ぐっどぼーいの俺とばっどがーるな妹   作:寿垣遥生

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遥生です。ばっどがーるの方も今年初投稿ですが、とりあえず今年の目標としては6月までに完結させることですね!6話分が終わってあと半分ぐらいでしょう?それならあと半月でペースアップをどこかでできれば間に合うことかと⋯とりあえず、今年も頑張りますね!

さて、今回からは7話分⋯と言いたいところですけど、オリジナル回をお届けします。どんな感じの話なのかはゴールデンウィークが始まる前に遡れば見えてくるかと⋯まあ、サブタイトルを見ればその箇所は分かります。

6.5話という位置付けで読んでくださればと思います。3回分お付き合いください!

それでは、また後書きにて⋯


#19 スズランのような清木先輩とデート

side秀

 

 水鳥姉妹のデートを尾行した日から2日後、世間はまだまだゴールデンウィーク⋯涼は相変わらず父方の実家への帰省に家族と同行して不在の中、俺はある人と出かける約束をしていてその準備を自分の部屋でしているところだ。

 

(身だしなみはOK!こんな感じかな⋯よしっ、気合入れて行くぞ!)

 

「おはよう、お兄ちゃん⋯今日はいつもより凄くおしゃれだね?」

 

 俺が部屋を出てこれから家を出ようとすると、優が自分の部屋から出てきてバッタリ遭遇する。今さっき起きたばかりなのか服装はパジャマだし、髪はボサボサ⋯ゴールデンウィークだからってのんびりしすぎだ。

 

「優⋯お前、今起きたのか?」

 

「うん、ゴールデンウィークだからね。それで、お兄ちゃんはどこへ行くの?」

 

「ちょっと人と遊ぶ約束が入ってだな⋯夕方までには帰ってくる。」

 

「それってもしかして、女の子とデート?お兄ちゃん、私や涼ちゃん以外の女の子とデートする時はいつもの服装じゃないもん。モテモテで良いご身分ですねぇ?」

 

「何だ?怒ってるのか?嫉妬?まあ、言っておくが亜鳥先輩じゃねえからな?」

 

「そうなんだ⋯じゃあ、るー先輩?」

 

「内緒。とりあえず、今家事で忙しい母さんには夜ごはんだけ作っといてと伝えといてくれ。行ってきます!」

 

「あっ、お兄ちゃん!?」

 

 俺は疑心暗鬼になる優を振り切って母さんに伝える伝言を残してから家を出た。とりあえず、今回の案件はデートとだけは言っておこう⋯もちろん、相手は涼でも亜鳥先輩でもるーちゃんでもない。ヒントは俺を本命にしたあの人だ⋯

 

 

 

 

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「お待たせしました。」

 

 俺が待ち合わせ場所の自宅からの最寄りの駅前でしばらく待っていると、清木先輩がお淑やかな雰囲気をまとわせてやって来る。私服姿の彼女を初めて見たけど、紺のブラウスに黒のスカートがOLのような感じを出しつつもオシャレに決まっていて鎖骨チラリなのがドキッとしてしまう。しかしながら、この人の立ち姿はまさにスズランのように美しいものだ⋯

 

「いえ、俺もさっき来たばかりなので。まさか本当に清木先輩からメッセージが来るとは思いもしませんでしたよ⋯」

 

「迷惑でしたか?」

 

「いえ、むしろ今日は暇だったので助かります。それに⋯俺もあなたと仲良くなりたいと思ってたので。今日はよろしくお願いしますね?」

 

「こちらこそよろしくお願いします。私も男の子とデートするのは初めてなので⋯きちんとリードしてくださいね、秀くん。」

 

 そして、俺達は集合場所の駅前から出発してデートを始める。こっちにしても自分の母親とかの家族やそれ以外で涼とのお出かけ以外の異性とデートするのは初めてだから緊張している。とりあえず、なるようになれだ⋯ちいかわじゃねえけどな。

 

「それにしても、秀くんの私服⋯とてもおしゃれですね。普段からこういう格好とかしてるんですか?」

 

 清木先輩は俺の格好を見て、いつもこんな服装なのかと訊ねてくる。今日の服装は水色のワイシャツに緩めのネクタイをつけ、ベストはボタンを付けず着てビンテージのジーパンとの組み合わせ。しかも眼鏡は自分の度に合ったおしゃれ用の眼鏡⋯母さんと一緒にドレスコードの場向けの眼鏡として作られた特注の青縁のをつける機会が来るとはな。

