雪風と飛宗   作:六平ァ!!

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今回は短いです。
本当は時系列的にタバサの冒険の話を入れたかったのですが、人物関係を整理できていないので、タバサの冒険の話は外伝としてまとめます。


虚無の曜日

 

 数日経ったある日。

 その日はハルケギニアにおいて週に一度ある虚無の曜日と呼ばれる日であった。地球で言うなら日曜日のような休日だ。

 タバサは虚無の日が好きだった。なぜなら自分の世界に入り浸れるからだ。この日は大体本を読んで過ごしている。

 一方の座村の方は、今日はやることがないので庭の方で鍛錬していた。剣で何かを切る音がちょくちょく聞こえる。

 しばらく経つと、タバサの本の上にカラスの羽が舞い落ちる。タバサがそれを拾って目線の上に持ってくると、目の前に座村が現れた。

 

「戻ったぜ。少し休むわ」

「うん」

 

 座村は飛宗の瞬間移動で部屋まで戻り、タバサに一言そう伝えると寝床に寝転んだ。

 彼の使う瞬間移動も、タバサにとっては見慣れた光景になっていた。最近は舞い落ちたカラスの羽も、綺麗な色なので残してある。栞にちょうどいいのだ。

 

 そんな風にこの日を過ごそうとした二人だったが、その静寂を誰かが崩した。

 

 いきなり部屋のドアが乱雑に叩かれた。それが誰からのノックなのかは大体わかるため、タバサは気だるそうに部屋の入口方向に向かって杖を二回振った。

 

「サイレント」

 

 簡単な呪文ののち、ノックの音は消えた。座村はその魔法に少し感心した。

 

「それ音消せんのか。やっぱすげぇな魔法って」

「……戦闘中に向かってくるメイジもいる。目が見えないなら気をつけて」

「おうよ」

 

 そんな会話をしていると、次の瞬間ドアが勢いよく開かれ乱入者が入ってきた。

 誰かは座村には分からなかったが、彼女は何かをタバサに必死になって訴えかけている。タバサはため息を吐いて杖を振り直して魔法を解除した。

 

「タバサ!今から出かけるわよ!一緒についてきて!」

 

 目の見えない座村は、その声でようやく入ってきたのがキュルケだったと知った。タバサは彼女の言葉に対して気だるそうに答える。

 

「どこへ?」

「にっくいヴァリエールのところへよ!あの子、使い魔と一緒に出かけたわ!どこへ行くかは大体わかるけど、足が必要なの!あなたの使い魔なら追いつけるでしょう?」

 

 キュルケは寝床から起きた座村を指差してそう言った。どうやら彼女は座村の飛宗を使い、彼女の居そうな場所に先回りしたいらしい。

 座村としては別に構わないと言った感じだったが、ここで一つと問題があった。

 

「期待させてるところ悪ィが……あれはなァ、この羽がある所じゃないといけねんだわ」

「えっ、そうなの!?」

 

 キュルケには飛宗の能力について説明してなかったため、どうやら勘違いをさせてしまっていたらしい。

 誤解を解くためにそう説明すると、キュルケは今から追いかけるのは無理かとガックリ肩を落とした。

 

「問題ない」

「え?」

 

 だがタバサは自信ありげにそう言って、さらに言葉を続けた。

 

「貴方の羽、伝書フクロウを使って各地に配置しておいた。固定化の魔法がかけられているから、今もそこにあるはず」

「マジかよ……」

 

 それは流石に知らなかった。

 確かに以前タバサに「あなたの剣から出る羽が欲しい」と言われ、折角なのでありったけ渡したことがあった。

 そして入手した玄力の羽はすぐさま固定化の魔法がかけられ、長時間経っても消えないようにされた。

 その時は栞やペンにでも使うのか?とでも思っていたが、まさか事前に各地に配置しておくとは。それやってるなら教えてくれとも思ったが、どうやらタバサはなかなかの策士らしい。

 

「よし、じゃあ決まり!サムラ?トリステインの城下町までお願いね!」

「おうよ……えっと、城下町っていうとあそこの反応で良いのか?」

 

