前世の幼馴染があべこべ世界で幼女として存在してる 作:宇佐見あまの
前々世では徳を積んだ、信心深かったとの事で神様から
『君が好きそうな世界に送ってあげる』
と言われ、送られた世界は現代社会と何ら変わりない世界だった。
幼馴染にやけに合理主義的で利己的な無神論者に近い男がいた。
他の人物にはとんと厳しいが、僕に対してはやけに距離が近いというか男同士なのに、飲み会ではやけに酒をすすめてきたり、2人きりになろうとちょこちょこ画策してたのを覚えている。
まぁ、それは前世の話なのだが……
今はゼウスの様な神様や神々達と面会している。
彼らが言うに死因は【転落死】らしい。
趣味が山登りで、全制覇した後もちょこちょこ登っていたのだが、流石にエベレスト1人RTAは厳しかったか。
周りの人達は『まぁ、あんたほどの登山家が言うなら…』で見送ってくれたのだが、最後の晩餐がチョコとは少し寂しい。
神々に転生するにあたり、その世界で【技術革新】【とにかくどの神様でも良いから信仰の布教】をお願いされた。
いや、僕じゃあ力不足ですよ!と言うと
『貴方で力不足ならば、他の人々は力不足どころか塵にもならない』
『医療での革新的な技術や、技法のお陰で神々の信仰が高まった』
『貴方の思いやりと信心深い姿が人々に神の存在を知らしめた』
と褒めちぎられて『そこまで仰るならやらせて頂きます!』と宣言したのだった。
神々からは割れんばかりの喝采と祝福を頂き、僕は新しい世界に旅立ったのだった。
思い残りは……幼馴染ぐらいだろうか……
ーーーーーー
僕は新しい世界で父役の母、アンソン・スーと母、アーネ・スーの間に産まれた。
名前は“エイル・スー”何でも北欧の女神様から取った名前なんだとか。
この世界では男女比が傾いており、男性:2 女性:9という恐ろしい事になっている。
人々は神頼みで男性を増やしたいと思ってるらしいが、どう考えても染色体とかそこに異常があるのでは?と思っていたらビンゴ。
ただ染色体を変えるには色々と制約があるので、男性が生まれ易くする薬を作れる様、論文を書き殴ってレガドニア協商連合のお偉いさん達に直談判したり……
技術革新をもたらす為、資金を確保するために、手始めに8歳の頃で作った発明品を元手にレガドニアで、親戚のお兄さんの名前を借りて会社を設立。
親戚のお兄さんの名義を借りて設立した、合成石油会社【レッドロケット社】は世界各地に拠点を置き、石油の潤沢をもたらした。
その金を元手に更に合衆国に娯楽飲料の【ヴィム・コーラ社】を設立。
アルビオンには従業員の安全を確保した自動車、輸送機メーカー【アーサー工業】を設立。この頃には既にお金に困らないほどだった。
フランソワには何処から聞きつけたのか、政府の要人からの要請で医療品を扱いシェルターも扱う【ボルトテック社】を設立。
この頃には妹が産まれたの事で、レガドニアで妹の“メアリー・スー”を溺愛しながら開発に勤しんでいた。
いつの間にか18になり、そろそろ帝国かルーシーに新しい企業の話を持ちかけようか?
と思っていた。だがまぁまだ妹を愛でてても良いだろう。
妹のメアリーはすくすく元気に育ち、将来はお兄さまのお嫁さんになる!と言っており、微笑ましかった。
ただベッドに潜り込んできて、ごそごそと体を押し付け、艶かしい声を出すのは辞めて欲しい。
近親相姦は犯罪ですよ!お兄ちゃん犯罪者になっちゃう!
鉄の意志で何とか理性を保ちながら過ごす日々。
ある日、帝国の方から接触があり帝国を視察しに向かった。
……そういえば何で帝国は国名が帝国なんだろうか?
ドイツとかそういう名前でも良いもんだが……
どこか見落としている気がするのだが……うーん?
帝国に着くと経済大臣の方々と話し合いながら『あれが欲しい』だの『これが足りないので欲しい』だの話し合いながら、護衛についたターニャ・デグレチャフさんの視線を耐え、帝国1と言われるホテルに着いた。
「ではエイル様、我々はこれで…」
「ええ、このペースですと来月には設立案を提出出来ますので、しばらく帝国に滞在させて頂きます」
「ええ!ええ!嬉しい限りでございます!それでは」
上機嫌な経済大臣と王族の方を見送り、ホテルの最上階、3階に用意された部屋に向かう。
その後ろをデグレチャフさんとヴィーシャというデグレチャフさんの部下がピッタリついてくる。
「あの」
「はっ!何でありましょうか!」
デグレチャフさんとヴィーシャさんはビシッと軍隊で言うところの待て、の姿勢でこちらの言葉を待つ。
「もしかして護衛ですか?」
「そうでありますが…気に触ったのでありましたら他の者と交代いたします」
「いえ、そういう訳ではないので大丈夫です」
「はっ!」
なんかデグレチャフさんを見てると幼馴染を思い出すんだよなぁ……
彼は今も元気にやってるだろうか?
合理主義の塊なのが欠点でもあり、長所なのだが……
部下に殺されてなきゃ今頃出世して僕の部下、もしくは同じ職位に付いてるだろうな。
ーーーーーー
後ろで不気味なほど笑顔になっているデグレチャフさんに気が付いていれば、運命は交わらなかったのだろうか……
その日の深夜、コンコンと軽いノック音が聞こえ、ドアチェーン越しに確認するとデグレチャフさんがドアの前にいた。
「久しぶりだな◻︎◻︎」
その名前は前世での名前だった。
一瞬思考が凍る。
一体何処でその名前を。
聞く前にデグレチャフさんは部屋に入れてくれとジェスチャーで伝えてきた。
入れて良いものか…考えてるうちにスルッと幼い彼女はドアの隙間から入ってきた。
そしてドアが閉まり、彼女はぽつぽつと語り出した。
前世でクビにした男に押され、電車に撥ねられたと。
存在X(ゼウスさん)によってこの世界に転生し、孤児院で過ごし、魔力適性があったので軍隊に引っ張られ、士官学校に。
その中で僕の噂を聞いて『◻︎◻︎に違いない!』と判断し、今回の護衛任務に志願した。
そしてトントン拍子で出会い、会話の流れで確信したのだと。
お互いに前世でしか分からない情報を言い合い、すっかりこの世界で気の許せる女性友達ができた。
デグレチャフは『ターニャと呼んでくれ』と言いお互いに苗字ではなく名前で呼び合う関係に直ぐになった。
3日後の晩、ターニャに進められるがままコーヒーを飲み、お互いに火照って眠りについたはずだった。
気がつけば裸の男女が2人。
ターニャと僕はどうやら一線を超えてしまった様だ……
ど、どどどど、どーすんの!?