TRPGしてたら自キャラになった・・・特化ビルドの一発屋で。 作:水道館
途切れても許してください。
評価、お気に入り、感想ありがとうございます。
「う~ん」
めちゃめちゃ寝た。
もう3日くらい寝てたんじゃないか?
連休だしこれくらいはね?
「散歩にでも行くかぁ」
ベッドから降りて服を着替える。
運動用の金属鎧を着て外に出る。
頭のバナナがチャームポイントだ。
「おはようございます!」
「ああ、おはよう」
「ワン!ワン!」
犬がおじいさんを散歩していたので挨拶する。
やっぱ挨拶は気持ちいいな!
ガッシャガッシャと鎧を鳴らしながら河川敷まで来た。
「死ねオラァ!」
「キキー!」
船に乗ったヤドカリが溺れているサルに柿をぶつけている。
サルの断末魔があたりに響く。
三途の渡し賃として頭のバナナを投げ入れておく。
「君死にたまへ!君死にたまへ!」
「開国してくださいよぉ~」
川の向こう側では巨大な与謝野晶子とペリーがボクシングをしている。
拳圧が強いおかげでこちら側にも心地いい風が流れてくる。
「平和だ・・・」
寝転びながら空を眺めていたら近くにクソデカい蜘蛛が近寄ってきた。
メタリックで所々鎧のような甲殻が付いててかっこいい。
「なぁ、一つ聞きたいんだけどいいかな」
「なんだ?」
蜘蛛に質問する。
「これ夢だよな?」
「夢だぞ、早く起きろ」
夢だった。よかった。
「俺頭おかしいのかな・・・」
意味不明過ぎる夢を見た自分の頭が心配になる。
何がどうなったらあんな夢見るんだよ。
まだ変な薬使ってると言われた方が納得できる。
もしかしたらこん棒食らって脳みそが消し飛んだのかもしれない。
「・・・ここどこだ?」
木造の部屋のベッドで寝てたみたいだ。
傍のテーブルには薬草や体拭きなどが置いてある。
「・・・ミロネが看病してくれたのかな」
頭を触ってみると傷がどこにもない。
看病どころか治療を完璧にしてくれたみたいだ。
「うわ~迷惑かけたなぁ」
当たり前だが治療に使う道具だってタダじゃない。
当然俺はミロネに治療代なんて払っていないから完全にミロネの自腹だ。
申し訳ない。
「払わないとなぁ・・・いくらだろう」
前に病院に運ばれた時は1万円くらい持ってかれた。
こっちではゴールドだが明らかに前運ばれた時より重症だった。
「ぜ、絶対足りない・・・」
どうしよう、依頼代チャラで何とかならないだろうか。
足りない分はツケにして貰うしかない。
「・・・てか帰れないのな」
正直な話、確証があった訳でも無い以上仕方ない。
勝手に期待して、勝手に落胆。
情けなさすぎる。
「はぁ~どうすっかなぁこれから・・・」
手がかりがパーになってしまった。
結局なんだったんだよ【異界の救世主】って。
異界を救う前に俺を救ってくれよ。
寝ぼけた頭でぼーっとしていると不意にドアが開く。
音が出ないようにゆっくり開かれるドアの向こう側にはミロネが居た。
「ミロネ」
「・・・え?」
ミロネの手には水の入った桶があったのだが、俺を見た瞬間に盛大に落として水をぶちまけた。
「おおお!?床が水浸しに───」
拭かないとと思い立ち上がろうとしたが、その前にミロネが俺に抱き着いてきた。
「・・・かった・・・」
「よかった・・・」
「ずっと目を覚まさなくて・・・」
「もう起きないんじゃないかって・・・」
「不安で不安で・・・」
「でも・・・起きた・・・」
「起きてくれた・・・」
「よかった!よかったぁ!いきててよかったよぉぉぉぉぉ!!!」
そのまま盛大に泣き始めた。
すごい勢いで出てくる涙と鼻水。
水浸しの床といい勝負が出来るくらいびちゃびちゃになる俺の胸元。
肌に走る不快感。
これら全てを飲み込んでミロネの後頭部を撫でる。
「だいぶ…心配をかけたようだな」
「いいんです!いいんです!生きててくれただけで!」
「ミロネも無事でよかった、看病してくれていたのか、ありがとう」
「違います!違います!お礼を言わないといけないのは私なんです!貴方に救って貰った私なんです!」
そのまま必死に俺にしがみつきながら泣き続けるミロネ。
ミロネの頭を撫でて慰めながら、俺は困惑に包まれていた。
「(いや何この人・・・)」
確かにこん棒から彼女を庇った。
だから救ったというのは間違いではない。
でもこんな風になるか?
