TRPGしてたら自キャラになった・・・特化ビルドの一発屋で。 作:水道館
残酷な描写タグあるので大丈夫だと思いますが念のため、お気を付けください。
評価、お気に入りありがとうございます。
白銀のリティア。
この公式NPCを知らないアナケンプレイヤーは存在しない。
何故ならこのキャラは【アナザーワールド・ボウケンジャー】の看板キャラなのだ。
基本ルールブックはリティアの一枚絵が表紙だし、追加サプリメントでも必ず表紙に居る。
それくらいアナケン公式の一押しなのだ。
だがユーザーとしては正直リティアは影が薄いキャラになっている。
その原因が【設定盛りすぎ&戦闘データ無し】だ。
リティアは公式ゲキ押しキャラのせいで兎に角設定が盛られている。
常勝無敗、最強キャラまでは可愛いもので全部のスキル使えるとかあらゆる効果を受けないとか。
しまいには万の魔物の群れに傷ひとつ無く勝利したとかもう酷い。
完全にぼくがかんがえたさいきょうのキャラなのだ。
こんなんどうやって自作シナリオに出せ言うねん。
しかし公式、ここで最後の理性が働いたのかなんと戦闘データを作成しなかったのだ。
恐らくこれでデータ作ったらシナリオに出した際「もうこいつ一人でいいんじゃないかな」となる可能性を危惧したのだろう。
多分キャラ考えたやつがノリノリでやってたところに他の人が止めたんだと思う。
だがこの戦闘データを作らなかったせいでなんと公式シナリオに出させてもらえなかったのである。
看板キャラで最強、見た目もオタクが好きな要素の次郎ラーメンみたいにしたのに、公式シナリオに出させてもらえなかった悲劇のキャラ。
それが白銀のリティアなのだ。
◇
「修繕終わりましたよぉ・・・どうぞぉ」
「おお・・・新品のようだ、ありがとう」
「いえいえ・・・いつでも来てくださいねぇ・・・」
いやそれはいいや。
マジで困った時にだけ来ることを心に誓う。
「アネロダ、私のは直る?」
「直りますよぉ・・・でもいい加減戦うときにアクセサリー付けるのやめた方いいですよぉ・・・」
「アネロダが直してくれるから」
「毎回来るのも大変じゃないですかぁ」
「帰ってくれば解決」
「騎士団はじめじめしてないのでぇ・・・」
どんだけじめじめに拘ってんだこの人。
やはりナメクジだろ。
「じゃあ待ってる間、お兄ちゃんと遊んでおく」
「前世の恋人じゃなかったのかい?」
「ニンジャさん!この人クッソ適当にホラ吹いてますよ!構えて!」
「構えてどうするんだ、戦ったら三人纏めて三途の川だぞ」
ミロネの正気はいつ戻ってくるのか。
「ところでマイバディは何でナイフの修繕に来たの?買わないの?」
「金が無いのでな、格安の修繕にしたのだ。まだまだ駆け出しだからな・・・」
「今度は相棒になったよミロネさん」
「相棒は私でしょう!?」
いや違うが・・・。
と言うか呼び方安定しなさすぎだろ。
せめて統一しろや。
「駆け出し・・・強くなる未来しか見えない、流石ダディ」
「強く・・・まぁ・・・なる・・・かなぁ・・・」
こんな一発屋芸人みたいな構成で本当に強くなれるだろうか。
火力出すためには死にかけないといけないの本当に終わっている。
今からでもバランス型になりてぇ・・・。
ふと時計を見るともう既に17時、夕方だ。
「時間も時間だしお暇させてもらおう、世話になった」
「はいぃ・・・またのお越しを・・・」
「私はもう少し待たないといけない・・・置いていくのグランパ」
「とうとう祖父にまでなったんだがどうすればいいと思う」
「笑えばいいと思うよ」
「全然笑えません!!!」
リティアの性格ってこんな感じだったんだな・・・。
確か設定には孤独でさみしがりとか書いてたが・・・。
いややたらと身内に連れ込もうとしているのがそれなのか?
