転生特典が「キノコ栽培」だったので戦闘は避けるようにします。   作:菱形の面積

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第1話 キノコ栽培って、なんじゃらほい?

 この俺、「雛菱 優」がこの異世界に転生した。車に突っ込まれて死に、30年の人生が幕を降ろしたのだが、まさか降りた幕が上がるとは微塵も考えていなかった。カーテンコールってやつか?

 

 さて、異世界転生といえば醍醐味は「転生特典」である。はやる気持ちを抑えてステータスを開き、スキルの項目を確認する。

 

 スキル:キノコ栽培レベル1。

 

 なにこれ?? 前世でもしたことないよ?? キノコなんてシイタケとマイタケとシメジとエノキとエリンギとキクラゲくらいしか食べたことないよ? いや、割と食ってるのか? そんなわけないだろ。

 

 あまりにも謎なスキルに、俺は膝から崩れ落ちた。転生場所のここは森だったからズボンの両ひざが汚れた。

 何はともあれ、異世界に転生したのだ。こういう展開では一見役に立たなそうなスキルが実はとんでもなく強力だったりするのがお決まりのパターンだが、実際のところそうだった。

 

 まず、スキル名のキノコ栽培「レベル1」だが、レベル1ということはレベル2もあると考えるのが自然だ。そして、その上限はいくつなんだろう? 5?10?それとも99?もしかしたら9999かもしれない。さすがに65535というクソバカ仕様ではないと思うが、なんとも言えないところだ。もしかしたら2でマックスという可能性もある。

 

 次に、スキル自体の効果を確認する。

 

 効果:キノコ類を栽培する際に成長速度と収穫量を上げる。レベルが上昇するごとにパークポイントを取得してパークを取得できる。

 

 ははーん、これもしかして悪いことできるな? てっきりスキルをもらったらそのスキルを駆使してなんとかやりくりするタイプかと思ったら、「パークポイント」という概念が出てきた。何を隠そう俺は前世でFall 〇utやSKYR〇Mといったゲームを死ぬほどやっており、このシステムはレベルアップによって得られるポイントでお手軽に新しい能力がもう一つ得られるようなもんだ。しかもレベルアップごとに得られるのでいろいろなシナジーが生まれてそれはそれは悪いことができる。した。

 

 最後に、パークを取得する。今は取得できるのは「キノコ大百科レベル1」というものだけだ。何のことかわからないので詳細を確認すると、「キノコ類の名称と栽培方法を確認でき、得られた情報は自動で更新される」ときた。

 

 ゲーマーはこういう「自分で調べた結果が図鑑システムに反映されて攻略本っぽくなるシステム」に弱い。とくにアイテムにフレーバーテキストがついてたり詳細な紹介があったりすると弱い。アトリ〇シリーズみたいなものに弱い。

 

 そして気づいちゃった。キノコ大百科「レベル1」だ。おそらくレベル2もある。レベル2になると何があるかは大体想像できる。おそらく使いみちなんかが表示されるようになるのだろう。

 

 キノコ大百科を確認すると、驚いたことに辞書ではなく検索エンジンのような代物だった。キーワードを入れて検索するとキノコの名前が出てくるらしい。試しに「シイタケ」を検索してみたらすぐさま詳細な情報が表示された。

 

 魔法でドンパチやったり剣で大立ち回りといったスキルではないが、もともと俺は文明社会人。命のやり取りなんてできない。ということは、この世界で生きていくためにはこのスキルを存分に使っていかなくてないけないわけだ。

 

 この世界がどれほどの文明規模で、どんな世界なのかも今はわからないが、せっかくの二度目の人生なのだ。楽しみながら生きてみるのも悪くない。

 

 「やったるぞー!」

 

 俺の決意の雄叫びは、森に響き、何の叫び声だろうとこの世界の人がやってきた。近くに人、いたのね。

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