いくら何でも大げさ・・・いや命の恩人になったことが初めてだから分らんけど。
にしたってこれは過剰過ぎる気がする。
「(俺、ミロネと会って1日だぞ・・・)」
いつの間にこんな好感度稼いだんだよ。
恋愛漫画だって最初の数話はヒロインとちょっと険悪だろ。
助けてもらった!ありがとう!好き!なんて現実じゃあり得ないのである。
精々落ちた消しゴム拾っても嫌がられなくなるくらいだ。
「(てか大して親しくない人に抱き着かれるとマジで困るな・・・)」
しかも相手は女性。
対処法が分からない。
青春をTRPGに捧げた愚かな男に期待しないでほしい。
結局、いい対応が思いつくわけでも無く、泣き止むまでひたすら頭を撫でながら慰めた。
◇
「・・・よかった」
部屋の中からミロネさんの泣き声が聞こえる。
悲しみのこもった物では無く、歓喜の声だ。
それもそのはず、何せ彼は3日も眠り続けていたのだ。
治療は完璧、だが目を覚ますかは分からない。
ひたすら待ち続ける時間は辛かっただろう。
僕も、辛かった。
「…入らないんですか?」
「あ、受付さん」
横から受付嬢さんが話しかけてくる。
彼女もニンジャを心配していた1人だ。
「今入るのは空気が読めてなさそうだからね」
「そうですか・・・少し、変わりましたね」
「・・・そうかもね」
今までの僕はずっとお調子者をやらされていた。
元々の性格は実際そうだったけど、数えるのも嫌なくらいやらされれば、落ち着きもする。
「ありがとうね、医務室ずっと貸してくれて」
「どうせ空いてましたし問題ないですよ」
「え?でも貸してくれーって言ってきた人に断ってたよね?」
「・・・・・・・・さぁ、気のせいじゃないですか?」
数人の冒険者が来たのを丁寧な謝罪で帰していたのを僕は見ている。
・・・でもこの反応的にもしかしたらダメな対応なのかもしれない。
「あー・・・うん、そうかも。気のせいだね」
「ええ、気のせいです」
気のせいという事にしておこう。
そうでないと彼女に迷惑をかけることになりそうだ。
「・・・では私は業務があるので」
「受付さんは顔見なくていいの?」
「いずれ見れるので大丈夫です」
そう言って去っていく受付嬢さんの肩は力が抜けていた。
しばらくミロネさんの泣き声を聞きながら、安堵した僕はうっかり眠りに落ちてしまった。
◇
「うう・・・ごめんなさい・・・」
「・・・いや、大丈夫だ」
ミロネが泣き止んだのは一時間経ってからだった。
既に俺の服の前側はべっちょべちょの地獄になっていた。
流石に着てられないので着替える。
「落ち着いたか?」
「は、はい。もう平気です」グスッ
ほんまか工藤?
流石に二枚目の服にも大洪水を発生されると着るものが無くなるからどうにか堪えてほしい。
「にしても…傷がどこにもない、治療大変だっただろう」
「傷はすぐにどうにかなりました、ポーションあったので・・・。問題は心臓と呼吸が止まってしまった事です。応急処置で何とかなりましたけど・・・」
まじか。
俺そんなにやばかったのか。
てことはさっきの夢は臨死体験なのだろうか。
もう少しまともなのあっただろ。
「なら、ミロネは俺の命の恩人か。助けてくれてありがとう」
「そんな!違います!助けてもらったのは私の方で・・・」
「確かにこん棒から君を庇ったが・・・依頼主を守るのは当たり前というか・・・」
「…違うんです、いえ庇って貰ったことも心から感謝しているんですけど・・・」
さっきから何か要領を得ない。
何か言いたそうにはしているのだが言う勇気が出ないのだろうか。
「何か言いたいことがあるのか?」
「!・・・はい」
「言いたいなら言って欲しい。言葉にしないと伝わらないからな」
俺は察して~とか言うやつが苦手なのだ。
別に空気を読んだりするのを嫌っているのではなく、言わなくても分かるだろみたいな感じが嫌いなのだ。
いやじゃあ言えよ遠慮せずってなる。主に仕事で。
「・・・あの!今から言う事を信じてほしいんです!」
「分かった、信じよう」
ミロネの目は真剣だった。
彼女は本気だ。
そんな彼女から出る言葉に身構えてる。
「私・・・ずっと操られていたんです!!!」
「はい???????」
俺は宇宙猫になった。
◇
チギレタ
イトガチギレタ
ナンデ ワカラナイ
ニホンモキレタ
ウゴカセナイ
フタリウゴカセナイ
モウミレナイ
ミレナイ アヤツレナイ
ツマラナイ
デモマダアル
ノコッテル
ロクホンアル
マダミレル
ミタイ
ミタイ
ミタイ
ミタイ ミタイ
クルシムトコロ キズツクトコロ
カナシムトコロ
ゼツボウスルトコロ
シヌトコロ
エロイトコロ
ブザマナトコロ
モットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモット