弐拾漆ノ巻:決裂
夜羽「久しぶりだな、チナツさん。」
チナツ「先生……こんな形でお目にかかるとは……。」
チナツ「先生がそこにいらっしゃることを知った瞬間、勝ち目はないと判断して後退するべきでした……私たちの失態です。」
俺はかつて一度だけ共闘したその子と話してた。まさか次会うときが戦いになるとは……。
アヤネ「アビドス対策委員会の奥空アヤネです。所属をお願いします。」
???「それは私から答えさせていただきます。」
その声が聞こえると端末機から姿が見える。
イオリ「や、やっと帰ってこれた……。」
ついでにさっき吹っ飛ばしたイオリも帰って来た。
アヤネ「通信……?」
イオリ「アコちゃん……?」
チナツ「アコ行政官……?」
アコ「こんにちは、アビドスの皆様。私はゲヘナ学園所属の行政官、アコと申します。」
こちらに挨拶したアコという子、随分と友好的な雰囲気だが……どうなることか……。
アコ「今の状況について少し説明させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか?」
イオリ「アコちゃん……その……。」
アコ「イオリ。反省文のテンプレートは私の机の、左の引き出しにあります。ご存じですよね?」
イオリを咎めるアコ。今のとこはまともなようだが……。
イオリ「……。」
シロコ「……。」
ノノミ「……。」
アヤネ「行政官ということは……風紀委員会のナンバー2……。」
アコ「あら、実際はそんな大したものではありません。あくまで風紀委員長を補佐する秘書みたいなものでして……」
……少し気持ち悪いな……。笑顔でそんなことを言う割には後ろの連中の緊張具合が普通じゃない……。
それを感じてたのは俺だけではないようで。
シロコ「本当にそうなら、そこの風紀委員たちがそんなに緊張するとは思えない。」
シロコがその点に対して言う。謙遜するなら後ろの奴らをどうにかしておけよ……。
イオリ「だ、誰が緊張してるって!?」
アコ「……。」
アコ「なるほど、素晴らしい洞察力です。確か……砂狼シロコさん、でしたか?」
シロコ「……。」
アコ「アビドスに生徒会の面々だけが残ってると聞きましたが、みなさんのことのようですね。」
アコ「アビドスの生徒会は5名と聞いていましたがあと一人はどちらに?」
さて、おれは今出番無いし、準備はしとくとしますか……
アヤネ「今はおりません。そして私たちは生徒会ではなく対策委員会です、行政官。」
アコ「奥空さん……でしたよね?それでは、生徒会の方はいらっしゃらないということでしょうか?私は、生徒会の方と話がしたいのですが。」
その会話にノノミが入る。
ノノミ「アビドスの生徒会は解散しています。事実上私達が生徒会の代理です。」
ノノミ「それに、こんなに包囲して銃を向けられたまま「お話をしましょうか〜」なんていうのは、お話の態度としてはどうかと思いますけどね?」
アコ「ふふ、それもそうですね……。」
アコはそんなノノミの意見に余裕そうな返しをする。
アコ「失礼しました。全員、武器を下ろしてください。」
(スッ……)
ノノミ「あら……。」
全員が武器を下ろす。その軍隊じみた光景と素直に武器を下げる姿にノノミも驚いている。
シロコ「……。」
アコ「先ほどまでの愚行は、私の方から謝罪させていただきます。」
イオリ「なっ、私は命令通りにやったんだけど!アコちゃん!?」
アコ「命令に、「まずは無差別に発砲せよ」なんて言葉が含まれてましたか?」
イオリ「い、いや……状況を鑑みて必要な範囲で火力支援、その後に歩兵の投入……戦術の基本通りにって……。」
アコ「ましてや他の学園自治区の付近なのだから、きちんとその辺りは注意するのが当然でしょう?」
アヤネ(……?)
