「やっぱり……この辺りが怪しいな」
先程の戦いが終わった後、感じた気配を調べる為に向かう。
「葉様、あの建物から異様な気が……」
「ああ。ゴースト達が関わってる可能性が高い」
突然、塀の向こうで微かな悲鳴が響いた。
「誰かいるぞ!」
飛び越えた塀の先にいたのは――小学生ぐらいの少年だった。
「君、ここは危険だぞ?」
少年は驚いて振り返った。眼鏡の奥の瞳が怯えていた。
「えっ、お兄さんは?」
「・・・まぁ、なんだ?神の遣いかな」
「・・・はぁ?」
俺の言葉に対して、少し疑問に思ったように呟く。
「それで、君はなんでこんな所にいるんだ?」
そう尋ねると、少年は少し迷った様子で。
「・・・その、その」
自分の学校が統合され廃校になったが、そこに新しい市役所を建てる計画が進んでいるという。
幹太の母親がそれに反対運動をするが、突如誰もいないのに銃弾に襲われたという。それが何度も同じことが起こるという。そして今回も。
『もしや、憑いておるのか?』
「・・・どう思う?」
『難しい所ですね』
サクナヒメの疑問に対して答える事は出来ないが、そう簡単に分かるものでもない。
それに下手に刺激して何が起こるのかも分からない。
けれど。
「・・・なぁ、俺は葉。お前は?」
「ぼ・・・僕は篠崎幹太です」
「なら、一緒に行くか?」
「え?」
「とりあえずは、安全な場所に避難した方が良いと思うが。どうする?」
俺がそう言おうとした瞬間だった。
「僕は、その、知りたいんだ」
「・・・知りたいって、何を」
「この学校で何が起きているのか、お母さんが何に襲われたのか」
幹太は震える声で言った。
その目には恐怖と同時に強い意志が宿っていた。
「危険かもしれないぞ?」
「分かっています。でも……僕は逃げたくない」
その真っ直ぐな目にサクナヒメが小さく呟いた。
『ふむ……なかなか骨のある坊主じゃないか』
『しかし葉様……』
ココロワヒメが心配そうに囁く。彼女の言う通り、小学生を危険な場所に連れて行くのは問題だ。
でも。
「……分かった。ただし約束してくれ。絶対に俺の傍を離れないこと」
「はい!ありがとうございます!」
こうして俺は幹太を連れて廃校へ向かうことになった。
それと共にシャーマンドライバーが反応した。
「・・・もしかしたら」
「えっ?」
「少しだけ力を貸してくれるか?」
「えっと」
そうしながら、俺はガンガンタマフをゆっくりと舞う為の刀の形状へと変えていく。
その動きに呼応するかのように雲行きが怪しくなりはじめた。
ゴロゴロという低音が響き始め、やがて雷光が窓枠に差し込む。
「すごい……雷の音がしてる」
幹太くんが不安そうに見上げる中、葉の身体が淡い光に包まれていく。
「この感覚……」
サクナヒメが静かに呟いた。
それと共に、俺はその手に新たな眼魂を手にする。
「今のは?」
「まぁ、色々とね」