サクナヒメとの再会。
それは、俺にとっては嬉しい再会だった。
「まったく、葉は相変わらずのんびりとした性格のようじゃな」
「いやぁ、面目ない。それにしても、元気だったか、サクナヒメ」
「神を相手に元気かどうかを聞くのはお主ぐらいじゃよ」
そうして、サクナヒメはため息を吐く。
「それで、さっきのは一体」
そう、再会した喜びの後に出てきたのは疑問だ。
あの時、俺を襲い掛かってきた奴の事だ。
「ふむ、儂もあまり詳しく知らないが、カムヒツキ様から聞いた話だと、どうやら人間らしい」
「にっ人間!?」
その言葉に、俺は思わず叫んでしまう。
明らかに人間に見えない奴だったので、その驚きはさらに大きい。
「ふむ、その驚きは当たり前じゃろ。奴らのあの感じからしたら、どうやら普通の人間というよりも付喪神に似た感じがするが」
「付喪神って、あの物に魂が宿る?」
そうすると、サクナヒメは頷く。
「あぁ、その証拠に奴らは儂の姿を見る事は出来なかったじゃろ」
「そう言えば、なんで?」
「まぁ色々とあるが、昔に比べれば神への信仰心がかなり薄れたからな。そのせいで儂のようなあまり知られていない神の姿を見る事が人間がいないからな」
「あぁ、そうか、よく考えたら、サクナヒメは有名じゃないから」
「お主に言われると、色々と嫌じゃが、まぁそう言う事だ」
サクナヒメの言葉に対して、納得は出来た。
だとしたら。
「奴らは一体、何を目的に?」
「さぁな?カムヒツキ様は何か知っている様子じゃったが、詳しくは教えてくれなかった。まぁ、詳しい事を調べる為に儂が現世に来たのだ」
「そうだったのか」
「それに、葉と会えるかもと思ったからな」
「・・・うん、嬉しいよ」
その一言には俺もほっこりとする。
「それにしても、これからどうするつもりなのじゃ?」
サクナヒメは腕を組みながら尋ねてきた。
「う〜ん……とりあえず帰ろうと思ってたんだけどな」
「そうか。ならば早速調査に向かうとしよう」
「ちょっちょっと待ってくれ!」
俺が呼び止める間もなくサクナヒメはスタスタ歩き始めたので慌てて追いかける羽目になった。
その後しばらく住宅街を歩き回ったあと商店街へと辿り着く。平日の昼間だというのに多くの客で賑わっていた。
「人が多いな……」
「まぁ仕方あるまい。この時代は娯楽が多い故にな」
サクナヒメはため息混じりに答えると露店の一つに入って行った。どうやら食べ物屋らしい。
「いらっしゃいま……」
店員さんは一瞬硬直した後すぐに我を取り戻して営業スマイルを作る。
「あっ、すみません!お客様でしたね!!」
「うむ。この団子を3つもらおうか」
そう言うが、まるで反応しない。
「・・・まぁ、人間には見えないからな」
「ぐっ、そうだった」
人間には見えないからか、サクナヒメは店員さんに見えないし、店員さんからも認識されない。
つまりは注文が出来ない。
「困ったのぅ」
「あぁ~もう俺が買うよ。団子を三個お願いします」
「はい!かしこまりました!少々お待ちください!」
そう言って団子を作り始める店主さんを待っている間、ふとサクナヒメの方を見ると彼女はじっと何かを見つめていた。
「どうした?サクナヒメ」
俺が声をかけた途端にこちらを見据える瞳。鋭い眼光だった。
「あっちから禍々しい気配を感じる」
「えっ!?」
思わず驚く俺を無視して彼女はその方向へ向かっていく。
「どうしたんだっと」
俺はすぐに団子を受け取ると共に、すぐにサクナヒメの後を追う。
俺もその後についていくと繁華街の一角にある公園へたどり着いた。
なぜか驚く程の静かな公園だった。
遊ぶ子供達の姿もなくベンチには誰も座っていない。異様な雰囲気が漂っていた。
「なんか変な感じだな……」
「葉!」
突如として響いた警告の声とともに振り返ると青色の人影が目の前に立ちはだかっていた。
「貴様か、謎の存在は」
敵意剥き出しの視線を向けられ思わず一歩下がってしまう。
「何者だ!?」
俺は叫ぶと同時にシャーマンドライバーを構えた。
『カイガン!シャーマン!守りしは魂!宿すは神!』
光と共に現れる白い衣装に身を包んだ戦士姿となり目の前の男と対峙する。
「お前こそ何者だ」
「さぁな、だが、どうやらお前は眼魂を持っているようだな」
「眼魂?」
その言葉に疑問に思っているが、奴は既に構えていた。
『ガンガンハンド!』
そう、その手に持つ機械的な青い右手のような形状をした武器を構えていた。
そして、それを構えると引き金を引くと。
「っ!」『ガンガンタマフ!』
直感で、俺はガンガンタマフを手に受け止める。
「あれは、銃なのか」「ふんっ」
「……ッ!?」
一瞬で距離を詰められた!