 座村は指定された場所を梟の能力で確認すると、確かにそこにも玄力の羽があった。

 二人分くらいなら一度に行けるかと考え、座村は二人に肩を掴まれたまま飛宗を抜いた。

 

「飛宗──」

 

 鯉口を切り、その技を呼ぶ。

 

「鴉」

 

 その瞬間、三人の姿が部屋から消え去り、カラスの羽が撒き散らされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 トリステインの城下町にたどり着くと、座村は早速梟の能力を使ってルイズの反応を探した。

 幸いなことに、彼女の玄力は凄まじいのですぐに見つけることができた。

 その場所は街のしがない武器屋であり、今し方ルイズとサイトが、大きな剣を背負って出てきたところだった。

 

「あらあら、ヴァリエールったら……剣なんか買って気を引こうとしちゃって」

 

 その様子を陰から見守っていたキュルケは、舌舐めずりをして店の方を見た。

 

「ふふっ、折角だし私も買って行きますか!」

 

 キュルケがそう言うので、タバサと座村もそれについて行った。

 店に入ると、なんだか上機嫌な店主が鼻歌を歌っていた。彼はおちゃらけた口調でこう言う。

 

「おやおや!今日はどうかしてる!また貴族様だ!」

 

 そんな店主を無視し、座村は店に飾ってある刀剣類を確かめるべく、手を伸ばしていた。危なっかしいのでタバサが袖を掴んでそれを止める。

 

「興味あるの?」

「あー、いや、折角なら脇差でも欲しいつってな」

「ワキザシ?」

 

 座村が聞きなれない単語を言うので、タバサは首を傾げる。それを見た店主は、彼の手に剣が握られているのを見て、武器を求めているのだと察してこう言う。

 

「旦那!いかような武器をお求めで?最近は盗賊が城下町を荒らしまわっているそうで、何かと物騒ですよ。今では貴族の方々も従者に剣を持たせてますわ。へぇ」

「盗賊?」

「そうでさ。なんでも"土くれのフーケ"とかいう、メイジの盗賊だそうです。へぇ」

 

 座村はその話題には興味を示さなかったが、店主なら何か知っているかもしれないと思い、彼の前にある椅子に座った。

 

「店主サンよ。これと同じ形状で、これより少し短い曲剣はねェか?」

「ほほう!これは驚きました!随分としなやかな曲剣ですな……鍔の形も精密な工芸品のようだ!へぇ!」

 

 店主は飛宗の精密な作りに目を輝かせていたが、すぐに武器屋としての目に切り替わると、それをまじまじと見聞した。

 そして彼は後ろの倉庫の方へ向かうと、一振りの軽い曲剣を持ち出して彼の前に差し出した。

 

「こちらなんか近いんじゃないですかい?」

「フム……」

 

 座村は置かれた曲剣の手触りを確かめると、試しに引き抜いてみた。するとかなりの違和感を感じた。

 

「少し重い太いな……しかもこれ、俺の剣とは製法が違うかもしれん」

「こりゃたまげた!ならウチには似たような剣はありませんぞ!申し訳ねぇ!」

 

 店主がさも残念そうにそう言うので、座村も少し申し訳なくなり、曲剣は店主に返した。

 店主がその剣を倉庫の方に返そうとした時、そのタイミングを見計らい、キュルケが前に出た。

 

「ねえ、ご主人?あたしも聞きたい事があるんですけど、よろしくて?」

「へ、へぇ!」

 

 と、キュルケは自分の胸元をわざとはだけさせてそう言った。それを見た店主は、鼻の下を伸ばして顔を真っ赤にしていた。

 

 

 

 

 

 最終的に、キュルケはこの店で一番高い剣を1000で買うことができた。店を出ると店主が悔しそうに叫ぶ声が聞こえたが、彼らは無視した。

 

「さてタバサ?折角街に来たんだし、美味しいものでも食べて行かない?」

「賛成」

 

 キュルケがそう言うと、タバサは頷いた。

 そんな二人の様子を、座村は苦笑いをしながら知らん顔で頭を掻いていた。

 




飛宗の出す羽は玄力出で出来ていると言う解釈です。
実体はあるので固定化の魔法をかければ長持ちするという事になりました。
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