TRPGしてたら自キャラになった・・・特化ビルドの一発屋で。   作:水道館

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この話が書きたくて仕方なかったです。


やらかし

「な、なんだあれ…」

 

祭りも見終わったしそろそろ帰るかーと思って海に入ったら…。

 

「そんな…あれってまさか…」

 

嘘だよな…?だって前回からまだ10年しか経ってないだろ…?

何でよりにもよってドラクル島に来るんだよ…。

ここのルート、過去に来た事無いじゃん…。

 

「ハーヴグーヴァ…」

 

海の絶対的捕食者が、数キロ先の海中に佇んでいた。

 

 

「ニンジャさぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

 

背中からこれでもかと言う程ポーションをぶっかけられる。

一気に直る傷や怪我、この感覚ホント慣れないんだよなぁ…。

 

「ミロネ、ありが─」

 

「こんのバカ!」

 

「ぐわっぷ!」

 

振り返って礼を言おうとしたら両手で顔を掴まれた。

すいません、貴女こんなに力ありましたっけ?

 

「なんで無茶ばっかりするの!?一旦離れてからでも良かったでしょ!?」

 

「い、いやあそこで止めなければ最悪宝玉を─」

 

「だとしてもあんなの自殺じゃない!アホなの!?アホでしょ!」

 

「ア、アホ…かもしれない…」

 

「こんなにボロボロになって!死にかけて!こっちの心労考えてないでしょ!」

 

「も、申し訳ないとは思ってるが…」

 

「申し訳ないと思ってれば毎回死にかけてもいいと思ったら大間違いよ!」

 

「ご、ごめんなさい…」

 

「まぁミロネさん…確かに無茶だったけど必要な事ではあったし…」

 

「そ、そうですわ!こうして助けれたのですし─」

 

「二人は黙っててください!!!」

 

「「はい」」

 

完全に怒らせてしまった…。

擁護してくれた二人も飛び火が嫌で離れて行ってしまった。

そりゃそうだ、多分立場が逆なら俺もそうする。

 

「わ、わたし…のせい…?」

 

「あ、いやそうじゃないんです、貴女に言ってるんじゃなくてニンジャさんに─」

 

「ごめんなさい…ごめんなさい…」

 

「あああ…ど、どうしよう」

 

「…ひとまず落ち着ける場所に移動しよう、ここだと流石にな」

 

「…後で続きやりますからね」

 

どうにかトンズラ出来ないかな。

何歳になっても説教は嫌いなのだ。

好きな奴居ないと思うけど。

 

「それじゃ一旦島長の所に「ああ!居た居た居たぁ!」…なんだ?」

 

後ろからこちらに向けて声が聞こえる。

はて、ここの高台の後ろは海の筈だが。

 

「おーい!おーい!」

 

「あれ…あの人って確か」

 

「ニンジャが釣り上げたサハギンじゃないかい?」

 

「ああ、そうっぽいな」

 

この島に来る途中に同船したサハギンだった。

表情は遠くて見えないが、声色からしてかなり焦っている。

 

「どうした!何かあったのか?」

 

「や、やばいんだよ!あいつが来る!あいつが!」

 

「あいつってどいつだい?」

 

「さぁ…どうしたんでしょうか」

 

「何が来るんだ!津波か!?」

 

「そんなんじゃねぇ!あいつが…ハーヴグーヴァが来るんだよぉ!!!」

 

「は?」

 

サハギンが言った次の瞬間、沖の方からソレは現れた。

東京ドームのような大きさの巨大な影が海から這い出てくる。

顔と体は鯨だがタコやイカの様な触腕が大量に生えている。

明らかに異質な存在はこちら─ドラクル島を認識したのか、巨大な口を開けて─。

 

『BOOOOOOOOOOOO!!!!!!!』

 

叫声を上げた。

 

「ぐっ!耳が…!」

 

「頭がくらくらしますわぁ〜!」

 

「鯨の癖に直接鳴き声を出すんじゃない!クソ!」

 

凄まじい音量に耳を塞いで耐えるしかない。

その間にも化け物はゆっくりではあるが、こちらに進んで来ている。

 

「な、何ですかあれ!」

 

「…ハーヴグーヴァ…って確か…」

 

「リルラール…知っているのか?」

 

俺は驚きを隠せなかった。

何せハーヴグーヴァなんてエネミーはアナケンに存在しないからだ。

そもそも基本的にPCと戦わせる以上、デカいとしてもドラゴンくらいの大きさが関の山。

だがあいつはもはや小さい山くらいある。

見た目も訳わからないし…。

 