 

「いや、どうなんでしょうね⋯俺はもうあるものから身につけるタイプなので。今日はこれが目の前にあったんですよ⋯普段とかよく分からないです。」

 

 俺は緊張のあまりどのように意識されるのかを気にしたのか今回のコーデを目の前にあったものとして嘘をついてしまう。ここで清木先輩のためにおしゃれをしてきたなんて答えたら好感度を上げるためのアピールと思われてしまう⋯でも、この時は何と答えたら正解だったのか?慣れないシチュエーションのプレッシャーに完全に俺は負けている。

 

「ふぅん、そうですか⋯ふふっ、亜鳥と同じですね。」

 

「亜鳥先輩と同じ、ですか?」

 

「ええ、あの子もクローゼットを開けて目の前にあるものから着るタイプなので⋯それにしては最高のコーデが目の前にあったんでしょうね。似合ってますよ?」

 

「ありがとうございます。」

 

 俺の咄嗟に吐いた嘘に対して清木先輩は亜鳥先輩も同じようなタイプだと明かす。あの人っておしゃれには大雑把な人なんだな⋯親友である彼女はとんでもない暴露をしたのだが、そんな適当に選んだ亜鳥先輩のコーデを妙に見たくなってきた気がする。

 

「それで、秀くん⋯今日のデートはどこに行くんですか?」

 

「そうですね。まずは映画から観ようかなと思ってて⋯それで、お昼食べて午後は身体を動かして最後はお買い物かなと。俺も優や涼や母さん以外の異性とデートするのは初めてなので何かご不満があったらその時は言っちゃってください。今日はあなたに沢山楽しんでもらいたいので⋯」

 

「結構プランを立てていたんですね?それで、映画に関してはどうしても観たいものがあるのでそれを一緒に観てもらいたいのですが⋯付き合ってくれますか?」

 

「ええ、何なりと⋯俺はあなたの観たい作品なら何でもお付き合いしますよ?特に俺は映画に好き嫌いとかないんでね。」

 

「ありがとうございます。秀くんと映画⋯ワクワクします♪」

 

 俺と清木先輩はまず最初に映画館へと向かって映画を観ることになった⋯どんな作品でも受け入れるつもりでいたのだが、その作品がまさかである。

 

『優香ちゃん、私⋯あなたのことが大好きだよ。世界中の誰よりも⋯結婚してください。』

 

『瞳、良いの?私達女の子同士なのに⋯日本は同性婚が禁じられてるのに。』

 

『だったら日本から移住して同性婚を認めてる国に移住しようよ。そこで幸せに暮らそう?仕事も何もかも辞めて男が寄りつかない2人だけの世界に行きたいな⋯』

 

『瞳⋯』

 

『優香ちゃん⋯』

 

 その清木先輩が観たいと言っていた作品は同性婚を題材にしたガールズラブの映画であった。作品は互いに名を呼び合いキスシーンを迎えたものの女の子同士のキスシーンって本当に生々しすぎる⋯何でもOKとは言ったもののこれは断るべきだったと内心後悔した。

 

(清木先輩、本当にこの人はブレないな⋯俺と一緒でもこういう作品を観ようとするなんて。しかも表情から興奮も伝わってくるし⋯やっぱりこの人、根はレズなんだな。)

 

 それからも俺は何とかこの地獄の時間を乗り切った。実に2時間20分⋯この作品はハッキリ言って地上波の金曜ロードショーとかで放送される時は結構なシーンがあらゆる事情でカットされ、1時間40分前後まで圧縮されるだろう。こんな生々しい作品がCM込みでノーカットなんてお茶の間が地獄でしかない⋯まあ、地上波に出されるのはまだ先の話なのだが。

 

 

 

 

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「いやぁ⋯亜鳥の薦めもありましたけど、やっぱり実際に観てもかなりの名作でしたね。とてもドキドキしました♪」

 

「そうですか。良かったですね⋯」

 

