前世の幼馴染があべこべ世界で幼女として存在してる 作:宇佐見あまの
ターニャと一夜を過ごし、少し寝不足のまま思考を巡らす。
ターニャの淹れてくれたコーヒーは酸味が少なく、コーヒーの風味がしっかりと出ていて美味しい。そんなコーヒーを飲みながら、僕のシャツを羽織ったターニャを見ると幸せそうだ。
このままターニャと結婚まで突き進んでも良いのだが、問題が何点かある。
それは……
国際的な問題になりかねない。
レガドニアと帝国は紛争地帯を持っており、ここでターニャと結婚します!と宣言してしまえば、レガドニア側は
『エイルが帝国に人質に取られたのだ!奪還するぞ!(ついでに紛争地帯を奪還するぞ!)』
となって戦争状態になり、ついでに相互条約を結んでいるフランソワも参戦してくるだろう。
そして帝国が窮地に立たされたら、責任はターニャと僕に向くのは必然……
安定した生活を送るためにもこれは避けたい。
ではどうすれば良いのか?
僕はコーヒーを飲む事で、靄がかかっていた思考がスッキリとしある発想に至る。
そう!婚活宣言をすれば良いのだ!
男性が少ない世界で、男性は基本的に自由恋愛もできるが、お見合いが殆どだ。
ターニャと帝国へのヘイトを逸らすためにも僕が
『国際的に婚活します!』
と宣言し他の大国からもお互いに愛し合える人と婚約すれば、言い方は悪いが他国にとって人質の様になり、攻撃できない材料にもなるだろう。
それに出来レースだが、ターニャとも正式に婚姻出来る。
このことをターニャに伝えると。
「本当は独占したいのだが……」
「でも一番愛するのはターニャに変わりないよ」
その言葉を聞いたターニャはニマニマと笑顔を浮かべながら、右腕に抱きついてきた。
「その言葉、本当だな?」
「もちろん」
「ま、私はお前が嘘をつく様な人間ではないと知ってるからな。では、計画がうまくいくようにお互いに助け合おうか旦那様?」
「もちろんだよ、ターニャ」
お互いに唇を合わせ、シャワーを浴び、香水を軽く振りかけ会議場へと向かった。
ーーーーー
帝国との経済援助の話や、企業を設立する話は驚くべきほどスムーズに進み、皇帝陛下との謁見済み……
後はレガドニアに帰るだけとなったのだが、ここで帝国側に提案をした。
提案内容は『護衛のデグレチャフさんとヴィーシャさんにレガドニアの光景を見せてあげたい』という提案だ。
帝国とレガドニアは長らく睨み合いが続いてるが、お互いに歩み寄れるという友好の証として、事前にレガドニア政府には許可を得ている。
後は帝国側だけなのだが……
「ええ!もちろん是非彼女らを連れてお互いに友好を結びましょう!」
帝国のターニャの上司、ゼートゥーアさんは嬉しそうに僕の手を両手で握って、ぶんぶんと振ってくれた。
お土産のレガドニア産のワインを気に入ってくれてたので、お土産はやはり大事だなぁと思いつつ、帰国の準備を進める。
婚活宣言はレガドニアに帰国した後、大々的に全国のマスメディアを集めてする予定だ。
ターニャもヴィーシャさんもウキウキで出国の準備をしている。
何事もなく進めば良いのだが……
帝国で最後の夕食を食べる為に、ゼートゥーア閣下から教えて頂いたレストランへと向かう。
車を運転してくれてるヴィーシャさんと他愛無いお話をしながら、ターニャは上機嫌で窓の外を見ていた。
その姿も美しいなぁと見ながら、レストランに着く。
レストランではステーキと葡萄ジュースを頂く。
「ん〜!とっても美味しいですね!」
ヴィーシャさんはステーキを5枚も頼んでいたが、一口で1枚の半分も食べていた。
もっもっと口いっぱいにステーキを含んで食べている姿はリスみたいで可愛い。
「殿方の前だぞ……はしたないぞヴィーシャ」
「はっ!はわ……す、すみません!」
「いえ、大丈夫ですよ。美味しそうに食べてるのを見るだけで幸せですので」
「はわわわわ!」
ヴィーシャさんが顔を真っ赤にしてるが、どうしたのだろうか?
ヴィーシャさんの隣に座っているターニャが『そう言うところだぞ』みたいな目線を送ってくるが、女性を褒めるのそんなにダメ?
甘酸っぱい空気を漂わせながら、夕食を楽しみホテルに帰る。
運転していたヴィーシャさんは凄くガチガチに緊張されてたし、ターニャは少し不機嫌だし何とも言えない空気が車内を覆っていたが、ホテルに着くとそれとなくその空気は無くなっていた。
「では、エイル殿我々はお隣の部屋で待機しておりますので、何かあればいつでも」
「うん、それじゃあおやすみ」
ヴィーシャさんから先に帰っていくが、ターニャが帰る前に『今夜も楽しみにしておけよ?』と言い残していった。
シャワーを浴び、ターニャを待っていた。
昨日の今日なので緊張はしている。前世でもあまり経験がなかったもので、ソワソワしてしまうのだ。
コンコンと軽くノックが聞こえる。
チェーン越しにドアを開けるとそこに居たのはターニャとヴィーシャさんだった。
えっえっえっ。
ヴィーシャさんから愛の告白を受けながら『側室でも愛していただけるならお願いします!』とターニャとの共同攻撃で、絞り尽くされた。
ターニャには無い女性のポヨンとした部分が新鮮だった。
……これは妻が2人に増えてしまった?
そんな悩みを抱えながら流されてしまった自分を戒め、ヴィーシャさんの責任も取ると宣言し、妻が2人に増えたところで、翌朝、ターニャとヴィーシャさん…呼び捨てで良いと言われたので、ヴィーシャと一緒に帝国から海路でレガドニアへと帰るのだった。
レガドニアで実家に帰ったのだが、両親からは手厚く迎えられ、帝国での事を話しつつターニャ達を紹介する。
ところでメアリーがターニャとヴィーシャに凄い警戒心を抱いてるのだが、もしかしてこれバレてる?
メアリー、お兄様は私の夫なんだから!って言うのやめような、近親相姦してる人だと思われる。
ターニャ、すっごい余裕を含んだ笑みを浮かべながら鼻で笑うのやめような、メアリーすっごいシャーシャー言ってるから。
ヴィーシャはまぁ……美味しそうに両親と食事してて偉いね……なんか両親から凄い好感持たれてるけど、距離詰めるの早くない!?
実家なのに胃が痛くなりそうなんだけど……