転生特典が「キノコ栽培」だったので戦闘は避けるようにします。   作:菱形の面積

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第21話 クソバカパーク

 鉄斧ガントレットとの冒険から2日後。俺は、自室となった家の地下室に引きこもっていた。ひんやりとした、静かな空間。ここが、俺の秘密のキノコ栽培プラントだ。

 

 目的はもちろん、レーナさんから依頼されたゲッコウダケの納品準備。栽培期間が3日かかるキノコだ。俺は真面目に、それはもう、前世の仕事では決して見せなかったほどの真面目さで、ゲッコウダケの原木にスキルを使い続けていた。

 

 そして気が付いたらキノコ栽培のスキルが3ほど上がってレベル7に達していた。わけわかんないだろ? 俺だってわけわかんないよこんなの。

 

 多分ゲッコウダケにスキルを使い続けたおかげだろう。モリモリと経験値が入り、そしてサクサクとレベルアップをしていた。ちなみにゲッコウダケの栽培期間は2分にまで短縮され、少し採集するだけでもうストレージが悲鳴を上げそうな量のゲッコウダケがぎっしりと収まった。どうすんだこれ。ギルドで全部買い取ってくれるのか?

 

 そして持て余すのは、レベルアップと同時にもらえるパークポイントだ。ツリーを確認すると、気が付かなかったが一番初めのパーク、キノコ大百科からツリーが伸びている。「キノコ大百科レベル2」だ。まずはこいつを取得する。

 

 【キノコ大百科レベル2】:キノコ類の「素材としての用途・価値」が、詳細に表示されるようになる。これはありがたい。用途は想像していたが、価値までわかるとは。これならギルド相手に揺さぶりもかけられるってものだ。

 

 次に、ストレージの問題を解決するために大容量キノコ類ストレージのツリーをたどると、また新しいパークが解放されていた。その名も「力技収納術」だ。説明を見れば、「キノコ類ストレージのスタック上限と種類を10倍にする」とある。

 

 ありがたい。相変わらずクソバカの考えたゲームみたいな能力だが、今の俺はカツカツの容量不足人間なんだ。問題なく取得し、その次に解放されたパークも手癖で取得した。名前を確認する。「増殖ストレージ」。なんだろう。猛烈に嫌な予感がしてきた。

 

 震えながら説明を読む。「キノコ類専用の増殖ストレージを入手する。非常に遅い速度で、ストレージ内にあるアイテムを増殖させる」

 

 お疲れ様です。ゲームクリアです。コストゼロで無限にキノコが手に入ったらそれはもう終わりなのよ。

 

 とはいえ、ここはゲームの世界ではない。ゲームみたいな世界だがゲームの世界ではない。腹も減るし金が要る。もうこの際開き直ってこのクソバカ能力に甘えるとしよう。とりあえずリュウケツダケを増殖ストレージに放り込んで、なかったことにした。これでしばらくは恐怖におびえなくて済むだろう。ちらりと、レベルが上がったキノコ大百科でリュウケツダケの詳細を確認する。

 

 【用途。生命力の塊そのものであり、最高位の回復薬・霊薬の材料となる。他の薬草とは比較にならないほどの強力な再生作用を持ち、煎じて飲むだけでも瀕死の重傷を癒し、失われた部位さえ再生させるという逸話が残る。錬金術で他の素材と調合することで、あらゆるポーションの効果を数倍に増幅させる究極の触媒としての価値も持つため、その存在は国家レベルの機密として扱われることもある。過去には一本で城が買えるほどの値段で取引されることもあった。まさに幻の品。参考価格は1600000エルグ】

 

 ばーーーっかじゃねえの?ひゃくろくじゅうまんえるぐ……? 大体……いちおくろくせんまん……? だめだ。忘れよう。数年後にふと思い出して、そうそうこんなのもあったよね、って感じで売り抜けて早期リタイアしよう。

 

 くらくらと揺れる頭を抱えて、俺はもう一度ベッドで眠ることにした。夢ってことにならないかな、これ。

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