 それから近くのカフェでランチを食べようとしてコーヒーが先に届いた状態で注文した品を待つ俺達⋯清木先輩は晴れ晴れしい笑顔を見せて映画で満足するも俺は本音を言えば満足していない。でも、俺はあくまでももてなす側⋯不満の顔は絶対浮かべてはいけないんだが、亜鳥先輩があの作品を薦めたのか。あの人も優に対する態度を見たらどこかレズっぽいなと思う部分もあるが⋯まあ、親友のニーズに応えただけとでも思っておこう。

 

「お帰りなさいませ、ご主人様♪」

 

「いやぁ、今日も来たよ〜。いつもの席、空いてるかい?」

 

 しかしながら、彼女がどうしても行きたいと言われたカフェがメイドカフェだという⋯店名は『カフェ・すくらんぶる』、オタクの巣窟である。

 

「あの⋯清木先輩、どうしてこのお店を選んだんですか?メイドカフェも良いですけど、俺だったらもっとあなたに見合った優雅なお店を知ってますよ?」

 

「私に見合ったお店⋯ですか、お気遣いありがとうございます。でも、私はこういう可愛い女の子が沢山いるお店が好きなんですよね。さて、どの子を召し上がろうかしら⋯ふふっ♪」

 

 清木先輩はメイド服を着た店員の女の子達を見回しては舌なめずりをして品定めをする。普段は優雅な美人だが、女の子を見てる時の彼女は野獣のようなオーラを出していた⋯レズって怖いな。

 

「お待たせしました〜、愛情オムライス2つで⋯って秀くんに図書委員長の清木先輩!?」

 

 しばらくして俺達が頼んだオムライスがやって来たわけだが、どういう訳かそれを運んできたのは当店のメイド服を着たるーちゃんであった。

 

「誰かと思ったらるーちゃんじゃねえか。担当のメイドさんは忙しかったり?」

 

「えっと⋯今はちょっと手が離せない状態で。るーが代わりに持ってきたんだけど⋯それよりも、何か気になることとかないよね?」

 

「ああ。お前、ここで働いてたんだな⋯まあ、ウチの学校は別に学業に支障がなければバイトは許可されてるしモーマンタイだから生徒会の人間としても特に気にはしてねえよ。」

 

「ありがとう⋯それなら良かった。それで、どうして清木先輩が秀くんと一緒なんですか?」

 

「実は私の方からデートに誘ったんです⋯男の子とのデートがどんな感じなのかをお友達になった秀くんと体験したかったので。」

 

「まあ、そんな感じだな⋯そうだ、注文通りにケチャップで何か描いてくれよ。」

 

「そ、そうだね⋯かしこまりました。とりあえず、何をお描きすればよろしいのでしょうか?」

 

「じゃあ、俺は王道だけどハートにしようかな⋯清木先輩はどうしますか?」

 

「それじゃあ、私もハートでお願いしますね⋯瑠璃葉さん?」

 

「はい。それでは⋯ご主人様方のオムライスにハートを描かせていただきます。」

 

 そして、るーちゃんは俺と清木先輩のオムライスの上にケチャップでハートを描いていく。しかしながらシンプルなのを注文したとはいえ巧みな手捌きだ⋯俺でもこんな綺麗なハートはケチャップでは描けないのに。随分と家庭的というか⋯結婚したらとても良い奥さんになるだろうな。

 

「お前、最高だ!今度俺にもケチャップアートのコツとか教えてくれよ。優のために振る舞いてえし!」

 

「妹さん?秀くんって本当に大好きだよね、妹の優さん。」

 

「まあな⋯シスコンではねえけど、優は俺にとっては宝の一つだ。大事にしねえとな⋯るーちゃんは妹とか弟はいるのか?」

 

「うん。妹が3人⋯あの子達のために私はYチューブやアルバイトで稼いで生活を支えてるんだ。妹達や両親が辛い思いをしないでも良いように⋯」

 

 るーちゃんはこれまでにもない真剣な表情で俺の質問に答える。彼女も俺に負けないぐらいの家族思いの人間なのか⋯それを知ると彼女の頑張りをバカにするアンチとかがますます許せなく感じる。さらにるーちゃんのことを応援したくなってきた。

 

「るーちゃん、俺はお前のことをいつでも応援してるぜ?だからここからはまた笑顔でご主人様達をおもてなししろよな!」

 