「まぁ機会があったらまた会えるだろう」
「本当に?」
「ああ、多分きっと恐らくな」
「信用性無さすぎる言葉だね」
「可能性ばかりですねぇ・・・」
そうポンポンこんな歩く決戦兵器に遭遇してたまるか。
俺の胃が焼け野原になるわ。
ドアノブに手をかけて外に出ようとした瞬間。
「そういえば、ギルドの依頼がそろそろ更新されるよ」
「ん?ギルドの?」
「そう、お金ないなら行った方いい」
「まぁ・・・そうだな」
金もそうだが何より公式シナリオだ。
確か公式シナリオの中にもう一つ、このファストウを舞台にしたものがあった筈。
確か・・・お嬢様キャラ【ミレッラ】の冒険の護衛とかなんとか。
ちょっと記憶があやふやだ、後で紙に書いて整理しながら思い出すか。
「教えてくれて感謝する、ありがとう」
「うん、またね」
礼を言ってそのまま外に出る。
夕焼けが辺りを照らしてまるで炎の中にいるみたいだ。
「じゃあ一度ギルドに行って「あの」・・・どうしたミロネ?」
「その・・・さっき、一瞬だけなんですけど・・・」
「ミロネさんも?・・・僕もなんだよね」
「? 何かあったか?」
「ほんの一瞬ですよ?リティアさんから凄く嫌な感じが・・・」
「うん、僕も感じた。ニンジャは感じなかったかい?」
「いや・・・特には」
何か特別なことはしていなかったように思うし、威圧とかも感じなかった。
だが二人は感じているのは・・・何だろうか。
「(だが公式シナリオに登場しないなら【糸】に操られてないと思うが・・・)」
一瞬、彼女が二人のように操られている事も考えたが彼女はどの公式シナリオにも登場していない。
俺は一応全ての公式シナリオをクリアしている為、確認漏れは無いと思う。
「気のせい・・・ではないか?」
「そう・・・なんでしょうか」
「まぁ説明出来ないからね・・・ホントに気のせいかもしれないし」
「もしかしたらあの腐海に居たから体調を崩したのかもしれんな」
「ちょ、ちょっとありそう・・・」
「ギルドに寄ったらすぐに身を清めようか」
色々あった一日だったが、武器は何とかなったからヨシ!
三人で夕陽を眺めながら歩く。
公式シナリオ、あるといいが・・・。
あれ?
なんでギルドの職員でも無いのに依頼が更新されそうってのが分かったんだ?
◇
『あれ?今回って別にNPC死んでもクリアだよな?』
『そうだよー好きにやって好きにやって』
『ほなミレッラに先頭歩かせるかー』
『じゃあこの部屋に入ろうかな』
『罠チェックは良い?』
『当たるのミレッラだしいいよー』
『じゃあここだと・・・落とし穴で一番最下層まで落ちるね』
『あれ?最下層って事はボスじゃない?』
『そうじゃんwアディオス、ミレッラ』
『てか依頼主殺してもクリアにするとかやばすぎw』
『それなw』
グシャア!
「~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!!!!」
ああ、まただ。また始まった。
「ハァ!ハァ!ハァ!」
いつもそうだ。
死ぬ少し前に操られるのが終わる。
毎回苦しむだけ苦しんで。
死んだらもう一回。
「「グルルルルルルルル・・・・・」」
「い、いやぁ、来ないで、来ないで・・・」
落とし穴に落ちたせいで足が完全に折れてしまった。
逆方向にねじ曲がった足を引きずりながら、這って逃げようとする。
「「ハァァァァァァ・・・・・・」」
「おねがいおねがいおねがいおねがいおねがいおねがい・・・」
この願いが叶った事なんて一度もないのに。
それでも願わずにはいられない。
「「ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
双頭の狼は二つの口でそれぞれ片方ずつ私の折れた足に嚙みついた。
1秒もしないうちに、私の両足は狼の口の中で肉と化した。
「ああああああああああああああああああああああああああああああ」
「「オオオオオオオ・・・」」
物足りないようにさらに近づいて来て、頭とお腹に食らいつく。
ブチブチと、肉がちぎれ始める。
「あああああああ・・・・」
チギレタ
アシチギレタ
ナイテル サケンデル
イミナイノニ
イノッテル
ムダナノニ
ブザマ
イイネ クワレテル
ツギハ?
ヒアブリ
イキタママワナデヒアブリ
ソレダ
ソレニシヨウ
マダマダアル
タクサンアル
リプレイアル
モットミセロ シヌトコミセロ
ハヤク ハヤク
ハヤク
ハヤク
ハヤク
ああ・・・また聞こえる・・・
私の死を望む声が・・・
「だれかたすけて・・・」
私の掠れた声は、私の肉の咀嚼音で掻き消える。
身に着けていた母の形見が割れた後─。
冷たい石畳に、脳漿と臓物をぶちまけた。
◇
夜の帳が降りた街を歩く一つの影。
体に不相応な刀を背負った白銀の少女が足音もなく進む。
その姿は不気味なほど───美しかった。
「ミツケタ」