「ハーヴグーヴァは…50年周期であらゆる物を捕食する怪物…一度起きれば空腹が収まるまで何でも食べる」

 

「何でもって…好き嫌いしないと言う事ですの!?」

 

「うん…人も動物も魔物も植物も…島も食べる」

 

「何だそれ…」

 

もはや化け物ってか神話生物だろ。

 

「で、でもよぉ!まだ10年しか寝てない筈なんだよ!起きるわけが無いんだよ!」

 

「10年寝てたから空腹になったんじゃ無いのか?」

 

「今までこんなことは無かった!前の時だって今までと同じく島5個食って収まったんだぞ!?なのにこんなに早いなんて…!」

 

眠っている筈なのに活動し出した。

俺はこの瞬間猛烈に嫌な予感がした。

懐に入れてある自分のギルドカードを取り出してスキル欄を見る。

そこには相変わらず『異界の救世主3/8』と書かれてあった。

まだ、【糸】は切れていない…!

 

「あいつは…」

 

「ニンジャ…?」

 

「あいつは…【糸】に操られてここに来た…かもしれない」

 

絶句。

ミロネもカロルもミレッラもリルラールも。

【糸】に縛られて地獄を見た仲間達は声を失っていた。

だが実際、リルラールの【糸】は切れたわけでは無い。

離れた【糸】は当然他に繋げる訳で─。

 

「(…俺の記憶にあんなエネミーは存在しない、基本ルルブにも追加サプリにも!なら考えられる可能性は一つ…)」

 

あのクソGM共…。

 

「(オリジナルエネミー作り出しやがった!!!)」

 

世界を改変してまで作られた化け物は、島を喰らう為に進行を続ける。

俺は止める方法を思いつける気がしなかった。

 

 

 

 

 

 

「あいつらホント君の力の使い方下手くそだったよね、折角世界を書き換えれるのにやる事が一部のキャラの死に様ループなんだもん」

 

光の届かない闇の中で銀髪の少女は、鎖に繋がれた大蜘蛛に一方的に話かける。

 

「まぁ確かに?そういう風に誘導はしたけどね?『僕の記憶にあるの見る?』ってさ。でもまさか生きてる時に反面教師として見てた酷いRPのリプレイ動画にハマるとは思わなかったよ」

 

「でも考えてみたらそうだよね、何せあいつらずっと君と争ってたもん、世界をめちゃくちゃにしたくてさ」

 

ニコニコ。

楽しそうに。

少女は笑う。

 

「ひどい連中だよね、ひたすらに人の負の感情見たがるんだもん、管理者の君も大変だったでしょ」

 

「君とあいつらの争いで元の世界はめちゃくちゃ、僕が来た時には既に崩壊してた」

 

「戦況もあいつらは僕含めて無尽蔵に増えるのに君は一体、そりゃ押し負けるよね」

 

「だから煽るのは簡単だったよ、君の力を奪って新しく世界を書き換えようってね」

 

大蜘蛛に触れて見上げる少女に、蜘蛛は何も答えない。

 

「まぁでもさ!前の世界より良くなってない?アナケンの世界観を上から貼り付けて、足りない部分は元の世界の物・・・いい感じにリペア出来たと思うけど」

 

「・・・え?ふざけるな?うーん・・・まぁ君からしたらそうなるか、でも良くない?残ってた人類や他の生物だって死んだ訳じゃないじゃん、()()()()()N()P()C()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「どうせ絶望しかない世界だったんだから、問題ないって!大丈夫大丈夫!─さて」

 

蜘蛛から離れて闇の中を見続ける。

視線の先には何もないが、少女は鮮明に見えていた。

 

「ハーヴグーヴァ・・・自信作のエネミーだよ、やっぱりさ~でっかい魔物と戦うってロマンあるよね!」

 

「確かに強いけど勝てない訳じゃないよ!ちゃんと考えてる!」

 

「幸次君のPT戦力、ドラクル島の戦力、天候、島にある設備・・・全てをフル活用すればちゃんと倒せる!」

 

「まぁ下振れたり、最適解出せないとかなり厳しくなると思うけど・・・」

 

「幸次君なら平気!一緒にTRPGしてた時からだけど、初見で最適行動叩きだすんだから!」

 

 

 

 

「さぁプレイヤー!シナリオクリア目指して頑張れよ!!!」

 

 

 

 

 

「皆!まずはここから離れるぞ!」

 

俺の声で固まっていた仲間たちが我を取り戻す。

そうだ、今はそれどころじゃない!

