転生特典が「キノコ栽培」だったので戦闘は避けるようにします。 作:菱形の面積
それからはあっという間に2日が過ぎた。空っぽの家にまずはベッドそして生活雑貨や家具を購入して配送してもらって設置してもらってたらあっという間に1日が過ぎた。もうちょっと家を自分色に染める時間に浸りたかったが、ギルドマスターからの直接の仕事だ。何よりも時間が惜しかった。
幸い金だけは余裕があるし、これから稼げる手段もわかっているので金に糸目は付けず、かといってバカみたいな豪華ではない家具を不動産屋のギリアム氏と相談しながら用意して設置してもらってたらこんなに時間が経ってしまった。
だが、この引っ越し作業を見ていても学ぶものは多かった。やはり皆それぞれ特殊なスキルを持っているようで、例えば引っ越しの荷物運びなんかはストレージに格納した家具を設置してくれたし、俺の要望に合わせてベッドや机、椅子が爆速で出来上がるのは見ていて気持ちよかった。
本当ならこういう時間を使ってキノコ大百科で調べ物をすればよかったんだろうが、初めて他人のスキルを見たのだ。そりゃあ楽しいに決まってる。
さて、そうしてベッドで横になるとたちまち眠り、翌日は日の出とともに目を覚ます健康的な朝を迎え、俺はようやく仕事に取り掛かることにする。
「ゲッコウダケ」「コダマタケ」「ライウンダケ」「キザミキノコ」。についてまずはキノコ大百科で検索だ。キノコ大百科は「キノコ類の名称と栽培方法を確認でき、得られた情報は自動で更新される」という優れものだが、使用方法まではわからないのが歯がゆいところだ。あのギルドマスターが俺に何をさせようとしているのか知りたいが、まずは言われたことをしようか。
まずはゲッコウダケについて調べると、キノコ大百科は明瞭に答えを返してくれる。しかも親切なことに画像付きだ。こりゃあいいや。
【ゲッコウダケ。洞窟の奥深くや、陽光の届かない森の湿った倒木に自生する。傘は青白く、夜になると月の光を浴びたかのように、自ら淡い光を放つ。栽培期間は3日。ただし日光をあてるとゲッコウダケモドキに変異する】
よし! 早速地下室が有効利用できそうだ。どこかでゲッコウダケの菌が生きている倒木を見つけて家に運んで栽培してやれば、時間はかかるが確実に納品できそうだ。
次に、コダマタケだ。
【コダマタケ。静かな森の古木に、寄り添うように生える水晶のようなキノコ。非常に脆いが、近くで発せられた音を内部でかすかに反響させ続ける性質を持つ。栽培期間は6日】
うーん、ファンタジーなキノコだ。実際にこの手に取ってみてみたいガラス細工のようなキノコだな。インテリアにもいいかも……いや、キノコだからそのうち萎びちゃうか。栽培期間が少し長いのが気になる。もう少しスキルが上がってからでもいいかな。
さらに、ライウンダケ。
【ライウンダケ。雷が落ちた木の周辺にのみ、稀に発生する。傘は黒く、表面には雷光のような黄色の亀裂が走っている。指で触れるとかすかに、びりびりと静電気が走る。栽培期間は2秒】
栽培期間がバカだが、発生条件がキツい。多分人為的に雷を落とす方法はないだろうから、これは運任せになりそうだ。入手難易度は一番高そうだから、たぶん実際に納品するのは無理だ。
最後に、キザミキノコ。
【魔力の流れが早い川のほとりなどに生える半透明のキノコ。その成長は非常に早く、日の出から日没までに、発生と消滅を繰り返す。傘には独特な模様がある。即時栽培可能】
うーん、外見は傘に時計の文字盤が浮かんでるような、これもまたファンタジーなキノコだ。即時栽培可能とあるが、生える場所を見つけるのが難しそうだな。というか、こういう転生ものでよくある都市の中にある川をまだ見てないぞ。もしかしたら都市の中にないんじゃないか?
どれもこれも、ブドランガの街中で見つけるのは難しそうだ。となると、遠征……とはいかないまでも遠出をしなくてはいけない。そのためには俺一人では無理だ。護衛がいる。
そこまで考えて、俺の脳に圧倒的な閃きが走った。鉄斧ガントレットに正式に依頼しよう!! そうすれば俺良しあいつら良しみんなに良しだ!!
これからの行動をまとめたメモを机に放り投げて、俺は以前までの住処へと向かう。そういえば腹がめちゃくちゃ減っていたので、飯も食うことに決めた。