不満そうなイオリをよそにアコは続きを話す。
アコ「失礼しました、対策委員会のみなさん。」
アコ「私たちゲヘナの風紀委員会はあくまで、私たちの学園の校則違反をした方々を逮捕するために来ました。」
アコ「あまり望ましくもない出来事もありましたが、まだ違法行為とは言い切れないでしょうし……やむを得なかったということで理解いただけますと幸いです。」
アコ「風紀委員会としての活動に、ご協力お願いできませんか?」
アヤネ「先ほども言いましたが……そうはいきません!」
アコの案にアヤネは否定する。ホントにあのくらい言う人材は組織にもほしいねぇ。
アコ「あらっ……?」
その答えにアコも不思議そうだ。
アヤネ「他の学校が別の学校の敷地内で、堂々と勝手に戦闘行為をするだなんて!」
アヤネ「自治権の観点からして、明確な違反です!」
アヤネ「便利屋の処遇は、私たちが決めます!」
シロコ「……。」
ノノミ「……。」
他の2人も納得のようだ……。となれば俺はその意見を尊重するとしよう。
アヤネ「まさか、ゲヘナほどの大きな学園がこんな暴挙に出るとは思ってもみませんでしたが、ここは譲れません。」
アコ「……なるほど。」
アコ「そちらの方々も、同じ考えのようですね。」
これで帰ってくれれば楽なんだが……
アコ「ふぅ、この兵力を前にしても怯まないだなんて……。」
アコ「これだけ自信に満ちているのは……やはり、信頼できる大人の方がいるからでしょうか?……ねぇ、夜羽先生?」
夜羽「さぁ?ここにいるのは他の人より価値の低い大人が一人なんだがなぁ?」
アコ「シャーレの先生。あなたも、対策委員会と同じご意見ですか?」
夜羽「あぁ、そのつもりだ。この子達には便利屋の処遇を決める権利がある。」
アヤネ「交渉は決裂です!ゲヘナの風紀委員会、あなたたちに退去を要求します!!」
その解にアコは……
アコ「……。」
アコ「これは困りましたね……うーん……こうなったら仕方ありません。本当は穏便に済ませたかったのですが……。」
アコ「……やるしかなさそうですね?」
夜羽「……。」
笑みがこぼれる。まるで待ってましたと言わんばかりの。
夜羽「事前準備は大事だ。こういう時に最善の行動ができる。」
そう言って血液の光線を上空にうつ。
(ダーーーーン!!!)
(ドカーーン!!)
(ドカーーン!!)
風紀委員「うわぁ!!」
風紀委員「ぐあっ!」
聞こえる風紀委員の悲鳴と銃声
イオリ「な、なんだ!?」
???「任務達成したわ!先生!」
???「嘘をつかないで、天雨アコ。」
そこに姿を表したのはカヨコとセリカだ。今までセリカがいなかったのは俺がとあることをお願いしていたからだ。
アコ「あらっ?」
カヨコ「偶然なんかじゃないでしょ、最初からあんたが狙ってたのはこの状況だった。」
アコ「カヨコさん……。」
アヤネ「セ、セリカちゃんどういうこと?」
セリカ「それはね……」
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〜弐拾肆ノ巻最後〜
セリカ「便利屋を起こすってどういうこと!?」
夜羽「落ち着け。相手からすればたかが生徒3人の武力なんてたかが知れてる。そして俺も能力があるとはいえ生身の人間弾丸一発で地獄行きだ、そこでだ。あいつらに依頼を出す。代金はアビドスを倒す依頼の倍額予想外の強襲をかける。」
セリカ「やりたいことはわかったわ。でもあいつらが応じるかはわからないじゃない!」
夜羽「セリカさん。いいことを教えよう。戦闘とギャンブルは同じだ。勝てば全てを手に入れられ負ければ全てを失う。ならば俺等だけなんていう安牌は捨ててしまえばいいんだよ。その賭け一つが相手を叩き落とす秘策になる。」
夜羽「頼んだぞ。」
セリカ「バッカじゃないの……でも、その賭け乗ったわ!」
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セリカ「ってことよ!」
アヤネ「まさかそんなことしてたなんて……。」
雪「あいつのやりそうなことだね〜。」
セリカ「わっ!雪さん。いつの間に……。」
雪「ホントにあいつらしいわね……。」
やっと2章ですよ!
次回もお楽しみに!
夜羽、雪の外の世界での事件解決の小説があったら見る?(時間軸はキヴォトスから一時的に外に戻り事件に挑む)
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