 

「リルラールは俺が担ぐ!全員走れ!」

 

「ど、どこに行くんですか!?」

 

「あの咆哮を聞いて何もしない程、島長達はバカじゃない!まずは合流だ!」

 

指示を飛ばして全員を走り出させる。

俺達だけで出来る事なんてない!

島の戦力と連携を組まないと─。

 

その瞬間、地面が割れた。

 

「な─」

 

割れ目から生えてきたのは─タコのような触腕。

触腕はこちら目掛けて振り下ろされる。

 

「おおおおおおおお!?」

 

全力でその場から飛びのいて回避する。

少しでも遅れていれば俺は平気でもリルラールがやばかった。

 

「き、気をつけろ!その触腕は─」

 

サハギンがこちらに声をかけてくると同時に、触腕の先が割れる。

 

「【捕食】してくるぞぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

触腕が割れ、中から鋭い牙が見えた。

 

「無茶苦茶だろこいつ!」

 

全力で走る。

次々と地面が割れて出てくる触腕。

本体から十キロは離れてるんだぞ・・・!

 

「ま、まって・・・あ!」

 

必死に走っているとリルラールが声をあげた。

目線をやるとその先にはファントムドラゴンを封印している宝玉が落ちていた。

俺が走った勢いのせいで落としてしまったようだ。

 

「しまった!」

 

ここで封印が解けでもしたら本当に終わりだ。

なんとか回収を─。

 

バクン!

 

「あーーーーーー!!!」

 

「ほ、宝玉食べちゃった・・・」

 

触腕が宝玉に齧りついた。

当然中に封印されているファントムドラゴンが解放される。

白い塊のようなものが触腕から溢れ出す─が。

 

ガガガガガガガガッッッ!!!

 

他の場所から生えていた触腕が一斉に口を開いて宝玉を食べた触腕に群がる。

白い塊を食いちぎり合う触腕達。

逃げるなら─今だ。

 

「リルラール!捕まってろよ!」

 

「うん・・・!」

 

 

背後から過去に島を滅ぼしかけた、幻影の竜の断末魔が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

何とか島中心部まで走ってこれたけど・・・。

 

「これは・・・不味い!」

 

「だ、大混乱ですわぁ!」

 

住民も観光客も落ち着きなんてものを忘れたように走り回っている。

ダメだ、完全にパニックになっている・・・!

兵士が誘導しようにもこれでは・・・!

 

「皆さん!皆さん!」

 

「この声は・・・リューグさんかい!?」

 

「そうです!よかった!無事でしたか!」

 

「リューグ!島長達は!?」

 

「こっちです!一般人はもう仕方ないので放置で!とにかく集まってください!」

 

リューグさんに付いていくと他にも兵士や冒険者らしき人達が誘導されていく。

連れていかれた先は島中心部を囲むように建てられていた砦だった。

 

「師匠!島長!居ました!全員いました!」

 

「居たか!こっちに来てくれ!」

 

師匠さんに呼ばれる形で近くによる。

周りには既に近衛兵達が待機していた。

 

「・・・リルラールは・・・」

 

「大丈夫だ、もう」

 

「あ・・・あの・・・えっと・・・」

 

「・・・今暴れないのならいい。それどころでは無くなったからな」

 

「まさかハーヴグーヴァが現れる思いもせんかった・・・」

 

「一応言っておく、島である以上・・・逃げ場は無い、戦えない者の避難場所もな」

 

「あの触腕・・・・・十キロ以上先からでも届きましたわ・・・」

 

「となると・・・生き残るには倒すしか、無いね」

 

僕がそう言うと場は静まり返る。

自分で言ったけど・・・出来る気があまりしない。

 

「・・・島長、今すぐに島の設備で使えそうな物はあるか」

 

「一応バリスタならあるが・・・大砲などは時間がかかる」

 

「なら・・・それしかないな、この島のあるだけの矢を持ってこさせてくれ、それを本体に撃ちながら削るしかない・・・大砲も準備が出来次第ガンガン撃つ」

 

「でも触腕はどうするんですか?あれがある以上バリスタなんてとてもじゃないけど・・・」

 

「バリスタは島の狙撃手に頼む、遠距離魔法で攻撃できる者も本体への攻撃に参加して他は露払いだ。何が何でも狙撃班を守り通す」

 

「まぁ・・・それくらいしか出来ないからね」

 

あれだけの巨体にレイピアでどうにか出来るなんて思えないし・・・。

 