いや、違う——奴の方が速いんだ!
ガンガンハンドの銃口が火を噴く!
間一髪で身を翻すが、肩を掠めた!
『ッ……!』
熱と痛みが走る。
だが怯んでいる暇はない!
「葉! 右から来るぞ!」
サクナヒメの声に反射的に跳ぶ!
さっきまでいた場所に銃弾が炸裂する!
「ちっ……邪魔だな」
敵の男が舌打ちする。
青い装甲に包まれたその姿——
こいつは明らかに普通の人間じゃない。
見ると、その腰には、俺が今、纏っているシャーマンドライバーと似た形状をしている。
という事は人間なのか?
「どちらにしても、戦うしかないのか」
「果たして、戦いになるか」
すると、奴が取り出したのは、先程とは違う眼魂だった。
そのまま起動させ、腰にあるドライバーに入れる。
それと共にドライバーから現れたのは、パーカー。
そして。
『カイガン! ツタンカーメン!ピラミッドは三角!王家の資格!』
「ツタンカーメン!?」
その名前は、あまり知識のない俺でも知っている程の偉人だ。
「ふんっ」
すると、その手に持っているガンガンハンドに機械の蛇が現れる。
機械の蛇がガンガンハンドの掌に乗ると、鎌となる。
「マジかよ!!!!」
それと共に跳びかかる。鎌は弧を描く軌跡に沿って振り下ろされた。
「ッッ!!」
それを躱す事に成功する。
だが、奴は攻撃を緩める事はなく。
再び鎌が振り下ろされる。
「ッッッ!!!」
鎌をギリギリで避け続けるが、反撃に移れない!
間合いが近すぎる!
「ぐおおっ!!」
俺は咄嗟にガンガンタマフを変形させて防御姿勢をとる!
衝撃波が全身を貫く!
地面に叩きつけられ転がりながらもなんとか体勢を立て直すが……ヤバいなコイツ……!
「葉! 逃げるべきだぞ!」
「わかってる!」
そうだ、今は勝てる相手じゃない。
だがどうやって?
奴の動きは素早く正確。逃げ切れるかどうか……
「はあぁあっ!!」
スペクターが斬りかかる!
俺は必死で回避!
ガンガンタマフを振り回し牽制するが効果なし!
「・・・そうかっそういう事じゃったのか!」
「えっ?」
すると、サクナヒメは俺の方に近づく。
困惑している間に、サクナヒメは、シャーマンドライバーの中に吸い込まれた。
「えっ?!」「なっ」
すると、俺の手には眼魂が。
「ワシをシャーマンドライバーに装填しろ!」
「分かった!」
よく分からない間に、俺はそのままシャーマンドライバーに眼魂を装填する。
それと共に、シャーマンドライバーから現れたのは、パーカー。
そのパーカーは、サクナヒメを象徴する赤い着物を思わせ、さらに羽衣がある。
奴も驚いている間に、俺は、そのままドライバーを操作する。
『カイガン!サクナヒメ!晴々咲かそう!米は力!』
光が舞い降りる。
それと共に俺の姿は変わる。
だが、何故か俺の身体からは力が漲っている。
「なんだ、それは」
いや、この場合は、違うな。
「「我らの力が漲るなぁ!!」」
俺とサクナヒメは声が重なる。