俺とタケルは、同時に距離を取った。
パーフェクト・ガンマイザーもまた、崩れかけた姿勢を立て直し、こちらを睨み返してくる。採掘場の風が、三つの影の間を吹き抜けた。砂が舞い、陽の光がその向こうで白く揺れる。
「サクナヒメ」
「うむ。今度こそ、穿つぞ」
「タケル」
「ああ。次で終わらせる」
俺はガンガンタマフを構え直し、タケルもまた深く腰を落とす。
その瞬間、二つのドライバーが、まるで示し合わせたみたいに同時に唸った。
『チョーダイカイガン!ゴッドオメガドライブ ムゲン』
『チョーダイカイガン!ゴッドオメガドライブ サクナ』
鳴り響く音声と共に、タケルの周囲には無限の輝きが、俺の足元にはサクナヒメの赫い神気が一気に集束していく。
背中の羽衣が大きく広がり、風を掴むように揺れた。足先へ流れ込む熱は、ただの力じゃない。サクナヒメを核に束ねた神々の“武”そのものだった。
パーフェクト・ガンマイザーもまた、ゆっくりと脚を引く。
全身に集まった力が一点へ絞られ、その完璧な蹴りのために世界の空気まで整列していくのが分かった。
「行くぞ!」
「ああ!」
地面を蹴る。
タケルと俺は、ほとんど同時に空へ跳んだ。白い空の下で、二つのライダーキックが、寸分違わず同じ標的へ伸びていく。
タケルの蹴りは真っ直ぐで、揺るがない。
俺の蹴りは、羽衣の加速と共に熱を帯び、真正面から相手の均衡ごと叩き割るための一撃だった。
対するパーフェクト・ガンマイザーの蹴りは、完璧だった。
角度も、速度も、衝突の瞬間に生まれる衝撃の逃がし方まで、すべて計算し尽くされている。
だからこそ、ここで叩き潰す。
「はあああああっ!」
「うおおおおおっ!」
三つの蹴りが激突する。
最初に来たのは音ではなく、骨の芯まで叩き込まれるような衝撃だった。脚から腰へ、腰から背骨へと重さが貫き、視界が真っ白に弾ける。それでも、止まらない。止まれるはずがない。
タケルの蹴りが、正面から核を押し込む。
俺の蹴りが、その横から完璧の均衡を砕きにかかる。
「人には……!」
タケルの声が震えながらも前へ伸びる。
「無限の可能性がある!」
その言葉に押されるみたいに、俺も吠えた。
「俺たちは、ここで止まらない!」
ぐしゃり、と嫌な音がした。
パーフェクト・ガンマイザーの脚甲に亀裂が走る。開ききった花弁のような外殻が悲鳴を上げ、中心核から濁った光が噴き出した。二人分の意志が、完璧に噛み合った蹴りとなって、その中心を同時に貫く。
轟音。
空気が爆発し、俺とタケルは後方へ弾かれるように着地した。土煙の向こうで、パーフェクト・ガンマイザーの全身が大きく傾く。花弁が一枚、また一枚と剥がれ落ち、触手と光の器官が崩れ、最後にアデルの姿だけが引き剥がされるように現れた。
変身解除。
採掘場に残ったのは、砕けた完全の残骸と、膝をついたアデルだけだった。