「とにかく人を集めてくれ、観光客の中に冒険者も居るだろう。そいつらは前線だ、他の元気な一般人も後方支援しつつ最悪石でもなんでもぶつけて戦わせるしかない」

 

「一般人を戦わせるのか!?」

 

「じゃあどうする、戦える者だけ先に死んだ後にゆっくり食われるか?」

 

「・・・・・・・」

 

「どの道あれが出てきてしまった以上、最早総力戦だ。一人でも生き残る道を選ぶしかない」

 

「そんな・・・」

 

ニンジャの言う通りだ。

あれに勝つには全てを使うしかない。

 

「・・・分かった、今すぐ募ろう」

 

「頼む・・・先に言っておくが私達は死ぬつもりは無い、足掻き続けるぞ。それと─」

 

「なんだ?今さらだ、何でも言ってくれ」

 

「牢屋の場所は─どこだ?」

 

 

 

 

 

 

島長に頼んで砦の地下にある牢屋に来た。

一番奥にまっすぐ進む。

 

「おい、話がある」

 

「あれ?君わざわざどうしたの?」

 

そこには粗末な囚人服に身を包んだゾルゲが居た。

 

「ハーヴグーヴァ。知っているか」

 

「あの海の化け物でしょ?それがどうしたの」

 

「そいつが島に来ている、もうすぐ島と隣接するだろう」

 

「へぇ~じゃあ俺の命もここまでか、まぁ割と自由にやったしな」

 

ゾルゲは寝転びながら笑う。

 

「お前は確か義理堅いんだったな」

 

「そうだけど・・・それが?」

 

「お前と戦った時、命は取らなかったがそれの恩は返さないのか?」

 

「ハハハッ!取らなかったんじゃなくて取れなかったの間違いでしょ!君から俺を殺す気感じなかったし!」

 

バレている。

そりゃ俺よりずっと修羅場に居たんだから勘もいいか・・・。

 

「・・・まぁでも確かに、その甘さにおまけしてもいいか」

 

「一応、金は払う。言い値でな。もし無事に終わったら牢屋に戻ってもらうが・・・」

 

「ハハハッ!オッケー!俺事前に仕事報酬決めててさ、一日10万、OK?」

 

「随分と安いな、いいのか?」

 

「いいよいいよ、殺し合った仲じゃん?おまけしとくね」

 

 

 

 

戦力を集めて集めて、隊列を組んだ所でとうとう来た。

 

『BUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!』

 

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

「で、でけぇよぉぉぉ!」

 

砦からでも見える距離に奴の本体が。

兵士達が怯えるがそんなもの、奴には届かない。

 

「リルラール・・・すまない・・・」

 

「ううん、大丈夫」

 

結局リルラールを戦わせることになった。

本当であればこんな事はしたくない。

8歳の傷ついた子供を戦線に立たせるなんて・・・。

 

「ニンジャ」

 

「・・・なんだ?」

 

「助けに来てくれて、ありがとう。だから─今度は私が助けるね」

 

「・・・ああ、なら私は君を守ろう」

 

「うん・・・!」

 

リルラールと頷き合った後、仲間達を見る。

 

「こんなことになってしまったが・・・最後まで戦ってくれるか?」

 

「はい、勿論です!」

 

「僕だってまだ・・・いや、もう死にたくないしね」

 

「こうなりゃ火事場のなんとやらですわ!【神の威令】が無くても何とかして見せますわ!」

 

「・・・頼りになるな」

 

「ちょいちょーい、俺も忘れないでよ!」

 

「ああ、金は払ったからな、頼むぞ」

 

「ハハハッ!いいね!こういう熱い展開、俺嫌いじゃないよ!本で読んだし!」

 

確かに殺し合ったような仲なのに生きるために協力する。

本の物語でありそうだ。

 

「よし、行くぞ!」

 

『了解!』

 

迫ってくるハーヴグーヴァ。

まずは奴の耐久を確かめる!

 

「頼むぞリルラール!」

 

「【サンダーブラスト】!!!」

 

リルラールの魔法を合図に狙撃手たちがバリスタを放つ。

まずはこれだ、この攻撃がどれ程入るか─!

