森の小径を抜けると、古刹の威容が姿を現した。苔むした石段が参道の奥へと伸び、朱塗りの山門にかかる看板が風に揺れている。「大天空寺」と隣には「毘沙門天」の扁額。境内は静寂に包まれ、杉林の葉擦れと鈴虫の声だけが響く。
「ここが……お前の家か」
俺が門をくぐると、錫杖を抱えた僧侶が石畳を掃いていた。
「おや、御客人ですか?」
「ああ……天空寺タケルという者の友人だ」
「タケル殿の友達?あぁ、もしかしてシャーマン殿ですか!」
山門越しに鳥居が見える。
そのまま、俺達は、大天空寺に案内される。
座卓を挟んで対峙するゴーストである彼、タケル君は少し困惑している様子だった。
「それで、その、本当にシャーマンなんですか?」
「まぁ、これが証拠になるかな」
それと共に、俺は自身の眼魂を見せる。
すると、タケル君は目を丸くしながら頷いた。
「へぇ、あれがシャーマンの眼魂なんだ」
「あぁ、お前達の持っている英雄眼魂と違ってな」
「英雄眼魂じゃない?」
その言葉にタケル君は気になる様子だけど。
俺はそのまま、懐から取り出した3つの眼魂を見せる。
「えっ、けれど、ここにあるのって眼魂じゃないの?」
「これは、眼魂だけど、タケル君の言う英雄眼魂じゃない。神だ」
「…」
俺の言葉に対して、かなり驚いた様子で見つめていた。
「かっ神?」
そうして、タケル君は首を傾げながら呟く。
「この眼魂には、サクナヒメ、ココロワヒメ、コロポックル」
「んっ?あれ、そんな英雄は聞いた事ないけど」
タケルは眉をひそめた。
「え?コロポックル……?サクナヒメ……?どこかで聞いたような……でも英雄譚じゃ……」
彼の困惑は理解できる。西洋の騎士や科学者の名前を想像していたはずだ。
「おや、サクナヒメというのは、珍しい名前ですなぁ」
「あっ、住職さん」
すると、話をしていると、先程まで案内してくれた住職が反応した。
「御成、知っっているの!」
「勿論ですよ!武神タケリビと豊穣神トヨハナの二人の間に生まれた神であるサクナヒメ様と車輪と発明を司る神であるココロワヒメ様ですね、けれど、なんでその神々の名前が出るんですか?」
「この眼魂に宿っている神ですよ」
「…なっなんですとぉ!?」
御成さんの言葉に周囲の空気が一変した。
タケルも目を丸くしている。
「まさか……日本の神様なの?」
「ああ。アイヌ由来のコロポックルを除けば、伝承にある神だな」
「そっそうなのっ、けれど、神の眼魂じゃ出来ないかも」
「出来ないって、何が?」
すると。
「俺が生き返る為に」
「…えっ」