「ありがとう、秀くん!それじゃあ、最後に愛情を込めておまじないをかけますね?⋯愛と、旨みを、ハートに込めて!美味しくなぁれ、コンコンニュー♪」

 

 すっかり元気を取り戻したるーちゃんはそのままオムライスにおまじないをかけた。何となくかもしれないが、おまじないのかかったオムライスはさっきよりも美味しそうである⋯これがるーちゃんの愛情ってやつに違いない。

 

「ありがとう、るーちゃん⋯いただきます。」

 

「私もいただきますね?」

 

「どうぞ、お召し上がりくださいませ。それでは⋯」

 

 そして、るーちゃんがこの場を後にすると俺と清木先輩はおまじないのかかったオムライスをスプーンですくって食べていく。卵はフワフワ、チキンライスもケチャップの旨みとサイコロ状のチキンがマッチしていて最高だ⋯これ、メイドカフェのレベルを超越してやがるぞ!?

 

「ここのオムライス、初めて食べましたけどレストラン並みですよね!最高です♪」

 

「いやぁ⋯マジで美味いですよ、ここ!あなたが勧めたこの店に来て良かったです。今度、優にも勧めてみようかな?」

 

 それからも俺達はオムライスを食べつつ先に届いていたコーヒーも味わっていく。食べても飲んでも美味しいカフェ・すくらんぶる⋯これはもうメイドさんのサービスも申し分なしとして料理もドリンクも最高とかたまらねえな!俺の中では三ツ星レストランと言っても過言ではない。

 

side out

 

 

 

 

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side優

 

 優谷優です。私はあれからお兄ちゃんの様子が気になって後をつけていたが、まさかデートの相手が清木先輩だったとは⋯あれから『カフェ・すくらんぶる』というメイド喫茶に入って以来まだ出てくる気配がない。もしかして、お兄ちゃん⋯清木先輩だけに留まらず、メイドの女の子に手を出してたりとか!?涼ちゃんにこれは報告しなければいけない事案かもしれない。

 

(お兄ちゃん、本当に最低だよ⋯涼ちゃんがどう思ってるのかも知らないくせに水鳥先輩や清木先輩どころかメイドの店員さんにまで手を出すなんて!これは家に帰ったら問い詰めないとね⋯)

 

 私は木陰から偵察をしながら涼ちゃんのLINEにメッセージを送信。とりあえず、今は自由に泳がせておかないと⋯気づかれたらお兄ちゃんは何をしだすか分からない。とにかく、今は静観の時かな⋯と。

 

「ごちそうさまでした、また来ますね。」

 

「行ってらっしゃいませ、ご主人様、お嬢様!」

 

 すると、ようやくお兄ちゃんと清木先輩が店を出る。2人は店を出てそのまままっすぐ歩いて行った⋯この方向のデートスポットならROUND1しかない。とりあえず、私は先回りを打つことにした。もう私にはお兄ちゃんの行動傾向も何もかもお見通し⋯伊達に水鳥先輩の人間観察をしてないからね!

 

(とりあえず、涼ちゃんの恋のために何としても清木先輩に告白なんかさせない!お兄ちゃんと涼ちゃんが結ばれるのなら私はどんな手だって使うから⋯たとえ世界を敵に回したとしても!!)




いかがでしたか?ゴールデンウィーク後半に幕開けた清木先輩と秀のデート⋯彼はいつも以上におしゃれして優ちゃんから怪しまれましたが、何とかデートには行けた模様。その清木先輩と最初に観た映画はまさかの百合映画⋯女の子同士のレズを観せられてげんなりしてしまいましたが、清木先輩は満足。その後に行ったメイド喫茶ではまさかのるーちゃんと遭遇⋯そこで秀はるーちゃんの家庭とかの事情を知り、応援したい気持ちが強くなり関係は前進。それからは美味しいオムライスを味わったというわけです⋯

しかし、そこに虎視眈々なのが優ちゃん⋯涼ちゃんにデートのことを伝えてから妨害行為へと踏み込むことに。優ちゃんは何としても涼ちゃんの幸せのために何でもすることを決意⋯デートの運命はどうなるんでしょうか?

次回は早くもデートは後半戦。あと1回はどうなるのかって?そこら辺もご期待くださいませ。感想、お気に入り登録、高評価の3点セットをして次回も4649!
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