 

「(本体の表面がもしダメなら・・・奴が口を開けた時か)」

 

いくらなんでも奴とて内側は柔いだろう。

奴に咆哮をさせてその隙に撃つなどをしないといけないかもしれない。

 

放たれた雷は勢いを増していく。

 

「(問題は触腕だ・・・どれだけ耐えられるか・・・!)」

 

あの触腕の攻撃力はそこまでぶっ飛んでいない。

耐えるだけなら何とかなるが・・・それが長期戦になると話は変わる。

 

巨大になった雷は更に肥大化していく。

 

何せあの触腕は数が狂っている。

一本ならまだしも複数相手取る時は相当に厳しい戦いになるだろう。

 

肥大化した雷は紫電に変わりながら更に大きくなる。

 

俺とカロルとゾルゲ、近接3人でリルラールを守る。

ミロネ、ミレッラで俺達の回復、支援。

リルラールが魔法で攻撃。

この隊列はどこか一か所でも崩れれば終わってしまう。

俺達の近くを陣取っているバリスタ兵もやられれば全体の火力はガタ落ちだ。

何としても守り切らねば─!

 

「(・・・なんかさっきからおかしいな)」

 

リルラールが撃った【サンダーブラスト】がおかしい。

何がおかしいってその大きさと勢いだ。

撃った時は精々電柱くらいの太さだった雷は何故か巨大化して色まで変わった。

雷の巨大化は止まらない、まだデカくなる。

 

「(てかハーヴグーヴァよりでかくね?)」

 

おかしい、なんだこれ、何が起きてるんだ?

あれが当たったら・・・どうなるんだ?

 

俺がそう思っている内に【サンダーブラスト】はハーヴグーヴァに直撃して──。

 

 

 

 

 

 

ズガァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!!

 

 

 

 

ハーヴグーヴァの本体を消し飛ばした。

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・は?」

 

 

え?なに?なんなの?

何が起きてるの?

なんか消し飛んだけど、何あれ。

俺の戸惑いはいざ知らず。

消し飛んだハーヴグーヴァの触腕は力なく倒れていく。

リルラールが何かやったのか・・・?

 

「・・・・・・・??????」

 

リルラールの方を見たが本人も分かってなかった。

てか誰も分かってなかった。

戦場が沈黙に包まれる。

そこで俺はようやく思い出した。

 

「(え、もしかして・・・【即死クリティカル】入った?)」

 

アナケンではダメージを決定する際に2d6・・・ダイスを2個振るのだがその際に6ゾロが出るとクリティカルになる。

クリティカルした攻撃はもう一度ダイスを2個振ってそのダメージを追加するのだ。

だがこの追加ダメージのダイスで6ゾロした場合、更にもう一度ダイスを振る。

これを4回・・・4回連続で6ゾロを出した場合、その攻撃は【即死クリティカル】になるのだ。

【即死クリティカル】は文字通りダメージを与えた対象は即死する。

どれだけレベルが離れていようと、いくらHPがあろうとも即死する。どんな種族でも即死する。

どうせ出ないだろと公式が入れたお茶目システムだ。

実際俺も出したことない。

それが、このタイミングで、出た。

あれだけ強大な化け物と戦うタイミングで。

 

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

誰一人何も言わない。

脳が理解を拒んでいるのだろう。

取り合えず回復した俺はゾルゲの肩を叩く。

振り向くゾルゲに、俺はこう言った。

 

 

 

 

 

「牢屋」

 

「(´・ω・`)」

 

 

 

ごめんて。

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

銀髪の少女は固まっていた。

自身が作った自慢のエネミーがワンパンされたから・・・ではない。

何せ本来だったらこんなことは起きない筈なのだ。

そう、本来だったら。

 

「・・・・・・・・・ガ」

 

彼女の親友は忘れていたが、【即死クリティカル】は防ぐ方法がちゃんとある。

それがボスエネミーなどに付与されがちなスキル【物語の門番】である。

このスキルの効果は「このキャラクターのHPを増加、即死クリティカルを無効」となっている。

【即死クリティカル】を作ったが流石に万が一ボス戦でこれが出てしまっては興ざめだろうと思った公式が作ったスキルだ。

基本的にどのボスにもこのスキルを付けるのが推奨されている。

 

「・・・・・・・・・ガ!」

 

そう、【物語の門番】さえ付いていれば【即死クリティカル】は起きないのだ。

だがハーヴグーヴァには【物語の門番】が無かった。

 

そう。

 

 

つまり。

 

 

彼女は。

 

 

 

 

やらかしたのである。(メガトンコイン)

 

 

 

 

 

 

「ガバったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

頭を抱えて絶叫する少女。

それを眺めていたさんざん好き勝手言われまくった大蜘蛛はこう思った。

 

 

 

 

『ざまぁ』と。

 




どうしてガバは発生するんだろう(イレギュラーハンター)


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