指名手配の妹 作:とっさん
「お、お前さんがセリカちゃんの言ってた子だな」
犬が立っている。...犬が喋った!??
「...あ」 「ほら、大将だから挨拶」
呆けてぼーっとしていた私を戻してセリカさんが話しかけてきた。
なるほど。この犬さんが店長.....
「.....レイと言います。よろしくお願いします、大将」
「おうよ!」
この人...人?
ものすごく人当たりがいい。いや犬なんだけども
先生の感じと似ている。
ココ最近で大人のイメージが大きく変わったなと感じた。
アレが特例なだけかもしれないけど。
「ごめんなさい大将。急に無茶言って」
「いいってことよ!こっちも人手は足りないからありがてぇからさ!」
「2番さんテーブルに案内!机も拭いといて!」
「はい!」
店が開く前にセリカさんに働き方を教えられた。
とりあえず笑顔で、はきはきとした声、テキパキ動く。
基本これを続ければ大丈夫だと言っていた。
「あと、フードはやめた方がいいわね」
「で、でもこれ外しちゃうと」
「大丈夫。そういうときは.....」
セリカさんは私の頭にタオルを巻き、耳が出ないように少し前側まで回して、でも前髪が崩れないように少し前に出して結んだ。
そのまま鏡の前に私を持ってきて
「....おお」
「これでよし。...なかなか似合ってるじゃない♪」
昼頃になって
「いらっしゃいませー!」
「いらっしゃいま「あ、セリカちゃんだー」はぁ!?」
「ん、ビンゴ。やっぱりここにいた」
「あはは...」
「お邪魔しますね♪」
「やあセリカ!また会ったね」
アドビスの学校の人達と、先生が来た。
どういう関係?
そういえば私が会う前に来たって言ってたっけ。
「セリカちゃんの友達かい?サービスしとくぜ!」
店長から目配せがあったので席に案内する。
「どうぞ!」
「ありがとねー、レイちゃん慣れるの早いねー?初日でしょ?」
「....まあ、恩返しもありますし。戦うよりは全然楽です」
「レイはヒョロがりだし、弱いから仕方ない」
「まあまあ....、、私は__」
「じゃあおじさんは____」
全員の注文を聞いて奥に戻った。入れ違いでセリカちゃんが凄いでかい大盛りの麺を持って行ったのが見えた。
後で聞いてみると、お金が無いグループが1人前だけ頼んでいたのでいたのを見かねて大将が
この話を大将に聞いた時、とてもいい顔をしていた。
ああ、こんなにも人ができてる人が居るのだ、と改めて思った。
犬だけど。
私が与えられた側なら絶対に頭が上がらないし、仇で返すなんて以ての外で、どう恩を返すのか悩むほどだし、今回の相手もそう思っているだろう。
そう、思っていたのに。
何日か後、また先生達が来店した。
ちょっと前にセリカさんがいつもの時間にバイトに来なかったとき、ヘルメット団に誘拐されてしまったらしい。
私は何もすることが出来なかったけど、先生が助けてくれたらしく、少しは信頼をおいた感じだ。
セリカさんは先生達の対応をしていたので、今来店した人達を私は対応することにした。
「ごめんください、今日もいいかしら?」
「大丈夫ですよ!こちらの席にどうぞー」
「ほんとにごめんね、うちカツカツでさ」
「大丈夫ですって!リピーターになってくれるのはうれしいって大将も言ってましたし!」
最近結構な頻度で来てくれる人達が来た。
2回目に来た時大将が、「ああ、あの子たちか!」と言っていたので、聞いてみたらあの時のグループの人達だった。
利益とか大丈夫なのかな?と思って聞くと、「いやぁ、あそこまで良い食いっぷりをみるとな、金だとかどうでもよくなんだよ」と言っていた。
最近受付だけではなく厨房の手伝いも任されるようになったので作業をする。
テーブル側からなにか揉めてるような声が聞こえてきた。
「そうよ!この店が____」
「分かりました!!________」
そんな言葉が聞こえたあと、とてつもなく嫌な予感がしたのでセンターの位置に戻ったときにはもうこの店ではありえない火薬の匂いがした。
瞬間、目の前が赤くなり、店が爆発した。
壁が崩れ、天井が落ちてくる。この状況で危ないのは、大将。
一応ヘイローがある私より耐久力はない。
状況が飲み込めていない大将に覆い被さるように押し倒し、衝撃に備える。
背中に大きな痛みが来て意識がなくなる瞬間、誰かが叫んでいるような声が聞こえた、気がする。