げるのも大変だ」

 

「分かった、ならば鎮圧班は任せて欲しい。君たちには監禁されてる人達の解放を頼む」

 

「入る時間は?」

 

「22時きっかり、どうだろうか」

 

「分かった、合わせよう」

 

「では儂も準備に入る、…頼んだぞ」

 

そう言って島長は離れていった。

さて、事態が一気に動いてしまったな…。

 

「わ、私達も準備しましょう!」

 

「そうだね、確実に戦闘になるから気を付けないと」

 

「私の新スキルでボコボコにしてみせますわ!」

 

「いやミレッラさん自分で攻撃できないでしょ・・・」

 

「少しいいか」

 

「ニンジャさん?」

 

「ミレッラ、ドラクル島にギルドはあるのか?」

 

「えー・・・はい、ある筈ですわよ?」

 

「場所を教えてくれ、三人は各々準備を頼む」

 

「ギルドに何か用なのかい?」

 

「ああ、少しな」

 

リルラールが冒険者じゃないのなら・・・可能性はある筈だ。

 

 

 

 

「あと少しで22時です!」

 

「まさかこんな所に地下に繋がる階段があるなんて・・・」

 

「くっそ汚ねぇですわ!何を考えてこんなゴミ捨て場の下に作ったんですの!?」

 

「何だろう、アレ(アネロダの家)に比べたら全然マシだな」

 

「慣れって嫌ですね」

 

まぁ見つかりにくい所ってなるとこうなるか・・・。

軽く入り口に耳を当てると少しだけ声が聞こえる。

 

「開けてすぐには居ないだろうけど、多分信者が居るね」

 

「本拠地だからな、夜でも持ち場についてるんだろう」

 

「ひとまず救出最優先ですよね」

 

「ああ、それでいい─時間だ」

 

離れた場所から喧噪が聞こえる。

鎮圧班が突入したみたいだ。

 

「あちらが注意を引いてくれている、出来る限り静かに行くぞ」

 

「了解っと・・・」

 

ゆっくり扉を開く。

扉の先はスロープになっており、下に繋がっている。

 

「間取り図的に、拉致された人の居る場所はどの辺だ?」

 

「えーっと・・・ここからもっと西ですかね・・・」

 

「足元気を付けてね、薄暗いから」

 

「ランタン付けたらダメかしら」

 

「流石にやめておけ・・・しっ」

 

物陰に身を隠す。

信者が目の前を通り過ぎた。

他の信者と合流し、何やら話している。

 

「遠すぎて聞こえんな・・・」

 

「状況的に鎮圧班の所に向かうんじゃないかな」

 

「それなら素通り出来て楽ちんですわ」

 

「だが流石にここを通るのはまずいな、少し遠回りして─」

 

ニンジャがそう言いながら他の道に足を踏み出した瞬間。

 

 

カチッ

 

 

嫌な音がした。

 

「しまっ─」

 

次の瞬間、ニンジャは忽然と姿を消してしまった。

 

「・・・え?」

 

「うそ・・・」

 

「消えちゃいましたわよ!?」

 

「ちょ!ミレッラさんまずい!」

 

すぐに彼女の口を塞いだが、こちらに走ってくる足音が聞こえる。

遅かったようだ。

 

「ど、どうしましょう!ニンジャさんが!」

 

「ひとまずこの場を何とかしよう!援護を頼むよ!」

 

「や、やらかした分働きますわ!」

 

向かってくる信者達を迎え撃つ。

ニンジャ、無事でいてくれよ・・・!

 

 

 

「くっそ!やらかした!」

 

壁に思いっきり苛立ちながら拳をぶつける。

俺が踏んだのは『ランダム転移トラップ』。

アナケンでの罠の一つだ。

ダンジョンに設置されるダルさレベル100のこれは名前の通りダンジョン内のランダムな場所にPLを飛ばす。

飛ばす先は当然GMですら分からない。

魔物が居る部屋に飛んで即死する可能性すらあるシナリオ崩壊必須の罠だ。

なんでこんなもん作ったし。

 

「ここがカルト宗教の根城なんだったら罠くらい張るか・・・」

 

何しろこの世界防犯用に売ってるからな、罠。

これもアジトの防衛にと設置したのだろう。

ちゃんと見れば分かるのに見落とした俺が悪い。

 

「早く合流しないと・・・ここどこだ」

 

最悪な事に間取り図はミロネが持っていた。

当然俺は正確な間取り図の記憶は持っていない。

覚える時間が無かったのだ。

辺りを見渡すと先ほど居た場所より薄暗い。

変な臭いもするし、普段使いするような場所では無さそうだ。

 

「ひとまず移動するか・・・」

 

「え!移動しちゃうの!?」

 

声の下方向に短剣を突き立てる。

短剣は空を切り、代わりに俺の腕が切られた。

と言っても薄皮一枚、そこまでじゃない。

 

「うひゃあ~殺意高いねぇ。好きだなそういうの」

 

「何だお前は」

 

「俺?ただの雇われだよ、と言っても今の教祖様からは嫌われてるけどねぇ」

 

両手にナイフを持っている男は非常に軽装だった。

俺ですら鎖帷子を付けているのに、ほとんど私服だ。

 

「(両手にナイフ…軽薄な言葉使い…雇われ…)」

 

非常に心当たりがある特徴だ。

間違いない、こいつは─。

 

「風切りゾルべ・・・!」

 

「あれ?俺の事知ってんの~?有名じゃん俺!」

 

こいつは公式NPCの一人だ。

だが公式シナリオに出てくる事は無い。

何故ならこいつは『お尋ね者NPC』だからだ。

 

公式NPCには大きく分けて三種類存在する。

一つはミロネ達のような戦闘データが存在しており、PCと共に冒険する友好タイプ。

二つ目は戦闘データは存在せず、あくまでシナリオの導線や設定だけある中立タイプ。

そして最後、戦闘データが存在し、PCと敵対するエネミー・・・それが『お尋ね者NPC』だ。

こいつらはシナリオ中に倒すと賞金がシナリオ報酬に追加される代わりに結構強いという特徴がある。

良くも悪くも一芸特化された連中しかいないのだ。

その中でもこいつ、風切りゾルべ・・・。

 

「さぁ!ここに入った奴は殺していいって言われてるんだよねぇ、まぁ前の教祖様から言われたんだけど」

 

「なら今はダメなんじゃないのか」

 

「ほら、前払いでもう金貰ってるし?俺義理堅いからさぁ~」

 

こいつは『素早さ特化』のキャラ。

俺からしたら、最悪と言っていい相性だ。

 

「君さぁ、もしかしてだけどノロマだったりする?」

 

「そういうお前は随分と細いな、モヤシが喋っているのか?」

 

「ハハッ!言うねぇ!」

 

この世界に来て初めてのタイマンが始まった。

 

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