――――紅魔館、大図書館にて――――
「そろそろ咲夜さんを呼んできますね、お嬢様。」
「ええ、頼んだわ美鈴。・・・よし、これで動くはずよ、レミィ。」
「これで狂気が抑えられるなら儲けものですね、パチュリー様。」
「いつもありがとね、パチェ。」
「あとは明日を待ってテストするだけだね、お姉さま。」
「紅茶と茶菓子を持ってきましたよ。一度休憩されては?」
「ありがとう咲夜。お姉さま、パチュリー、折角持ってきてくれたんだから頂こうよ。」
「で、お姉さま。私あんまりこの結界の仕組みを理解できてないんだけど・・・」
「んーそうね、折角皆居るんだし説明しちゃいましょ。」
「ええ。まあ、まずは目的ね。」
「私が説明しますよ、パチュリー様。」
「あらそう、頼んだわ。」
「まずこの結界の目的は、満月の日に理性を失わないようにすることです。」
「でもでも小悪魔さん、妹様もお嬢様も、
満月だろうが新月だろうがいつも問題ないじゃないですか。
その結界要ります?」
「まあね。それに関しては私が説明するわ。
以前に、月がおかしくなる異変があったじゃない?
ほら、私が咲夜と解決に向かったやつ。」
「なんかそんなこともありましたね。」
「その時の異変の主犯達の目的は彼女ら自身を守ることだった訳よ。
でもその時の彼女たちの目的が侵略だったら?」
「確かにそれは拙いですね。お嬢様も妹様も月に影響を受けますから。」
「そういうことよ美鈴。」
「もし月がおかしい状態で攻められたら、私とお姉さまは戦えなくなるもんね。」
「加えて私と小悪魔もよ、フラン。」
「・・・小悪魔は悪魔故、パチュリー様は月の精霊を使えなくなるから、
ということでしょうか。」
「正解よ咲夜。その場合、咲夜と美鈴の二人だけで永遠亭の全員を相手してもらうことになりかねないわ。」
咲夜と美鈴の顔が引き攣る。勝ち目が無いと判断したのだろう。
「じゃあ次は結界の仕組みね。こっちは私が説明するわ小悪魔。」
「わかりました。」
「仕組みはとっても単純で月光が強い日には月光を蓄え、
月光が少ないときは蓄えた月光で補完する。
たったこれだけよ。」
「随分と簡単に言ってるけどそんなこと出来るものなの?
昔お姉さまが似たような魔道具を見せてくれたけど、
あれも修理できる人が居ないって話だったし。」
「理屈上は出来てるはずよ。だからこそ、明日の夜パチェと試してみるのよ。」
「なるほど。」
「でもこの結界にはデメリットがあってね、発動している間は咲夜の能力を用いないと越えられないのよ。」
「あー・・・それは面倒ですね。」
「しかもこの結界、性質のせいで月の光を蓄えている限り破壊しても修復されるから、一々術式を解除しなきゃいけないのよ。」
「まあそれはいつか解決しましょう。」
「まあ、簡単なことなら魔法の改良は手伝えるから。いつでも呼んでね、パチュリー。」
「ありがとね、妹様。」
「じゃあそろそろ解散しましょうか。明日の夜にここで結界を展開する予定よ。」
「ええ、それじゃあ、それぞれ頑張ってね。」
満月に近い大きな月が今夜も少女たちを見守っている。