まだなにも起こらない・・・です?
キーンコーンカーンコーン・・・キーンコーンカーンコーン・・・
そう校内に響くそのチャイムは昼休みに入ったことを知らせていた。
遥季「・・・死ぬ・・・マジで死ぬ・・・」
俺は教室の窓側にある椅子に座り、机に顔を伏してからそう蚊のいる声で呟いた。
午前の授業は普通ので俺でもついていける。
そこは問題はない。だが・・・違うところに問題があった。
それは午前の授業に体育があったことだ。
だからこそ今俺はこうやって死にかけている。
本当は死なないが。
などとくだらないことを考えているとクラスメイトの男が近づいてきた。
男「お前、本当に体力ないな。それで1人暮らしとかよくやってけるな?」
皮肉めいた笑い声と共にそう聞こえた。
遥季「あー・・・家事は比較的楽なんだよ。重労働になりかねるようなものはねぇ・・・」
顔だけ相手に向け、それでもなお机に伏したまま俺は答える。
聞くなり苦笑される。それから思い出したかのような顔をすると、
男「ああ、お前の心配してるところじゃねぇや」
と言ってなにか言うことを思い出したかのように手をぽん、とする。
机に伏していた顔をあげ、ようやく普通の座り方になると立ち上がり、クラスメイトの前に立つ。
遥季「ん?なんかあるのか?どうせ伝言だろうけどな」
呆れたような顔を浮かべて、右手で頭をかく。
男「料理を教えるなんてお前だけだぞ?まっ、今回は中庭で女子が3人待っているそうだ」
とまで言うと顔を近づかせ、遥季は思わず軽くのけぞる。
男「出来れば早く来い、だってよ。理由はお前を鍛える、ってだけのようだ。お前も苦労するな」
言い終えると離れニヤニヤといたずらげに笑う。
遥季も自覚しているが、引きこもりやニートを想像させるほどの貧弱な体をしている。
あったとしてもある程度の体力とある程度の力。しかし、ほかの男と比べるとかなり弱い。
そんな彼に―――走って来い―――とはなにかと鬼畜な話である。
遥季「はぁ・・・分かったよ。時間はあるが、あまり目立つところで話してると増えるしな。今回も体力が持つ限りの走りをして向かうか」
そう言うと遥季はいつもの半ば全力の、なおかつ体力を消耗しきらない走りをしながら教室を出て行く。
男「おーう、気ぃーつけろよー!女子ってのはお前はあんまり知らないだろうが、遅れると怖いからなー!」
クラスメイトの男はそれを見送りながら右手を大きく振り、忠告するかのように叫んだ。
廊下をそれなりの速さでかけていく遥季の姿は校内ではある意味有名で、そうしてる時は大抵料理を教えるか裁縫を教えるかのどっちかである。
教室を出て、廊下を走って行き、階段の踊り場に出ると1階へ向かうために駆け下りて行く。
しかし、問題があった。午前中に体を疲弊させていたせいで、駆け下りている最中ふらつき・・・足を踏み外してしまう。
遥季(・・・お、俺・・・終わったかもしんない・・・)
下に見える踊り場へと勢い良く落ちていっているがゆっくり見えていた。
その間にもうちょっと体力つくっときゃよかったなどと考えながら。
しかし、無常にも彼は3階と2階の間にある踊り場にぶつか―――らなかった。
遥季「・・・・・・・・・う、うおっ!?」
どすん、と尻餅をしては驚きと痛みの声をあげる。
妙に硬い―――そう感じた遥季は立ち上がる。
それから辺りを見渡すと何故か目の前に神社、背後には鳥居。
横にはちょっとした林のように生えている木・・・。
遥季「・・・あー、夢、か?それとも天国か?」
困惑したようにそう問う。
しかし、それに答えてくれる人物なんておらず、ただむなしくその声がするだけ。
遥季「お、俺大丈夫なのか!?っていうかこのシチュはゲームのだろ!?どうなってる!?」
さすがに落ち着いていられるわけもなく、そう喚き散らした。
それからすぐに深呼吸をすると、
遥季「・・・お、おおお、落ち着け、俺。いくらゲームとかでしかないようなシチュとは言え、現状を把握しないまま慌てるのは早い。そ、そうだ、俺。落ち着け俺」
かなり震えた声で独り言を呟いた。
それを呆れた様子で眺めていた人物が神社の縁側にいた・・・・・・。
はい、前お伝えしたキャラ設定とは異なるキャラ設定になってしまった男、月森遥季(はるき)の幻想入りです。
一応書いておくと彼の学校は屋上含めて5階です。
制服はあるのですが、私服でいることが許されています。