指名手配の妹 作:とっさん
何人かに抑えられてからあの子は落ち着いたのか
「いやぁ、ごめんね?ちょっとおじさん取り乱しちゃった」
と申し訳なさそうにしている。
紐が解かれ、フェイスシールドが開けられ、楽な体勢になった後も質問は続いた。
どこの学校?だとかどうやって暮らしてたとか色々。
所属は無いと答えた時、引かれると思ったけどあまりそんな反応は無かった。
いわく、襲撃してくる奴らは基本どこにも所属してないやつばっかだ、と言っていた。
「困りましたね.....通ってるところも家もないとなると帰る場所がないですもんね.....」
「いい提案がある。レイもアビドス生になればいい」
「それは難しいんじゃない?いくらなんでも無理だよぉ」
「昨日の会議でも人数不足は議題に上がってた。だったらこのチャンスを逃す訳にはいかない。早めに行動をするべき」
「まあまぁ、そんな急ぐもんじゃないよシロコちゃん。もう暗くなってきたし、今日のところは委員会しゅうりょー」
「でもどうしましょうか?レイさんはこのままだとまた野宿ですよね?」
「大丈夫ですよ...?慣れてるので」
「そういうわけにもいかないんだよねぇ.....んーと、
この中で1番学校から近いのは、、」
とピンクの子が言った後全員の目が猫耳の子に向いた。
私も向いた。
「_______あぁーーもう!!
分かったわよ!あんたを今日わたしの家に泊める!!
でも!!!!その代わり明日手伝ってもらうからね、私の仕事」
「おぉー!セリカちゃんやっさしぃーーー!!」
「うるさい!」
顔が赤くなっているセリカ?さんがスマホをもって外に行った。
「仕事というと、やっぱりあの店ですかね?」
「ん、セリカのことだし、たぶんそう」
「あ、もしもしすみません店長、ちょっと相談が......」
帰り道、私はセリカさんについて行った。
あの人たちと言い合いをしている時は少し怒っていたけど、今は私の歩幅に合わせてゆっくり歩いてくれている。
「ボロボロねあんた。ほら、洗ってあげるからその頭のやつも全部脱いで」
言われるがまま脱いだところで視線に気づいた。
私の耳のところに。
「あんた.....猫耳だったのね....それに...」
「....ごめんなさい、見苦しいものを..」
「別に責めてるわけじゃないわよ」
そのまま何も言わずに手を引かれ全身を洗われ、お湯に入った。
おかしい。
「なにも、言わないんですか?この傷について」
違和感でしかないし、見るだけ不快と思えるような歪な形だろう。
「聞いたところで治る訳じゃないし、言って辛くなるのはあんたでしょ?」
「自分から言ってくれるまで別にいいわよ」
話を聞いている中で、少し気になったことがあった。
「先生?」
「そう。あんたが来る前にシロコ先輩が連れて来たのよ
...まぁ、今更来たところで信用なんかないけど」
「あの、その人って大人なんですよね ..?どんな感じでしたか?赤かったり....」
もしかしたらここの場所もあの大人に支配されるのかもしれない、と思った私はそう聞いた。
「赤.....?いや普通だったけど .弱そうだったわね、ヘイローもなかったし」
「そうなんですね......良かった....」
「?」
セリカさんは困惑していたけど、私は酷く安心した。良かった。
あんな扱いを受けるのはあの場所だけでいい。
そうやって昔の場所を連想した時、懐かしい姿を思い出した。
私を助けてくれた人、救ってくれた恩人。
お姉ちゃん、元気にしているかな。
朝になって、セリカさんの仕事先に行った。
行く途中で、昨日話していた先生らしき人に出会った。
あの人とは違う、内側と外側が同じように優しい。
「やあ!セリカ!」
目の前の大人の人が爽やかな笑みを浮かべて話しかけてきた
「うわっ、なんでここにいるのよアンタ....」
「アビドスの学校まで行こうとしたら迷ってね...
横の子は、セリカの妹かい?こんにちは」
私の方を見て挨拶をしてきた。それじゃあ私も
「....こん「関係ないでしょ、それに、まだあんたのこと信用してないから。着いてこないでよね」
セリカさんが言葉をかぶせてきた。
「ほら、早く行くわよ」
と言って私の手を引っ張って先生の横を通り過ぎた。